一応生きてます。
第七話 忠勝と中国代表候補生との邂逅
忠勝の部屋に一泊したセシリアは、栄子と翔子を連れて一緒に食堂に向かって行くのであった。
忠勝は朝練(自己メニュー+千冬との模擬戦闘)をしている為に3人で向かう途中その姿を静寐達にバッチリ見られてしまった。
「あら、セシリア!おはよう!」
「おはようございます皆さん。これから朝食ですか?」
「うん!そうだ、セシリアも一緒に行かない?」
「ええ、人数が多い方がいいですから」
「行こうよ~!」
「わかりました。それじゃあ、行きましょうか。栄子ちゃんと翔子ちゃん」
『はい(は~い)!』
「え?栄子ちゃんと翔子ちゃんも一緒だったの?」
「はい。兄上は鍛錬から戻って来ると思うので、そろそろ来ると思います」
「うん!それでね、「栄子と翔子はセシリア殿と一緒に朝餉を取ってきなさい」ってお兄様が言ってたんだ!」
「ほう~一緒にねぇ~」
その言葉にニヤニヤとしたのは静寐だった。そして、指摘されたセシリアは焦ってしまうのであった。
「な、何ですの!?」
「別に~私達は、忠勝君と誰かが一緒にいてもどうでもいいけど…あの人は黙っていないと思うなぁ~」
「あの人とは?」
そんなこと言っていると、セシリアの後ろにある柱から般若の面を被ったような面構えの人物がいた。
箒だった。
それを知らぬセシリアは栄子と翔子と一緒に朝食を取る為に静寐、本音、神楽で食堂へと向かうのであった。
「ぐぬぬぬ~セシリアの奴~栄子と翔子と一緒に朝食とは…羨ましい」
「そんなに行きたいなら、行けばいいだろ。忠勝もそろそろ来るんだからさぁ」
「それは、そうなのだが…」
「それに、箒がそんなに忠勝の事好きならサッサと告白しちまえばいいじゃないか」
「こ、告白!?そ、そ、そ、そんなの…出来るわけないだろ///」
確かに箒は忠勝に憧れはあるものの、これが男女の好きなのか分からなかった。
それよりも、一夏から告白してしまえばいいと出てくること自体がおかしな話しなのである。数多の女子生徒達からの告白に対して、勘違いさせている本人から「告白してしまえ」と言ってくるのであった。
そんな事をしている内に忠勝も鍛錬から合流して、栄子と翔子、それにセシリアと一緒に朝食を取り始めるのであった。
「皆おはよう」
『おはよう忠勝君!』
「うむ、今日も息災で何よりだ。栄子と翔子もすまんかったな。では一緒に朝餉と参ろうか」
『はい、兄上(お兄様!)』
「セシリア殿も栄子と翔子の子守りかたじけない」
「いえいえ!とても楽しかったですよ。またお願いいたしますわ///」
「おお、そうであったか…なら、今度もよろしく頼む」
「はい///」
そんなやり取りを静寐達は生暖かい目で見守るのであった。
朝食を終え、栄子と翔子を保健室に預けて教室に入ると、忠勝は箒と目が合った。
すると、箒は頬を赤らめて視線を外してしまった。これを不思議に思った忠勝は、箒に詰め寄った。
「箒殿いかがいたした?」
「た、た、忠勝!?大丈夫だ!何でもない///」
「何でもない訳なかろう。熱でもあれば大変だ」
「大丈夫…大丈夫だ///」
「そうであったか…なら、良いのだが」
箒が一方的に自爆している中で話題は、再来週に行われるクラス対抗戦の話しになった。
「織斑君再来週のクラス対抗戦頑張ってね!」
「おう!任せておけ!」
「期待しているからね」
「ああ、頑張るよ!」
再来週のクラス対抗戦に優勝したクラスには『半年間有効のスイーツ食べ放題』が付いてくる。みんな躍起になっている中ある情報が飛び出してくるのであった。
「今のところ専用機持ちは1組と4組だけだから勝てるよ!」
現在1年生の専用機持ちは1組と4組だけである。最も4組の子は、とある事情により機体の完成が出来ていない。なので、専用機持ちである一夏が1歩リードしている状態なのである。
しかし…
「その情報古いわよ」
その情報に待ったをかける人物が現れるのであった。
その人は、ドアに背中を預けて決めポーズまでしている。ツインテールに八重歯、小柄なその子は、ツカツカと一夏の前までやって来ると高らかに宣言してきた。
「2組も専用機持ちになったからね!そう安々と勝ちを譲る気はないわよ!」
「鈴?お前、鈴なのか!」
「そう、、
「久しぶりだな!元気だったか?」
「そっちこそ、偶には風邪ひきなさいよね」
何やら、楽しげに話している2人だが会話はある人物の途中で中止となった。
「ちと、よろしいか」
「何よ!…ってアンタデカいわね」
「うむ。自己紹介をしたいのは山々だが、アレを見てもらおう」
「あれって?…っひ!」
そこには1年1組の主任教師で
真っ黒なタイトスカートに鷹の様なツリ目。10人が10人美人と答えるスタイルの持ち主。織斑先生こと織斑千冬がそこにいた。
「そこをどけ凰。授業の邪魔だ」
「げ!ち、千冬さん…」パン!
