ぷよぷよテトリス2 ~ シュルッツの冒険者達 作:アヤ・ノア
そんなわけで、ティのターンですよ。
ティが閉じ込められた幻影世界は、かつてアミティ達が修行をしていた白の空間だった。
ここには魔物の気配はなく、マールのみがティの目の前にいた。
「こっちにもいる……なんなんですかぁ。しつこいですよぉ! どいて……どいてぇ!」
マールは虚ろながらも鋭い目でティを睨みつける。
ティを排除しようとするが、彼は強い意志でマールの前に立っていた。
「報告する。これから時空のバグを捕縛、然る
「ピピピピッ!」
マールを逃がすつもりは毛頭ない。
彼女を倒し、世界を元に戻さなければならない。
ティとオーには、そんな決意がみなぎっていた。
「保護? うちの艦長は相変わらず甘ちゃんね。
あんなのしばき倒して三日ほど吊るしておけば、
自分から『ごめんなさい』って言ってくるわよ!」
「エス……それはちょっと」
幻影世界には、航海士エスも閉じ込められていた。
彼女はアリア達がプリンプタウンに行っている間、かなり苦労していたようで、
ティとマールに暴言を吐いていた。
「見ちゃったよ!」
「見えちゃったよ!」
「「二人であの子を見てみたら」」
「みんなを操ろうとしたあの子こそ」
「操られて苦しんでる!」
双子のきょうだい、ジェイとエルは、マールの裏に潜むものを見抜いていた。
彼らは戦闘能力的には年齢相応だが、勘が鋭く、その場の状況を判断できるのだ。
もっとも、普段は悪戯ばかりするため、そうは思えないのだが……。
「僕のダウンジングも、彼女を差してはいない。もっと別の……」
「はぁ!? みんなしてめんどくさい事言ってないで、とっとと……」
「エス、アノ少女ハホンライ、ワルイモノデハナイヨウダ。ランボウハヨソウ」
「はぁ~~~いっ♪」
アイもマールが正気でない事を察したが、エスには全く理解できなかった。
だが、エスの親代わりのロボット、ゼットがエスを宥め、流石の彼女も素直になった。
「もちろん、乱暴なんかよくないわよね! あり得ないわ!」
「……この変わり身の早さ、な……」
「ビビビビビ ビビビ……」
某忍者ロボットのような変わり身の早さに、ティとオーは呆れてしまった。
「まあいい、とにかく始めるぞ。
時空のバグの孤独と苦しみを取り除くため、爆発するほど熱い勝負を開始する!」
ティは身構えて、マールに勝負を挑んだ。
「せいっ!」
「アニュラス!」
ティは円月輪を操り、マールを切り裂く。
マールは周囲に光の玉を発生させ、ティを吹き飛ばして近づけさせない。
「悪いが、おれも飛び道具の方が得意でね。距離を離しただけじゃダメだよ」
マールにアドバイスしつつティは円月輪を飛ばす。
彼女は今、何者かに操られており、できるだけ傷つけないようにしているのだ。
「楽しい勝負って、一体何なんですか? 何が楽しくて、何が正しいんですか?
私には、何も分からない……!」
「可哀想に……ここまで影響が強まっているとは。今、おれが元に戻してやる。ホールド!」
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
光の鎖でマールは縛られ、戦う気力を失う。
分身に力を割いていたためか、本体の力は弱くなっていたのだ。
「よし! 問題ない!」
「ピピピ!」
「「わーっ! 凄いねー!」」
危なげなくマールを戦闘不能にしたティ。
ジェイとエルはぱちぱちと拍手し、オーは喜ぶ。
もちろん、幻影世界は消滅し、ティ達は元の場所に戻って来たのだ。
「さあ、きみ、そろそろ……」
「うう……うーーーっ……!」
「まさか、おれの魔法が、マールの悪しき部分を引き出しているのか……?」
光の鎖はマールを縛る力を強めている。
マールの表情に生気はなく、彼女の身体からは黒い影や金のオーラがにじみ出ていた。
前者はアルルと戦った時のものと同じで、後者は勝負病にかかった者の特徴だ。
マールは明らかに正気ではなかったが、力を振り絞ってティにこう言った。
「……は、話を聞いてください……」
「えっ!? あ、ああ、もちろんだ!」
「……」
「ピピッピ……?」
マールが言いたい事とは、一体何なのか。
全ては、皆が集まった時に、明かされる。
次回はマールとの戦いです。
しかし……。