戦国武将がIS世界で生きていく   作:とあるP

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とあるPです。

一応生きてます。
それでは本編どうぞ!


第壱拾七話 忠勝とそれぞれの臨海学校

夏になり、1年生全員がソワソワしている時期がやって来た。それは、かねてから楽しみにしていた臨海学校が始まるからだ。

 

 

『臨海学校』

 

 

IS学園が所有している完全プライベートビーチを含む、大自然の中で思い思いに過ごす…訳ではなくそれぞれの課題をこなしていくしかない。1日目は自由時間でそれぞれが自由に過ごす。

 

2日目からは実践的な内容になっている。

 

先ずそれぞれ、パイロット志望と整備志望の人達に別れる。パイロット志望では、ISの技術的な向上や更なる飛躍を目的としたプランが組まれる。

整備志望では、パイロット志望で使用したISの整備や、技術的な応用を図る。今回の臨海学校で得た知識を今後のIS学園生活に活かしていくのが、臨海学校の目的である。

 

しかし、専用機持ちはそうはいかない。専用持ちは自国から届いた武装(パッケージ)のインストールや新装備のテストをしなければならない。

 

だからこそ1日目の自由時間を思いっきりエンジョイする為に女の子達は、あれこれ努力するのであった。特に今回は一夏と忠勝がいる。

 

貴重な男性操縦者が2人もいる。この臨海学校でお近づきし、あわよくば…と思っている人が多い。だが彼女達は知らない。一夏と忠勝は天然唐変木に忠勝のバックには、あの篠ノ之束がいる事を…

 

そんな風に思っていると、IS学園に数台のバスが入ってきた。旅館の『花月荘』がある所まで移動することになっている。

 

全員がバスに乗り込みいざ出発するが、一部の人の顔が暗い。その一部の人というのは、箒、セシリア、シャルロット、ラウラ、それにバスは違うが鈴も暗い顔をしていた。

 

『……』

 

決してバス酔い酷くなった訳ではない。では、どうしてこうならなかったか…話しは前日にまで遡る…

 

 

 

臨海学校を明日に控えていた忠勝は、整備室にいて【samurai】の稼働チェックをしていた。そこに専属メカニックチーフのリーダー志保が液晶ディスプレイを見ながら【samurai】の状態チェックをしていた。

 

「う~ん…ちょっと芳しくないかなぁ」

 

「そうなのでござるか?」

 

「ええ、前回の戦いでダメージレベルがBまでいっちゃっているからね。そこから最高の状態に戻すには、2日もかかっちゃう」

 

「そうでござるか…橋本殿、拙者に手伝える事があれば何時でも言ってくれ」

 

「ありがとうね。それじゃあ、先ずはOS関連からチェックして行こうか」

 

「心得た!」

 

前回のタッグマッチトーナメントから進行して来たダメージが、蓄積して来た結果ダメージレベルがBまで行っていた。Bレベルであれば問題ないが、今後の事を考えれば放置できない問題である

 

だがら、万全を期して各部のチェックを行っている。それが完了するのが2日間。つまり、1日目の自由時間には間に合わないのであった。

 

当然忠勝も整備に付き合うため遅れて、旅館に到着する事になった。だから、忠勝ラバーズの面々が楽しみしていた、バスの席が隣同士も起こらないのであった。

この事を箒達に伝えたところ、箒とセシリアは呪詛の様に『何故だ何故だ…』を繰り返しており、シャルロットとラウラに至っては、笑顔のまま固まっていた。

 

そして、最近になって忠勝の事を意識し始めた鈴に至っては、同じ1組になれなくて苛立っていた。そんな事を抱えて臨海学校当日。皆がバスで移動し海が見える所までやって来た。

 

『海だ~!』

 

「海だよおりむ~綺麗だねぇ」

 

「そうだなぁ。忠勝が初日に来られないのは残念だけど、明日からは合流できそうだからな」

 

「そうなんだよねぇ…うん?ねぇおりむー何か聞こえない?」

 

「え?」

 

一夏と本音が話しているとどこからともなく、馬の蹄の音が聞こえて来る。同時にその音は、このバスへと向かってきた。そこに現れたのは…

 

「我こそは!本多平八郎忠勝なり~!」

 

黒色の馬に乗り、愛槍『蜻蛉切』を片手に抱えて、現れた忠勝の登場に興奮するクラスメイト達。そして、忠勝ラバーズも忠勝の登場に嬉しそうだった。

 

そして、バスと並走する形で、旅館の『花月荘』がある所まで移動していった。旅館に到着すると、箒達が迫ってきた。迫ってくる箒達に対して、忠勝は丁寧に喋って行くのであった。

 

「忠勝、どうして来れる様になったんだ!」

 

「そうですわ!予定でしたら、明後日まで整備がかかると、おしゃっていたではわりませんか」

 

「【samurai】の整備リーダーである、橋本殿とそのメンバーが一所懸命に働いてな、早めに終わったのだ」

 

「それに、あの黒い馬は何よ!?映画の撮影でもしてるの?」

 

「あの馬は馬術部から借りた馬なのだ。なかなか立派な馬であろう」

 

「まぁまぁ忠勝が来てくれたかいいじゃない」

 

「そうだぞ嫁よ。夫よりも遅く来るとはどういうことか説明してもらう!」

 

「すまないなシャルロット殿、ラウラ殿。これからは遅参しないゆえ何卒…」

 

「フン!それでこそわが嫁だ!今後も期待しているぞ」

 

そう言って、ラウラは忠勝の事を褒めるのであった。みな宿に着くなり、一斉に集合して点呼を取っていた。

 

「今日から3日間お世話になる「花月荘」の方々だ。皆迷惑をかけないように」

 

『よろしくお願いします!』

 

「はい。皆さんいいお返事ですね~」

 

「今年も何卒よろしくお願いします」

 

「はい。あら?そちらが例の2人ですか?」

 

女将と思われる人が一夏と忠勝の存在に気が付いた。そこで千冬は2人に挨拶するように促した。

 

「はい、今年は男性操縦者がいるため、部屋割りが大変になりますがお願いしますね。ほら、挨拶しろ」

 

「織斑一夏です」

 

「本多平八郎忠勝と申す。以後お見知りおきを」

 

「ご丁寧にありがとうございます。当「花月荘」の女将をしております清州景子と申します」

 

『よろしくお願いします(お頼み申す)』

 

「それではこちらにどうぞ」

 

そう言って、奥から従業員が一斉に出してきて生徒達の荷物を持って行った。一夏と忠勝は千冬達の後を付いて行った。

途中箒達とは分かれて奥の部屋に連れて行かれた。そこには、「織斑一夏・千冬」、「山田真耶・本多忠勝」と書いてあった。

 

どうやら、一夏と忠勝は先生と同じ部屋になるように、部屋割りが決まっていたようだ。

 

「それじゃあまたな」

 

「じゃあな~」

 

「ちょっと待ってください!織斑先生!」

 

「なんだ?」

 

真耶と千冬の2人は、一夏と忠勝には聞こえないくらい小さい声で話し始めた。どうやら今回の部屋割りについて説明を受けていないようだ。

 

「聞いてないですよ!私と本多君が同じ部屋だなんて!」

 

「そりゃあ言ってないからな」

 

「なんで!「いいか真耶」へ?」

 

「これは、勝負だぞ。この臨海学校で男に慣れていなければ、一生後悔するぞ」

 

「でも…」

 

「幸い本多は、真面目だ。真耶の事をぞんざいに扱わないだろう。大丈夫だ。私は隣の部屋にいる。何時でも駆けつけて行くつもりだ」

 

「先輩…う~そこまで言うならやってやりますよ///」

 

「でかした!それじゃあ行って来い!」

 

「はい!」

 

どうやら、話し合いは終わったらしい。千冬と一夏は部屋に入って行き、残された忠勝と真耶も部屋に入って行った。

 

「山田先生、着替えるなら先に使うといい。拙者は外で着替える故」

 

「あ!わ、私は大丈夫ですから、忠勝君が先に使って下さい」

 

「しかし!「だ、大丈夫ですから」…はぁ、わかりもうした」

 

どことなく、緊張したおもむちで答える真耶だったので結局忠勝が部屋にある脱衣所で着替えた。

 

