突然現れたのはピー子の娘!?   作:シュバイン221

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アタシ、運命の出会いしました!

 この世界神次元ゲイムギョウ界には、五つの国があった。

 女神、アイリスハートが納めるプラネテューヌ。

 女神、ブラックハートが納めるラステイション。

 女神、ホワイトハートが納めるルウィー。

 女神、グリーンハートが納めるリーンボックス。

 

 そして、女神、イエローハートが納めるエディンの五つである。

 これは、女神イエローハート、ピーシェのおてんばな娘のお話。

 

――――――

――

 

「はぁ――――ッ!」

 

 

 薄暗い林の奥深く、一人の女性の声が響き渡った。

 その女性は辺りをキョロキョロと見渡し、ファイティングポーズを取っていた女性はため息をつき、近くの岩に腰掛けた。

 

 

「おわった……かな?」

 

 

 二十代くらいだろうか、黄髪の腰まであるストレートヘアに、赤いポンポンで後ろを軽く縛り、黄色いワンピースの上から黒いジャケットを羽織っている艶美で大人びた女性だ。

 

 

「よし、これで今日の依頼は完了。つかれたぁ……」

 

 

 女性の名はピーシェ、このエディンという国の守護女神で、人殺しや社会不適合者、人間で言うところの『異端者』を国に集め、統括している女神一の異端者である。

 

 

「さて、明日はどんな面倒事が起こるかな」

 

 

 一番アンチが多い守護女神であり、それと同時にやばい宗教団体と思われるほどピーシェだけを信仰する狂信者も多い。

 

 

「おっと、そういえばご飯の買い出し忘れてた、ニーシェがだだこねる前に帰ろう」

 

 

 そして一番守護女神として異端なのは、彼女が夫を持つ、家庭持ちの女房という事である。

 

 

「ん……ふぁ……」

 

 

 ピーシェが岩から立ち上がり、背伸びをした次の瞬間――、

 

 

「ピーシェ様」

 

 

 突如、木の陰から女性の声が聞こえ、ピーシェが声の方向を向くとそこには木の陰に隠れている一人の女性がいた。

 

 

 

「どうしました? ビッキィ」

「急遽、お話したいことが」

 

 

 ビッキィと呼ばれたその女性は二十代くらいだろうか、黒いショートヘアに尖った眼差しに夕日のように光り輝くトパーズを彷彿とさせるオレンジ色の瞳を持った女性だ。

 

 

「別に良いですけど、その前に」

「なんでしょう」

「ここには誰も居ないので、いつのように『ピーシェ姉さん』と呼んでもかまわないのですよ?」

「っ……、からかわないでください」

「ごめんごめん、それでどうしました?」

 

 

 頬を朱色に染めるビッキィを見ながら、ピーシェは優しく微笑んだ。

 最近、ピーシェは自分でも良く笑うようになったと実感している。

 ビッキィと打ち解けたのも笑うようになった大きな要因の一つだとは思うが、恐らく一番は娘が出来た事だろう。

 

 早く帰って会いたい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ニーシェちゃんが、消えました」

「え?」

 

 

 ――――――。

 一瞬、ピーシェはビッキィの言葉が理解出来なくなり、目をキョトンとさせた。

 

 

「いやいや、流石にどっかには居るでしょ? 遊びに行ってるだけでは?」

「えと……、実は、協会に帰ってたらこんな手紙が……」

 

 

 ピーシェは恐る恐るといった様子でビッキィが差し出してきた手紙を、ピーシェは開いて改めた。

 

 

『ままへ、おとーさんとおかーさんが異世界で運命的なであいをしたらしいので、アタシも、ウンメイをさがして、ジゲンイドウしてきます!』

 

 

「「…………」」

 

 

 数秒間、二人に沈黙が流れた。

 

 

「いやいや、馬鹿みたいに書いてるけど……次元移動って簡単には無理じゃ?」

「そういえば……、最近次元移動のゲートの魔法が完成した! とかいってたような気がします」

「おかしいでしょ?! ふつうできないよ! なんでそんなこと出来るのあの子!」

「天才、だからでは無いですかね」

 

 

