ぷよぷよテトリス2 ~ シュルッツの冒険者達   作:アヤ・ノア

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五月蠅すぎる事で有名なあの鳥が登場します。


5 ~ とっても音痴な鳥娘

 アリア、レイリー、ジルヴァ、ラグナスの四人は、

 行方不明になった生徒を助けるため、ラクティ街道に向かった。

 さかな王子とオトモはばたんきゅ~しているため、今なら生徒を助けられる。

 速やかに、誰にも気付かれずに行動する。

 まるで、魔法の指輪を破棄しに行く小人とその仲間達のようだった。

 

「ここを真っ直ぐ通って行けば、ミル海岸に着くはずです」

 アリアと風の精霊エアの案内で、四人はラクティ街道を迷わずに進む。

 舗装されているため歩きにくかったが、魔物とはほとんど出会わなかった。

「アリア、キミのおかげで生徒探しは上手くいきそうだ」

「どういたしまして、ラグナスさん。……あっ!」

 アリアがラグナスに笑みを浮かべると、すぐに笑みが消えて驚いた。

「何があったのだ?」

「歌声が聞こえてきます! 耳を塞いで!」

 アリアは三人に耳を塞ぐ事を指示した。

 三人は困惑しながらも耳を塞いだが、自分の方までは手が回らなかった。

「あぁ、頭が、痛い……!」

 結果、アリアは歌声を聞いてしまい、集中力が切れてしまう。

 その歌を歌っていたのは……。

 

「は~ら~ほ~ろ~ひ~れ~は~れ~♪」

「ぷよっ!」

「ぷよ!」

「ぷよぷよ~!」

 ナーエの森でアリア達と出会ったハーピーだった。

 彼女を冒険者の魔の手から守るように、三体の凶暴化したぷよが立ち塞がっている。

「わたしを忘れないで~♪ 森であなた達と会ったでしょう~?」

「あ、そういえば……」

 アリア達は生徒を助けるためにナーエの森に入った時、ハーピーと遭遇した事を思い出した。

 彼女からは一旦逃げたのだが、今、再会してしまったというわけだ。

「これ以上歌わないでください、頭が痛いです」

「でも~♪ 歌うのが生きがいですから~♪ やめるわけにはいきません~♪」

「あぁぁぁ、頭が痛い……!」

 ハーピーのあまりの音痴さに、アリアは限界を迎えようとしていた。

 彼女の苦しんでいる姿を見たジルヴァは、弓に矢を番えてハーピーに放った。

「きゃっ!」

 翼に矢が命中し、ハーピーは叫ぶ。

 ジルヴァは鋭い目で彼女を睨みつけた。

「……俺の仲間を苦しめる奴は容赦しねぇぞ」

「ジ、ジルヴァ? あ、痛みが引いてきました」

「今のうちに、ハーピーとぷよを倒すぞ!」

「ああ!」

 ラグナスは剣、レイリーは小剣を抜いて、凶暴化したぷよとハーピーに勝負を挑んだ。

 

「うわっ!」

「ひゃっ!」

 ラグナスとレイリーは凶暴化したぷよの体当たりをかわす。

「何を歌おうかしら~♪」

「うぅぅっ!」

 ハーピーは音痴な歌声でアリアをさらに苦しめる。

「アリアから離れろ! ライトスラッシュ!」

「アイソレーション!」

 ラグナスとレイリーはぷよに突っ込み斬りつける。

「エ……エアカッター!」

「ホーリーアローレイン!」

「ぷよよよ~」

 アリアは苦しみながらも風の精霊エアを召喚し、風の刃を発生させて何とかぷよを倒す。

 ジルヴァは光の矢を広範囲に放ち、残ったぷよを撃退してハーピーだけにした。

「はらら~♪ ぷよぷよさんがばたんきゅ~♪ だったらこっちもばたんきゅ~させます~♪」

 ハーピーは歌声でアリアを攻撃していく。

 アリアの肌が青くなっていった。

「頭が……割れそう……」

 このままではアリアはばたんきゅ~してしまう。

 早めに決着を付けなければならない。

「ホーリーアロー!」

「やめてください~♪」

 ラグナスは光の矢を放ってハーピーを撃つ。

 ハーピーは歌って反撃するが、ラグナスは何とか抵抗する。

「いい加減にするのだぁ! バタフライ!!」

「やめてください~♪ ハロイトヘホニハ~……」

 レイリーは舞うようにハーピーを切り刻む。

 彼女の怒りは小剣の威力を増幅させ、ハーピーを一発で倒す事ができた。

 大ダメージだったが、ギリギリ殺さず、何とかばたんきゅ~に留めた。

 