「山田先生どうぞ」

 

「は、はい!え!///」

 

忠勝が部屋の脱衣室で着替え終わると、そこには、16歳の少年では有り得ないくらいの肉体美があった。

 

腹筋は6つに割れ、二の腕はがっしりとし、大胸筋や小胸筋は綺麗に整っていた。そんな日々のトレーニングで鍛え上げられた肉体を見て、真耶は固まってしまった。

 

ただ、そんな中でも、背中の傷だけが目立ってしまう。それを気の毒に思ってしまった真耶はフォローする様に忠勝に言って聞かせた。

 

「…やはり目立ってしまうかのぉ」

 

「ご、ごめんなさい。そんな風に思ってはいないんですけど、つい…」

 

「大丈夫でござるよ。もう慣れ申した」

 

「本多君…」

 

「それじゃあ、拙者は先に行くので山田先生は「本多君!」うむ?」

 

忠勝が部屋を出て海に行こうとした時、真耶に呼び止められた。そして、振り返ると突然真耶が忠勝目掛けて抱きついて来たのだ。

 

真耶の豊満な胸が忠勝の胸板で、ムニュンと形を変えるが忠勝は平然とした様子で、どうかしたのか聞いてみた。

 

「山田先生?どうしたのだ?」

 

「…その、本多君は頑張り過ぎな気がします」

 

「それは…栄子と翔子を「それ以外でもです」…」

 

「栄子ちゃんと翔子ちゃんから聞きました。タッグマッチトーナメント以降練習メニューを倍にしていると…別にそのことについては咎めたりはしません。だけど、だけどね…偶には周りの人達を頼ってもいいんですよ。本多君は1人じゃないんですから」

 

「山田先生…」

 

「って!何偉そうなこと言っているんですかねアハハ///」

 

「いや、そう思ってはござらんよ」

 

「え?」

 

忠勝からの以外な答えを聞いて、固まってしまう真耶。

 

「確かに拙者は何事も1人で解決しようと思っていたかもしれん。勉学してもISの技術に関してもそうでござる。つい先日同じ様なことを、ある人からも言われてしまってな」

 

それは、シャルロットを助けようとした時に、あの世から徳川家康が一時的に蘇った時である。

 

『お主は1人しかおらぬ。代わりなどいないのだ。だから、偶には周りの人を頼ってみよ』

 

その言葉は忠勝を軽くする一言であった。それ以来忠勝は1人で抱え込むのではなく、周りの人たちに相談する様になった。

 

「だから、これからもし拙者が道を外しそうになった時は、遠慮なく言って下されよ山田先生」

 

「えっと……はい。わかりました///」

 

そう言って、真耶は忠勝から離れた。そして、買ってきた水着とパーカーを纏って、海へ出かける準備をしていた。

 

「それでは行ってくる。山田先生もゆっくりしてくだされ」

 

「は、はい!私も後から行きますね///」

 

そして、一夏と部屋の前で待ち合わせをして、海へ向かうのであった。そして、真耶は思い付きとは言え忠勝に抱きついた事を思い出すと顔を真っ赤にするのであった。

 

「待たせたのぉ一夏」

 

「おう、忠勝。すげぇ!やっぱりいつ見ても忠勝は凄い身体をしているよな」

 

「そんな事ないでござるよ。背中の傷は…ほらこの通りでござる」

 

「だよなぁ。けど、それを含めて忠勝はすげぇと思うよ」

 

「一夏…ありがとう」

 

「いいってことよ。それじゃあ行こうぜ!

 

「ああ、行こう」

 

旅館を出て海へ行く途中、女子更衣室の前を通る羽目になり、女子たちの生々しい話しを聞くことになってしまった。

 

「ディズの結構大きいね」

 

「そう言う、サーシャの胸も綺麗よ」

 

「いゃん!触らないでよ」

 

「ギャラクシーさんもキレイよね」

 

「そうですか。ありがとうございます」

 

何だか聞いているこちらが恥ずかしくなってきそうな内容であった。そして、浜辺に降り立った、2人は準備運動をして、女子たちを待つだけとなっていた。

 

そうなると否応にも2人は注目を浴びてしまうのであった。

 

「キャー忠勝君凄い筋肉///」

 

「織斑君もいいけど、やっぱりどっしりとした忠勝君もいいわよね~」

 

「あの腕に、セシリアが抱かれたのか///」

 

「おっといけない、よだれが…」

 

最後の人には、色々聞きたい事があるけど、今は女子たちを待つのが先である。

 

「遅いな、箒達」

 

「焦ってはいかんぞ一夏。待つのも大切な時もある」

 

そう言って、待っていること数十分、件の女の子達がやって来た。

 

『お待たせ~!』

 

そこには、レゾナンスで買ってきた水着を纏った彼女たちが現れ、忠勝は一瞬声をかけるのをためらってしまった。

 

少々恥ずかしかりながら話しかけて来たのは、セシリアであった。

 

彼女は青パレオタイプの水着で麦わら帽子を持参していた。均等の取れたボディを惜しげもなく自慢して来る。

 

「い、いかがでしょうか///」

 

「うむ、とても良い。セシリア殿に似て、青色がよく似合っておるぞ」

 

「まぁ!」

 

想い人に褒められて嬉しくならない人はいない。

 

次に自慢してきたのはシャルロットだった。彼女は黄色のビキニタイプの水着で、黒のラインが入った黄色のスカートを履き、胸には待機状態の【ラファール・リバイブⅡ】のペンダントがいいアクセントになっている。

 

「ねぇ忠勝。ボクは?」

 

「うむ、シャルロット殿も黄色が似合っておる」

 

「ホントに!よかった///」

 

箒は白いビキニタイプの水着だったが、その仕草が駄目だった。何故なら腕で隠しても、惜しげもなく主張するおっぱい。それを見た他の5人は(あれには勝てない…)と心の中で敗北宣言を出していた。

 

「た、忠勝…その、どうだろうか///」

 

「うむ。とても似合っておるぞ。赤色も似合っていると思っていたが、白色も綺麗に似合っておる」

 

「うう///」

 

下心のない純粋な言葉に、ノックアウト寸前の彼女達。そこに遅れて登場したのは、鈴とラウラだった。

 

鈴はオレンジ色の水着だが、スポーティな水着だった。動きやすい服装で纏めているのも鈴らしい。

 

「お待たせ~ってあれどうしたの?」

 

「拙者には、点で分からぬ。どうしてこうなったのか…」

 

「そうなの…ねぇ忠勝。どう?アタシの水着?」

 

「よく似合っておる。鈴殿」

 

「ふ、ふ~ん///」

 

その一言で一緒にいた皆は察した。(あ、落ちたなコイツ…)と…

 

ラウラは包帯で簀巻き状態で現れた。傍から見たら、ミイラ娘が現れた格好になっている。その異変から助け舟を出したのは、意外にもシャルロットだった。

 

「うん?ラウラ殿か?」

 

「ほら、忠勝に水着見せるんでしょ?」

 

「そ、そうなんだが…心の準備が…」

 

「そんな風にしていると忠勝が逃げちゃうよ」

 

そう言って、シャルロットの一言で観念したのか、ラウラは意を決して包帯を取ったのだ。包帯の下から現れたのは…

 

「う~よ嫁よ!」

 

「うん?どうしたでござるか?」

 

「…笑わないと誓うか?」

 

「うむ。拙者、ラウラ殿がどんな姿であろうと、驚きはせん」

 

「…それはそれで傷つくが…まぁいい。では…行くぞ!」

 

包帯を取ると、黒のフリルワンピース姿のラウラがいた。銀髪をツインテールにして、あどけなさを残ししつつ可愛いを強調してきた。

 

この姿に忠勝は思っている事を言うのであった。

 

「さぁ!どうだ嫁よ!」

 

「ラウラ殿…いつもと髪型が変わっており、とても似合っておるぞ」

 

「そ、そうか///」

 

その言葉に聞き耳を立てていた女子生徒は、ツインテールか…と模索するのであった。

 

そこからは、各個人で遊ぶことにしていた。セシリアはパラソルを掲げて、日焼け止めクリームを塗ってほしいと忠勝に言うのであった。

 

