ぷよぷよテトリス2 ~ シュルッツの冒険者達 作:アヤ・ノア
キャリアも戦闘力も上だという事を表現しました。
マールによって暴走したウィッチを正気に戻したシェゾ達は、アルルと情報交換をしていた。
「……なるほどな。マールと混ざった世界……か」
アルルの情報でシェゾは二つの世界を混ぜた元凶がマールである事を完全に知った。
「事件の元凶らしきその少女、俺に覚えがある」
「えっ!」
「ぐぐっ!」
なんと、シェゾはマールを見た事があるという。
アルルとカーバンクルは驚きながらも、シェゾの話を最後まで聞いている。
「少し前の事だ。見覚えのない少女が突然現れて、笑いながらぷよぷよ勝負を仕掛けてきた」
「そ、それで、どうなったの?」
「かなりの実力があったが、俺が勝ち……気が付いたら、少女は消えていた」
「おお~、流石シェゾ。闇の魔導師を名乗るだけの事はあるね」
「ぐっぐぐー!」
「フン、当然だ……と言いたいところだが、多分、あの時は手を抜かれていたな。
ただ、俺の力を知るために勝負をしている様子だった」
シェゾはマールを退けたようだが、彼女から強い力は感じられなかったという。
恐らく、時間稼ぎをするために手加減をしていただろう、とシェゾは推測した。
「そうなんだ……」
「ふむ……」
ジルヴァは顎に手を置いて、マールの目的を推測していた。
力を知るためにわざと手を抜いて勝負し、
皆を勝負せずにはいられなくさせ、楽しさを得ようとしている……。
その「楽しさ」の力を使って、この世界をさらなる混沌の渦に巻き込もうとしている……。
それが、マールの目的だと、ジルヴァは思った。
「多分、マールは皆に楽しい勝負をさせて、
そのエネルギーを使って世界を滅茶苦茶にしようとしているだろう」
「そうか?」
「うん、ジルヴァの言う通りだと思うよ。流石に、ボクもマールはちょっと許せないな」
「ぐーぐぐ!」
「当然! 心優しいわたくしも、流石に怒ってますわよ!」
(お前、心優しいって言える立場か?)
ジルヴァの推測をちょっと疑うシェゾに対し、アルルは素直に受け止めた。
同時に、アルル達の中に、マールに対する怒りの感情が湧いた。
「フン、くだらん……」
「シェゾ!?」
一方で、シェゾは自分には関係ないといった態度を取っていた。
シェゾ自身は暴走していない上に、関わるだけ損だと思っているからだ。
「やめろよ!」
「ちょ、ちょ、ちょっと待て! 冗談だ!
俺の静かな生活をそんな形で脅かす存在は、見過ごしておけないんだ!」
慌ててラグナスが胸倉を掴もうとすると、シェゾが両手を出して彼を止める。
ラグナスは安心して、シェゾから一歩距離を置く。
「……ラグナスは冗談が通じないんだ、分かった?」
「ぐぐーぐ?」
「……ああ」
アルル、シェゾ、ラグナスのやり取りを見ていたアリアは、くすくすと笑っていた。
ジルヴァも「腐れ縁だな」と思っていたとか。
「それじゃ、そろそろ広場に戻るよ」
「ぐぐー!」
情報交換を終えたアルル達は、そのまま広場に戻ろうとした。
だが、そこに一人の女性が姿を現す。
「……あら? そこにいるのは、シェゾとウィッチ、それに、ラグナスと知らない方達と……」
「あっ! ルルー!」
その女性の名は、ルルー。
魔法は不得意だが、その分、体術に秀でているスタイル抜群な格闘女王だ。
「あら、この格闘女王ルルー様の永遠のライバル、アルルもいるのね!」
アルルはカーバンクルと出会った事でサタンに求婚されたため、
彼に好意を抱くルルーはアルルをライバル視している。
もちろんアルルはサタンと結婚する気は毛頭ない。
「あのね、ルルー。実は……」
「それじゃあ、挨拶代わりに……勝負と行くわよ!」
アルルがルルーに事情を話そうとすると、ルルーが腰に手を当てて勝負しようとした。
「えっ! う、嘘でしょ、ルルー、キミもなの!?」
「? 何の事だか分からないけれど、逃げようとしても無駄よ! おーっほっほっほ!」
「ルルー……」
「とにもかくにも勝負ですわ!」
「……とりあえず、ルルーを正気に戻すぞ」
ラグナスが剣を抜こうとすると、アルルが「待って」とラグナスを止める。
「ボクに勝負を仕掛けたんだから、勝負は一対一でお願いね」
「ああ……」
ラグナス達は、アルルとルルーのタイマン勝負を見守る事にした。
何故か、ルルーは不穏なオーラを纏っていなかったが……。
「破岩掌!」
「ファイヤー!」
ルルーは岩をも砕く掌底突きをアルルに繰り出す。
アルルはルルーの攻撃をかわし、ファイヤーで反撃する。
「風神脚!」
ルルーはアルルのいる方向にダッシュし、風を纏った蹴りで致命傷を負わせた。
アルルは魔導師タイプなので、物理攻撃には弱いのだ。
「ふふっ、今度はこれを受けられて? 炎神拳!」
「ばよばよ!」
ルルーの炎を纏った拳がアルルに命中する直前、アルルは時間操作魔法をルルーに放つ。
すると、ルルーが一時的に老化し、筋力が衰えた。
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁ! 私の肌がぁぁぁぁぁ!」
「ごめんね、ルルー。ダイアキュート、マ・マジックミサイル!」
アルルは増幅呪文を唱えた後、無数の魔法の矢をルルーに放つ。
この魔法の矢は相手を正確に追尾するので、攻撃はルルーに全弾命中したのだ。
「よくもやったわね、アルル! 私の攻撃は、近接攻撃だけじゃないのよ!
