ぷよぷよテトリス2 ~ シュルッツの冒険者達   作:アヤ・ノア

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仲間達がマールを助けます。
戦闘シーンは、できるだけ派手に描写してみました。


25 ~ マールを救え

「ティ! どうなったの?」

「勝ったんだよね?」

「ボク達、やっとマールを倒したんだよ!」

「ぐぐぐーぐぐ!」

「……」

 マールが作った幻影世界から戻って来たアルル達。

 幻影世界が消えた事で、マールは倒れたはずだが、何故かこの世界は元に戻っていなかった。

 気付いているのは、ティとアリアだけだった。

「みんな! 来てくれたのか。それが……ちょっと、この子の様子が……」

「ピーピピ……」

 ティはマールの様子がおかしい事を皆に伝える。

「あの……私……私……それでもやっぱり、勝負がやめられない。これが『楽しい』んですよぉ」

 黒と金のオーラを纏ったマールは、楽しさを求めて勝負をしようとしている。

 勝負病にかけた者が逆に勝負病にかかるという、自業自得のような状態になっていた。

「まだ駄目ですか……」

「……どうしよう」

 どうすればマールを正気に戻せるか考えるりんごとアミティ。

 一方、アリアは杖を持って、精神を集中していた。

「どうしたの、アリア? あ、話しかけちゃダメ?」

「……」

 アリアにはアルルの声が全く聞こえていなかった。

 ただし、操られているわけではなく、集中しすぎているだけである。

 アリアの周りにはたくさんの精霊がいて、レイリーにはその姿がはっきりと見えていた。

「……今、アリアは精霊の力を使って、マールを元に戻そうとしているのだ。

 あのオーラが、マールを操っているのだ」

 レイリーは小声でアルルに状況を話した。

 アリアはマールにとりついているオーラを、彼女から引きはがそうとしているのだ。

「そっか。じゃあ、アレを……」

 アルルがそう呟いた瞬間、アリアの周囲から虹色の光が放たれる。

 虹色の光が杖にまとわりつくと、光のレーザーがマールを貫いた。

 すると、マールにとりついたオーラが抜け出て、

 猿の頭、虎の体、蛇の尾をした異形の獣になった。

「こ、これって……鵺!?」

「はぁ、はぁ……」

 怪物になった影に、りんごは恐怖する。

 アリアは力を使い切ってへたり込んでしまい、マールも気を失って棒立ちになった。

「お疲れ様です、アリア」

「後はあたし達がやるよ!」

 アルル、アミティ、りんご、ティは、マールを操る影に戦いを挑んだ。

 

「サイクロワール!」

 アミティは呪文を唱えて、風の刃で影を切り刻む。

「サイン!」

「スピニング!」

 影に向けてりんごが放った電撃が飛び痺れさせる。

 続けてティが加速力を上げた円月輪を投げつける。

「うっ……あぁぁぁっ!」

 影にとりつかれたマールは、さらに苦しむ。

「大丈夫だよ、マール。ボク達は絶対に、キミを助けるからね!

 ダイアキュート、ア・アイスストーム!」

 アルルは増幅呪文を唱えて、強烈な氷の嵐を巻き起こす。

 氷の嵐は影を取り込み切り刻んで寒さを襲わせた。

「きゃっ!」

 影の獣がマールを操って大きく跳躍し、そのまま爆撃のように着地する。

 迸る電撃が地を這い、広範囲に広がった。

「シールド!」

「わっと!」

「いたたぁ~!」

 アルルは防御魔法で防ぎ、アミティは何とかかわしたが、

 戦闘慣れしていないりんごはまともに食らってしまう。

 ダメージは抑えられたが、身体が軽く痺れる。

「これ、ちょっと厄介だね……」

「ああ……」

「鵺は病気にするんじゃなかったんですか? こんなに激しい攻撃をするなんて……」

 りんごの伝承では、鵺は奇妙な鳴き声を上げて、人々を恐怖から病にしてしまうという。

 だが、この影はそれとは逆に、雷を纏った激しい攻撃を繰り出していた。

「まともに食らったら、タダじゃすまなそうだね」

「うん……」

 もし影の攻撃が直撃したら、体力があまりないアルル達は一撃でばたんきゅ~するだろう。

 アルル、アミティ、りんごは、ぐっと身構えた。

 

