ぐだぐだテンペスト   作:禁断のノッブヘッド

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こんなのノッブじゃない!文章がウザい!なんて思おうかもしれないですが、人類史ぐらい心を広くしてお読みいただけると幸いです。

それにしてもスカディが出てこない。来たと思っても、すり抜けっていうね。
……くそがああああああああああああああああああああ!


ぐだぐだプロローグ

 人気のない薄暗い道を歩く一つの影。

 

 

 影の名は『織田信長(ノブナガ・オダ)』。

 

 

 彼女は世界に十人しか存在しない“魔王”の一柱(ヒトリ)である。

 

 元人間の魔王なことと陽気な性格のせいか知名度と人気度では群を抜いていて、最古の魔王として挙げられるギィ・クリムゾンやミリム・ナ―ヴァと同時期に魔王になったこともあるのか、彼女は最も古き魔王の中に分類されていた。

 

 彼女の能力は色々あるのだが、その中でも最も有名なのは『三千世界(さんだんうち)』であろう。

 

 大量の銃による圧倒的な物量で敵を圧倒し、圧倒……圧倒し、とにかく圧倒するだけがゆえに、強力無比な無敵能力と化しているらしい。その戦いぶりを見た者は生きておらず、今では歴史書にかろうじて残っているだけなので、詳しい情報はないのだ。

 

 太陽の日差しを遮る帽子の下の顔は、口を一文字に結んであり何を考えているか悟らせない。

 

(え、ちょっと待って。ここどこじゃ。何か三日間ぐらいここ歩いとるけど、景色一向に変わらないんじゃが。え、迷子?ワシ、魔王なのに迷子になったのか?)

 

 まあ、まさか魔王がこんなバカげたことを考えているとは思いもしないだろうが。

 

 

 信長の足はとにかく人のいる方に行こうと進む。

 

 先ほど言った通り信長は永い時を過ごす最古の魔王である。

 その年齢はゆうに千年を超えており、下手すれば五ケタを超える可能性だってある。

 年齢を聞いた者は全て消息不明になったというのが歴史書に記されており、正確な年齢は分からないが。

 

 腐っても悠久の時を生きる最古の魔王、迷子になったときくらいの対処法なんて熟知している。

 

「おっ、ノッブ様じゃーん。ウチの肉食べてくー?」

 

「いやいや!こんな暑い日はキンキンに冷えた酒に決まってますよ。ね、織田さん」

 

 とても魔王にかけるような歓迎の言葉じゃないが、そんなことを気にしていては魔王はやっていけない。

 

 そう言わんばかりに信長は満面の笑みで「うむ、そうだな!ワシは米派なのじゃがたまにはパンに浮気してもよかろう、遠慮なくいただくぞ!」やら「ほう、キンキンに冷えた酒とな?それも真昼間からとは。お主も悪じゃのう、うりうり」と軽く返している。

 

 ちゃっかり貰っているあたり、そこらへんは魔王として譲れないものがあるのだろう。「家臣の献上品を断るわけにはいかんからな!」というのが某魔王の言い訳なのだが、それにしては家臣から舐めた態度を取られたものだ。

 

 両腕に色んな物を抱え、今日も大漁じゃとホクホク顔の信長。

 それを見ていた名も知らぬケモミミ男が、世間話のように話しかける。

 

「そういや、ノッブはどうしてこんな辺境の地にいるんすか?俺の記憶じゃ、イングラシアで隠居生活してるって聞きましたけど」

 

(あ、そうじゃったわい。ここが何処か聞きに来たんじゃった)

 

 思わぬナイスフォローに、はっとなる信長。

 もう認知症が始まっているかもしれない、なんて思ってはいけない。その魔王は、そういった悪感情を見抜き問い詰めてくるから。

 

 

 口に咥えていた焼肉を飲み込み、ケモミミ男に聞く。

 

「実はとあるお導きにより、この地に参ったのじゃが。生憎なことに迷ってしまってのう。ここがどこか教えてくれんか?」

 

 本当はお導きなんてなく、ただ迷っただけなのだが、そこは魔王。

 真実と嘘を織り交ぜて交渉するのが戦国時代的交渉なのだ。

 まあ嘘ばっかで真実といえど迷ったことぐらいだが。

 

「ここっすかー?獣王国ユーラザニアの辺境っすね、カリオン様が支配される土地っす」

 

「で、あるか。カリオン……ああアヤツか。あの脳筋男のことじゃな?てかお主カリオンには様つけるのにワシには様つけんのな。別にいいけど」

 

 どうやらここはユーラザニアだったらしい。

 といってもユーラザニアと聞いてピンと来るものはなく、場所も何も分からなかった。

 

 

「ありがとじゃ名も知らぬケモミミ男よ。褒美じゃ、受け取れ」

 