はぁぁぁぁぁぁっ、ルルービーム!」
ルルーは間合いを取って構えを取り、両腕を構えてビームを放った。
まともに食らったアルルは吹っ飛ばされる。
「ルルーさんって……あんな技を使えたんですね」
アリアは、ルルービームを見て唖然とした。
格闘技以外に使える技がないと思っていたからだ。
「鉄拳制裁!」
「ライトニング!」
ルルーはアルルに突っ込んで拳をぶつけたが、ばよばよの効果で威力が低下している。
アルルは呪文を詠唱し、雷を落として攻撃する。
「崩撃連脚!」
「うっ……ルルー、攻撃力が元に戻ったね」
ルルーの連続攻撃を食らったアルルの表情が苦痛に歪む。
ばよばよの効果が切れたため、攻撃力が通常に戻ったからだ。
「はぁ、はぁ、なかなかやりますわね、アルル」
「ルルー、キミだってキレは鋭いよ」
アルルとルルーは互いに息を切らしている。
このままでは、二人ともばたんきゅ~してしまう。
「うふふ、女王乱舞でとどめを刺しましょう」
アルルはルルーが構えを取っている間、ゆっくりと場所を移動した。
その後、小さな声で呪文を唱える。
「また魔法を使う気なの? そんな事をしても無駄ですわよ!
そろそろ終わり! 女王乱舞!!」
そう言って、ルルーはジャンプして、アルルがいる方に突っ込んで奥義を繰り出そうとした。
すると、ルルーの足元から煙が湧き出し、煙をまともに浴びたルルーは眠ってしまう。
「な、なんなの、Zzzzzz……」
実は、これはスリープの遅延呪文である。
アルルはルルーがこちらに向かってくるのを予測しあらかじめ呪文を唱えていたのだ。
そしてアルルの予測は的中し、ルルーを見事に眠らせる事ができたのだ。
「これでとどめ! ジュゲム!!」
「いやぁーーーーっ!!」
そして、アルルの両腕から莫大な気が放たれ、ルルーに命中すると大爆発が起きた。
「キィーーーッ、何て事!!」
アルルに敗れたルルーは、悔しそうな顔で叫んでいた。
「次はこうはいかないわよ! 覚えてらっしゃい、アルル!」
「ルルー!!」
「……少しは落ち着け、サニティ」
ジルヴァは精神を落ち着かせる魔法、サニティをルルーにかけた。
これにより、ルルーの気が落ち着き、アルルは彼女に声をかける。
「ねえ、気分はどう? まだモヤモヤしてる? どこか悪いところは?」
「な、何よ、気味が悪いわね。このルルー様はいつだって絶好調よ。何も問題ないわ!」
「……へ? じゃ、じゃあ、さっきの勝負は無理矢理やらされたんじゃなく……」
「したかったからしたのよ!」
「よ、よかったぁ……」
「流石は格闘家だな」
どうやら、ルルーはマールの影響を強靭な精神力で跳ね返したようだ。
伊達に彼女は格闘女王を名乗っていないようで、アルルとラグナスは一安心する。
「ちょっとシェゾ、どうしたのよ、このアルル……」
「ああ、それは……」
シェゾはルルーに、これまでの事情を話した。
「……なるほど? その女の子については、私も覚えがあるわ。シェゾの話と大体一緒。
あれは誰だったのか、少し気になっていたけれど、
まさか、そんないけない子だったなんて、このルルーとサタン様が許さなくってよ!」
「そうだ、サタン!」
「ぐぐぐ!」
ルルーもまた、マールを知っているようだ。
アルルとカーバンクルは、ルルーが言った「サタン」という名前を聞いて驚く。
「サタン……ああ、あの傍迷惑魔王か?」
「傍迷惑魔王とは失礼な事を!」
「いて、いて、いてて、やめてくれ」
ルルーはジルヴァの頭を両腕の拳で挟み込み、グリグリしてお仕置きする。
「……ま、まぁ、こんな事件、サタンが知らないはずないよね」
「あいつは今、どこにいるんだろうか。探すぞ」
「サタン様を探しに……? それなら、私もと・く・べ・つ・に、協力して差し上げるわ!」
「知っていたから恩着せがましく言うな」
片思いしている魔王を探すのだから、当然、ルルーが行かないわけがなかった。
「さあ、とっとと行くわよ! おーっほっほっほ!」
「……ははは;」
ちなみに、この時、まだルルーはジルヴァをグリグリしていたという……。
次回は閑話休題となります。