「忠勝さん。せっかくなので、日焼け止めクリームを塗って頂けないでしょうか」

 

「心得た。しかし、これはどう濡れば良いのだ?」

 

「えっと…手に馴染ませてから塗って頂けないでしょうか///」

 

「わかった」

 

そう言って、セシリアは水着のホックを外して、うつ伏せに寝た。その際に豊満なおっぱいが潰れてなまめかしい型となった。

 

一方の忠勝は手にクリームを取り手に馴染ませて、塗る準備を進めていた。そして、日焼けクリームをセシリアの背中に塗って行くのであった。

 

「では、セシリア殿いくでござるよ」

 

「は、はい///」

 

「どうでござるか?」

 

「んっ…あっ///と、とっても…気持ちいいですわ…んっ…あっ///」

 

日焼けクリームを塗る忠勝の仕草に、艶めかしい声を出すセシリア。それを聞いていた他のクラスメイト達は羨ましそうにしていた。

 

「うぁ~セシリアめっちゃエロい声出してるじゃん」

 

「あんな声を出す忠勝君のテクニックって…」

 

「私、日焼けクリーム落としてくる!」

 

「私も!」

 

そう言って、折角塗って来た日焼けクリームを落としてくるクラスメイト達。そんな事を尻目にセシリアはとんでもないことを言って来たのだ。

 

「セシリア殿。背中は塗り終えたでござるよ」

 

「ハァハァ…ありがとうございますわ///」

 

「では、拙者はこれに「ま、待ってくださいまし!」うむ?」

 

「えっと…その…お、お尻も塗って頂けないでしょうか///」

 

「そ、それは…」

 

「お、お願いしますわ///」

 

上目遣いと息が荒い中でお願いされたら、断る訳にはいかないと思った忠勝は、しぶしぶ承諾するしかなかったのだ。

 

「……分り申した」

 

そう言って、再びうつ伏せになるセシリア。そして、忠勝は再び日焼けクリームを手に馴染ませていく。ほど良い温度になってうつ伏せに寝ているセシリアに聞くのであった。

 

「それではいくでござるよ」

 

「は、はい///」

 

 

そして、セシリアのお尻に近づく時に事件は起きた。何とクリームを塗ろうとした時に鈴が乱入し、冷たいままのクリームを無造作にお尻に塗ったのだ。

 

「アタシがやってあげるわよ」

 

「え?り、鈴さん!?」

 

「これでしょ…ホイホイッと!」

 

「ひゃん!ちょっと!鈴さん!」

 

「あ」

 

「あら?」

 

セシリアが日焼けクリームの冷たさで、勢い良く起き上がると、水着がはだけておっぱいがポロリとなる事件が起こった。

 

「き、きゃあ~~!///忠勝さん!見ないでくださいまし!」

 

慌てて隠すセシリア。しかし、そこに忠勝の姿はなかった。実は他のクラスメイト達から日焼けクリームを塗って欲しいと言われて、セシリアの方を見ておらず事なきを得たのだ。

 

「ねぇねぇ忠勝君。私にもクリームを塗ってくれないかしら~!」

 

「ズルいわよ!忠勝君!私の方が先だからね!」

 

「待て、待て!順番に待つでござるよ」

 

その後は、クラスメイト達に日焼けクリームを塗った忠勝。すると、鈴が沖に向かっているのを見かけた。忠勝は何だか嫌な予感がしたので、沖に出ることを止めることにした。

 

「ちょっと待つでござる鈴殿」

 

「…何よ」

 

「そのまま沖に出るのは危険でござる。浅瀬で「うるさい!」鈴殿…」

 

「うるさいわよ!忠勝は他の人達と一緒に遊んでなさいよ!アタシの事なんてほっといてよ!」

 

「鈴殿…」

 

そう言って、鈴は忠勝を無視してどんどん沖へと行く。そんな中で忠勝が予想していたことが起こってしまった。

 

「何よ…何よ。忠勝ったら、セシリアにあんなにデレデレしちゃって…そんなにおっぱいがいいのかしら」

 

そんな風に思っていると鈴は、深いところに足を取られてしまった。そして、急なことだったので同時に足までつってしまった。

 

「しまった!…ガボボオボ」

 

「鈴殿!」

 

「た、忠勝…!た、助け…て」

 

「鈴殿――!」

 

忠勝は鈴を見つけて、すぐさま海に飛び込んだ。忠勝の大声に気づいた一夏達も同様に海へと走り出したのであった。

 

海に入った忠勝は、辺りを見渡した。鈴が海に入ってそう時間は経っていない。であれば、まだ近くに居るはずだ。

 

そして、海溝へと続く海の中で漂っている鈴を発見。すぐさま忠勝は鈴めがけて泳ぎ出した。

 

(鈴殿!)

 

だが、鈴の意識はもうろうとしており、一分一秒を争う状態であった。このままでは不味いと思った忠勝は意を決して大胆な行動に出る。

 

(鈴殿……すまん!)

 

そう言って、忠勝は鈴の口に自身の口をつけ酸素を送った。いわゆる人工呼吸だ。何分かした後に鈴は意識を取り戻した。

 

(た、忠勝?どうして…)

 

忠勝は鈴の意識が戻ったのを確認すると、抱きかかえて、海面まで一気に上昇した。そして、浜辺に着くと、鈴の無事を確認した。

 

「鈴殿!大丈夫でござるか!?」

 

「た、忠勝。どうして…どうして…アタシを助けたの?あんなに酷いこと言ったのに…」

 

「そんな事を気にしていたのでござるか。大丈夫でござるよ。拙者は気にしておらぬ。それよりも鈴殿が無事でよかった」

 

そう言って、歩けないであろう鈴をおぶって皆のところに向かって行った。その時鈴は思った。自分は何て浅はかなことをしたのだろう。自分の方が子供みたいだと…

 

同時に実感した。やっぱり忠勝と一緒にいると安心する。出来ればこれかもずっと一緒に居たいと…

 

「た、忠勝!」

 

「うん?どうしたでござるか?」

 

「その…あ、ありがとう///」

 

「ふふっ」

 

「何よ!笑うことないじゃない!こっちは精一杯感謝してんのよ!」

 

「大丈夫でござるよ。ただいつもの鈴殿と違っていたのぉ。今の方がいつも通りの鈴殿で安心するでござるよ」

 

「ふ、フン!分かればいいのよ///分かれば///」

 

その後鈴は大事を取って、休憩しようとしていたらクラスメイト達に拉致されて、何処かへと連れ去られた。

 

その頃ビーチでは、千冬達教師陣も登場し一気にヒートアップした。千冬は『レゾナンス』で買って来た、黒のビキニ姿で出ている。また常日頃から努力しているであろうボディーラインは綺麗ですらっとしたスタイルであった。10人中10人が美人と答えるぐらいである。

 

山田先生は、とにかくおっぱいが凄かった。薄緑色のビキニタイプの水着だったが、はち切れんばかりのおっぱいは、今にでもこぼれ落ちそうなくらい大きく、あの箒やセシリアでさえ、危惧しているくらいである。

 

「キャー!千冬様の水着よ!」

 

「これは高値で売れるわ!」

 

「山田先生…凄いおっぱい。ダメだ、勝てる気がしない」

 

「やまやまのあれは反則だよ~」

 

本音の発言にいち早く反応したのは、箒達であった。だって忠勝と同室の山田先生を一番危惧しているのである。そんな中、千冬が忠勝達にビーチバレーで勝負を挑んできたのである。

 

「本多、織斑。どうだ、ビーチバレーで勝負してみるか?」

 

「いいぜ!千冬姉!」

 

「え~!だ、大丈夫ですか?」

 

「ビーチバレーとはどんなの物なのだ?」

 

『え?』

 

一夏、千冬、真耶の声がハモってしまった。それもそのはず、忠勝は生まれてこの方海で遊ぶ事や、海自体初めてなのだ。

 

とりあえず一夏はビーチバレーのルールを忠勝に説明することから始めるのであった。そして、チーム割は教師陣チームVS男性操縦者チームとなった。

 

「えっと…ビーチバレーってのは、このボールを相手のコートに入れば1点なんだ。試合じゃないから点数とかは気にしなくてもいいと思うぞ」

 

