ぷよぷよテトリス2 ~ シュルッツの冒険者達 作:アヤ・ノア
公式で日に日に彼の扱いが悪くなっている事に私は不満です。
あのキャラは後に被害者じゃなくなったのに……。
誤解を防ぐために言っておくと、私は彼を好きでも嫌いでもありません。
アルカ遺跡で、スケルトンを使役しているクルークとの戦いが始まった。
「たぁっ!」
「ネブラ」
ラグナスが飛び上がり、スケルトンウォリアーを叩き切ろうとするが、
クルークの目晦まし魔法で撹乱される。
レイリーは素早くクルークに近付き、ジルヴァは弓から光の矢、アリアは杖から光の弾を放つ。
「フォッサ」
「あつっ!」
クルークは素早く呪文を詠唱し、黒い波動をラグナスにぶつける。
ラグナスはギリギリで抵抗し、ダメージを抑えた。
「うあぁっ!」
「きゃぁっ!」
スケルトンウォリアーはラグナスを斬り、スケルトンアーチャーはアリアに矢を放つ。
「ド・オヴァ・デ・シー!」
「ルフィーネヒール!」
ジルヴァはセリリから貰った魔晶石を使い、魔力消費を軽減したヒーリングでラグナスを回復。
アリアは光の精霊ルフィーネを召喚し、同じく魔晶石で魔力消費を軽減し回復魔法を使う。
「ムーンウォーク!」
レイリーは前に歩いたと見せかけて後ろに下がり、
フェイントをかけてスケルトンウォリアーを斬る。
スケルトンウォリアーはレイリーのスピードに反応できずダメージを受け、バラバラになった。
「たぁっ!」
「テクトニック」
ラグナスはスケルトンアーチャーに剣を振り下ろそうとするが、
テクトニックで行動を制限される。
「我に力を、ス・ステラ・イネランス」
「何するのだ~!」
さらに、クルークは増幅呪文を唱え、星の弾をレイリーに乱射して攻撃した。
スケルトンアーチャーも容赦なく彼女を矢で射る。
何とかジルヴァに回復してもらいながらレイリーは小剣で舞うように斬るが、
骨の身体なので剣が届かない。
「今度こそ……ホーリーアロー!」
「ミスティウェーブ!」
ラグナスは体勢を整え直し、手から光の矢を放つ。
アリアが水の精霊ミスティを召喚し、スケルトンアーチャーを流しばたんきゅ~させた。
「……キミ達は、楽しい勝負をしないのか……?」
「あなたが魔物を使役している時点で、楽しいとは言えませんよ」
アリアは毅然とした表情でクルークに杖を向ける。
彼の瞳は淀んでおり、暗い表情をしている。
どちらかというと陰側の人間だが(失礼)、あやしくないのにこんなに暗い彼は見た事がない。
そんな勝負をしたい感情に囚われているクルークを解放するために、四人は武器を構え直した。
「ならば、無理矢理にでも楽しい勝負をさせる! 我に力を、プ・プロミネンス!」
「うあああああああああああ!!」
クルークは増幅呪文を唱え、強力な炎をラグナス目掛けて放つ。
炎はラグナスの身体を包み、中から焼いていく。
「ラグナスさん!!」
「く……っ、油断してしまったようだ……。
奴は魔力が尽きるまで、諦める事はないだろう。今は、勝負病にかかっているらしいからな」
「魔力が尽きる……そうか!」
「何を思いついたのだ?」
「水の精霊よ……」
ラグナスの言葉を聞いたアリアは、呪文を詠唱し、水の精霊ミスティに呼びかける。
彼女が何をしているのか、レイリーとジルヴァ、そしてラグナスは知らなかった。
もちろん、クルークは訳が分からないまま、呪文を詠唱し、アリア達にとどめを刺そうとした。
「ウィス・アトラヘン……」
「マナリーク!」
アリアが魔法名を言うと水の精霊ミスティが現れ、クルークの身体にそっと触れる。
すると、クルークの顔が青くなっていった。
「な、何をした……」
「水の精霊ミスティに働きかけて、あなたの魔力を漏れ出させました。
魔力がなければ、あなたはただの男の子と変わりませんからね」
アリアはクルークの魔力を切らすために、水の精霊ミスティを呼んで魔力漏出させたのだ。
その狙いは的中し、アリアは見事クルークを戦闘で倒さずに無力化に成功した。
「不服だけど、ボクの負け、だ……」