「お!ありがとっす……ってこれ骨付き肉(肉なし)じゃないっすか。こんなもん渡されてもゴミ箱にポイっすよ」

 

「ええい!今手持ちこれしかないから是非もないんじゃ!黙って受け取れい!」

 

 そう言って逃げるように駆けていく信長。

 戦利品を一つも落とさずに走るところは、流石は魔王といったところだろうか。コイツと一緒にしないでくれと他の魔王の苦情が聞こえてくるが、そこは気にしてはいけない。

 

 お世話になった者どもを背に、その姿はだんだんと小さくなっていった。

 

 

 ちなみに、骨付き肉(肉なし)をあげたのはその男が狼系の獣人だったからなのだが、どうやら一般人には魔王の考えが分からなかったらしい。

 

 是非もないよネ!

 

 

 

 

 

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 そしてまた迷った信長は、戦利品を片手に街をほっつき歩いていた。

 別段行く先もなく、適当に歩いているだけなのだが、そこはツッコんではいけない。この世には触れておかない方が安全なものもあるのだ。

 

(む?この“シュークリムル”とやらは甘くて美味いのう。ノッブ判定で満点本能寺をつけてやってもいいレベルじゃ!)

 

 暢気に食べ歩く信長も大したものだが、それを当然のように受け入れているこの国も大したものだ。

 国の中に天災級の魔王がいるのに、警戒する様子を一切見せることがない。

 それどころか信長を見た住民は笑顔になり、俺も俺もと貢げ物を持ってくる始末。

 

 完全にそれは捨て犬に食べ物を与えるそれだったが、現金な信長はそんなことには気づかず笑顔で「くるしゅうない、くるしゅうないぞ!」とか言いながら受け取っている。

 

 これもまた、彼らの日常の一つなのかもしれない。

 みんながみんな、顔に笑顔を浮かべているのを見る限り、彼らは幸せなのだろう。

 魔王というのは不幸なイメージがあるが、こうした例外も存在するのだという象徴が信長なのかもしれない。

 

 ――――――そんな幸せな一日が破壊されるのは、魔王としての因果か。

 

 

「――――――ッ!?こ、この魔力反応は、まさか!?」

 

 突如として険しい顔になる信長。

 その視線の先には黄金色に光る輝きがあった。

 

 やがて、その輝きは少なくなっていき、その代わりに……まがまがしい装飾が施された扉が現れた。

 

 その扉の中から出でるのは、青髪の美女。

 メイド服を着こなし、一歩一歩優雅に歩きだす。

 

 

「――――――お迎えにあがりました、ノッブ様」

 

 彼女は、悪魔族(デーモン)

 それも最上位の悪魔公(デーモンロード)である。

 そんな彼女が、この扉をくぐってやって来たということは、思い当たることといえば一つしかない。

 

 ――――――魔王達の宴(ワルプルギス)

 三人の発案者が揃った場合にのみ、発動される魔王による会議。

 その内容はピンからキリまでで、くだらない話や重要な話まで全てここで話されるのだ。

 

 当然、信長だって魔王の一人。

 出なくてはいけない、ということではないが、極力出席した方が身のためになるということは理解していた。

 

「ふっ……とうとうこの時が来おったか……」

 

 腹を括るように大きく深呼吸をして、一息。

 

 

 

 

 ダッ!と身を翻して全力疾走を始める信長。

 こいつ、普通にサボる気である。

 

 しかし、それを見逃す悪魔公(デーモンロード)ではない。

 今回の魔王達の宴(ワルプルギス)には、絶対に全員連れてこいと彼女の主人である魔王ギィから命令されている。

 信長が逃げることなど予想しており、油断は一切していなかった。

 

 悪魔公(デーモンロード)は躊躇なく魔法を発動する。

 発動する魔法は魔王達の宴(ワルプルギス)の会場を行き先とした、強制転移の魔法。

 

 それは、すたこらさっさぁ!と逃げる信長の体を起点とし、光で信長の身体を包む。

 

(し、しまった!?これは本能寺レベルでヤバいのではないか!?)

 

 やがてその光は、眩い閃光と化して信長を魔王達の宴(ワルプルギス)へと連れて行った――――――

 

 

 

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 リムル・テンペストは魔王である。

 それは公式に認められたものではないが、その資格は十分にあった。

 

 知人であるミリム・ナ―ヴァやラミリスを始め、会場に入った他の魔王達もその妖気(オーラ)を見て実力があることは感じ取っている。

 ただ、その実力が魔王に似合わないという理由で今回の魔王達の宴(ワルプルギス)は発動されているので、そこについては誰も触れていないが。

 

「ミザリー、アイツ(・・・)はまだ来ていないのか?」

 

「はい。今レインが連れてくるはずですが……」

 

 

 ギィとその配下であろうメイドの話を横で盗み聞きしていると、十席ある椅子の二つが空席なのに気付いた。

 

(あれ?一つはカリオンさんのだから空席なのは分かるけど、もう一つのは誰のだ?ラミリスの話に出てきた魔王の中で、まだ出てきていないヤツなんていたか?)