「今度はこっちの頭がガンガンします~♪」

「私の頭をガンガンさせたお返しです」

 アリアはハーピーに杖を向ける。

 あまりに音痴だったので、アリアはハーピーを許さないのだ。

「ちょっと待て、アリア!

 確かにハーピーは音痴な歌を歌ってたけど、悪気があってやったわけじゃない!」

 ハーピーにとどめを刺そうとしたアリアを、ラグナスが慌てて止める。

「そうですか?」

「それに……さっきのハーピーは、何かに操られていたらしいんだ」

「どうしてそれが分かるんですか?」

「とても微量だったが、戦ってた時のハーピーから不穏なオーラを感じ取ったからだ」

「!!」

 不穏なオーラと聞いて、アリアは驚き、確信する。

 これは、勝負病にかかった者のオーラだと。

「もしかして、ハーピーさんは勝負病にかかったんですか!?」

「多分な」

「うぅ~……」

 アリアとラグナスがそんな話をしていると、ばたんきゅ~していたハーピーが目を覚ました。

 ハーピーは空に浮かんだあと、きょろきょろと当たりを見渡し、驚く。

「きゃ~♪ 何という事でしょう~♪ あなた達がここにいるなんて~♪」

「気が付いたか、ハーピー。何があったんだ?」

「女の子達に森で無視されて~♪ とぼとぼ飛んでいたら~♪ 光の柱が降ってきました~♪

 そこから先は覚えてません~♪」

 ハーピーはこれまでの事情を話した。

 どうやらハーピーも、さかな王子やオトモと同じ影響を受けていたようだ。

「そうか……」

「はらら~♪ なんだか気分が良くなりました~♪ またリサイタルを開きたいです~♪」

「やめてください、命に関わります」

 アリアは顔を青くしながら、ハーピーに言った。

 あんな歌を何度も聞けば、文字通りの事になる。

「はらら~♪ 分かりました~♪ それと~♪」

「なんだ?」

「ここから東に行けば、ミル海岸です~♪ それでは、さようなら~♪」

 ハーピーは歌いながら、その場を立ち去った。

 

「はぁ、まったく、五月蠅かったな……。アリアの頭がガンガンしたのも無理はない」

 ジルヴァがハーピーについて愚痴を吐く。

「大丈夫だったか、アリア?」

「は、はい、何とか……」

 ジルヴァは頭痛に苦しむアリアを起き上がらせる。

 短気なところはあるが、優しいところもあるのだ。

「み、皆さん、先に行ってください……。私、ついていきますから……」

「ああ」

 アリアを信じているレイリーとジルヴァは、ミル海岸に向かっていった。

 ラグナスはアリアをちらっと見た後、頷いて、二人の後を追っていった。

 

 数分後……。

 

「ふぅ、やっと頭痛が治まりました……」

 ようやくアリアの頭痛が引き、ミル海岸に向かう三人の後を追った。

 しかし、その途中で、アリアは少女の声を聞いた。

 

―せっかく楽しい勝負ができると思ったのに、あなた達の邪魔が入るなんて……。

 

「だ、誰ですか!」

 アリアは誰もいない場所に向かって叫ぶ。

 だが、声は反応しない。

 

―でも、あなた達のおかげで、私の計画は順調に進んでますから、結果オーライです。

 

「計画?」

 

―それを話すのは、また後でにしましょう。今は、楽しく、正しく、勝負してください。

 

 それを最後に、少女の声はぴたりとやんだ。

 アリアの険しい表情が、さらに険しくなる。

 

「何を企んでいるのかは分かりません。でも、あなたの計画を実現させるわけにはいきません。

 必ず、私達が阻止します……!」

 アリアは杖を持ちながら、レイリー達を追って、ミル海岸に向かうのだった。




ぷよもきっちり伏線回収しないと見限られますよ?
次回はアルカ遺跡に突入します。
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