ぷよぷよテトリス2 ~ シュルッツの冒険者達 作:アヤ・ノア
彼は良くも悪くも子供、でしたね。
「ス、スクエアスが」
「謝った……」
スクエアスが謝罪した事に驚くティとりんご。
一方、アリアとエスは「子供だから素直に謝るのは当然」といった顔をしていた。
「謝って済む問題ではない事は分かっている。しかし、俺が間違っていた。ごめんなさい」
「これは……」
「やったーーー!!」
スクエアスが改心した事を特に喜んでいたのは誰よりも彼を止めたがっていたアミティだった。
「説得成功! ばっちグーでハナマルだよっ!」
「ちょ、いくら嬉しいからって、騒ぎすぎですよ!」
アリアは慌ててアミティに突っ込みを入れた。
彼女の周りにいた精霊も、騒いでいる。
「やれやれ、一件落着だね、カーくん!」
「ぐっぐぐー!」
「え……俺の言葉を疑わないのか」
「当たり前でしょ、あんたは子供なんでしょ?
子供の言う事はみんなホントの事って、艦長が教えてくれたんだから!」
エスはテト号乗組員の子供、ジェイとエルを思い出しながら言う。
この双子は悪戯好きだが、決して嘘はつかないし、決して人を傷つける事はしないからだ。
スクエアスは「ああ、本心だ」と言って頷いた。
「報告する。スクエアスの暴走の終息を確認、世界に平和が戻ったな。あはっ!」
「ピッピピー!」
「ありがとう」
スクエアスの暴走は止まり、この世界も元通りになろうとしている。
ティとオーは喜び、アリアもくすっと微笑む。
「な~んか期待してた展開と違うな~」
一方、それを良しとしなかった者がいた。
トラブルメーカーで異次元の旅人、エコロである。
「何を期待してたんですか」
「どっかーんと爆発オチとか?」
「ふっる」
「辛辣だなあ!」
「あの時の正論は何だったんですか……」
せっかくスクエアスに何か言ったのに、とアリアは溜息をつく。
これではますます、幸せが逃げそうだ。
「こんなにあっさり……」
「いやー、正直スクエアスのおかげで、また、みんなに会えたってところとか、
マールと友達になれたってところもあるから、あたしは最初からそんなに怒ってなかったしぃ」
「そ、そうか。それでは、俺は、これで失礼する。皆に迷惑がかからないところへ……」
「駄目だよ! せっかく友達になったのに!」
スクエアスは罪の意識に苛まれて、その場から去ろうとした。
マールと同じ事をしようとしたアミティは、慌ててスクエアスの腕を掴む。
「と、友達?」
「そうだよー!」
「そんなものになった覚えは……」
「そうなの? じゃあ、今からなろうよ!」
アミティは改心したスクエアスと友好関係を築こうとした。
はっきり言って幼稚な考えだったが、それはスクエアスも変わらなかったため、
アリアはあえて言及しなかった。
「楽しく勝負すれば、それでみんな、友達になれるんだから!」
「そんな簡単な……」
「簡単なんだよ。やろう、スクエアス!」
ティとスクエアスの勝負はティの勝利に終わった。
「楽しかったな!」
「ねっ、スクエアス!」
「そうですね」
満面の笑みを浮かべるアミティとティに、少しだけ微笑んでいるアリア。
スクエアスは理解できず、困惑しているが、同時に友好関係も築こうと思っていた。
「あ、ああ……」
「どうしましたかぁ?」
「顔が熱い」
よく見ると、スクエアスの顔は赤面していた。
あの勝負のおかげで、スクエアスにも楽しい気持ちが目覚めたのだろう。
「あはっ、照れちゃった?」
「照れる……これが……」
「すっかり落ち着いたね、スクエアス。ふふふ、いじり甲斐のある人柄の予感がします!」
「もう、りんごさんったら……」
アリアには最早溜息をつく気力がなかった。
「あ、あのぉ……」
「あはは、マール、大丈夫だ。
みんながマールの事を思っていたように、スクエアスも思われているさ」
「ピピピ♪」
