今回も酷いです(土下座)
「はあぁぁ……。もう、なんなのよ、あいつら……」
ウィンリィ・ロックベルは憂鬱な溜め息を吐いていた。その原因は言わずもがな、今日の昼間の出来事である。幼馴染二人からいつも通り声をかけられた放課後。遊びの誘いと思ってホイホイ着いていった彼女を待っていたのは、唐突に伝えられた『好きだ!』のセリフだった。
少女は動転した。仲の良い男友達と思っていた相手から、いきなり異性としてのガチ告白。しかも“兄弟二人から同時”という、予想もし得ない変化球である。十代の少女が受けた衝撃は想像に難くないだろう。
そして混乱のままに、ウィンリィはつい罵倒気味に断ってしまったのだ。
具体的に言うとこんな感じ。
――『こんなムードのない告白する男なんてお断りよ。マジありえない。鏡見て出直して来たら?』
……これは酷い。精一杯の告白をケチョンケチョンにされてしまい、童○のナイーブな精神はズタボロだ。二人が勢い余ってエロ錬成に走ってしまうのも無理からぬことであろう。
「いや、いくらなんでも同時はないでしょ。どんだけ仲良いのよ、あいつら」
しかしまあ、ウィンリィの方にだって言い分はある。まだまだ彼女も恋に恋するお年頃。そりゃあ物語のような恋が現実にそうそうあるとは思ってないけれど、人生初の告白くらいはロマンティックに迎えたいというのが乙女心だ。
なのにあの兄弟ときたら……。どこへ行くにもいっしょだからって、なにも告白まで同時でなくても良いではないか。
「もう、エドの馬鹿。もっと真面目に、二人きりのときに告白してくれれば……。そしたら私だって…………」
……。
…………。
………………。
「――ッ!? い、いやッ、別にまんざらでもない、とかじゃないし! 昔から『ちょっと良いな』って思っていたとかそんなことないし! 私の好みはもっと大人っぽくて包容力のある人だし!」
誰に言うでもなく言い訳を重ねる少女。大変可愛らしい光景である。前話での地獄の光景が嘘のようだ。
「オ、オホン! とにかく、今日はもうゆっくり寝て、明日改めて返事をしましょう!」
冷たく断っちゃったのはちょっと悪かったと思うし、『これからの成長に期待』ということで保留にしてあげようかな?
そんな悪女っぽいことを考えながら彼女は足取り軽く二階へ上がろうし――
そいつらは、何の前触れもなくやってきたのである。
――バタンッ!!
「え……?」
「ウィンリィ!
謎の鎧に抱えられたまま、下半身丸出しで叫ぶ幼馴染を見て、ウィンリィは思った。
――あっ、フッて正解だったわ、こいつら……。
◇◇◇
ロックベル家に通された二人はとりあえずの応急処置を受け、この日は静かに身体を休めた。そして翌日、体調が安定したエドは弟を伴い、昨日の悲劇的出来事を馬鹿正直に説明したのである。
その結果、返ってきた反応は……、
「最ッッ低」
「何をやってんだい、アンタたちは……」
罵倒と呆れという至極当然のリアクションであった。息子を育てた経験のある祖母は、まだしも苦笑程度に収めてくれたが、ローティーンの少女はそうはいかない。まるで蛆虫を見るが如き冷たい視線で兄弟を睨み付ける。
今後彼らの告白が成功する確率はマリアナ海溝を下回るどん底まで沈んだと言えよう。Oh、ジーザス、神は死んだ。
「――で、とりあえず俺のチ〇コ作ってほしいんだけど」
「この状況でそれを頼める度胸に脱帽だわ……」
だがそれはそれ、とりあえずエドは一番の懸念事項を質問した。『どんなときでも足を止めるな』がモットー、明日の告白より今日のチン○なのだ。
『そういう前向きなところはポイント高いんだけどなあ……』とウィンリィは密かに好感度を上げた。話している内容は100%下ネタなのに……やはりこの子もちょっとアレである。
「設計図も書いてきたんだ、見てくれよ」
「へー、アンタ錬金術師なのに機械もいけるんだ」
「昔ちょっと手を出したことがあってな。けどやっぱり専門家の意見も欲しくて、二人にはアドバイスを頼みたい」
「ふ~ん、どれどれ?」
対象がシモ関連とはいえ、国家錬金術師級の天才が書いた機械鎧設計図だ。根っからの機械オタクであるウィンリィはちょっとだけ興味を持ち、差し出された紙にワクワクと目を通した。
「まず大きさなんだけど、全長は20cmだな。元のサイズもたぶんこれくらいだったと思うし(見栄)、ここだけは譲れない」
「…………」
少女の目は一瞬で死んでいた。
「中心の管は排泄機能以外に銃としてのギミックも付けたい。ピンチのときの逆転手段として、こんな感じで――【ガチンッ】引き金を引いたら弾が飛び出すようにしたいんだ」
「…………ッ」
「もちろん普段は暴発しないようにセーフティをかけとくぞ。発射したいときは砲身に手を添えて引き延ばす必要があって、ついでに仰角も、そのときだけ真上までエレクトするようにしよう。平常時はだいたい水平までに留めておかないと飛び散るからな」
「~~~~ッ」
「んで、追加の弾を装填したいときは、砲身をこうやって一擦りして刺激することで、後ろの弾薬庫から一気に砲弾を追い込んで二発目を――」
「最ッッッ低よ!!!」
「あぶしッ!?」
上がりかけていた幼馴染ポイントは、再びマントル付近まで沈み込んでいった。
残念でもないし当然である。