クルークが降参すると同時に、残っていたスケルトンアーチャーは崩れる。
戦闘は、終わった。
「どうもありがとうございました」
「これで生徒はみんな、助かったね~」
『感謝するニャ』
「どういたしまして」
アリア、レイリー、ジルヴァ、ラグナスは、クルークをアコール先生に引き渡した。
アコール先生とルゥ先生は四人にお礼を言い、四人はそれにお辞儀で返す。
「貴方達はどんな困難にも屈せず、乗り越えてきましたね。先生は嬉しいですよ」
「今のプリンプタウンには魔物もいたよね~? よく無事に帰ってこられたね~」
「わたし達は伊達に冒険者をやってないのだ」
涼しい顔でレイリーが言う。
そこそこ苦戦したのだが、仲間のおかげでここまで戻ってこられたのだ。
「うん、ならこれからも安心だね~。でも、もう生徒はみんな助かったんだよ~。
きみ達はもう何もしなくていいからゆっくり休んで~」
「いいえ、それはできません」
アリアはルゥ先生の頼みを穏やかに断った。
今は、休息どころではないのだから。
「プリンプタウンが本当に平和になったのか、確かめたいですから」
「そうだね~、それがいいのかもね~。それじゃ、行ってらっしゃ~い」
「行ってきます」
「行ってらっしゃい」
ルゥ先生は、アコール先生と共に、
プリンプ魔導学校を後にするアリア、レイリー、ジルヴァ、ラグナスを見送った。
そんな中、アコール先生は顎に手を当てていた。
「アコール先生、きみは何か知ってるの~?」
ルゥ先生が、アコール先生に声をかける。
彼女の表情はいつもの笑顔だが、ルゥ先生は微妙な表情の変化に気づいていた。
アコール先生はこの異変の詳細を知っている……ルゥ先生はそう確信して声をかけたのだ。
「ここで全て話したら、面白くないでしょう?
それに、誰かが感付く可能性も、ないとは限りませんからね」
『そいつが口封じをするなんて御免だニャ』
「そこまで考えていたんだね~」
常に余裕綽々で厄介事は大きくしたがるアコール先生だが、
その目は常に先の先を見通している。
もし詳細が元凶に知られれば、間違いなく元凶は消しにくるだろう。
だからあえて、アコール先生は何も話さなかった。
アコール先生はまさしく、賢人に相応しい知を有しているのだ。
「私達にできる事は、あの子達を信じて見守り、そして生徒達と、この町を守る事です」
「うん。アリア、レイリー、ジルヴァ、そしてラグナス……」
『お前達がこの世界を救う事を信じているニャ……』
「美味しいところだけは貰っていくね~、ポポイ」
その頃、アリア達は、魔物を避けながらプリンプタウン各地を回っていた。
あちこちにテトリミノが落ちている。
「生徒は全員助かったのに……」
「まだ終わっていないだと……」
プリンプ魔導学校の生徒を全員救出したのに、
テトリミノはまだ残っているし、各地には敵対的な魔物がたくさんいる。
「どうして、魔物は姿を消さないんでしょう。どうして、世界は元通りにならないんでしょう」
生徒は助けたはずなのに、異変は終わっていない。
それに疑問を抱くアリア。
「でも、本当に生徒が行方不明になって、暴走しているだけだったのだ?」
「あの『不気味な女の子』が関わっていたようだが、そもそもあいつは一体誰なんだ?」
「というか、異変の元凶は誰なんだ?」
不気味な女の子の正体は、一体何者だろうか。
レイリー、ジルヴァ、ラグナスが原因を考えようとした、その時だった。
「大変だよ!!」
赤ぷよ帽を被った少女、アミティが慌てた様子でこちらにやってきた。
「どうしましたか、アミティ」
「魔導学校のみんながおかしくなっちゃったの!!」
「ええっ!?」
助けたはずの生徒が、また、おかしくなっている。
アリアは驚きを隠せなかった。
「そんな、助けたはずなのに……。アミティさん、どうしてですか?」
「話は後でするよ! まずはあたしについてきて!」
「は、はい……」
アリア達はアミティに連れられて、再びプリンプ魔導学校に向かうのだった。
ここから物語は3章に進んでいきます。
アリア達はプリンプ魔導学校に行きますよ。