真理の扉にチ〇コ持って行かれた!   作:マゲルヌ

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6話 格の違いを見せつける

 ――賢者の石。

 錬金術の頂点とも言われる幻の術法増幅器。『哲学者の石』『天上の石』『赤きティンクトゥラ』『大エリクシル』『第五実体』などとも呼ばれる、血のように赤い石である。

 伝説級の代物であるため詳細は謎に包まれているが、定説では凄まじいエネルギーの集合体とされており、ほんの欠片程度の石でも絶大な威力を発揮する。これを使えば錬金術の基本である『等価交換の法則』すら無視し、本人の力量を遥かに超える高度な錬成が可能になると言われているのだ。

 エルリック兄弟は元の身体に戻る手段の一つとしてこの石を探し続けており、今回偶然にもそれらしい代物を発見し、こうしてエセ教主に会おうとしているわけである。

 

 

 

 

 

 

「(でもさ、兄さん。『石が欲しい』って言っても、相手が素直に渡してくれるとは思えないんだけど)」

「(まあ、まず無理だろうな)」

「(だよねぇ……かといって強引に奪うのはさすが気が引けるし)」

 

 教主の部屋まで案内される道すがら、アルが懸念を口にするも、エドは悪どい顔でニヤリと笑う。

 

「(心配すんな、アル。きっと向こうから快く手渡してくれるさ)」

「(え……どういうこと?)」

 

 単純な話だ。錬金術を悪用して詐欺を働くような奴が、軍関係者――それも国家錬金術師が会いに来て、動揺せずにいられるだろうか?

 答えはNO。あんな小悪党ごときにしらばっくれる度胸などなく、必ず強硬な手段で解決を図ろうとするだろう。

 

 そう例えば――こんな風に。

 

「教主様は多忙でなかなか時間が取れないのですが、あなた方は運が良い」

「いやあ、悪いね。長話しないようにするからさ」

「ええ、すぐ終わらせてしまいましょう…………、このようにね!」

「!」

 

 ――ダァン!!

 

 兄弟を先導していた男は急に振り返り、アルへ向けて銃弾を放った。直撃を受けた頭部は遠くへ吹き飛び、鋼の鎧が重々しく地面に倒れる。

 

「し、師兄!? 何をなさるのですか!」

 

 突然の蛮行にロゼが問い質すも、男はどこ吹く風で信者たちにエドを拘束させた。

 

「ロゼ、この者たちは教主様を陥れようとする異教徒だ。悪なのだよ」

「だからと言ってこんなこと、教主様がお許しになるはずが!」

「教主様がお許しになられたのだ」

「! そ、そんな……」

「ククク、分かったかね? 教主様のお言葉は我らが神のお言葉! すなわちこれは、神のご意志というわけ「フンッ!」ハオオンッ!?」

「ッ!?」

 

 得意げに述べていた男の顔が、急にギャグマンガのように歪んだ。

 それもそのはず。信者たちを蹴倒したエドワードが、背後から男の股間を容赦なく蹴り上げたのだ。

 

「き、貴様……な、何、を」

「なぁにが異教徒は悪だ! 神のご意志だ! お前みたいなのがいるからこの世から争いがなくならないん――だッ!」

「おっふう!?」

 

 さらに逆足による追撃! 無慈悲な対空砲が男の尊厳を襲う!

 

「個人の趣味や嗜好をあげつらって差別しやがって! エロの属性なんてモンは人それぞれだろうがッ!」

「こっひゅウ!?」

 

 だがなにやら話がズレてきた! 誰も性癖の話なんてしていない!

 

「慈悲深き太陽神が聞いて呆れるぜ! 『汝の罪を許す』ってんなら、モンスター娘だろうが露出狂だろうが無機物萌えだろうが、全部まとめて迎え入れてみせろってんだ、コンチクショウがッ!」

「あっ、はぁぁん……!」

 

 最後に身体が宙に浮いた後、内股になった男?は白目を剥いて地に倒れた。泡を吹いたまま痙攣する男の身体。残念ながら彼のモノが使いものになる日は二度と来ないだろう。

 ……でも命狙ってきたんだから仕方ない。(タマ)と玉で等価交換、錬金術の基本である。

 

「もう、兄さん! 襲撃されるって予想してたんなら言ってよ!」

「いやあ悪い悪いッ。まさかいきなり撃ってくるとは思わなくてよ」

 

 拾った頭を持ってプンプン怒る弟に、エドは申し訳なさそうに頭を掻く。

 

「あと、僕の目の前で“無機物萌え”は結構なブラックジョークだよ! そこんとこちゃんと気を遣ってよね!」

「そんなこと言ってアル、この前の夜ちょっと試そうとしてただろ?」

「あっ、あれは妄想の彼女と喋る練習してただけで、別に人体模型に興奮してたわけじゃ……、もうッ、ロゼからも何か言ってあげてよ! 僕はせいぜいケモナーくらいが許容範囲の、至ってノーマルの性癖だって――」

