ぷよぷよテトリス2 ~ シュルッツの冒険者達   作:アヤ・ノア

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さかな王子&オトモ戦です。
オトモは脇役としては有能でしたが、最近は出てませんよね。
だから、それなりに活躍させました。


4 ~ 王子と従者

「調理されたものを食べると、元気になりますね」

 アリア、レイリー、ジルヴァ、ラグナスは、魔物との戦いで疲弊したため、

 今日は未完の塔の休憩室で食事を取っていた。

 今、四人が食べているのは、ジルヴァが作ったポトフである。

 柔らかく煮込んだ野菜がとても美味しい。

 とろとろに煮込まれているものの、決して煮崩れしていない、絶妙なバランス。

「うん、美味しいです!」

「具がたくさん入っていて身体があったまるのだ~」

「英気を養うには最高の料理だな、だが男のキミがこれを作れるとはな」

 アリアとレイリーは素直な感想を漏らす。

 一方、ラグナスは意外そうな顔をしていた。

「ふん、俺はシュルッツ魔導学校にいた時は家庭科の成績は優秀だったんだよ」

「すまなかったな」

 ジルヴァはむっとした顔で、ラグナスを見る。

 ラグナスはジルヴァに謝ると再びポトフを食べた。

「でも、キミ達はこうやって、プリンプタウンで起こる異変を解決してるんだな」

「ええ、ですが私達だけでは心許なくて……。

 勇者のあなたに来ていただいて、ありがとうございました」

「いいんだ、困った時はお互い様さ」

 わいわいと会話する四人。

 だが、しばらくするとアリアは険しい表情になる。

「……ですが、あなたを仲間にしたからといって、状況が良くなるわけではありません」

「ああ、世界の脅威はまだ払えていない」

 四人はあくまで休息を取っただけだ。

 まだこの世界は、テトリス異変の影響を受けて混乱している。

「準備をしたら、生徒を助けに行きましょう」

「生徒?」

「プリンプ魔導学校の生徒ですよ」

 アリアはラグナスにこれまでの事情を話した。

 テトリミノが降って来た事、各地で魔物が凶暴化した事、

 そしてプリンプ魔導学校の生徒が行方不明になった事……。

 彼女の話を聞いたラグナスはうむ、と頷いた。

「なるほど、勇者として放ってはおけないな」

 ラグナスは困っている人を助けるのが信条だ。

 異変が起きたため、迷わず彼は動いた。

「勇者ラグナス・ビシャシ。キミ達の仲間になろう」

「ありがとうなのだ、ラグナス!」

 ラグナスという心強い仲間を手に入れたアリア、レイリー、ジルヴァ。

 三人の冒険は、これから始まるのだ。

 

「それじゃ、生徒を探すのだー!」

「おー」

 四人は未完の塔を後にして、引き続き、行方不明の生徒を探しに行こうとした時だった。

 

「コレ、ソコノモノ。クルシュウナイ、チコウヨレ」

「苦しゅう……なんだ?」

 桃色の矢鱈と偉そうな魚が、殿様言葉を話した。

 ラグナスは訳が分からず、?マークを浮かべる。

「あぁ、この子はさかな王子といって、ちょっと変わった言葉を使うんです。

 今のは、近くに来てほしい、という意味です」

「こ、こうか……?」

 ラグナスがゆっくりとさかな王子に近付く。

「サヨウ。ヨクゾ、ヨノタノミヲキイタ。ホウビトシテ、オヌシヲヨノシモベニシテヤロウ」

「しもべだって? ふざけるな!」

 ラグナスはしもべ扱いされて怒るが、さかな王子は動じず話を続ける。

「タワケテナドオラヌ。ヨハオウジデアル。ヒトリヤフタリ、シモベヲツレテモヨカロウ」

「何だと!?」

「まぁまぁ落ち着いて、ラグナスさん……」

 アリアは何とかラグナスを落ち着かせようとする。

 その時、どこかから足音がこちらに向かって近づいてきた。

 

王子ーーーー!!

「ム! マサカ、コノアシオトトコエハ……!」

 さかな王子が振り向くと、大急ぎで走って来たのは彼の教育係であるオトモだった。

 オトモはさかな王子を見つけるとすぐに捕まえた。

「ナントイウフカク! ヨガトラエラレルトハ!」

「王子、今度こそ城に戻ってください」

「ハナセ! ハナセェェェェ! ソコノオヌシ!」

 さかな王子は大声でラグナスを呼んだ。

「お、俺か!?」

「ヨヲオトモカラカイホウセヨ!」

「オトモ、ちょっと待ってくれ。そいつを放してくれないか?」

「はっ! うっかりしてしまいました」

 オトモはさかな王子を掴んでいたが、しばらくして、彼を解放した。

 さかな王子はしばらくの間、大人しくしていた。

 

