ぷよぷよテトリス2 ~ シュルッツの冒険者達 作:アヤ・ノア
良くも悪くも、ウチのキャラの中では個性的な方です。
アリア達はリデルをばたんきゅ~させた後、プリンプ魔導学校に運んだ。
今の彼女からは不気味な気配は漂っていない。
ルゥ先生は「お疲れ様~」と言った後、リデルをプリンプ魔導学校に引き取った。
「それにしても、テトリミノの落下といい、生徒の行方不明と暴走といい、どこかで聞いた事があるような……」
アリア達は以前に起きたテトリス異変の事をりんごから聞いており、僅かながら知っていた。
今回の異変はそれに類似していると推測する。
「考えても仕方ないのだ、今は行動あるのみなのだ」
「そうですね。ところで……アコール先生とルゥ先生は行かないんですか?」
「ごめんなさいね、アリアさん。先生達は学校を守るために忙しいの」
「だから、きみ達でプリンプタウンを調査して~」
アコール先生もルゥ先生も、プリンプ魔導学校から離れる事はできない。
この異変を解決できるのは、アリア達だけなのだ。
「分かりました、アコール先生、ルゥ先生」
「引き続き、行方不明になった生徒がいたら、救出と引き取りを頼みますよ」
アコール先生とルゥ先生に見送られたアリア、レイリー、ジルヴァは、
行方不明の生徒を探していた。
道中ではテトリミノがあちこちに落ちており、レイリーがちらちらと確認している。
「あっちにもこっちにもテトリミノがあるのだ」
「誰がこんなものをばら撒いたんでしょうか」
「今はテトリミノに構うより、生徒を探すんだ」
ジルヴァにとって、テトリミノの落下は生徒失踪の二の次だ。
今は一刻も早く生徒を探すのが、アリア達冒険者の目的なのだ。
「とはいったものの、
肝心の生徒はどこにいるんでしょうか……」
「プリンプタウンホールに行けば分かるか?」
「そうなのだ! あそこにいるレイくんなら、何か知ってるかもしれないのだ!」
ユウちゃんとレイくんは、幽霊ネットワークで人間に友好的な不死者と情報交換をしている。
レイくんはプリンプタウンホールにいるため彼に出会えば有力な情報が得られるかもしれない。
そう思った三人はレイリーを先頭に、プリンプタウンホールに行った。
だが、三人が見たのは衝撃的な光景だった。
「レイくん……僕と……勝負しろ……」
「い、嫌だ……」
ライラックが杖を持って、レイくんと勝負しようとしていた。
金のオーラを纏っており、目も金色になっている。
「ぼく……ユウちゃんと一緒じゃなきゃ……」
「問答無用……」
そう言って、ライラックが杖をレイくんに振り下ろそうとした瞬間。
「グランスネア!」
「……!」
アリアが地の精霊グランを召喚し、ライラックの地面を隆起させて転ばせた。
レイくんは浮遊しながらライラックから逃げる。
ライラックは勝負を邪魔されたと思い込み、鋭い目でアリア達を睨みつけた。
「よくも……邪魔をしたな……」
「理由もなく勝負をするなんて、ライラックさんらしくありませんよ」
アリアが知っているライラックは、自分からぷよ勝負を仕掛ける事はない、
陰気で内気な根暗少年のはずだ。
何かに操られている……そう思ったアリアは、ライラックを止めるべく、杖を構える。
「殲滅……する」
「レイリー、ジルヴァ! ライラックさんを止めますよ!」
「もっちろん、なのだ!」
「倒せば解決する……単純だが、今はこうするしかないだろう」
レイリーとジルヴァも身構えて、暴走するライラックと戦った。
「アイソレーション!」
「うっ……」
「いくぞ!」
レイリーは回転しながら小剣でライラックに斬りかかる。
一瞬だけ怯んだライラックに、ジルヴァが放った矢が突き刺さる。
「ファイアホイール!」
