皇帝の見えない折れた杖   作:冬眠復帰

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どんな感想も有り難く読んでます。通知があるとそれだけで喜んじゃう単純バカなので。


後始末の後始末

「ひとつ摘んではバカのせい。ふたつ摘んでもバカのせい」

 

「……先輩、いくらなんでもその替え歌は勘弁してください」

 

 人がせっかく面白くもない草むしりを盛り上げてるっていうのにエアグルーヴは気に入らなかったみたい。やる気も無くなってきたところだしそろそろ終わりにならないかと言えばまだまだなんて言われてしまった。

 

「はい休憩よ、休憩ー」

 

「勝手に決めてもらっては困るのですが」

 

「私も生徒会なのよ。これぐらいいいでしょ」

 

「都合のいい時だけ……」

 

 そろそろ夏の本格化も見えてくる時期だ。こんな時にひたすら草むしりなんてやってたら倒れる子もでる。そう言えばエアグルーヴも渋々納得して正式に休憩時間になった。あー疲れた。やってらんない。全員ある程度は笑いながらとはいえ、きついものはきついし、嫌なものは嫌だ。木陰に入っても汗は中々止まってくれずに、ほんと嫌になる。

 

「先輩、どうぞ」

 

 そんなことを思っていたらエアグルーヴが冷えた飲み物を持ってきてくれた。

 

「ありがと、他の連中にも渡して上げなさいよ?」

 

「そちらは今ブライアンが渡しています」

 

「あっそ、じゃあいいけど」

 

 暑い中走るわけでもなくひたすら肉体労働をさせられて疲れた体に冷たさが染み渡る。あー、生き返る。美味しいのは良いんだけどまだ続く労働にため息を吐いていると、未だに隣にいるエアグルーヴから話しかけられる。

 

「会長なのですが、念の為にと二週間ほどの入院になりました。週末にお見舞いに行く予定なのですが、先輩はどうされますか?」

 

 聞くまでもなく答えなんて分かってるでしょうに。そのまま伝えれば知っていたと、この子最近あいつに似てきてない? 私の扱い雑になってきてない?

 

「同行してもらえるとは思っていませんが、お誘いしないのもあれでしたので。でしたら、お見舞いの品を一緒に考えて貰えませんか? あまり長くない入院ですので大げさにするのも迷惑かもしれないので」

 

 人のこと、あいつ関係で都合がいいなにかだと思ってない? あいつの見舞いなんて考えるなんて思考の無駄だけど、どうせなら嫌がらせでもしましょうかね。それで喜ばれたら今まで以上に距離を置かないといけないけど。いや、嫌がらせであっても関わること自体を避けるべきね。そう思って断ることを伝えても

 

「……流石にあそこまでやっておいてそれは通用しないですよ」

 

 なんて言われてしまった。G1勝利なんて熱に浮かれてやりすぎたか……。今からでもなかったことにしたい……!

 仕方ない、当面は諦めましょう。少なくともすぐにあいつと顔を合わせないで済むのを良しとしましょう。しかし、あいつへの見舞いの品ねえ? 普通に考えれば動けないんでしょうし、時間を潰せるものがいいんでしょうけど、それは面白くないし。かと言って不吉なものを送るのはいくらあいつでも寝覚めが悪い。どうしたものか……、ああそうだ。

 

「トレーニング関係のもんでも渡せば良いんじゃない? テーピングとか蹄鉄なら消耗品だしマナーもばっちり」

 

「走らないために入院してるのにですか?」

 

「ええ、私に聞いてまともな答えが返ってくるなんて思ってんじゃないわよ」

 

「……なるほど。ありがとうございます。会長も喜ぶと思います」

 

 え、喜ぶの? あいつまじでそっちなの? それも嫌だし、それを知ってる後輩もなんか嫌だ。

 ためにならない話をしている内に休憩時間も終わったようで、働けとのお達しが飛ぶ。いやいやだけど貰った飲み物の分ぐらいは働きましょうか。立ち上がってスカートに付いた砂を払っていいると携帯がなる。エアグルーヴに軽く睨まれるけど今更だ。えーと、なになに……

 