「織斑先生だ。早く教室に戻れ」
「は、はい!じゃあね一夏!逃げるんじゃあないわよ!」
急いで教室に戻る鈴を尻目に、一夏は何処か懐かしさを覚えていた。
「アイツもIS学園に来たんだな」
この発言に箒、セシリア、他の女子生徒達は訳アリだと思うのであった。
昼休み。忠勝達は食堂に向かっていた。今日の昼飯をどうするかなどの雑談をしていると、入口のところに、ラーメンのお盆を持って立っていた鈴の姿があった。
「待っていたわよ一夏!」
「悪いな、そこ入口だから通るの邪魔になっているぞ」
「わ、分かっているわよ!」
鈴が入口から退くと、忠勝達は今日の昼飯を選ぶのであった。それぞれが注文し、大人数が座れるテーブルに陣取っている鈴を見つけると、一緒に食べ始めるのであった。
「それにしても驚いたわよ。アンタがISを使えるなんてね」
「まぁな。それよりも、叔母さん元気にしているか?」
「え、ええ…まぁね…」
何だか訳ありの様な言い方だった。それよりも箒とセシリアは一夏に鈴がどんな存在なのか聞きたかった。
「一夏、そろそろ教えて欲しいのだが?」
「妙に親しい感じがしますが、一夏さんの彼女さんでしょうか?」
「か、彼女!///」
「あ~違う、違う。鈴とは幼馴染なんだよ」
「幼馴染?てっきり、私だけだと思っていたが」
「箒は小4まで一緒だっただろう?その後に鈴が来て、小5から中学まで一緒だったんだよ。だから、箒はファースト幼馴染、鈴はセカンド幼馴染ってわけだ」
一夏は丁寧に説明したつもりだったが、鈴は納得いかない様な表情をしていた。
「フン!」
「うん?どうした?」
「別に…」
鈴は怒ってそっぽを向いてしまった。その後は、各々自己紹介をしていた。
「じゃあ、改めて。中国代表候補生、凰 鈴音って言うわ!気軽に鈴って言ってね」
「篠ノ之箒だ」
「イギリス代表候補生のセシリア・オルコットっと申しますわ。以後お見知りおきお」
皆が自己紹介を終わった時、鈴は忠勝達をジッと見ていいた。いや、睨んでいた。
「拙者は本多平八郎忠勝と申す。こちらは、妹の栄子と翔子だ。栄子と翔子挨拶を」
『はい(はーい)』
「お初お目にかかります。本多栄子と申します」
「本多翔子です!よろしくお願いします!」
元気よく栄子と翔子は挨拶を済ませると鈴はジッと忠勝を見ていた。
「そうなのね…アンタが2人目の緒男性操縦者っての?」
「如何にもそうでござる」
「フ~ン…」
先ほどの声とは一転。真剣に忠勝を観察するのであった。
そして、一通り見て改めて自己紹介をするのであった。
「結構強いわねアンタ」
「それ程でもないでござる」
「まぁいいわ。アタシは凰 鈴音。鈴って呼んでちょうだい。アンタの事は忠勝でいいわよね」
「ああ、こちらこそよろしくでござる。鈴殿」
そうって、鈴と忠勝は握手をするのであった。これを面白くないと思ったのは箒とセシリアだった。そして、皆で食事をするのであった。
忠勝と栄子と翔子は揃って麦飯ととろろ。沢庵に塩サバと質素な食事であった。一夏からそれで足りるのか?と聞かれ。「大丈夫だ」と答えるのであった。
食堂を出て教室に向かう途中忠勝は、箒の元に行きある事を聞いていた。
「箒殿ちとよろしいか?」
「どうしたんだ忠勝?」
「放課後なのだが、剣道場へ案内してもらいたい」
「へ?」
箒にしては間抜けな答えが出てしまった。更に忠勝は続けた。
「是非とも拙者と手合わせを願いたい」
「え、え、え!ど、ど、どうしてだ!?」
突然の申し出にただただ驚く箒。しかし、忠勝は知りたかったのだ。その理由は…