「なるほど、蹴鞠とはまた違った遊びなのだな」

 

「え?蹴鞠?」

 

「…こちらの話しだ。して、相手のコート?にはどうやって入れれば良いのだ?」

 

「ああ…このボールを3回触るうちに相手のコートに入れればいいんだ」

 

「なるほど、心得た」

 

ある程度のルールを説明した一夏は、早速ビーチバレーを開始するのであった。そんな中千冬はビーチバレーである提案をしてくるのであった。

 

「安心しろ、お前たちなら直ぐに負ける。それに、ただやっては面白味がない。罰ゲームでもつけるか」

 

「言ったな!おし、やってやるぜ!」

 

「おい、一夏。軽々しく挑発に乗ってはならんぞ…」

 

忠勝の注意も虚しく一夏は勝負を受けるのであった。教師陣の布陣は前衛が真耶。後衛が千冬と真耶のミスを千冬がカバーするという完璧な布陣。

 

それに対して、男性操縦者チームは、一夏が前衛。後衛に忠勝となった。忠勝のサーブは、見よう見まねであったが、コートギリギリにボールが落ちていく。それを慌てて千冬は拾って、真耶がトスをする。

 

トスをした瞬間、たわわに実ったおっぱいが揺れたが忠勝は冷静に判断し、千冬からのスパイクを警戒していた。そして、矢のようなスパイクをブロックして止めたのだ。

 

「ほう、アレを止めるとはな」

 

「…何となくでござるが出来たでござるな」

 

忠勝のプレーに忠勝ラバーズの面々(箒、セシリア、鈴、シャルロット、ラウラ)に密かに想いを寄せている面々(神楽、ロゼッタ)も応援するのであった。

 

「忠勝!男を見せろ!」

 

「忠勝さん~!素敵ですわ~!」

 

「忠勝!頑張りなさいよ!」

 

「頑張れ~忠勝~!」

 

「諦めるな嫁よ!一夏も!」

 

「忠勝さん…頑張ってください!」

 

「織斑先生なんか、やっつけちゃえ!」

 

彼女たちからの声援を受けた、忠勝と一夏は一層奮起するのであった。対する千冬達教師陣も、教師という面子を保つ為に忠勝同様に奮起するのであった。

 

「皆の者…かたじけない!」

 

そこからは、俄然やる気が出来て千冬と忠勝のラリーがメインに続いた。向こうが一点を取れば、こちらも取り返す。その攻防が続きコツを掴んできた忠勝のジャンピングサーブから始まりそしてついに…

 

「これで最後でござる!」

 

「まだまだ!」

 

「はぁ!」

 

「とりゃあ!」

 

千冬と忠勝のラリーが続いている中一夏と真耶は蚊帳の外となっていた。それでも両者のラリーは続いて行くのであった。

 

「あの~」

 

「私達はどうすればいいでしょうか?」

 

これでは、決着が付かないと思っていたが、意外な形で決着が着いた。ボールがネットギリギリに来た時両者が動いた。忠勝はダッシュし、千冬はここぞとばかりに打ちに行ったのだ。だが…

 

「しまった!」

 

「もらった!」

 

パッアン!

 

『あ!』

 

なんと、ボールが両者の力に耐え切れずパッアンと甲高い音を立てて割れてしまったのだ。そして、いつの間にか審判をしていた女の子が「ボールが割れたため、この勝負ドロー!」と宣言するのであった。

 

「ワーワー!」

 

いつの間にかギャラリーもいて、ちょっとしたビーチバレー大会になっていた。そんな中、忠勝は千冬と硬い握手をして互いの健闘を称えたのであった。

 

「強いですなぁ織斑先生は。拙者感服したでござるよ」

 

「なに、教師が生徒に負けては示しがつかんからな。本多こそ強かったぞ」

 

「そう言って、もらえると嬉しいでござるぁ。アハハ…」

 

「っ!」

 

その仕草にドキリとする千冬は顔を逸らしてしまった。不意に見せた笑顔は、数百倍の破壊力があるのだと知らされたのだ。

 

「?どうしたでござるか。織斑先生?」

 

「な、何でもない!///」

 

ビーチバレーでの激闘を終えて、忠勝と一夏はアイスを食べていた。どうやらアイスは千冬達がサービスで渡してきたのだ。

 

「それにしても、忠勝は凄いよな」

 

「何がでござるか?」

 

「だって、あの千冬姉と互角に渡り合っていたからな」

 

「そんな事ないでござるよ。現に最後は負けたでござる…もっと精進せねば」

 

そこまで努力している忠勝に対して、一夏はずっと思っていた事を聞いてみるのであった。幸いにもここには、忠勝と自分しかいない。

 

「なぁ忠勝。前々から聞きたいと思っていたんだけどさぁ…忠勝って何でそんなに努力を惜しまないんだ?」

 

「努力か…そうでござるなぁ。“守りたい大切な存在がそこにある”拙者は常日頃からそう思っているでござるよ」

 

「“守りたい大切な存在がそこにある”って栄子ちゃんと翔子ちゃんのことか?」

 

「それもあるが、一夏や箒殿達、それに織斑先生や山田先生。ひいては学園全体の生徒達が“守りたい大切な存在”なのでござるよ。その為ならば、努力は惜しまないでござるよ」

 

「忠勝…ならさぁその努力俺もするよ!」

 

「一夏?」

 

「俺もみんなを守りたい!その為色々やって力を付けて、いつか忠勝を安心させるそんな存在になって見せるぜ!」

 

そう言って、一夏は拳を忠勝に見せた。それを見た忠勝は同じように拳を合わせて、一夏の成長を楽しむのであった。

 

 

時刻は夕方。昼間はあんなに騒がしかった浜辺は静まり返っていた。一夏との話しを終えた忠勝はある人物を探していた。

 

その人物とは…

 

「ここに居たでござるか……鈴殿」

 

「忠勝?どうしたの?」

 

鈴はオレンジ薄いパーカーを羽織っており、波打ち際に座っていた。忠勝は、鈴の隣まで来ると隣に座った。隣に座ると、忠勝は鈴を探していた理由を話し始めた。

 

「隣いいでござるか?」

 

「え、ええいいわよ」

 

「鈴殿。昼間の足はもう大丈夫でござるか?」

 

「あ~あれは大丈夫よ!忠勝ありがとうね」

 

「…良かったでござる。もしもの事があったら拙者は「バカね。考え過ぎよ」鈴殿?」

 

「忠勝が助けてくれたおかげでアタシは無事なんだからそれでいいじゃない。ね?」

 

「分かったでござるよ」

 

「うんうん。それじゃあこの話しは終わり!じゃあね!」

 

そう言って、立ち去ろうとする鈴の腕を掴んでまだ話すことがあると言い出した。

 

「待つでござる鈴殿。…大事な話しがあるのでござる」

 

「え!///」

 

その言葉にドキリとする鈴。平静を装っているが内心はドキドキしていた。あの忠勝から大事な話しがあると言われると話しは別だ。

 

鈴はちゃんと話しを聞くべく再び座った。そして、衝撃の事実を知るのであった。

 

「わ、わかったわ。それで大事な話しって何よ?」

 

「その…あの時鈴殿を助けるべく、拙者は無我夢中であった。そこで拙者は…拙者は…鈴殿と…」

 

「アタシと?」

 

「その…鈴殿の口に接吻をして空気を送り込んでしまったのだ。すまん」

 

そう言って、忠勝は勢い良く頭を下げる。一方の鈴は頭の中でさっきの言葉を繰り返していた。

 

(え?ちょっと待って。アタシの口に接吻って…接吻って…き、キスよね?え?…ええええ~!)

