ぷよぷよテトリス2 ~ シュルッツの冒険者達   作:アヤ・ノア

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アルル組のターンです。
ベテランなので、それっぽい描写を目指しました。


23 ~ アルルの絆

「どうやら、またダンジョンに入ったみたいだね」

 アルル達は地底の洞窟に閉じ込められていた。

 光属性のマールが作った幻影世界のようだが、それにしてはかなり暗かった。

 だが、数々の冒険をこなしてきたアルルの前ではこんな暗さなど大したものではない。

「ライト!」

 魔法で明かりをつけた後、アルル達は洞窟を進む。

「カーくんは肩の上で大人しくしてね」

「ぐっぐー♪」

 カーバンクルはアルルの肩の上に乗る。

 ルルーとシェゾが前に出て辺りの様子を確かめる。

「どう? 魔物はいた?」

「周りに魔物はいませんわ。ですが、警戒するに越した事はありませんわ」

「これもマールの罠かもしれない……気を引き締めて進むぞ」

「うん!」

 常に警戒して進むのは、ダンジョン探索の基本中の基本である。

 だが、その基本があるからこそ、アルル達はダンジョンの中で生き残れたのだ。

 

 しばらく歩いていると、どこかから少女の声が聞こえてくる。

「皆さん、どうか私のところに来てください」

 声は苦しそうな様子だった。

 洞窟のあちこちから声が聞こえてくて、少女の声は反響していて気が狂いそうだ。

「みんな、気をしっかり保って。心を惑わされないようにして」

「当然ですわ!」

「苦しんでるってなら、こんな回りくどい事はしなければいいのに……」

 アルル、ルルー、シェゾは、気を引き締めながら、声がする方に向かっていった。

 足元はごつごつしていて歩きにくかった。

 歩きにくいサンダルを履いているルルーは、特に慎重に歩いていた。

 