「……全員聞きなさい! 宝塚走ったやつはすぐにトレーナーに会いに行きなさい! 詳細はそっちから聞いて!」

 

「先輩! いくらなんでもそれは……」

 

「悪いわね、ちょっとマジな感じなの。草むしりの続きは今度で」

 

 言うだけ言って答えも聞かずに走りだす。目指すはトレーナー室。すぐに話を聞き出さないと。

 

 

 

 

「トレーナー! 来たわよ! さっきの話って本当なの?」

 

「……ああ、宝塚記念の出走後の検査でステートジャガーからドーピング検査で陽性が出た。禁止薬物であるカフェインが見つかったらしい。詳しくは聞けていないが当面の出走停止と、……学園、レースからの追放の話も出ているらしい」

 

 意味がわからない。ジャガーは確かにバカでしょう。だけどそんな不正をするようなバカじゃない。それに出走停止はともかく、追放? そんなことになるなんて聞いたことがない。なにか知っているんじゃないかとトレーナーに聞けば、推測だがと前置きして

 

「少なくともドーピング検査陽性は事実だ。検査は外部機関で行われるからここに思惑が入る余地はない。だが、その後の処分に関しては確かにおかしい。本来であれば出走停止はともかく追放なんて故意の常習犯でも無ければありえない」

 

 当たり前だ。トレーナーが言うのだからドーピングは事実なんだろう。だけどカフェインごときでレースに勝てるわけがない。授業で聞いたがウマ娘には興奮作用があるらしいけど、意味があるのは弱気な、内向きな性格だと言っていた。ジャガーは少なくとも見た目は正反対。化けの皮をはいでも弱気ではないはずだ。それに常習犯だと言うなら大阪杯でもその前でも出ていなければいけない。言っちゃ悪いが今回の宝塚記念はあいつは一番人気、結果はともかくそんな危ない橋をわざわざ渡る必要はない。考え込んでいるとトレーナーが話を続ける。ここからが推測らしい。

 

「……外で話すなよ。俺は外部に秘密裏に混入させられたんじゃないかと思ってる。ステートジャガーの担当は俺の後輩で、顔見知りでな。バカなことをよくやるけどそれでも自分の担当にドーピングなんてさせるようなやつじゃない。そしてあまり見たことはないがウマ娘本人がやったわけではないと言うのは今の君を見ればわかる。でだ。ステートジャガーは目立ちすぎたのかもしれない。地方から来て中央のトップと接戦を繰り広げ、あろうことかあのミスターシービーにまで勝ってみせた。ミスターシービーは人気で言えばシンボリルドルフすら上回るかもしれない。そんな彼女の久しぶりに実現したかもしれない勝利を奪っていた。そして宝塚記念の抽選ではシンボリルドルフと君に噛み付いた。地方から来たウマ娘が活躍することをよく思わない人間。自分の応援しているウマ娘の邪魔になると思った人間。そんなものが有ったのかもしれない」

 

 なによそれ、ふざけんじゃないわよ。ジャガーがここにいるのはあいつが強かったから。三冠に勝ってみせたのは頑張ったから。それを、それを走りもしない奴らのせいで……!

 

「どうする? はっきり言って俺も大分と頭にきている。あのトレーナーはきっと俺よりも上に行ける人間だ。それをこんなことで潰すなんて許せない」

 

「なら、何かするの?」

 

「全トレーナーに通達が来てな。この件に関しては一切の関与を認めないそうだ。もし擁護するのであればそいつもドーピングを行っている可能性があると、そう言っている。よっぽどほじくり返されたくないらしい」

 

 ……ああ、なるほどね。こんなもん見たらあいつでなくてもウマ娘のために、なんて言いたくなる。

 

「ねえ、その通達とやらトレーナーだけなのよね?」

 

「そういうことだな。俺たちは雇われだが、君たちは直接的には上とは関係ない、あくまでトレセン学園の所属でしかないからな」

 

「あっそ、じゃあ、行ってくるわ」

 

 行き先も何をするかも言わなくていい。これはあくまで私の独断なんだから。

 

「ちょっと待て。これ持ってけ」

 

 渡されたのはいつか見た辞表と書かれた封筒だ。幾分かシワが付いてたりするがほかは綺麗なままだ。

 