「それはな、箒殿の実力を知りたいのだ」
「私の実力…だと?」
「左様。箒殿の太刀筋がどのようなものか。その剣技。そして、拙者が守るべき人なのか…」
「忠勝…」
忠勝の目は真剣そのものだった。これに答えるべく箒は考えた。
そして…
「…わかった。その申し出受けよう」
「かたじけない!」
「だが、準備等がある為少しだけ待っていてほしい」
「無論。その時まで待とう」
こうして、箒と忠勝の試合が決まったのであった。
放課後。箒に「少しだけ待っていて欲しい」と言われた忠勝は1時間くらい遅れて剣道場を訪れていた。
そこには、部活動で汗を流している部員達が居た。
「え!ほ、本多君!?どうしてここに?」
「ウソ!あたし汗臭くないよね?」
「やだ~メイク落としちゃった!」
忠勝が剣道場に入った途端、女子生徒達の動きが変わった。
憧れの男性操縦者がここに来たのだ。部活動で汗臭くないかを確認する者。そんな中忠勝は1人の女子生徒達に箒が何処にいるか聞くのであった。
「つかぬ事聞くが、箒殿は何処に?」
「え!篠ノ之さんなら、少しだけ遅れて来るって言っていたよ」
「そうか…ちと早すぎたか」
忠勝がどうすればいいのか考えている中剣道部らしき人が、忠勝にこんな提案をしてきたのだ。
「こんにちは。良かったら、篠ノ之さんが来る前に手合わせ願えないかしら?」
「拙者とか?」
「うん。あ、私は剣道部部長の
「部長殿であったか。拙者本多平八郎忠勝と申す。以後お見知りおきを」
「うん。それで、受けてくれるかしら?」
「無論。受けてたちましょう」
こうして、急遽忠勝と雅による手合わせが行われるのであった。
その頃箒は廊下を剣道部に向かって走っていた。
「くっそ!こんな事なら、本音の質問に答えるべきでは、なかった…」
事の発端は、クラスメイト達からの質問攻めであった。昼休み終了後に忠勝と親し気に話す姿をクラスメイト達にバッチリ見られていた。
そして、本音が「ほっき~とた~ちゃんって付き合ってるの?」と最大級の爆弾を落としたことによりヒートアップ。
あらぬ誤解を解くためにこんなに遅くなってしまったのである。
箒は急いで部室の更衣室に入り道着に着替える。竹刀を持ち道場に入るとそこでは、白熱の試合が行われているのであった。
「すみません!遅れました!」
「あ、篠ノ之さん大丈夫よ。今いい所だから」
「え?」
そこには、箒と同じ道着を着た雅と忠勝が試合を行っていた。先手を打って出たのは雅であった。3年生でありながら、常に大会で優勝を飾ってきた雅。
その実力は、IS学園随一と言えるだろう。だが、その雅が苦戦しているのだ。いくら男だからといって勝てると信じていたのに…
(強い、この人!全然歯が立たないじゃない…まるで、巨大な山を相手しているようなくらいビクともしない。どうすれば…)
(うむ、中々の太刀筋。この御仁は相当な努力をして来たに違いない。ならば、それに全力で答えるのが我が使命!)
雅は肩で息をきらしながら一旦距離を置き考えた。崩すことが出来ない山をどうすればいいのか。そんな事を考えていると、今度は忠勝から攻め立てるのであった。
「ハァハァ…どうして…ハァハァ」
「…貴殿の太刀筋は迷いがない。見事な剣技に対して、我が全力でお相手いたそう!」
「来る!」
それまで動かなかった忠勝は、目にも止まらぬ速さですり足を行い雅のすぐ目の前に現れた。余りの速さに驚いた雅は構える事が出来ず、忠勝から面を取られてしまった。
「め~ん!!」
ズガーン!!
