戦国武将がIS世界で生きていく   作:とあるP

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第壱拾八話 忠勝の臨海学校(前編)

結局箒は忠勝の事を聞けず、夜が明けた次の日。一夏はトイレに行く為に縁側を歩いていた。

 

そして、何故か地面に突き刺さっているうさ耳カチューシャを見つけたのだ。ちょうど同じ時にセシリアも合流していた。

 

「……」

 

「何をしていらっしゃるのですか?」

 

「いや、ちょっとな…」

 

何か覚悟を決めた一夏は思いっ切り地面に突き刺さっているうさ耳カチューシャを引っこ抜いた。

すると、スポっと抜けて数秒後に人参型のロケットが一夏めがけて落下して来た。

 

ヒューーーン

 

「へぁ!?」

 

ズドーン!

 

そこから現れたのは、ゴスロリ仕様ファッションに包まれた篠ノ之束が現れた。

 

「オス!オス!束さんだよ~!あ、いっくんヤッホー!」

 

「お、お久しぶりです…束さん」

 

「おひさ~!そう言えばいっくん!箒ちゃんとたっちゃん知らない?全然箒ちゃんレーダーにも引っかかりしないんだよね~」

 

「さ、さぁ?てか、束さん。たっちゃんって誰ですか?」

 

「たっちゃんは、たっちゃんだよ~。まぁいいや。私が作った箒ちゃんレーダーが反応しているから、あっちに行くぜベイベー!」

 

そう言って、束はうさ耳カチューシャを付けて、カチューシャが示す方向へと走り出したのだ。

それの姿に啞然としていた、セシリアが一夏に聞いてみるのであった。そして、意外な人物に驚いた。

 

「一夏さん。今の人は?」

 

「ああ、あれは束さんだよ」

 

「ええ~!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方で忠勝は1人海岸で素振りをしていた。いつでも鍛錬を欠かすことなく、やっていることで、今日は同室の真耶が起きる前に部屋を出て、竹刀を振っていた。Tシャツを羽織ったとしてもわかるくらい筋骨隆々の身体に大量の汗がにじむ。

 

「997…998…999…1000…ふぅ…ちと休憩するかのぉ」

 

そう言って、タオルで汗を拭こうとしたら同じく竹刀を持って来た箒が現れた。

 

「おはよう。忠勝」

 

「うむ、おはよう。箒殿」

 

箒は、目の前にいる人物が、戦国武将本多忠勝と同一人物だとは未だ信じられず、忠勝をジッと見ていた。

 

「?…どうしたでござるか?」

 

「………いや何でもない。それよりも一手、手合わせを願いたい」

 

「いいでござるよ」

 

そう言って、忠勝は汗を拭き終わると箒と対峙した。箒も竹刀を持ち忠勝と対峙していた。

 

「……」

 

「……」

 

数秒の沈黙が流れる。対峙している箒は感じていた。

 

(これは……勝てない)

 

勝てるビジョンが見えないのだ。自身が培ってきた剣道の経験を活かしても、相手は戦国最強の武将本多忠勝なのだ。

 

箒は胸を借りる思いで忠勝めがけて突進していく。忠勝は黙って突進してくる箒を見ていた。

 

「…でりゃぁぁぁ~!」

 

「……」

 

ガツン、ガツンと何度も打合い箒はチャンスを伺う。しかし、忠勝は一向に隙を見せなかった。

 

それどころか、重い一撃を受け止めようとする箒の方が隙だらけとなり、首筋に忠勝の竹刀が当たった。

 

「一回」

 

「くっ…まだまだ!」

 

箒は一旦距離を置く。そして、忠勝の足元を狙って、姿勢を低く、先程よりも速い神速のごとく距離を詰めていく。

 

それを見た忠勝は構えを解くと、目を閉じて居合の構えをした。箒が仕掛けると同時に竹刀を抜き、防いだ。

 