「そんな攻撃は……効かない……」
アリアは炎の精霊フェーゴを召喚して炎に変えて突撃させるが、
ライラックは泡の盾を作って防御した。
水の魔法を得意とするライラックにとって、炎攻撃は簡単に防げるものだった。
「……フォールブラスト」
「うわわわぁー!」
ライラックが杖を振り下ろすと、レイリーの頭上に巨大な滝が出現した。
まともに浴びたレイリーの身体がずぶ濡れになる。
「服とかが濡れて気持ち悪いのだ……」
レイリーは不快な感触に気分が悪くなる。
戦闘への影響は少ないが、女性のレイリーには耐えられない事だ。
「わたしに恥をかかせた責任を取るのだ!」
「そんな事は……どうでもいい……。今は……勝負するのが……楽しい……」
怒ったレイリーはライラックに突っ込んで、小剣でライラックの身体を突き刺す。
ライラックは泡の盾を張ったため、急所を貫かれる事はなかった。
ジルヴァはライラックの発言に耳を傾ける。
「今、勝負するのが楽しいと言わなかったか?」
「リデルさんと同じ事を言いましたね」
暴走しているライラックも暴走していたリデルも、勝負を楽しんでいるような発言をしていた。
異変の原因をある程度推測したが、今、ここでそれを考えるわけにはいかない。
「ですが、まずはライラックさんを止めてからにしましょう!」
「ああ!」
「せい! えい! やぁ!」
「……!!」
レイリーはフェイントを仕掛けて、ライラックを困惑させる。
隙を突いたジルヴァの矢とアリアの炎魔法がライラックに命中し、ダメージを与える。
「ヒール……オー……タ……間違えた」
ライラックは呪文を唱えて傷を癒そうとした。
だが、詠唱を間違えてしまい、回復魔法は発動しなかった。
「逃がすか!」
そこを容赦なく、ジルヴァは矢で攻撃する。
「とどめです! ファイアホイール!!」
「許せない……! 僕の負けだ……」
そして、アリアがとどめに放った炎がライラックを包み込み、彼をばたんきゅ~させた。
ライラックの身体から黒い煙が出て、空に消える。
この勝負は、アリア達の勝利に終わった。
「ヒールウォーター! ……大丈夫ですか? ライラックさん」
アリアはばたんきゅ~しているライラックに回復魔法をかけた後、声をかける。
「……僕は一体何をしていたんだ……。……あ、この光景は、一体……」
ライラックは、ずぶ濡れになっているレイリーを見て驚いていた。
申し訳なく思ったライラックは、レイリーに杖を向けて、
彼女の身体についている水気を消し去った。
「君を濡らして……ごめんなさい……」
「わたしを濡らしたのがきみの意志じゃないと分かったから、許すのだ」
「……ありがとう……」
「ところで、言いそびれた事があるのですが、どうして勝負したいと言い出したのですか?」
「テトリミノが降って来た時に……不気味な女の子が現れて……
気が付いたら……こんなところに……」
「不気味な女の子? それは誰ですか?」
「よく分からない……」
どうやら、暴走していた時の記憶はないようだ。
アリアはライラックが言った「不気味な女の子」の詳細を聞こうとしたが、
ライラックは、はっきりと思い出せなかった。
「そういえば、お前を倒した時、お前の中から黒い煙が出てきたな」
ジルヴァはライラックをばたんきゅ~させた時、彼の身体から黒い煙が抜け出た事を思い出す。
「多分、あの黒い煙がお前をおかしくさせたんだと思う」
「そういう事だったのか……。ごめん……」
「……まぁ、とにかく、勝負は終わりました。早くプリンプ魔導学校に戻りましょう」
「うん……」
アリアはライラックの手を引いて、レイリー、ジルヴァと共にプリンプ魔導学校に戻った。
次回は新たな仲間が加入します。