「ロックダウン!」

「ダイアキュート、ダイアキュート、ファ・ファ・ファイヤー!」

 ティが光の力で影を拘束した後、アルルは手からたくさんの火炎弾を放つ。

「ブラストビート!」

「コサイン!」

 アミティの風で勢いを増したりんごの電撃が鵺型の影に命中。

 影は大したダメージを受けなかったが、麻痺によって体当たりの勢いを削いだ。

「よし、この調子だ! ターンオーバー!」

「ブリザード!」

 ティが勢いよく円月輪を飛ばして影を切り裂き、アミティが吹雪を起こして影を凍らせる。

「タンジェント!」

「ダイアキュート、ダイアキュート……」

 りんごはさらに電撃で追撃し、呪文を詠唱するアルルを援護する。

「ジュ・ジュ・ジュ・ジュ・ジュゲム!!」

 アルルが呪文を唱えると、大爆発が発生し、影を勢いよく吹き飛ばした。

 距離は相当離れたため、体当たりの勢いは今ほど強くないはずだ。

「ヒョー、ヒョー、ヒョー」

「な、何?」

 影は天に向かって不気味な雄たけびを上げる。

 すると、天がそれに呼応するかのように、黒雲が現れ、アルル達に雷光が降り注いだ。

「まずい、あれをまともに食らったら……!」

 この攻撃をまともに食らえば、確実にアルル達は全滅してしまう。

 しかも、アルルとアミティには防御魔法を使う魔力が残っていない。

 もう、勝てないのか……と思った、その時だった。

 

「マール、正気に戻れ!!」

「ティ!!」

「ピピー!!」

 なんと、ティがマールに突っ込んでいき、マールの攻撃を代わりに全て受けたのだ。

「きみにとっての楽しさは、おれには分からない。

 だけど、みんなを苦しめて、

 きみ自身を苦しめる……そんな勝負なんて、楽しいとは言えない!!」

「そんな事はありません! 今、私は楽しいんです!

 楽しくて楽しくて楽しくて楽しくて……全部、楽しいんですよ!!」

「『楽しい』を連呼するきみが、本当の『楽しい』を知るわけがない!!」

「あなたには全然分かりませんよ!!」

「ああ……おれにも分からない……だから……」

「こうするしかないんですか!?」

 ティとマールは互いに自分の思いを叫ぶ。

 楽しさを伝えようとするマール、本当の楽しさを教えようとするティ。

 理論も理屈もなく、思いだけがぶつかっていた。

「Tスピンバースト!!」

「ヘブンリースフィア!!」

 二人の思いはぶつかり続け、それは、ついに最終奥義となった。

 ティとマールの最終奥義がぶつかり、影が起こした以上の大爆発が起きる。

 そして、大爆発が治まると、黒い影は消えた。

 

「な、何とか勝ててよかった……」

「あ、ああ……」

 アルル達はボロボロになりながらも、マールにとりついた影を完全に消滅させた。

 すると、煙の中からマールが姿を現す。

 その姿は今までと違い、編んだ金髪に青い瞳、白と水色と黄色の服に白い雲と、

 神聖な雰囲気を醸し出していた。

 マールを操っていた影が消えた事によって、彼女は正気と姿を取り戻したのだ。

「はぁ、はぁ……」

「お、驚いたな。それが、きみの、本来の、姿か」

「ピピピピー!」

 四人の中で特にボロボロになったティも、元に戻ったマールの姿を真っ直ぐに見据える。

「あ……ありがとうございました。本当に、本当に……!」

 正気に戻ったマールは、影と戦ったアルル達に礼を言う。

 りんごはマールに手を伸ばし、笑顔でこう言った。

「そんな貴女にこの言葉を送りましょう。結果良ければ全て良し!」

「それを言うなら終わり良ければ総て良し、ですよ」

「そうとも言う!」

 アリアはりんごに真顔でそう言った。

「あなたはあの先生達の言う通り、別の存在の影響を受けていましたね。

 本当なら謝らせたいところですが、あなたはまだ調子が悪いのでね、とりあえずは許しますよ」

「ありがとうございます……!」

 アリアとしてはマールに罪を償わせたかったが、まだこの調子では目的を達成できないと判断。

 調子を取り戻してから、改めて罪を償わせる事にするのだった。

「それにしても、なんで時空のバグになっちゃったの?」

 アミティは重要な事をマールに問いただした。

 時空のバグ、と呼ばれてはいたものの、本当に彼女が時空のバグかどうかは分からなかった。

 だから、アミティは真相を知りたかったのだ。

 しかし、マールはアミティの質問に対し、首を横に振っていた。

「いいえ……私は時空のバグではありません」

「え?」

「私は……」

 マールが自分の正体を、アミティ達に話そうとした時だった。

 

「何をしているんだ、マール」

「あっ……!」

 マールの背後から、青年の声が聞こえてきた。

「どこからともなく謎の声が! だ、だ、誰ですか!?」

「……」

 アリアには、この声の正体が何となくだが分かっていた。

 アコール先生とローザッテが言った事を思い出す。

 

『マールさんは確かに世界を混乱させた加害者ですが、被害者でもあるのです』

『楽しさを象徴するマールさんの後ろには、正しさを象徴する何者かがいます』

 

「マールさんを操り、世界を混乱に陥れた、『正しさ』を象徴する、あなたは……!」




次回は真の黒幕が現れます。
不定期、ですが早めの更新を心がけます。
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