「……そうですよね」
ようやく、スクエアスは勝負の楽しさを理解し、正しい事に縛られなくなった。
もう彼が世界を破壊するような事はしないだろう。
マールは創造主として、姉として、嬉しかった。
「嬉しいです! これで、全て良い方向に……」
これで全てが丸く収まろうとした時だった。
『そうはさせない……』
「……う」
スクエアスの身体を、黒いオーラが覆っていた。
彼に宿っていた強大な力が、スクエアスの降伏を拒んでいるのだ。
「……はっ……はっ……」
「スクエアス! どうしたんですかぁ」
「身体が……上手く、動かない……。みんな、俺から離れてくれ」
スクエアスの身体が黒いオーラに包まれる。
黒いオーラは、彼の身体を乗っ取ろうとしていた。
『世界を壊せ……世界を壊せ……』
「う……う……うわあああああ!!」
スクエアスが叫ぶと、スクエアスは闇の力に身体を乗っ取られてしまった。
「こ、これってどういう状況!?」
「スクエアス、突然どうしちゃったの!?」
「ぐぐぐぐっぐぐ!?」
「力を溜め込み過ぎたんだわ。
スクエアスは皆さんを倒すために、私を利用して膨大な力を用意していたんです。
でも、それを使わないままでいたから、
力が行き場を失って、スクエアスを乗っ取っちゃったんです」
皆がパニック状態になる中、マールは慌てながらも事を伝える。
スクエアスが溜めた力が自我を持ち、彼を飲み込んでしまったという。
「このままだとどうなっちゃうの!?」
「スクエアスを乗っ取った力は恐らく爆発します!」
「んにゃーーー!!!」
「落ち着け、みんな」
「ビビビビビ!」
「そうですよ!」
りんごもパニック状態になる中、ティとアリアは冷静だった。
「マール、何か方法はないのか」
「スクエアスを乗っ取った力を、戦って解放できれば……」
「そういう事なら話は早い! アミティ、りんご、アリア!」
アルルは4Aのリーダーとして、アミティ、りんご、アリアを先導する。
最後はこの四人で決着をつけるようだ。
「え? つまり戦えばいいって事?」
「なーるほどー、です!」
「予想通りでしたね……」
アリアはとっくに杖を構えている。
この場から引くつもりは、全くないようだ。
「皆さん! ダメですぅ!
スクエアスは今、桁違いの力に飲み込まれて、とんでもなく強くなっています」
『殺してやる……!』
スクエアスの口から、彼の声ではない声が聞こえてくる。
これは、闇の力が暴走している証なのだろう。
「それなら一層、早く終わらせないとな」
「闇の力なんて、エスが消し去ってやるんだから!」
「ビビッピ!」
「こいつと協力するのは癪だけど……」
「ボコボコにしてやる! ……ですわ!」
ティが円月輪、エスが日傘を構える。
ラフィーナとクルークも、やる気を出していた。
「ええっ……」
闇に乗っ取られたスクエアスを止めようとする皆にマールは驚きを隠せなかった。
今のスクエアスはマールでも制御できないからだ。
「どうして、スクエアスに立ち向かうんですか! なんで……逃げたりしないんですか!」
「ここで逃げたら、全部が無駄になるでしょ?」
「なんてったって、友達が困ってるんだもんね!」
「あっ……」
「私達は何があっても決して諦めません。それがたとえ、強大な敵であっても!」
「だから、ボク達は闇を消して、スクエアスを助けるよ!!」
アルル、アミティ、りんご、アリアの、闇の力を消そうとする決意は固かった。
マールはそれに負けて「分かりました」と言い、彼女達が戦うのを見守る事にした。
「報告する! これよりスクエアスを救うために……最終決戦を行う!」
「みんな、いっくよー!!」
「ぐっぐぐー!!」
最終決戦が、始まろうとしていた。
こういう展開にしたのは、子供の頃に見た某アニメのせいです。
次回がラストバトルです。
最後まで見守っていてください。