 

 そう、リムルが不思議に思っていると。

 

「うおっ!?」

 

「来たか」

 

 突如として会場の扉に光が差し込む。正確には、扉の前であるが。

 

 光が一瞬強烈に輝いた後、その中から一人の少女が現れる。

 赤いマントを翻し、金の兜をかぶった黒髪の少女。

 

 なにより、その兜に付けられた金の紋様に、リムルの目が惹きつけられる。

 

 織田家の家紋として最も知られている。いわずも知れた『織田木瓜』。

 異世界に転生して久しいリムルにとって、それは驚愕するものだった。

 

 

 そんなリムルの視線に気づくことなく、腰に日本刀を差した少女はがっくりと膝をついて叫んだ。

 

「くっそおおおおおおお!拉致られたああああああああ!」

 

 だむだむと床を殴りつけるその姿は、はたして魔王としていかがなものだろうか。

 なんてツッコミを入れる者はおらず、ただただ眺めるだけである。

 

 とはいえ、そのまま床を破壊されては困るのでギィが声をかけた。

 

「よう。今日も元気みてぇだなノブナガ」

 

「嗚呼!?……なんじゃギィか。丁度いい、お主には言っておきたいことがある」

 

 声の主がギィであることに気づいた信長は、そう言ってギィの隣までツカツカと近づく。

 リムルの後ろを通った際には「なんだコイツ」みたいな顔でジロジロ見られたのだが、そんなことはどうでもよかったようだ。

 

 リムルを気にした素振りも見せず、信長は腰に手を当てて言う。

 

「お主のとこのレイン、昔より性格が酷くなっておるぞ。この前なんてキラキラした目でワシを見ておったのに、今じゃゴミを見る目じゃ」

 

「この前っていつだよ」

 

「そうさな……ざっと三千年前か?」

 

「初対面のときじゃねーか」

 

「うむ!だから、主として矯正せよと申しておるのだ」

 

「いやまあ、それについては注意しておくけどよ。お前のとこのカッツはどうなんだよ。前に会った時は『お前が姉上を誑かす男か、潰す』って言われたんだが」

 

 そんなん知らんわ!と憤慨する信長。

 それを見て俺が言われる筋合いはねぇんだよ!と反撃するギィ。

 

 ついさっきまで殆ど喋らなかったギィが饒舌になっているところを見るに、二人の仲は良好なのだろうか。

 

「黙れい!というかお前もお前じゃギィ、ワシが泊まってやっているというのに勝手に城から追い出しおって!寒かったんじゃぞアレ!」

 

「はあ!?テメェが勝手に住み着いてきたんだろうが!」

 

 きっと良好なのだろう。

 喧嘩するほど仲がいい、そう考えたリムルは一人うんうんと頷く。

 

「あーもうメンドクセェ。ほら、ババァはさっさと席につけ」

 

「どぅわっち!?」

 

 信長の頭を掴んで空席に放り投げたギィは、信長のことは無視して会議を始めることにしたようだ。

 投げられた信長もしばらくは抗議を続けたものの、これ以上言っても無駄だと悟ったのか隣のラミリスと『久しいのう、ラミリスよ』『おひさーノッブー』と談笑を始める。

 

 ……ぶれないな、アイツら。

 

 

 

 

 ギィによる信長の投法を宴の始まりだと受け取ったのか、今回の発案者であるクレイマンが席を立ち宣言する。

 シミ一つない真っ白のスーツをその細い身体に纏い、愉悦に口を歪ませながら。

 

 

「それでは始めましょう……ここに魔王達の宴の開催を宣言します!!」

 

 

 

 

 ―――――――――魔王達(二名ほど談笑で盛り上がっているが)の宴が始まる。

 

 

 

 




ギィ・クリムゾン

 ノッブとは古い友達。とある事件で知り合い、そっから仲良くなった。けどノッブのことは嫌いじゃないけど苦手で、いわざディアブロみたいな立ち位置。

ラミリス

 こちらもノッブとは古い友達。とある事件で知り合い、そっから仲良くなった。よくケンカするけど本当はただの仲良しなのでギィも止めることはない。



織田信長 

 言わずもがなノッブ。どこからどう見てもノッブ。圧倒的ノッブ。……気づいたらこの世界にいた。そんで自由気ままに家臣達と遊んでたら魔王になってた。


リムル

 え!?……聞き間違いか、そうだよな。だって信長がこの世界にいるわけないし。うん、そうに決まってる。



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