「!!」
まるで雷に打たれたような感覚を覚えた雅は一瞬気を失い倒れ込んだ。
「一本!勝負あり!」
「キャー雅部長!」
「大丈夫ですか!?」
「む!いかん!雅部長は拙者が運んでいくゆえ、誰か保険医の豊島殿の所に行ってくれ!」
「わ、わかったわ!」
そう言って部員の1人が保健室へと向かうのであった。そんな中忠勝は、雅を横に抱えて抱き上げた。いわゆるお姫様抱っこである。
突然の行動に女子生徒達は色めき立つが、箒だけはむくれて居たのであった。
『キャ~!』
「むぅ~!」
そんな事も気にせず忠勝は保健室へと急ぐのであった。道中他の女子生徒達から、黄色い声が上がるが一刻も早く保健室へ向かうため、忠勝は全速力で向かった。
そして、保健室につくと保険医の豊島へ雅を渡すのであった。
「豊島殿失礼する!」
「あら、本多君どうしたの?」
「剣道部の雅部長と手合わせをしたところ、拙者が全力を出してしまってな。どうやら気を失ってしまったらしい。すまぬが見てやってくれぬか?」
「あら、大変!じゃあ、そこのベットに寝かせてくれる?」
「わかった」
そして、雅をベットに寝かせた忠勝は再び剣道場へと向かうのであった。
余談であるが、気を失っていた雅は
再び剣道場に戻って来た忠勝は箒との手合わせをするために準備をしていた。しかし、箒は終始ご機嫌斜めな様子であった。
「箒殿すまん。今からでも大丈夫か?」
「…別に大丈夫だ」
「どうしたのだ?何か気に障る事でも起きたのか?」
「別にどうってことない!さっさと始めるぞ!」
「…わかった」
そう言って互いに防具を付けて、対峙した。箒は忠勝の動きを見てから対処しようと思っていたが、試合開始と同時に忠勝に向かって突っ込んで行った。
「でりゃぁぁぁぁぁ!」
忠勝はいつも冷静に、対処する箒が意外な行動に出た事に驚いていた。
「!箒殿!どうしたんだ!」
「五月蠅い!五月蠅い!」
(箒殿はどうしたんだ…しかし、これは勝負の世界。全力でお相手するのみ!)
(なんだ忠勝の奴!あれだけ、私の事を大切な人と言っていたのに…雅部長とあんなことをしておいて、私にはなんもなしなのか!)
壮大な勘違いをしているが、恋する乙女には自分だけを見ていて欲しいものだ。それを忠勝はまだ感じていない。
次第に箒の打ち込みが弱くなっていった。どうやら闇雲に突っ込んで来たのが効いてきたようだ。それを見た忠勝は構えを解いた。
それを見た箒は同じく構えを解いて忠勝に詰め寄った。
「どうした!どうして構えを解いた!」
「今の箒殿は冷静ではない。少し落ち着くのだ」
「黙れ!誰のせいでこんな事なっているのだと思うんだ!」
「拙者に非があるのなら、言ってくれ。可能な限り改善する」
「そ、それは///」
そんな事言える訳ではない。私だけ見て欲しい。一緒の時間を過ごしたい…そんな事を考えていると忠勝が、これ以上の勝負は無用だと思い道場を後にしようとしていた。
「…言えぬのであれば、これ以上の手合わせは無用。拙者は帰らせてもらう」
「ま、待ってくれ…あっ!」
箒は激しい打ち込みにより、フラフラの状態であった。
忠勝の後を追いかけると、脚が縺れてしまい倒れそうになったところを忠勝に助けられた。
「おっと!大丈夫でござるか?」
「うぁ!///」
『キャーー!』
咄嗟に抱きしめてしまった為間抜けな声が出てしまった箒。しかし、忠勝はそんな事も気にせず、箒を看病するため保健室に連れていくと言い出したのだ。
「大丈夫か箒殿。何処か痛めたのではないか?」
「えっと///」
「拙者がおぶっていくゆえ背中に乗ってくれ」
「えっ?」
訳も分からず、忠勝の背中におぶさり保健室に向かうのであった。周りの人達の黄色い悲鳴が聞こえる中箒は、幸せを嚙みしめているのであった。
そして、この事件がきっかけに忠勝の前でわざとこける女子生徒達が増えた事はまた、別の話し…