「なんのつもり?」

 

「昔言っただろう? 君が根性をみせるなら、俺もそうするだけさ。で何しに行くんだ?」

 

 ほんとバカね。根性を見せるってなによ。意味分かんない。でもまあ、バカなウマ娘とバカなトレーナーでちょうど良いかもね。

 

「前に言ったでしょ? 私達の誇りを汚すやつがいるなら私は絶対に容赦しないって」

 

 

 

 

 

 

 トレーナーからジャガーの部屋を聞き出して、急ぐ。勝手知ったる栗東寮、あっという間に目的の部屋につく。だけどその前には寮長二人が立っている。

 

「ねえ、中のやつに用事あんの。入るわよ」

 

「済まないが今、誰も入れないように言われているんだ。気持ちはわかるが我慢してもらないだろうか」

 

「聞こえなかった? 私は入るって言ってんの」

 

「我慢してくれ! アタシだって心配なんだ。だけどいまステートジャガーに接触したウマ娘もドーピングの疑いありと判断するって言われちまってるんだ……」

 

「面倒くさいわね。三秒あげるわ。それでどかないなら蹴破るから。良いでしょ? どこぞのバカな生徒会長様もしょっちゅうやってんだから。行くわよ。1.2.3。ハイ時間切れ」

 

「まった! 待ってくれ。分かったよ。私達も納得は出来ていないんだ。だから五分だけ私達はいなくなる。それが限界だ」

 

「最初からそうすればいいのよ」

 

 二人して、ジャガーのことを頼むだなんて言いながら離れていく。えーと、フジキセキとヒシアマゾンだっけ? 寮長に選ばれるだけはあるわね。

 

「入るわよ」

 

 返答も聞かず部屋に入れば。明かりもつけずカーテンも締め切っているせいで真っ暗ななか憔悴した顔でベッドに腰掛けていた。私を見てビクついているけど今は時間が惜しい。

 

「ねえ、あんたほんとにドーピングなんてしたの?」

 

「……やっぱりお前もそう思うのか……。誰も信じてくれないんだな……」

 

「何言ってるの。私が聞いたのは噂だけ。あんたの口からはまだ聞いてないの。さっさとして」

 

「やってない、言ったら信じるのか?」

 

「ああ、もう面倒くさい。そんな仮定の話はどうでもいいからさっさと答えなさい」

 

「やってない……。私は! 私はドーピングなんてやってないんだ!」

 

「でしょうね。それだけ聞ければ十分よ。じゃあ私行く所あるから」

 

「ってそれだけなのか? もっと何かあるんじゃないのか?」

 

「なにもないわよ。あんたは噂を否定して。それで終わり。陽性が出ている以上そこは本当なんでしょうけど。あんたがやったわけじゃないならそれでいいわよ」

 

 これ以上時間かけると見逃して貰ってる二人にも迷惑だし。さっさと退散しましょう。ああ、最後に

 

「ジャガー、安心しなさい。あんた以上に私はあんたのこと信用しているから」

 

 さあ、こっからが本番だ。まずはトレーナー経由でたづなさんにお願いして会見の準備から始めましょうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 走れないというのは中々に辛いものだな。思えば今まで自分の意思に関係なく走るということから切り離されたことなどなかったな。宝塚の直前に話題作りのために私の海外挑戦は発表された。しかし当の本人がこの有様であまり盛り上がることはなかった。しかし、それでも念の為にと想定よりも長く病室に閉じ込められる事になってしまった。平日ということもあって学園の誰かが見舞いに来るということもないし、暇つぶしにとトレーナー君が準備してくれた本も気がつけば大半を読み終えてしまったな。心苦しいが追加を頼むしかないな。久しぶりどころか学園に入って初めてかもしれないレースからも生徒会としての活動からも離れた静かな時間を持て余していた頃トレーナー君がやってきた。

 

「やあ、何度来ても直ぐには治らないよ。それと悪いんだが本の追加をお願いしたいんだが」

 

「それぐらいならなんとでも、だけどその前に嫌なニュースだ」

 

 聞けば宝塚記念を走ったウマ娘の一人がドーピング検査で陽性と出たらしい。そして規定よりも重い処罰が下りそうになっていると。

 