 

鈴は混乱していた。それを見ていた忠勝は、腰からある物を取り出して鈴に手渡した。それは…手中に収まる程度の脇差であった。

 

「鈴殿…これを」

「え?こ、これは?」

 

脇差を鈴に渡した忠勝は、鈴に傷だらけの背中を向けた。鈴はその行為で理解した。自分(忠勝)はいつでも刺されてもいい覚悟で話したと。

 

一方の忠勝は、ただずっと待っていた。危機的状況だったとはいえ、乙女の純情を奪ったのだ。それ相応の罰を受けるのが当然のことだと思っている。

 

けど、痛みは一向に訪れない。忠勝は後ろを振り向くと、鈴は脇差を持ったまま動いていなかった。

 

「鈴殿?どうしたのでござるか?」

 

「えっと…アタシには無理かな~ってね」

 

「……そうでござるか」

 

「うん…その上手く言えないけどね。忠勝は悪気があってあんな事したんじゃないって信じているから」

 

「しかし!「だ、だから!」む?」

 

「だから、責任…取りなさいよ!」

 

「責任とな?」

 

「そう!責任よ!アタシがこの先忠勝を嫌いにならない限り、ずっと一緒にいる事!いいわね!」

 

「えっと…「い・い・わ・ね!」わ、わかったでござる」

 

「そうと決まれば、この話しは本当にお終い!ほら、早く旅館に帰るわよ。夕食冷めちゃうから」

 

そう言って、鈴は脇差を忠勝に返して手をつないで旅館へと向かうのであった。因みに、なぜ鈴と一緒に帰って来たのか、小一時間程箒達から問いだたされた忠勝であった。

 

 

 

 

時刻は19時。夕食は、旅館の大広間を3つ貸し切って行われた。各国の宗教や仕来りに従って、洋食・和食・中華が振る舞われた。

 

畳に正座して食べる者もおれば、テーブル形式で食べる者もいた。そんな中、一夏と忠勝は日本食である刺身盛り合わせに舌鼓をしていた。

 

鮪の刺身にチョンとわさびをのせて食べる。まさに絶品と言ったところだ。

 

「うん!美味い流石本わさ!」

 

「本わさび?」

 

そう言って、シャルロットは刺身の横にあるわさびの山を全て取ってそのまま口に含んだ。その瞬間、わさびの猛烈な辛さをシャルロットが襲った。

 

「ッ~~~~~~!」

 

「大丈夫でござるかシャルロット殿!ほら、水でござる…」

 

忠勝は近くにあった水をシャルロットに渡すと一気に飲み干した。飲み干したシャルロットは、落ち着きを取り戻した。

 

「うん…ふうみがあっておいしいね…」

 

「わさびを一気に食べるからでござる。少量を刺身に付けて食べれば問題ないでござるよ。うむ、美味いであるな」

 

忠勝と一夏が美味しく刺身の盛り合わせを食べている中で、隣に座っていたセシリアがもぞもぞとしていた。

 

「う、うん…」

 

「セシリア殿、どうしたのでござるか?」

 

「忠勝さん…実は正座?と言うものが苦手でして…」

 

「あ~確かに、外国人ってイスとかに座っているイメージがあるもんな」

 

「そうでござるか…今からでも、ラウラ殿の様にイスで食べてもいいのではないか?」

 

「い、いえ!大丈夫ですわ…小さく(この席を確保するだけにかけた労力に比べればどうってことありませんわ…)」

 

実は、この夕食を開始する1時間前に、1年生の間である大会が行われた。それは、一夏と忠勝の隣りの席をかけて、じゃんけん大会が行われたのだ。

 

 

因みにラウラは「くだらない。私の心は常に嫁の隣にある」と言って大会を辞退していた。そして、シャルロットとセシリアが栄冠を勝ち取ったのだ。

 

そんな中セシリアは、お箸の使い方が分からないと忠勝に言い寄って来たのだ。

 

「その…忠勝さん。ちょっとよろしいでしょうか?」

 

「何でござろうか?」

 

「実は、このオハシの使い方が不慣れなため…上手く物がつかめないのです…」

 

「そうでござったか。なら、拙者が食べさせてあげるでござるよ」

 

「ほ、本当ですか!それではお願い致します!///」

 

そう言って、セシリアは自身の箸を忠勝に渡し、目の前にあった刺身を食べたいと言い出してきたのだ。

 

「いいでござるよ。して、どれにするでござるか?」

 

「では、このマグロの赤身をお願い致します。あ、わさびは少量で…」

 

そして、忠勝はマグロの赤身に少量のわさびを付けてセシリアに食べさせようとした。

 

「どれ…あ~ん」

 

「あ~ん///」

 

当然、周りの女子が黙っていなかった。我先にと忠勝にあ~んを所望するのであった。

 

「セシリアずるい!」

 

「そうよ!忠勝君にあ~んなんて!」

 

「ねぇ本多君!私にもやって!」

 

他の女子たちがせがむ中、箒は忠勝をジト目で見つめ続けていた。そこに、千冬にお小言が加わり、周りの女子生徒達はシーンとなった。

 

(全く忠勝は何たる破廉恥な事をしているんだ!そりゃ…私だってしてもらいたいと思っているが…はっ!私は何を考えているんだ///)

 

「うるさい!食事中だぞ!」

 

「織斑先生。すまなかったでござる。」

 

「本多、頼むから静かにしてくれ。それと、他に騒いでいる者。そんなに元気があるのであればISを担いで砂浜ダッシュでもやるか」

 

『すみませんでした~!』

 

そんな事があった夕食も終わり、お風呂の時間になった。旅館内の広々とした内風呂や露天風呂を堪能した女子達は部屋で談笑していた。

 

~箒・神楽の部屋~

 

私と神楽の部屋には5~6人いたが、お土産を買って来るとのことで今は2人しかいなかった。思えば、クラス以外で神楽と2人になるのは初めてかもしれない。

 

「箒さんは忠勝さんの事をどう思っているんですか?」

 

「うぇ!そ、それは…」

 

なんと神楽の方から、ド直球の質問が来たのだ。余りの直球ぶりに変な声を上げてしまったが、何とか誤魔化そうとした。

 

「それはだなぁ…一夏と違っていい奴だと思っているぞ。頼りになるし、偶に寡黙な所もあるが、仲間想いだ。そんな忠勝だからな…つい、いいと思ってしまうだ」

 

「そうですか…」

 

私の答えに黙って聞いていた神楽。そんな神楽から一筋の涙が出てきたのを私は見逃さなかった。

 

「どうしたんだ?」

 

「いえ、何でもありません…」

 

「神楽。私達はクラスメイトだ。隠し事とか無しで行きたいんだ」

 

「…わかりました。では、正直に話します。私は…私は、忠勝さんをお慕い申しております」

 

「え!?」

 

突然の神楽の告白に黙ってしまう。まさか、神楽も忠勝を好きな人なんだと…そこからはどうして忠勝を好きになったのかを話し始めた。

 

「初めて忠勝さんにお会いした時からでしょうか…これが一目惚れと言う感覚でした。そこからです。彼の一挙手一投足が気になり始めたのは…ですが、決定的になったのは、先のVTシステム事件ですかね。あの時に単騎で戦っている忠勝さんを見て、何て美しくて、勇猛果敢な殿方なのだと…」

 

「…」

 

「しかし、私はずっと一緒に居たいのにあの方(忠勝さん)はどんどん先に行ってしまう。これでは、隣にいる事は一生かかっても、出来ません…」

 

「そ、そんな事ない!」

 

「箒さん?」

 

気付いたら、私は神楽の言葉に憤りを感じていた。“隣にいる事は一生かかっても出来ない”ふざけるな!そんな事で…そんな事で忠勝を諦めるのか!