そして、返す形で箒の頭に竹刀を置いた。

 

「二回」

 

「っく……参りました」

 

悔しがる箒を他所に、忠勝は賞賛の声を箒に向けるのであった。

 

「いや、拙者も危うく、やられるところだったでござる。成長したのだな箒殿」

 

「忠勝…」

 

「前に剣道場で対峙した時とは違う気迫であった。余程努力して来たのであろうな」

 

「うっ!まぁあの時は冷静でいられなかったからな…反省している」

 

「そうでござったか。そろそろ朝餉の時間でござるな…拙者はちと、汗を流してから向かうのでな。では」

 

そう言って、忠勝は一旦部屋に帰っていくのであった。箒も帰ろうとした時に、手が震えている事に気が付いた。

 

(たった数回しか、打ち合っていないのにここまでとは……まだまだだな)

 

忠勝が戻ってくると、既に真耶は起きていた。忠勝は急いでシャワー浴びて汗を流して食堂へと向かうのであった。

 

「おはようございます。本多君」

 

「おはようでござる。山田先生、直ぐに汗を流す故ちと待たれよ」

 

「いえいえ!大丈夫ですから、ゆっくりしてくださいね」

 

「わかった。では、行ってくるでござる」

 

(キャー本多君凄い身体でしたね///…男の子って言うよりも、男性と言えばいいんでしょうか。しかし、とてもカッコイイですね///)

 

「山田先生。拙者の方は準備が出来ているでござるよ。行こうか」

 

「はい!」

 

山田先生と食堂へ向かう途中で忠勝ラバーズと一夏、千冬と合流した。その時若干山田先生の顔が、赤く染まっていたことが気になった千冬。

 

「おはようございます。織斑先生、一夏。箒殿、セシリア殿、鈴殿、シャルロット殿、ラウラ殿」

 

『おはようございます(ですわ)』

 

「山田先生…本多とやましい事とかないですよね?」

 

千冬の質問に対して、目を逸らしながら答える真耶。本人としては、やましい気は一切ないが、千冬に言われて少し怖くなったのだ。

 

「イエ、ナニモナカッタデスヨ…」

 

「本当ですね?」ゴゴゴゴゴゴ

 

「ハ、ハイ!」

 

そして、朝食を食べて一行は海岸へと向かった。

 

今日は1日使ってISの実習がある。一般生徒はISに触れるまたとないチャンスで、整備課志望の子達は操縦者志望の子達のISを整備できる。逆に操縦者志望の子達はこの機会に、IS完熟訓練を受けることが出来る。

 

逆に専用機持ちは、本国から送られてきたパッケージや武装をインストールし、その訓練をする作業がある。

 

そんな中、専用機持ちのグループへ案内されたのは、一夏、忠勝、セシリア、鈴、シャルロット、ラウラ、そして箒の姿があった。

 

ここに来て、不安を感じていた箒がおずおずと質問した。

 

「全員揃ったな」

 

「あの~織斑先生」

 

「何だ」

 

「私は、専用機を持っていませんが」

 

「その事なのだが実は「ちーーーーちゃーーーーんーーーー!うん…はぁ…」

 

「はぁ…すみません…」

 

千冬と箒が頭を抱えていると、不思議の国のアリスの服を着て、うさ耳カチューシャを身に付けた、(天災)が笑顔で走って来た。

 

そして、ハグをしようとした時に、千冬の右手イアンクローによって止められた。千冬は万力のごとく束の頭を締め上げる。ギギギ…と人間が上げてはいけない音が響くのであった。

 

「さぁハグハグしよう!愛を確かめ合うよ!」

 

「束いい加減にしろ!」

 

「あ、ちょっと待って!割れる!頭が割れる!!」

 

「良い事だ!これで、両方の脳で考えられるぞ」

 

「ああああああああ!い、イクぅぅぅ~何か目覚める~!」

 

「!織斑先生、それ以上はいけないでござるよ」

 

