ぷよぷよテトリス2 ~ シュルッツの冒険者達 作:アヤ・ノア
アルル達も覚悟しているよ、という描写を目指しました。
「ただいま!!」
「お帰り、みんな。その様子だと、闇の迷宮を攻略したようだね」
「うん! ホント、大変だったんだからね!」
「ぐっぐっぐぐぐー!」
アルル達はスクエアスが作った五つの迷宮を全て攻略した。
これで、スクエアスのところに行く事ができる。
最早、アルル達を襲う脅威は、スクエアス以外に何もなかった。
「……うぅ」
だがマールは、何故か頭を抱えていた。
そういえば、とアルルはマールの事を思い出す。
「どうしたの、マール?」
アルルがマールに駆け寄ると、マールは小声でこう言った。
「思い出しましたぁ」
「ホントに!?」
「はい。スクエアスが私の記憶にロックをかけていたようですが、
ガーディアンを倒したおかげでロックが解除されました」
どうやらスクエアスは、真実を知られないために迷宮を作って分散させたようだ。
だが全ての迷宮を攻略した以上、マールの記憶は既に戻っていた。
「言うのが怖い、でも……言わなくてはなりません」
マールは真実を話すのを怖がっていたが、
りんごが彼女のところに駆け寄り、優しく肩に手を置いた。
そして、りんごはマールに笑顔でこう言った。
「真実を明かすのは誰でも怖い事です。でも、もっと怖いのは真実を隠し続ける事。
たとえどんなものでもいいから、真実を明かしてほしい……それが、私の考えです」
りんごはマールから真実を聞く覚悟ができていた。
アルル、アミティ、アリア、ティも、彼女に合わせて頷いている。
「ホントの事を言うのは、簡単そうだけど難しいよ」
「でも、マールとスクエアスの関係が分からないと、スクエアスを止める事ができないよ」
「……私達はとっくに覚悟ができています」
「だから、頼む……話してくれ、きみとスクエアスの正体を」
頼み込む四人の態度は、真剣そのものだった。
その姿を見たマールは、こほん、と一息つき、アルル達に全ての真実を話す事にした。
「私は、ずっと世界を見守っていた。所謂『時空の意志』と呼ばれるもの……。
それがある日、人格を持った結果の存在です」
マールの正体は、時空の意志が自我を持ったもの。
世界を見守る、神のような存在だったのである。
「私は元々一人だった。
でも、日々楽しそうに勝負をする皆さんを見ているうちに、話し相手が欲しくなりました。
そうして、私は自分の力の一部を使って、スクエアスを作り出しました」
「ちょっ、えっ!?」
スクエアスの正体は、マールの分身だった。
それを聞いたりんごは、驚きを隠せなかった。
「えーっと、それって、つまり、つまり」
「はい、スクエアスは……私が作った弟のようなものなのです」
「「「え」」」
「えーーー!!」
「あ……」
スクエアスはマールより年上の外見ながら、実は生まれたばかりの赤子同然だった。
アミティ、アルル、ティ、りんご、アリアは唖然として、放心してしまった。
「スクエアスがいてくれるようになってから、私は嬉しかった。
私は世界の『楽しさ』を象徴するから、
スクエアスには世界の『正しさ』を見守っていてほしいと。
そう、頼みました。スクエアスは喜んでずっと一緒にいてくれました」
「仲良しだったんだね……」
放心が解けたアミティが震えながらマールに呟く。
マールは頷いた後、続きを話す。
「でも、それからしばらくして事件が起こりました。
別々だった二つの世界が、ある時、混ざったんです」
「アルカディアと箱の世界……ですね」
「……驚きました……。世界が混ざる事は、基本的にあり得ない事です。
世界には『壁』があり、混ざるのを防いでいますからね。
私達も、皆さんにはもちろん、誰にも気付かれないように、
二つの世界が正しく分かたれるよう、裏で動いていました」
「そうだったんだ……」
世界が混ざるというバグを修正するため、マールはひっそりと動いていた。
混ざってしまえば不都合が起きるからである。
「結局、世界はきちんと元通りに分かれて、皆さんの記憶からこの事件の事は消えました」
「えっ!」
ちなみに事件の記憶を消したのは、この物語には登場しないが、アデルである。
「でも、皆さんは……『また会いたい』って、そう願ったんです。
自覚がないまま、心の奥底で、記憶はないはずなのに、絆が残っていた」
「心当たりが……」
「正直、ありすぎるな」