 

「神楽はそれでいいのか!」

 

「箒さん?」

 

「神楽はそれで忠勝を諦めるのか!」

 

「そ、それは…だって…だって仕方ないじゃないですか!あの方は強くなって、どんどん先に行ってしまう…」

 

「だったら、神楽も頑張ってついて行けばいいじゃないか!どうして、そこで諦める?」

 

「えっと…」

 

いつまでも答えを示さない神楽に対して、私は遂に言ってしまう。

 

「神楽だから言うが。私も…忠勝が好きだ」

 

「!」

 

「すまなかったな。さっきは曖昧な事しか言わなかった。だが、この気持ちに噓偽りを付きたくなかったんだ」

 

「そうでしたか…いつからですか?」

 

「忠勝がIS学園に入学する前から、少しだ交流があってな。その時姉さんの愚痴を聞いたり、色々話したりしてな。この人なら心を許せる存在だと思ったんだ」

 

「そうでした…」

 

「だから、無人ISがIS学園を襲撃して忠勝が重傷を負った時は、もう頭の中が真っ白になったのだ…だからこそ、私は思ったんだ。いつになるかわからないが、忠勝の隣に立てる人になるまで、この想いは諦めないと…そして、その時になったら告白しようとかんがえていいた」

 

「…箒さんは強いんですね」

 

「そんな事ない。ただ臆病なだけなんだ。…それで、神楽はどうしたい?」

 

「私は…私は出来ることなら忠勝さんの隣に立てるような存在でありたいです!」

 

そう言って、彼女は勢い良く起き上がった。

 

「ですから、私は強くなりますわ。いつか忠勝さんの隣に立てて、戦えるくらい強くなります!…そう決めました」

 

「ああ、私もそうだ。それなら、同じ気持ちの仲間として共に頑張ろう!」

 

「はい。ですが…恋の好敵手(ライバル)としては負ける気はありませんからね♪」

 

「フン、望むところだ!」

 

新たな決意をして今乙女達は立ち上がった。そして、お土産買いから戻ってきた他の女子たちが入って来た。

 

「え~何々?忠勝君の事?」

 

「あ、私達も混ぜてよ~!」

 

「2人だけでずるい!」

 

『フフフ』

 

~シャルロット・ラウラの部屋~

 

シャルロットとラウラはお揃いのパジャマ(ラウラが寝るときは裸でいるため、この合宿前に買ってきた)を着て部屋でのんびりしていた。他の女子たちは、恋バナに夢中になっていた。

 

「ねぇ、ねぇみんなはどっちがタイプなの?」

 

「私は、織斑君かな。いかにも活発な人だし、何よりイケメンだしね」

 

「私は、本多君かな~。あの強さと男らしさを持っているからね」

 

「確かに本多君、最近カッコ良くなって来たよね。この前偶々剣道部の子が着替えている本多君とかち合ったんだけど…あの腹筋は美術品のようだったって」

 

そんな会話を遠目でシャルロットとラウラは見ていた。そして、それぞれのイイ所を話し始めたのだった。

 

「確かに、忠勝ってカッコいいよね」

 

「うむ、嫁も強いからな。皆が羨ましがるのもわかるぞ」

 

「そう言えば忠勝って代表候補生の2人も勝っていからね~」

 

「嫁は、VTシステムになった全盛期のきょ…織斑先生に勝っているからな」

 

最初は温厚だった2人だったが、徐々に忠勝の自慢話に発展し始めた。

 

「む!そ、それに忠勝は、まだISを稼働して間もないのにセシリアに圧勝していたからね!」

 

「嫁は、内面でなく外見もいいからな!」

 

『ムムム~!』

 

「あ、あの~シャルロットにラウラどうしたの?」

 

2人が言い争っている所に、先程まで恋バナをしていた女子たちが恐る恐る話しかけてきた。すると2人揃って忠勝が一番だよね!と言って来たのだ。

 

『皆は忠勝(嫁)が一番だよね(だよな)!』

 

『え~~』

 

その質問に戸惑う女子達であった。

 

~セシリア・鈴の部屋~

 

「この、乳デカ女!」

 

「何ですって!この幼児体形!」

 

「いいぞ、もっとやれ!」

 

「ひゅ~、ひゅ~!」

 

ここでも、ひと悶着が始まっていた。事の発端は、セシリアがお風呂上りに付けていた黒のレース下着を1人の女子が「セシリアはエロいなぁ~」と挑発的な言葉を言った後に、鈴が「あんなのどこがいいのよ」とバカした発言をした後である。

 

「まぁ、鈴さんには一生似合わない物ですけどね」

 

「はぁ~?どういう意味よ?」

 

「言葉通りの事ですわ。鈴さんがここまで成長するのに何十年、何百年かかるかわかりませんからね」

 

「フン!デカけりゃあいいってもんじゃあないでしょ。大体あと数年後には垂れ下がるだけなんだから…」

 

「あら、それはないものねだりでしょうか?」

 

「忠勝はそんな気にしない男だからね!」

 

「忠勝さんに限ってそんなふしだらな事をしないでしょう…ってどうして忠勝さんが出て来るのですか!?」

 

鈴から忠勝の話しが出てくる事が以外であった。なぜなら、鈴は一夏の事を好きだと思っていたのだから。

 

けど、次の一言でその認識がガラリと変わってしまうのであった。

 

 

 

 

「え?だって、アタシ忠勝の事好きだから」

 

 

 

 

 

 

「え?」

 

『ええええ~!』

 

セシリアとクラスメイト達は驚愕の事実に驚くしかなかった。

 

「えっちょ待って!それ特大のスクープなんだけど!」

 

「なになに!鈴は一夏君だと思っていたんだけど!?」

 

「そ、そうでございますわ!だいたい、いつから忠勝さんの事がその…す、好きだと思っていたんですの///」

 

若干の照れながら言うセシリアに対して、クラスメイト達は『いや、そこは照れながら言うもんじゃなくね?』と思うのであった。

 

「いつからっていうか、最近かしらね。VTシステム事件以降、忠勝とか一緒に訓練する機会が増えたし、今日の海の件もあるしね///」

 

そう言って、自身の唇を触る鈴。やむを得ずとも忠勝がキスしてきた事を思い出してしまっていた。その仕草を見ていた、セシリアや他のクラスメイト達も『この子本気だ…』と思っていた。

 

これに危機感を抱いたのは、セシリアだった。セシリアは、クラス代表決定戦から忠勝の事を好きになっていた。

 

男らしさと強さ。更には更なる教養を求めて勉学する姿勢が、自身が抱く理想の男性像と重なっていた。

 

そんな中で鈴が忠勝の事を好きだと言ったから焦っていた。そして、鈴はとんでもないこと言い出した。

 

「そんなに気にしているなら、直接に忠勝に言いにくわよ!」

 

「ま、待ちなさい!」

 

そう言って、2人は部屋を出て行った。取り残された女子達は「忠勝君ご愁傷様」と心の中で祈るのであった。

 

 

 

 

 

ところ変わって、一夏と千冬の部屋。千冬は遅い業務を終えて風呂から戻ってきたところだった。

 

「お帰り千冬姉」

 

「ただいま一夏。…ふぅ」

 

「大分疲れているみたいだけど、大丈夫?」

 

「本多相手に本気でビーチバレーをしたり、小娘どもの相手をすればな…」

 

「アハハ…それじゃあ久しぶりにする?」

 

「頼めるか」

 

鈴とセシリアは忠勝がいる山田先生の部屋に行こうとしたら、千冬と一夏の中から艶めかしい声が聞こえてきたのである。

 

「あ…ん…んう」

 

「千冬姉最近溜まっているんだろう」

 

「そ、そんなこと…あっ///ないぞ///」

 

「早く楽になっちゃえよ」

 

「ううん///」

 

これを聞いた鈴とセシリアは、顔が真っ赤になりあらぬ妄想をしていた。

 

「ちょっと、ちょっと!何してんのよ!」

 

「そんな一夏さんと織斑先生が!流石にご姉弟で///でも、最近お二人とも距離が近いような」

 

「そんな事を言っている場合じゃあないでしょ!」

 

めくるめく世界へ旅立たないように、意を決して鈴が部屋前に入るのであった。その後ろにはセシリアが真っ赤になりながらも、同じように入ろうとしていた。

 

「一夏!千冬さん!それはだめーー!」

 

「そうですわよ!一夏さん!」

 

『へ?』

 

そこには、寝そべっている千冬に一夏が指圧マッサージをしているだけであった。

 

「あれ?織斑先生何をしているのですか?」

 

「なに、最近疲れていたからな。一夏にマッサージをしていてもらっていたんだ」

 

「そうなの?一夏」

 

「そんな感じだな」

 

「お前ら、一体なにを想像していたんだ…」

 

「えっと…」

 

「アハハ…」

 

笑って誤魔化そうする鈴とセシリア。だが、千冬は聞いていた2人に罰を与えようと考えていた。

 

「ちょうどいい、凰、オルコット。お前達、篠ノ之、デュノア、ボーデヴィッヒ。それと四十院と山田先生を連れてこい」

 

「それは、多くありません?」

 

「いいから、つべこべ言わずさっさと連れてこんか!」

 