「むぅ、そうか」

 

忠勝の一言で、千冬は束を解放した。解放された束は、忠勝の背中に隠れて、千冬を馬鹿にし始めた。

 

「たーちゃん~!ありがとう~///」

 

「礼には及ばんでござるよ。それにしても、束殿はどうしてここに?」

 

「そうだぞ姉さん!いい加減話してくれないか」

 

「わかったよ。さぁ!大空をご覧あれ!」

 

そう言うと空から、銀色のコンテナが1つ落ちてきた。そして、中から赤いISが鎮座していた。

 

「最高性能にして規格外!そして、最新にして最強のIS。その名も【紅椿】」

 

「紅椿…」

 

真っ赤なフォルムにシャープな出で立ち。いかにも高機動に特化している機体であり背中の翼部分から赤いリフレクターが目立つ。そして、両方にある2本の刀が印象的だった。

 

「どう?気にいってくれた?」

 

「…はい」

 

「じゃあ、今か最適化(フィッティング)と初期化(フォーマット)とかしちゃうから待っていてね」

 

そう言って、ISにコードを刺して4つのキーボードと4枚の空間パネルを見ながら、物凄い早くタイピングをしている。

 

どうやら、最適化(フィッティング)を同時に、かつ高速で行っているようだ。

 

「箒ちゃんのデータは予め入力していたから、誤差修正するくらいだね。あれ?またおっぱいが大きくなる!」

 

「姉さん!余計なこと言わなくていいから!」

 

「アハハ!ごめんごめん」

 

そう言って、一瞬忠勝の方を見た。忠勝は平常心でいたが、箒は心の中で(恥ずかしい///)と思っていた。

 

順調に進んでいる箒の最適化(フィッティング)と初期化(フォーマット)だが、ある生徒が発した一言でこの場が荒れた。

 

「でも、これって篠ノ之さんが血縁関係だから、貰えたんだよね…」

 

「いいよね~開発者の妹さんだと」

 

「はぁ~何だったのかな。今までの時間は…」

 

この発言だと、妹贔屓で貰えたことになっている。忠勝は、フォローしておかないといけないと思っていた。

 

「…確かに束殿の血縁者と言うだけで専用機を貰える。それも一つの可能性でもあるでござるな」

 

「っ!」

 

「しかし、それ以上に箒殿は陰なら悔しがっていた。無人機事件やラウラ殿のVTシステム事件時に、自分だけ専用機がない事を悔しがっていたのだ」

 

「自分に専用機があれば、一夏や皆と一緒に戦うことが出来ると…」

 

忠勝は知っていたのだ。箒が無人機事件の時に放送室に駆け込み、一夏や忠勝に鼓舞したこと。VTシステム事件の時には、生徒達と避難するしか出来ないことについて、歯がゆさを覚えていたのを…

 

その事を箒は黙って聞いていた。

 

「…」

 

「拙者は最初から専用機を与えらた。しかし、与えられた(専用機)を腐ることをせずに努力し続けた」

 

「拙者には叶えたい夢がある。それは、壮大な夢である故に実行するには難しいだろう。しかし、ISと出会い。束殿の夢を聞き、この忠勝大いに感服致した。そして、専用機の意味や重みを知った」

 

一度言葉を切ると、一夏や箒達を見渡した。この人達がいたから、ここまでやって来れたと改めて思ったのだ。

 

「それにいい友人達を持った。もし、まだ言いたい事があるのであれば、拙者が相手になろう」

 

そう言って、箒の前と女子生徒との間に立った。それを見た箒は(ありがとう忠勝)と思っていた。

 

「ふ、フン!何よ!ちょっとムキになっちゃてさぁ」

 

「すまんな。しかし、其方も努力すればいつか報われる。そう信じているでござるよ」

 

「…ちっ、調子狂うわね。行くわよ」

 

「あ、ちょっと待ってよ」

 