 

 

 

「今はもっと大事なことがあるでしょオオッ!!!?」

「「ひょえッ!?」」

 

 話の脱線具合に少女がキレた。

 ……いや、これはどちらかというと初対面の女子に性癖暴露したことが原因か。

 

「よ、鎧の中が空っぽじゃない!!  い、一体、どうなって!!」

「え? ――ああ、しまった、中身が見えちゃってた! こ、これで僕も変態露出狂に!?」

「いや、中身まで行ったら露出とはちょっと違うだろう? これは臓器萌えとか血液フェチとかの、より特殊な性癖なんじゃないか?」

「僕そこまでマニアックじゃないよ! せいぜい着替えで鉢合わせた女の子が照れる姿に興奮するくらいで、それ以上の特殊なヤツはまだ――」

「性癖の話から離れてッ、この馬鹿兄弟ッ!!」

「ひぇッ!?」

「あ、あぁーっと、ロゼ? 説明するから落ち着いてくれ。こ、これはだな………その、実は俺たち4年前に二人で……、

 

 

 …………。

 

 

 ………………。

 

 

「「――――ハッ!?」」

 

 ――そのとき、エドたちに電流走る!

 

 何気なく過去について語ろうとした彼らだったが、ロゼにそれを知られるのはマズイのではないかと気付いたのだ。

 ……だってそうだろう? ここまでの話から察するに、彼女が縋っている希望とは『恋人を奇跡の業で蘇らせること』、すなわち『錬金術による人体錬成』なのだ。

 しかしながら、あの三流術師にそんな高度な錬成などまず不可能、石の増幅があっても余裕のキャパオーバーだ。必然、エドたちはロゼに思い留まるよう説得することになるだろう。

 

 

 Q、一体どうやって?

 

 A、自分たちの人体錬成モドキ(ダッ○ワイフ製作)を引き合いに出して……。

 

 

 ………………。

 

 

「(これ、マズイよね、兄さん?)」

「(ああ、マズイ。さすがに恋人の命とダッチ○イフを同列に語るのは申し訳なさ過ぎる)」

 

 いくら彼らがエロ兄弟とはいえそのくらいの分別はつく。『恋人の死』という大きな悲しみを、エログッズの話なんぞと結び付けられてはどんな温厚な人物でもキレるだろう。そうなってはもう説得どころではない。

 兄弟は一瞬で意思の疎通を行い、頷き合った。

 

「フッ、ロゼ、これはね? 人として侵してはならない聖域に踏み込んだ罪ってやつなのさ。僕も、兄さんも……ね」

「エ、エドワード……も?」

「ヘッ、まあな。兄弟揃って、少々火遊びが過ぎちまったのさ……フッ」

 

 結果、二人が選んだ選択肢は『ロゼの精神衛生のためにも、とりあえず誤魔化して様子を見よう!』というものであった。ニヒルな表情を浮かべたまま、兄弟はマントを翻して教主の部屋へと歩き出す。

 

 つまりはただの先延ばしである。

 

 どうせすぐにバレるのに……。

 

 

 

 

 

 ――案の定、5分後。

 

「に、兄さん! 余裕かましてないで下見て、下ッ! 股間噛まれてるよッ!!」

「え? ――って、ああ!? どこ噛んでやがんだ、この猫野郎ッ!!」

「キャイーン!?」

 

 エドは慌てて獅子型キメラの顎を蹴り上げた――が、この場では思い切り逆効果! 後ろへ引くことで獲物を裂く構造の牙は、少年のズボンの生地を見事に切り裂いたのだ。

 

「し、しまった!?」

「兄さんん! 丸出しだよ! もう隠せないよ、ソレええ!」

「ええいっ、仕方ない、こうなったら勢いで行くぞ! ――ロゼ、よく見ておけ!」

「えっ!?」

 

 エドは一瞬で声音を整えると、キメ顔とともに見事なアブドミナル・アンド・サイを披露した。

 

「これが人体錬成(モドキ)を、神様とやらの領域を侵した、咎人の姿だ!!」

 

 ボロボロになり落下していく下半身の布。その下から現れた剛直を目の当たりにし、ロゼが……そして教主が戦慄する。

 

「ッ……そ、それは!」

「は、鋼のチ○コ……機械鎧(オートメイル)だとッ。……ああ、そうか、これが貴様の銘の由来か、小僧ッ!!

 

 

 

 ――鋼の錬金術師ッ!!!!

 

 

 

「降りて来いよ、ド三流! 格の違いってやつを見せてやるぜ!!」

 

 史上最年少国家錬金術師は、剛直を誇示したまま不敵に笑ったのだ。

 

 

 

 

 

 

「いや何したらそうなるのよッ!!!?」

 

 名シーンが最低のシーンになってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 




傷の男との初対決は、もっとヤバイ気がしますね……。
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