「これって……どこかで聞いたような……」
りんごとティは顎に手を当てて、ふむ、と唸る。
アリアは何かを思い出しそうになったが、思い出す事はできなかった。
「私はそれを見て言いました。『素敵ですね』って。
そうしたら、スクエアスは『正しい事じゃない』と混乱して怒って、
私の隙を突いて、力と記憶を奪っていったんです」
スクエアスは正しさを司るが、それはあくまで秩序というだけで善ではない。
また会いたい、という気持ちが、再び世界を混ぜ、混乱してしまう。
それを嫌ったスクエアスは逆に混乱したのだ。
「私がいけないんですぅ……。
スクエアスに世界の『正しさ』を見てってお願いしたのに、私が破ってしまった。だから……」
スクエアスが暴走するきっかけを作ったマールは罪悪感に責め苛まれ、逃げようとした。
だが、マールが逃げようとする直前、ティがマールの腕を掴んだ。
「マール、それ以上自分を責めないでくれ。悪いのはきみじゃない、暴走したスクエアスだ」
「ティ……」
ここで逃げたとしても、問題は何一つ解決しない。
それどころか、スクエアスのせいで、二つの世界が滅茶苦茶になってしまう。
暴走するスクエアスを止める以外に、異変を解決する方法はない。
「……思い出したみたいだね」
その時、エックスがアルル達の前に姿を現した。
「エックス! 何もかも知っていたのか!」
「とんでもない。ただ、マールに何かを感じていたしアレはただの予測だからね。
しかし、想像以上の事件だったみたいだね。まさか、君が時空の意志とは」
「恐縮です……」
マールの正体は、エックスでも分からなかったようだ。
「ねえねえっ、そんなに凄いならさ、スクエアスをどうにかできたりしないの!?」
アミティはマールにスクエアスを止めさせようとするが、マールは首を横に振った。
「……うぅ、申し訳ありません。
私の力は集めた分も含め、大部分スクエアスに取られてしまいました。
まぁ、サポートくらいならできますが……」
時空の意志であるマールの力を奪ったスクエアスは予想以上に強大になってしまったようだ。
つまり、皆で協力しなければ、スクエアスを止められないという事なのだ。
「そっか……気にしないで。ボク達で何とかするから!」
「ぐっぐぐー!」
「ピッピピー!」
「スクエアスはあくまで暴走しているだけ。力ずくならば、解決できますよ?」
アリアは微笑みながら杖を振る。
スクエアスを倒すのに、相当な自信を持っているようだ。
「……誰を何とかする、だと?」
すると、アリアの目の前に青年が現れた。
この異変の張本人、スクエアスである。
「あっ!」
「来ましたね、スクエアス!」
「わーわー! りんごちゃーん! おっまたせー!」
「フッ、言った通り、捕まえてきたぞ」
エコロとサタンもアルル達の前に姿を現す。
どうやら、スクエアスはアルル達が五つの迷宮を攻略している間、
サタンとエコロが連れてきたようだ。
「……捕まえた、だと? 違うな、直々に来てやったんだ。
そろそろ何もかも正しい方へ終わらせる準備ができたからな」
「スクエアス!」
「つまり、世界を滅ぼすつもりですか!」
スクエアスの野望を阻止するべく、アリアは彼に杖を向ける。
対照的に、マールは震えながら彼に話す。
「私に怒っているなら謝ります。皆さんに乱暴をするのはやめてくださいぃ……」
マールは必死でスクエアスを説得しようとした。
自分が作り出した存在なのだから、マールの声はスクエアスに届くはずだった。
「チッ、思い出したのか、マール」
「皆さんのおかげです!」
スクエアスは舌打ちするが、マールは真剣な表情になる。
しばらくすると、スクエアスは宙に浮き、髪が伸び、邪悪なオーラを身に纏い、目は光り輝く。
「しかし、まだ何も分かってないようだなマール!」
「え……」
「お前達、まとめて消してやる。もう二度とこの世界に戻って来られないように!」
「ま、まさかぁ! スクエアス! 駄目です! それだけは……!」
「コスモスレクタングル!!」
そして、スクエアスから闇の波動が放たれ、アルル達を吹き飛ばそうとした。
突然の攻撃だったので、防御魔法は間に合わず、アルル達は攻撃を食らってしまった――
全体的に描写不足だった原作と比べて、細かい描写を目指してみました。
次回は7章編まで一気に突き進んでいきます。
遅くなると思いますが、私を見守ってください。