「待って~」

 

あれほど騒いでいた女子生徒は遠巻きを連れて旅館の方に逃げて行った。

 

「ありがとうねたっちゃん」

 

「大丈夫でござる。それと、すまなかった。箒殿を励ます事が出来ず…」

 

「ううん。さっきのゴミに比べれば些細な事だよ」

 

「束殿…ありがとう」

 

束と忠勝がなんかいい雰囲気に、なったので千冬がわざとらしく咳き込む。

 

「オッホン!それで篠ノ之の方はどうなっている?」

 

「もう終わってるよ~」

 

そう言って、コードを抜いて箒はその場で起動と試運転を兼ねて上空に飛びたった。

 

「それじゃあ箒ちゃん。武装から説明するね」

 

「お願いします」

 

「うん!先ずは、右側に付いている日本刀型ブレードのが雨月(あまづき)って言って、打突に合わせてエネルギー刃を放出するよ。射程はアサルトライフル程だよ。じゃあこれを撃ち落としてみて~」

 

そう言って、何処からともなくミサイルランチャーを展開させて、箒めがけて発射した。箒は追尾性の高いミサイルをかわしながら雨月を突き出した。

 

「はぁ!」

 

その時、巨大なエネルギー刃が飛び出しミサイルを木端微塵にした。

 

「うんうん!いい感じだね!じゃあ今度は左側に付いているもう一本のブレードは空裂(からわれ)だよ。対集団仕様の武器で、斬撃に合わせて帯状のエネルギーを放って、振った範囲に自動展開するよ。じゃあもう一回いくよ~」

 

また、同じ様にミサイルが発射された。しかし、空裂を振るうと帯状のエネルギー刃が飛び出し、箒に向かってきたミサイル群を一掃した。

 

「出来る!この紅椿があれば!」

 

箒は喜んでいたが、忠勝は逆にそれを危惧していた。今の箒は初陣前の自分と同じであった。自分は何でも出来ると思っている。

 

だが、それは違う。新しい物を使うということは、使い方を知らないと手痛いしっぺ返しを受けることになる。それを忠勝は危惧している。

 

後にその手痛いしっぺ返しが、忠勝や一夏を傷つける事をこのことまでは知る由もなかった。

 

その時、手にタブレット端末を持って焦っているようにして旅館の方から真耶が走って来た。

 

「織斑先生~大変です!」

 

「どうした?」

 

「これをどうぞ」

 

「特殊任務レベルAか…」

 

真耶から受け取ったタブレット端末を見て千冬の目付きが変わった。

 

「訓練は中止する!一般生徒はISを片付けた後に旅館の自室で待機!一歩も外に出ることは許さん!もし破った場合、それ相応のカリキュラムを受けてもらうぞ。篠ノ之と専用機組はこっちだ」

 

そう言って、旅館に戻って行った。箒を加えた専用機組と束も部屋に集合した。そして、千冬から概要が説明された。

 

「全員いるな。それでは説明する。今から4時間前アメリカ・イスラエル共同開発の軍用IS【シルバリオ・ゴスペル】通称を「福音」と言う。その福音が制御訓練中に暴走。制御下を離脱した」

 

千冬からの説明に、疑問を持ったラウラが質問をした。

 

「それと、今回の招集に何か意味があるのでしょうか?」

 

「実は、その福音が今から2時間後に、ここから2㎞先の沖合を通過する。そして、IS学園上層部から連絡が入り……この問題は専用機組で行うことになった」

 

『…』

 

皆事の重大さに気づいて何も言えなかった。ただ一人を除いて…

 

「なぁ忠勝。軍用ISってなんだ?」

 

『はぁ~』

 

「一夏…」

 

「な、なんだよ!」

 

一夏の質問に対して、呆れていた忠勝と鈴達は、軍用ISが何かを説明する必要があると思った。

 