『はい!』

 

ダッシュで鈴とセシリアは向かうのであった。途中に会った女子たち聞いて全員の居場所を特定して、千冬の部屋に連れて来ることが出来た。

 

「全員到着しな」

 

関係者が全員到着したのを確認した千冬は、功労者であるセシリアと鈴の他に全員分のジュースを買って来るように、一夏に言いつけた。

 

「あの~織斑先生?」

 

「何だ真耶?別に今は学校じゃあないから無礼講でもいいぞ」

 

「なら…先輩。どうして私までいるんですか?」

 

「それはだな…その前に皆のどが乾かないか?」

 

「ゼーゼー、そう言えば先ほど走って来たので、のどがカラカラでございますわ…」

 

「アタシも同じね」

 

「オイ、一夏売店に行って皆の分のジュースを買って来い」

 

「え~俺これか忠勝と卓球をしに行く予定だったんだけど…」

 

「良いから行って来い。お釣りはお駄賃にしても良いから」

 

「ちぇ~わかったよ」

 

そう言って、エコバッグ片手に渋々売店に向かうのであった。そして、全員分のジュースを買って来ると一夏は何処かに出かけてしまった。

 

そんな中千冬は備え付けの冷蔵庫からビール缶を何本か取出し「カシュ!」と心地良い音を出してゴクゴクと飲み干した。そんな中、神楽が思いっ切って聞き出した。

 

「ぷは~!うん美味い」

 

「それで、織斑先生。私達を呼び出した理由は何なんでしょうか?」

 

「そうだったな。それじゃあ…お前達、織斑と本多どっちが好きなんだ?」

 

『!』

 

薄々このメンバーで感じていた事である。そんな中、真っ先に告白したのは箒であった。それを皮切りに皆思いの丈をぶつけてきた。

 

「私は……忠勝が好きです」

 

その答えに、先ほど部屋で話していた神楽以外の人達が驚いていた。

 

「意外だな。篠ノ之は一夏を選ぶと思っていたが」

 

「確かに、以前の私なら一夏を好きになっていたと思います。けど、IS学園に入学する前から忠勝…いえ、忠勝さんとは交流がありました。ISを開発した姉に対して、自暴自棄になっていた自分を救ってくれたのですから。その他にも、無人機事件では身を挺して守ってくれた。そんな彼に惚れたのです」

 

箒の気持ちを聞いて、神楽も自身の噓偽りのない気持ちを話した。

 

「私も、忠勝さんをお慕い申しております。初めてお会いした時からでしょうか…これが一目惚れと言う感覚でした。その後から忠勝さんの事が気になりだしたのは…気付いたらずっと目で追っていました。

決定的になったのは、先のVTシステム事件ですかね。あの時に単騎で戦っている忠勝さんを見て、何て美しくて、勇猛果敢な殿方なのだと…最近は外見もカッコ良くなっている気がします」

 

恥ずかしいですわ。と言いながら顔を真っ赤にして、顔を手で隠す程だった。

 

続いてセシリア、鈴も自分の気持ちを告白した。

 

「私は忠勝さんと試合をして、殿方の素晴らしさ、強さを身に沁みました。彼は一夏さんとは違い、どんな逆境にいても最後まで諦めない心を知りました。それに、忠勝さんはとても妹想いの良い人柄だと思っておりました」

 

「アタシは、最近かしらね。VTシステム事件以降、忠勝とか一緒に訓練する機会が増えてアイツの強さを知ったわ。確かに、昔のアタシなら一夏を好きっていうかもしれない。けど、今の一夏はアタシ達の事なんて見てないかもしれない……」

 

そう言って、鈴は悲しそうな顔をしていた。確かに、今の一夏は忠勝しか見ていないかもしれない。いつか追いついて、追い越すのを目標としている。

 

鈴に続いて、シャルロットも自分の気持ちを告白した。

 

「男装でスパイ活動をしていた時に助けてくれたのが、嬉しかったなぁ。その時思ったんだ。この人になら、自分の全てを捧げてもいいと思ったんだ。それに、忠勝って何だか、栄子ちゃんと翔子ちゃんの面倒をよく見るし、一緒に生活していた時は何だかお兄ちゃんみたいな存在だったなぁ///」

 

軽く惚気が入ったが、気になってはいけないと思う。続いてラウラも自身の気持ちを告白した。

 

「忠勝と私はVTシステム事件の時に【シュバルツァー・レーゲン】のコア人格と会った。そこで言ってくれた。『信じることが出来ぬのであれば、拙者が微力ながらでは力になろう』

と…それに私は救われた。なら、今度は私が忠勝が困った時に力になろうと思ったんだ」

 

5人からの告白を黙って聞いていた千冬と真耶。こんなにも忠勝が慕われてると感慨深いものだと思う。

 

「そうか…それが、お前たちの覚悟なんだな」

 

『はい!』

 

「なら、その覚悟……私達(・・)が粉々に粉砕してやろう!」

 

「ええ、そうですね先輩!」

 

『は……え?』

 

千冬の言ったことに意味が分からないと思う5人。そして、千冬と真耶からとんでもないことがあった。

 

「実はな、恥ずかしい話し私達も本多の事が気になっておってな///」

 

「ええ、彼って勇ましくて大人っぽくて…ああいう人に守ってもらいと思いましてね///」

 

『ええ~!』

 

そう言う千冬と真耶は完全にメス顔になっていた。これが、恋する乙女なのだろうか…ともあれここにいる全員が忠勝のことを少なからず想っているということだ。

 

 

「さて、これで全員というわけではないが本心を聞けたわけだ」

 

全員ではないと言う言葉に引っかかった神楽。

 

「あの?織斑先生、先ほど「全員というわけではない」と言うのはどうことですか?」

 

「ああ、言ってなかったかもしれないが、恐らくは保険医の豊島先生も同じ思いだろう」

 

 

(そして恐らく束もそうだろう)

 

 

一番の親友が言っていた、宇宙へ行きたいという夢を忠勝は否定もせずに受け入れた。それだけで束の好感度は爆上がりだ。

 

そうでなければ、専用機等を与えるわけがない…

 

「確かに、以前私達に向かって宣誓布告をしてきましたからね」

 

以前忠勝と食事した際に、箒達に向けて『彼は誰かを好きになった事がない。だからこれだけは言っておくわ。彼が誰を選ぼうとも文句はなしよ』と発破をかけてきたのだ。

 

それ以来忠勝への想いが強くなり女としての魅力を磨き続けてきたのだ。

 

もちろん、シャルロットとラウラ。それに鈴も同様に磨き続けてきたのだ。

 

「いい面構えになってきたじゃないか。そこでお前たちに提案がある」

 

千冬が取り出してきた紙には「織斑一夏、本多忠勝による一夫多妻制制定の案内」と書かれている紙である。

 

『ええ~!』

 

「この法律が制定すれば一夏と本多には一夫多妻制が認められる。まぁ世界で2人しかいない男性操縦者だからな。その意味合いもあるだろう」

 

「しかし、大事なのは2人の意志によるものだ。それまでに誰が一番に忠勝を振り向かせるか、勝負と行こうではないか…かかってこいよ。小娘共」

 

「いざ!勝負ですよ!」

 

『はい!』

 

箒は姉である束との仲違いを完全ではないが忠勝が払拭してくれた。そんな善意である所を好きになった。

 

セシリアは素人同然の忠勝に負けたが、彼の努力する姿勢に惚れた。

 

鈴はとてつもない力に溺れる事なく、どんな困難な場合でも率先して動く彼が好きになった。

 

シャルロットは偽りの自分を守ると言い出して、帰る居場所を与えてくれた。

 

ラウラは出来損ないと言われていた自分でも、誰かに感謝させることができると言ってくれた。そして、暗い闇の中から、光り輝く世界へと導いてくれた。

 

神楽は専用機持ち達と比べると、劣る部分がる。しかし、それだけでこの想いを無下にしたくない。

 

千冬は弟と同年とは思えないくらいの包容力で、時に厳しく時に優しく接してくれる忠勝が気になって仕方がない。

 

真耶は学生時代から男の人が苦手だった。しかし、忠勝はそんな感じがなく、生徒として接しているうちに男性への恐怖が薄れてきたきっかけを作ってくてれた人だった。

 