 長い道を歩くと、頭を抱えて蹲っている金髪の少女――マールがいた。

「う、うう……」

「もう、楽しくないんでしょ?」

「そんな事ない! こんなに『楽しい』勝負ができて最高の気分ですよぉ。

 ほら、かかってきてください!」

 勝負を申し込むマールだが、とても正気とは思えなかった。

 それどころか、何かの干渉を受けて、苦しんでいるように見える。

「ぐーぐ……」

 カーバンクルはマールの様子をじっと見ていた。

 今のマールはあの時のようなマールではない。

 何故、彼女が苦しんでいるのか、カーバンクルはその目でじーっと見た。

「ぐー! ぐーぐぐー!」

 すると、カーバンクルは何かに気付いて、ぴょんぴょんと飛び跳ねる。

「カーくん、何か分かったの?」

「ぐぐー! ぐっぐぐーぐぐーぐ!」

「えっ? マールの身体に糸が絡みついてる? そんなの、全然見えないけど……」

 アルルはきょろきょろとマールの様子を見る。

 マールの身体は特に変わったところがなく、糸があるというのは嘘ではないかと思った。

 だが、シェゾはアルルの言葉を聞いて剣を構えた。

「糸……か。確かに、こいつには糸が絡んでるな」

「えっ!? シェゾには分かるの!?」

「分からないのか? こいつにはアニメートという魔法がかかっている。

 気絶した奴を邪気で操る魔法だ」

「じゃあ、今のマールは、操られてるって事!?」

 なんと、マールは何者かに操られて世界に異変を起こしていたのだ。

 衝撃の事実を知ったアルルはしばらく固まり、シェゾも神妙な面持ちで頷いた。

「じゃ、じゃあ、どうすれば……」

「虫も殺さぬ顔をして極悪非道、それがお前だろう」

「なんだよ、それ!」

 アルルは最初のぷよぷよ地獄で、人畜無害のぷよぷよを殺戮し回ると言われていた。

 今でもアルルはちょっぴり好戦的なところがあり、巻き込まれながらも強かになっていた。

「おーっほっほっほ! ここに来て同情心を出すなんて、詰めが甘くってよ、アルル!」

「えっ」

 ルルーも弱気になりかけたアルルを叱咤激励する。

 アルル、ルルー、シェゾの三人は、仲が良いわけでも仲が悪いわけでもない。

 時に反発もするし、時に協力する事もある。

 だが、それは三人が腐れ縁――良くも悪くも、強い絆で結ばれている証だ。

 腐れ縁があるからこそ、アルルはアルルとしていられるのだ。

「癪だが、私も協力するぞ、アルル。そのくらいの衝撃がなければ、あの少女の目は覚めない」

「……って、サタン様もおっしゃってるわ」

「わたくしも一緒に戦いますわ」

「今度こそ負けないぞ! がおーーーっ!」

「わたしは~アルルさんを~応援します~♪」

「そ、その……月並みな言葉ですが……アルルさん、頑張ってくださいね」

「あんなシケた顔じゃ、ステップも踏めねえ。後で俺様が直々にダンシーン!」

 ウィッチ、ドラコ、ハーピー、セリリ、そしてすけとうだらも、アルルを応援した。

 彼らもまた、アルル達とは腐れ縁だという事が証明された。

「ほら、アルル」

「俺達と一緒に、戦うぞ」

「勇者に敗北はないからな」

 ルルー、シェゾ、ラグナスは、アルルと共にマールを止めようと協力した。

 彼らのたくましく頼りになる姿を見たアルルは憑き物が取れたかのような顔で頷き、

 苦しんでいるマールを真っ直ぐに見据える。

「誰もかれも私を否定する……。もう……」

「時空のバグ? っていうそこのキミ! 勝負してもらうよ!

 キミの苦しみは、ボクが取り除く!」

「油断大敵だからな、アルル」

 アルル、ルルー、シェゾ、ラグナスが身構えると、マールの身体から黒い影が飛び出した。

 黒い影は、マールを張り付けにして宙に浮かぶ。

「アレが、マールを操っている【糸】なんだね。

 断ち切れるかどうかは分からないけど……とにかく、やるっきゃないよ! ファイヤー!」

「うぅぅぅぅぅ……」

 アルルはマールに向けて炎を放つが、黒い影が張ったバリアで打ち消された。

「くっ、打ち消されたか!」

「魔法がダメならこれですわ! 破岩掌!」

 ルルーは岩をも砕く掌底突きでマール、いや、正確にはマールにとりついた黒い影を攻撃する。

 黒い影はルルーに向けて黒い光を放つ。

「な、何のこれしき……!」

「流石格闘女王ですねぇ。私を楽しませてくれますねぇ」

「あんたにそう言われると、逆にムカつくわ」

「ああ……お前は望んで楽しい勝負をしたわけではない……!」

 ルルーとシェゾは黒い影に攻撃し続ける。

 誰も望んでいない勝負を終わらせるために、彼らは操り糸を断ち切ろうとしている。

「スラッシュ!」

「あぁぁぁっ!」

 ラグナスの光の剣が、黒い影を一閃する。

 マールにとりついている影は闇……すなわち弱点は光属性だ。

「ラウンドダンス」

「ぐあぁぁっ!」

 黒い影はマールを操り、多数の爆発でシェゾを攻撃する。

「ファイナルクロス!」

「痛いです……!」

 ラグナスは光の剣で黒い影を十字に切り裂く。

 弱点属性の攻撃を受け続けたマールは瀕死になる。

「ダイアキュート、ア・アイスストーム!」

 アルルは増幅呪文を唱えた後、氷の嵐を起こしてマールと黒い影を氷漬けにする。

 とどめを刺すなら、今がチャンスだ。

「今だよ、ルルー!」

「ええ! マール……覚悟はできてまして? 大人しくしなさい! 女王乱舞!!」

きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!

 ルルーの凄まじい連続攻撃が、マールの黒い影に連続で命中する。

 黒い影はルルーの格闘術によって四散していく。

 やがて黒い影は完全に消滅し、残ったマールもばたんきゅ~した。

 

「……なんで? なんで勝てないんですかぁ。だって、私『楽しい』のに……っ!」

 マールはそう言うとアルル達の前から姿を消した。

 同時に、アルルも幻影世界から戻ってくる。

「後はティだけか……彼なら大丈夫だよね」

「ぐぐぐーぐ」

 幻影世界に囚われた残るメンバーは、ティだけ。

 アルル達はティに干渉する事はできないが、強い心でティを信じる事にした。

 テト号艦長ならば、時空のバグを止め、この世界を元に戻せる……と。

 

「今度こそ、終わりにしよう!」

「ぐっぐぐー!」

 マールとの戦いは、終わりを迎えようとしていた。




アルル達を繋ぎとめているのは絆、だと私は思っています。
次回はティ組のターンです。
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