「はぁ~アンタバカ!いい、私達は競技用に改造されているから威力もダメージもそんなにない。けど、軍用ISはそれを遥かに上回る威力と速力もあるの!ましてやアメリカとイスラエルなら、それなりの装備をしているでしょうね」

 

「…マジかよ」

 

「これで事の重大さがわかったでござるな」

 

「なんとなく…」

 

「はぁ…」

 

とりあえず、一夏には説明したけど納得出来ない部分があり、忠勝は千冬と真耶に問い詰めた。

 

「織斑先生。教師陣はどうなさるおつもりでござる?」

 

「その…」

 

「ハッキリと申し上げてくだされ」

 

「…我々は海上封鎖と旅館の防衛にあたる。すまない…」

 

「あいわかった。それを聞いて安心した」

 

「安心した?」

 

「うむ。拙者達が全力で止めることが出来るからでござるよ」

 

そう言って、みんなを見た。皆既に覚悟を決めており、やる気があった。

 

「すまない。それでは本題に戻るぞ」

 

千冬のブリーディングをする始めにセシリアが、対象ISの詳細なデータを要求してきた。

 

「織斑先生、相手の詳細なスペックを教えてください」

 

「いいだろう。しかし、情報漏洩には気を付けろ。もし漏洩した場合、皆には2年間の監視と査問委員会への招集がかかることになる」

 

「構いません。お願いします」

 

「わかった。山田先生お願いします」

 

「はい」

 

そう言って、真耶は卓上の空間ホログラムに福音のスペックを映し出した。

 

「兵装に関しては、以下の通りです」

 

「広域殲滅を目的とした特殊射撃型で、オールレンジ攻撃を行い、攻撃と機動の両方に特化した機体か。中々に厄介だね」

 

「『銀の鐘シルバー・ベル』。大型スラスターと広域射撃武器を融合させた新型システムで36の砲口をもつウィングスラスターですか」

 

「拙者はこの『エネルギー翼』?が気になるのぅ。まだ正体がわからなぬ故に対処のしようがない」

 

「それに、最高速度は時速2450kmを超える飛行が可能か…」

 

「そうだ、だから今回はアウトレンジ攻撃ではなく、一撃離脱の戦法にする」

 

「そうなると」

 

皆一斉に一夏の方を見た。一夏は突然見られて焦っていた。

 

「お、俺か!?」

 

「そうよ。アンタの零落白夜で倒すしかないのよ」

 

「織斑。これは、強制ではない。もし辞退するのであれば先に行ってくれ」

 

「一夏。織斑先生が言ったように、この戦には其方の力が必要なんだ。しかし、織斑先生が言ったように強制ではない」

 

皆から言われて一瞬戸惑ってしまう一夏。だが、彼の決意は固かったようだ。

 

「俺は、まだ分からない。けど、皆が必要と思っているのであれば俺は全力で戦う!」

 

「…分かった。それでは本作戦の指揮はボーデヴィッヒに任せる」

 

「は!」

 

そう言って、ラウラは福音捕縛作戦の概要を説明し始めた。

 

「では、作戦について説明する」

 

「先ず、私とセシリアで遠距離攻撃を仕掛ける。それと同時に鈴とシャルロットで福音をかく乱する。そして、嫁と箒で注意を引き付け、最後に一夏で目標ISに『零落白夜』を行い福音を無力化、捕獲する。以上が大まかな内容だ。問題は…」

 

「どうやって福音まで一夏を連れて行くかね…」

 

そう。一撃必殺である零落白夜をする為には、ギリギリまで一夏の力を温存させる必要がある。

 

その為には無駄なエネルギーを使わない様にするために、一夏を福音の近くまで運ぶ必要がある。

 

皆が頭をひねっている中で束が現れて、名案?を言って来たのだ。

 

「ハイハイ!いい案があるよ!」

 

「山田先生、こいつを引っ張り出してください」

 

「は、はい!」

 

「そんな事言わないでよちーちゃん」

 