「それは……。ドーピングなんてことをするなんて……。しかし、それが本当だったとしてもいくらなんでも処分が重すぎじゃないか?」

 

「ああ、どうやらまた大人の話に巻き込まれているのかもしれない」

 

 どうやら、中央の威厳なんてものを大事にしたい者がいるらしい。確かに中央にいるということは誇るべきことだ。だからといって他を見下す理由にはならないし、部外者が口を挟むべきことでない。

 

「どうする。正直海外遠征を控えている以上、あまり火種を作りたくはない。ってのが正直な考えだ。だが君はどうする?」

 

「これが仕組まれたことであるのなら海外など天秤にかけるまでもない。だが、私は彼女のことをよく知らなくてね。万が一ということを考えてしまう」

 

 口では海外などどうでもいいと言いながら踏み込みきれない自分が情けない。こんな状態でなければ直接会うことも出来るというのに。

 

 どうしようかと、二人で考え込んでいた時トレーナー君の電話が着信を告げる。いくら個室とはいえマナーモードにするべきではないか? 早足で廊下に出る背中を軽く睨んでしまう。ほんの数分もしない内に返ってきた彼は困ったような、でもどこかおかしそうな顔をしている。

 

「君の親友がまたなにかやらかすようだ。巻き込まれるかもしれないから見ておいたほうがいい。だそうだ」

 

 そう言いながらテレビを付ければ緊急会見とテロップがつけられ、映っているのは学園の会見場のようだ。このタイミングでということは例の件関係だろう。少しの時間の後出てきたのはいつもより幾分不機嫌な彼女だった。

 

『それでは会見を始めます。ではお願いします』

 

 たづなさんの開始の言葉で彼女が壇上に立つ。今度は何を言うつもりなのか。

 

『面倒くさいからはっきり言うわよ。私はステートジャガーが故意にドーピングをしていないと思っている。確かに結果は結果。それは事実なんでしょう。でも、いくらなんでも処分が重すぎるし、早すぎる。ガキみたいに大人の陰謀なんて言いたくないけど、もう一度事実関係の調査を求めるわ』

 

 一気に言い切った彼女に対して記者達がざわめく。事前に内容を聞いていたのか同席しているURAの人間も嫌な顔をしている。そして話し始める。

 

『すでにURAとしては調査も終了し、処分を下した。それを覆せなど通る話ではない。それに君はステートジャガーがやっていないという証拠でも持っているのかね』

 

 ……貴様らはウマ娘のための団体ではないのか? このような時にこそウマ娘のために動くべきではないのか。

 

『宝塚を勝った私がやれって言ってんの。でジャガーはやってないって言った。ならそれで十分よ』

 

『そんな、本人の発言など意味はない。嘘に決まっている。たかだかレースで勝っただけで首を突っ込まないで欲しい。それとも君はステートジャガーが処分されると困るのか? まるで君にも追求が行くのを恐れているように見えるが?』

 

 なんだこれは……! こんなものがレースを、ウマ娘を管轄する団体だというのか……!

 

『あっそ、ならいいわ。あんたらに期待無かったし。改めて私は再調査を求めるわ。現場にいた人でも、テレビで見ていた人でもなにか知っている、何かを見た人は教えて欲しい』

 

『そんなことで処分が変わるはずなどない。もし何も無かった時どう責任を取るんだ? もはや君一人の進退でどうにかなる問題ではないぞ』

 

『私一人で足りないってんならこれもかけてあげる』

 

 そう言いながらポケットから無造作に投げ出したのは私の手袋だ。

 

『私とシンボリルドルフ。二人分の首なら良いかしら?』

 

 ハッハッハ! 何を考えているんだ彼女は! ざわつく会場から私と同じような意見が飛ぶ。けれどもそれは私の気持ちとは正反対だろう。ここにいないものを出すなんて、勝手に他人を、それもシンボリルドルフをなんだと思っているんだ。だのはたから見れば当然の意見が飛んでいる。

 

『あんたたちこそ何言ってんの。あのバカがこんなことに口を出さないわけないでしょ』

 