それぞれが忠勝への想いを抱いている。この勝負…絶対に負けるわけにはいかない。そう思っている

 

さて、乙女達が自身の気持ちを暴露している頃の忠勝は、夜の海が見える場所に来ていた。昼間と違い、漆黒の闇が支配している海。

 

ざざ~んざざ~んと波音だけがこの場を支配している。

 

「ふぅ…昼間と違い、夜の海も良いものだな」

 

『そうであろう忠勝よ』

 

「その声は……大殿!ははぁ~」

 

声のする方を見ると、謎の光が集まってきた。そして、その光から忠勝の主人である神君家康公が現れた。

 

すかさず忠勝は平伏した。それを見ていた家康公は苦笑いしながら、楽にするように言って来たのだ。

 

『そう畏まるでない。今は主従関係ではないのだから。楽にせい』

 

「…大殿がそうおっしゃるのであれば」

 

『フム。それでどうじゃ?現世に転生した感想は?』

 

「はっ。学ぶことが多くとても充実しております」

 

『そうか。それは、良き事であろうな』

 

「無論でございまする。特に一夏殿の成長はめざましく、いつか拙者を超える可能性もありますでしょう」

 

『ハッハッハッ!東国随一の武将と呼ばれた、お主がそう言うので本当であろうな』

 

「ええそうでございます」

 

2人は久しぶりの談笑に花を添えていた。しかし、この談笑を物陰から聞いていた人物が1人いた。

 

(どうしてこうなった…)

 

そこに居たのは……浴衣姿の箒だった。

 

事の発端は中々帰って来ない忠勝を心配していた7人が、それぞれ手分けして探しに出かけたのだ。そして、偶然にも海へと向かう忠勝の背中を見た箒がここに来たのだ。

 

(忠勝の隣にいるのはなんだ?)

 

忠勝の隣には、光の集合体のようなものが浮遊していた。そして、その浮遊体から声が発せられた途端忠勝が平伏したのだ。

 

そこから徐々に光の集合体が、形成されて行き甲冑を纏った、恰幅のいい男性が現れた。

そして、忠勝から『大殿』と発せられた事で箒は確信した。

 

普段から武将のような喋り口調。やけに横文字が苦手だった。物事に対して大人びた回答や態度をしていた。そして、一夏や箒達と同じ年代としては異常な程の身体能力。

 

今、全てのピースが埋まった瞬間だった。箒はどうすればいいのか分からずその場に留まった。

 

『そう言えば忠勝よ。近々大きな戦が起こる気がするのじゃ…』

 

「大殿も感じておりましたか。実は拙者も良くない気を感じておりました」

 

『そうであったか…』

 

「ええ、念のためにと栄子と翔子は学園に置いて来ておいて正解でした」

 

『忠勝よ。何があっても心してかかるのじゃぞ。そちがこちら側(死後の世界)に来てもらうには、まだ早いからのぅ』

 

「無論。この本多忠勝、まだまだこれからでございまする」

 

『ふむ、その言葉を聞けただけでも儂は安心する。では、また会おう』

 

「はっ!」

 

そう言って、光の集合体は消え去り、忠勝だけしか残らなかった。箒はその場をそっと去ろうとしたが、足元にあった小枝を折ってしまい、忠勝に気づかれてしまった。

 

パキ

 

「何奴!」

 

「ひゃい!」

 

「その声は……箒殿?」

 

「あ、あははは!き、奇遇だな忠勝!こんなところに居て、何をしていたんだ」

 

「…夜の海を見ていただけでござる。昼間とはまた違った見方があるからのぉ」

 

「そ、そうなんだ…」

 

「ああ…」

 

「…」

 

「…」

 

2人の間には微妙な空気が流れた。それを破ったのは、後から来たセシリア達であった。その手には懐中電灯が握られており、2人を探しにきたのが良く分かる。

 

「あー!ここに居ましたのね!」

 

「探したわよ。全く何処に行っていたのよ」

 

「心配したんだよ。もぉ~」

 

「夫を心配させるとは、出来ない嫁は困るぞ」

 

「本多…それに篠ノ之もいたか。良かった」

 

「本多君!探したんですよ~!篠ノ之も居なくなったと聞いてビックリしたのですから」

 

「皆の者。心配かけてしまい申し訳なかった。さて、行こうかの箒殿」

 

「う、うむ…」

 

結局のところ忠勝の正体について聞けなかった箒であった。

 

しかし、こればかりはタイミングがあると思い、次の機会にでも聞いてみることにした。

 

 

 

 

同時刻、アメリカ空軍基地

 

そこには、1機のISが鎮座していた。白色を基調とし大型スラスターの他に、両手両足に4つ噴出口が存在し、補助推進用のブースターが取り付けられている。まるで翼の様な形をしており、音速飛行を可能にするかのような形をしていた。

 

「まったく、いつになったら飛べるのかしらね」

 

「そうごねるなよ。こっちなんて夜通し作業をしているんだ」

 

「分かっているわよ。ただこの子が「飛びたい!」言っている風に聞こえてね」

 

「そうかい」

 

そう言っているのはアメリカ軍のISテスト操縦者ナターシャ・ファイルス。

 

彼女はISスーツに身を包み、自身のISである【シルバリオ・ゴスペル】の調整完了を今か今かと待っていた。

 

「まぁ万全の状態でこの子と飛びたいものね」

 

「よし!終わったぞ」

 

整備員の作業が完了し、これでやっと飛ぶことが出来る。

 

「サンキュー」

 

 整備が終わると同時に、軍服の男が近づいてきた。この人がこの基地の最高責任者である。

 

「ナターシャ中尉出られるか?」

 

「いつでも行けます」

 

「よろしい。なら、これより【シルバリオ・ゴスペル】のテスト飛行を行う」

 

「了解!」

 

ナターシャは【シルバリオ・ゴスペル】の待機状態である、銀の翼をした左耳のイヤリングを叩いた。

 

(行くわよ…ベル!)

 

そして、全身装甲(フルスキン)の格好になり、カタパルトへ向かった。

 

『各員、所定の位置につけ。整備班は退避せよ。繰り返す…』

 

整備班の退避が完了すると、システムがオールグリーン状態になった。

 

「システムオールグリーンを確認」

 

『整備班の退避を確認。発進どうぞ』

 

「ナターシャ・ファイルス【シルバリオ・ゴスペル】出るわよ!」

 

カタパルトから射出されたナターシャはGを感じながら青空へと出て行った。空から見た基地はちっぽけであるが、空の雄大さに比べると些細なことだった。

 

「綺麗…」

 

『ナターシャ中尉。青空に惚けているのもいいが、テストの方も頼むぞ』

 

ナターシャ「了解!これより攻撃モードに移行します」

 

 そう言って銀の鐘《シルバー・ベル》とエネルギー翼を稼働し、目標物をロストさせた。

 

『ナターシャ中尉。ご苦労だった。帰投してくれ』

 

「了解」

 

そして、軍へ帰投する途中で、事件は起きた。突如として、【シルバリオ・ゴスペル】からエラー警告が発生した。

 

「え!」

 

『どうした、ナターシャ中尉!』

 

「わかりません!」

 

その後、コントロール不能になり、思い通りに動かなくなった。

 

「どうしたの!答えてベル!」

 

この状況に管制室は大慌てになった。すぐさま強制終了を試みが、全てのアクセスを拒否。制御不能状況になってしまった。

 

『大変です!』

 

「どうした!」

 

『【シルバリオ・ゴスペル】コントロール不能!こちらかのアクセスが拒否されました』

 

「なに!至急IS部隊を出撃させろ。何としてでも止めるんだ」

 

暴走した【シルバリオ・ゴスペル】を止めるため、4機のISが向かったが、4機とも撃墜された。幸いにも、操縦者は無事だった。

 

ナターシャを乗せたまま制御下を離れた【シルバリオ・ゴスペル】は暴走モードに突入。IS学園上層部にその情報が入ったのが暴走から2時間後の事だった。

 




前回より臨海学校編がスタートしましたが、ここで2023年の投稿は最後になると思います。

それでは皆さん少し早いですが良いお年を~!
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