「ちーちゃん言うな!それで、いい案があるのか?」

 

「モチノロンだよ!ここは、断然紅椿の出番だよ」

 

「なに?」

 

「だって、紅椿にはパッケージ換装を必要としない万能機が付いてるんだもん。それに、自動支援装備と展開装甲を持って高速機動もこなす優れものさぁ~」

 

「更に攻撃・防御・機動の全てに切り替えて、即時対応できる即時万能対応機(リアルタイム・マルチロール・アクトレス)がいっくんと箒ちゃんをサポートするからね」

 

「束!また余計なことをペラペラと!」

 

「アイアンクローはやめて!」

 

「仕方ない。先程の作戦を修正する。福音には、織斑・篠ノ之両名が当たれ。それ以外は先程と同様だ。作戦決行は今から2時間後では、解散!」

 

『了解!』

 

皆は早速準備に取り掛かった。それぞれが準備している中忠勝は箒を呼び出した。

 

「箒殿ちとよろしいか?」

 

「ああ、いいぞ」

 

「箒殿。今回の戦だが、決して突出する事はなかれよ」

 

「どうしてだ?」

 

「箒殿は今浮かれておる。専用機を持ったことで慢心している部分がある。拙者も言えた立場ではないが、決して無理をしないことだ」

 

「なんだ、その事か。大丈夫だ。私はいつも通りだ!」

 

「…だと良いが」

 

「では、行ってくる!」

 

「うむ…」

 

その言葉を言ったきり、箒は準備に向かうのであった。

 

忠勝もIS【samurai】の準備をすべく、武装チェックをしていると、突然腕を引っ張られ、旅館の奥へと追いやられた。

 

そこには、清香をはじめとした1組のクラスメイト達が居た。

 

「うぉ!何事でござ「しーー!」うむ?…皆どうしだのだ?」

 

「えへへちょっと忠勝君に用があってね」

 

「拙者にでござるか?」

 

「うん。ほら、早くしちゃいなさいよ」

 

「で、でも…」

 

清香の後ろでもじもじしている、女子生徒が居ることに気が付いた忠勝。痺れを切らした清香は、その女子生徒を忠勝の前に出した。

 

「あ~もう、じれったいなぁ!ほら!」

 

「きゃ!」

 

その女子生徒は神楽であった。神楽の手にはお札の様な物が握らていた。

 

「神楽殿?どうしたのでござるか?」

 

「えっと…その…」

 

「うむ?」

 

まだ、もじもじしている神楽を見かねた、静寐が神楽の代わりに説明するのであった。

 

「えっとね。神楽が忠勝君に渡したい物があるって言ったのよ。けど、1人だけだと無理だから付いて来てほしいと言ってね。…ほら、忠勝君行っちゃうよ」

 

「は、はい!すぅ~はぁ~…あの、た、忠勝さん」

 

「うむ」

 

「えっと…これから大変な事をすると思います。私達は専用機がないので、一緒に行けませんが、せめてもの思いで作りました。どうか受け取ってください」

 

そこには、継ぎ接ぎだらけの御守りがあった。お世辞にも上手とは言えない代物だ。だが、皆の想いが詰まった御守りだった。

 

「これは?」

 

「皆で一針一針縫いました。どうか…どうかご無事で」

 

「因みに、『御守り』の文字は神楽が縫ったんだからね。忠勝君が大切な存在だってね」

 

「!ちょっと静寐ちゃん!?」

 

「あははは。だから忠勝君絶対に、絶対に帰って来てね!」

 

「無論、この身に変えても戻って来るでござるよ」

 

そう言って、皆からの『御守り』を首からさげて出撃準備をする為に戻っていった。

 

その後ろ姿をクラスメイト達は、ただただ見守るしかなかった。そんな中神楽だけは、心の中で『神様。忠勝さんをお願い致します。必ず戻って来てください』と祈っていた。

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