「王子がご迷惑をかけまして申し訳ありません」

 オトモはさかな王子が迷惑をかけた事をさかな王子の代わりに謝罪する。

 落ち着きを取り戻した後、ジルヴァはオトモに用件を聞いた。

「バタバタしてすまないが、プリンプ魔導学校の生徒はどこに行ったんだ?」

「生徒ですか? そういえば、眼鏡をかけた男の子が

 『楽しい勝負をしたい』と呟きながらアルカ遺跡に向かっていきましたよ」

「そうか、そいつも勝負病にかかっているんだな」

 眼鏡をかけた男の子といえば、クルークだ。

 彼も今まで行方不明になった生徒と同じく、勝負病(ジルヴァ命名)にかかっているようだ。

「情報提供、ありがとうございました」

「どういたしまして」

「コンカイハミノガシテヤロウ。

 ジャガ、ツギニデアッタトキハ、オヌシガシモベニナルトキジャゾ!」

 四人はさかな王子とオトモと別れようとした。

 すると突然、さかな王子とオトモを光の柱が包み込んだ。

「ウ……コノヒカリハ……」

「王子、いけない!」

 さかな王子とオトモは光の柱に抵抗しようとする。

 だが、光はますます強まっていき、やがて二人を完全に光で包み込んだ。

 光が消えると、さかな王子とオトモは不穏なオーラを身に纏っていた。

「ナンダカ、タノシイショウブガシタクナッタゾ」

「私も楽しい勝負がしたいです……」

 光を浴びたさかな王子とオトモは、勝負病にかかってしまった。

 獣のような目を四人に向ける。

「まさか、あなた達も勝負病に!?」

「くそっ、せっかく探そうと思ったのに!」

 アリアとジルヴァは武器を構える。

「なんでこうなるのだ!?」

「異変にどうもこうもないだろう! とりあえず、二人を正気に戻すぞ!」

 レイリーとラグナスも慌てて身構えた。

 

「アイソレーション!」

「はっ!」

 レイリーは舞いながらオトモを小剣で斬りつける。

 オトモは真剣白刃取りでレイリーの攻撃を防ぐが、僅かに左腕だけを切り裂いた。

「さかな王子……すまないが、覚悟!」

「王子、危ない!」

 ラグナスはさかな王子に剣を振り下ろすが、オトモがさかな王子を庇って攻撃を受ける。

 アリアとジルヴァは有利な間合いを取っていた。

「バッシュ!」

「うわぁっ!」

 オトモはレイリーに勢いよく剣を振り下ろす。

 レイリーはかわそうとしたが転んでしまい、隙を突かれて大ダメージを受けた。

 ぷよ勝負はできないオトモだが、剣の腕前はかなりのものだ。

「ライトスラッシュ!」

「王子、危ない!」

 ラグナスは再びさかな王子に剣を振り下ろすが、オトモは再びさかな王子を庇った。

「くそっ、こいつのせいでさかな王子に攻撃が当てられない!」

「なら、オトモから先にやっつけるのだ!」

「うっ!」

 レイリーは立ち上がった後、オトモに小剣で斬りかかる。

「フェーゴボム!」

 アリアは炎の精霊フェーゴを召喚し、爆発を起こしてオトモを吹き飛ばす。

 吹き飛んだオトモに対し、ジルヴァは狙いを定めて矢を射る。

 さらに、吹き飛んでいたためオトモの攻撃を食らう事もなかった。

「クリケット!」

「ファイアーシュート!」

「ぐあぁっ!」

 レイリーはオトモの防御の弱い部分を小剣で刺しアリアはフェーゴを召喚して体当たりさせる。

「よし、いくぞ! ライトスラッシュ!」

「何のこれしき……!」

 その隙にラグナスはオトモに近付き、光を纏った剣を振るが、オトモはギリギリでかわす。

 だが、オトモも手元が滑ってしまい、武器の剣を落としてしまった。

 ジルヴァは今のうちにレイリーに回復魔法を唱え、さかな王子を矢で牽制する。

「コシャクナ! ドルフィンスマッシュ!」

「おっと、ホーリーアロー!」

「ブレイモノ!」

 さかな王子はイルカのような動きをしながらジルヴァに体当たりしてきた。

 攻撃をかわしたジルヴァは、距離を取る。

「勝手に仕掛ける方がよっぽど無礼だろうが」

「王子には傷一つつけさせませんよ」

「メガレイブ!」

 ラグナスは手に雷を発生させオトモに投げつける。

「エアカッター!」

 アリアは風の精霊エアを召喚して風の刃でオトモを切り刻む。

 すると、オトモは目と剣をきらりと光らせ、アリアに向けて剣を振り下ろした。

「オトモの本気、いきます!」

「危ないのだっ! ぐあぁぁぁぁぁっ!」

 その時、レイリーがアリアとオトモの間に入って代わりに斬られる。

 本気というだけあって、大ダメージを受け、レイリーは激しい痛みに苦しむ。

「ぐ……っ」

「大丈夫か、レイリー! ド・オヴァ・ラ・ホル・ド・テネブ!」

 ジルヴァの回復魔法でレイリーの傷は癒されたが、

 痛みまでは治まらないようでレイリーの顔はまだ苦しそうだ。

「チッ……」

 ジルヴァは舌打ちして、さかな王子とオトモと距離を取る。

 その様子を見たラグナスは頷いて、一刻も早く戦いを終わらせようと思った。

 オトモはさかな王子より強いが、ここで諦めるわけにはいかなかった。

「これ以上、キミ達を苦しめるわけにはいかない!」

「うっ!?」

「ナンジャ、コノヒカリハ……!」

 ラグナスの剣が光り輝き、さかな王子とオトモが眩しさに目が眩む。

 その隙にラグナスはオトモに突っ込んでいき、必殺技を発動しようとした。

「ファイナルクロス!!」

うわぁぁぁぁぁぁぁ!!

 ラグナスが光の剣で十字にオトモを切り裂く。

 勇者の力によって強化された斬撃は、オトモにとどめを刺すほどの威力を誇った。

 そして、オトモがばたんきゅ~した後、残ったさかな王子は三人に反撃するが、

 四人の猛攻の前には耐えられず、こちらもばたんきゅ~した。

 

「ム、ムネンジャ……」

「王子……王子……」

「今のうちにアルカ遺跡に行って、クルークさんを助けに行きましょう」

「ああ、勝負病を治さなければ!」

 さかな王子とオトモがばたんきゅ~している間に、

 アリア、レイリー、ジルヴァ、ラグナスはラクティ街道に向かうのだった。




回復役は家庭的でなければという思いから、ジルヴァを料理上手にしました。
次回は以前にスルーされたあの子が登場します。
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