 それでも会場のざわめきは収まらない。それどころか彼女の態度に徐々に敵が増えている。

 

「あー、すごいことになったな。巻き込まれるなんてもんじゃないぞ。どうする?」

 

「なに、いつもと同じようにするだけさ。きっと彼女のトレーナーも会場にいるだろう。連絡してくれないか?」

 

 そうして少しの後、画面の向こうで携帯を持って現れる。そのままマイクに近づけてくれた。アナログだが緊急だ。仕方ないだろう。

 

 

「聞こえるかな、シンボリルドルフだ。まだ病院のベッドから出れなくてね。このような不作法を許して欲しい」

 

 テレビから聞こえる自分の声を聞きながら話すというのは中々奇妙な感覚だな。声だけとは言え私が出てきたことでまたざわめきが広がる。それがある程度収まったところで話し始める。

 

「私、シンボリルドルフもステートジャガーのドーピング疑惑に関して彼女の意見に賛成させてもらう。彼女の言うとおりにステートジャガーが故意に行った場合、または再調査が行われなかった場合私達二人は学園を去ろう。ああもちろん口頭だけでなく後日、早急に声明を出させてもらう」

 

 いかんな、どうも言葉遣いが荒くなってしまう。私もまだまだ子どもだということだな。

 殆どの者にとって予想外だったようで、色々な声が出てくる。病院に居て何がわかるかなど、確かにだ。

 

「確かに私はステートジャガーというウマ娘のことをよく知らない。だがそこにいる私の友人が信じるのであれば私も信じる。それだけのことだ」

 

 これ以上言うべきことなどないと口を閉じるが未だに会場はどよめいている。クソ、この距離がもどかしい。もう一つ、もうひと押しあればいけそうなのだが……。

 そんなことを考えていたら突然ウマ娘が一人会場に乱入してきた。あれは……宝塚記念で二着だった……

 

『私も同じく再調査を希望します! ついでに私の首もかけましょう! ご安心ください! これは私だけの意見ではなくサクラ家一同の総意です!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 結局、最後に乱入してきたウマ娘のせい、おかげ? で会見の結果はこちら側に傾いたという感じだ。聞けばサクラ家って結構由緒正しいお家みたい。前に会ったあのうるさい自称委員長もお嬢様だったのね。それはともかく、サクラ家の参戦と何よりURA肝いりの海外遠征予定のあのバカが私の意見に同調したことで正式に再調査となった。しかしまさかあのバカはともかくミスターシービーまで名前書いてくるなんてね。

 それからすぐに会場で動画を撮っていたというファンから連絡がありジャガーがファンから貰ったチョコレートを食べているシーンが公開された。最近のカメラはすごいのね、パッケージまでしっかり見えて、それは確かにウマ娘用ではないカフェイン入りのものだった。

 結果追放とかの無茶苦茶な処分は取り消しになり、ジャガーは事実は事実なので三ヶ月の出走停止。担当トレーナーは監督不足で再教育と半年間の免許停止となった。結果ジャガーの担当もその間他のトレーナーが見ることになり、寮も美浦に移ることになった。今まで一人部屋だったけど再発防止のためっていうけど寮を変える意味なんてあるのかしら。

 それから助け舟を出してくれたサクラガイセンにお礼を言いに言ったらやっぱりあのうるさい奴経由で私のことを知っていたらしい。もちろんそれとは別にレースで走ったジャガーを信じていたらしい。

 また数日経って、色々終わらせたジャガーとそのトレーナーが私達のトレーナー室に来た。取り敢えず不用意に貰ったものを食べていたバカに拳骨を強めに落としておく。

 トレーナー同士で話が終わったのか、私の方にも話しかけられる。

 

「今回は本当に助かった。だが、どうしてあそこまでステートジャガーを信じてくれたんだ? 事前の交流なんて無かったし、抽選会でも印象は良くなかったと思うが」

 

 ま、そりゃそうでしょうね。そしてトレーナーにはわからないかもね。

 

「百回話すより一回レースで走るほうが分かることもあるの」

 

 だって私達はウマ娘なんだから。

 




そろそろ序破急の破も終わりそうかも?

歌詞引用などは

  • あり
  • なし
  • どちらでも

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