 ピーシェのツッコミの連鎖に、ビッキィはつい苦笑いをする。

 ピーシェの娘、ニーシェは魔法や戦闘技術を自由自在に操るエディンきっての天才であり。

 

 

「そもそも! なんでそんな簡単にウンメイを探そうと次元移動するかなぁ!? 労働力と対価が見合ってなさ過ぎでしょ?!」

「馬鹿……だからじゃないですか?」

 

 

 その天才さが見劣りするほど馬鹿である。

 

「っていうか、なんで私のなれそめニーシェが知ってるのさ!」

「……それは、ピーシェ姉さんがお酒の勢いで喋ってたからだよ」

「きめた、私あのこの前ではお酒飲まない金輪際一切飲まない」

 

 

――――

――

 

「……」

 

 

 静かな静寂の中、月の明かりに照らされて、プラネテューヌ協会のベランダから夜空を眺めている美しい女性がいた。

 

 

「静か、ね」

 

 

 露出度の高い紫のドレスを身に纏っているこの誰もが見とれてしまいそうな美貌の持ち主の名はパープルハート、またの名をネプテューヌ。

 この超次元ゲイムギョウ界のプラネテューヌを守護している、主語女神の一人だ。

 

 明日は特別な日、早めに寝なければいけないのだが。どうしても今日は、一人の少女の事を思い出してしまって寝付けなかった。

 

 

「……ピー子」

 

 

 パープルハートは、小さなぬいぐるみを見ながら、一人の少女の名を口に出した。

 

 

「もう一年ね……、あの子と分かれてから」

 

 

 

――――

――

 

『ピー子はこれ持ってって?」

 

 

 ネプテューヌは、黄髪の小さな少女に袋を手渡した。

 その少女が渡された物を確認すると、その中には表紙に『ねぷのプリン』とペンで書かれたプリンが何個か入っていた。

 

 

『ねぷてゅーぬ…………なに? これ?』

『っ……!』

 

 やはり、何もかも忘れてしまっている。

 ネプテューヌは悲しそうな表情が出てしまいそうになるのを抑えて、満面の笑顔でこういった。

 

 

『……世界で、美味しい食べ物だよ!』

『……?』

 

 

 少女は何を思いついた様子も無く、ただ一つのプリンを見つめた。

 ネプテューヌは、楽しかった日々もけんかした日々も、『もうなにも覚えていない』少女を、ただ黙って見つめた。

 

 覚えて居なくて悲しいが、忘れた方が彼女のためかもしれない。

 エディンの一件は、到底少女一人が背負って良い重みじゃ無い。

 もし覚えていたら、どれだけ罪悪感に苛まれ、トラウマになるかわかった物じゃ無い。

 

 だから、これでいい。

 

 ――そう、自分に言い聞かせるんだ。

 

 

『ピーシェちゃん、いこう』

 

 

 プルルートが手を引っ張り、ピーシェは言われるがままに光の柱に

向かった。

 

 そして、ピーシェがゲートをくぐったそのとき、小さな声でピーシェが言葉を発した。

 

『ねぷ……てぬ?』

 

 

――――

――

 

 

「……」

 

 

 あの時、ピーシェの記憶が戻ったのかは今のネプテューヌにはわからない。

 今のネプテューヌに出来ることは、あの少女が今でも元気で無邪気に笑っている事を、心の底から願う事しかできなかった。

 

 

「お姉ちゃん、風邪引いちゃうよ?」

「……ごめんなさい、今戻るわ」

 

 

 妹のネプギアの言葉に相づちを打ち、パープルハートはピーシェのぬいぐるみを胸に抱きかかえ、ベランダを出ようとした。

 

 ……そのとき。

 

 

「――――――ぁぁぁぁああああああああ!」

 

 

 

 突如、上から叫びにも似た声が協会のベランダ中に響き渡った。

 

 

「な、なに!?」

「お、お姉ちゃん! 上!」

 

 

 ネプギアの声に反応し、パープルハートは上を見上げると。

 

 

「どいてどいてどいてええええええぇぇ――――――ッ!」

 

 

 そこには、女の子が落下していた。

 

 ――――ズドン!

 その音が響いた瞬間、その少女は地面に見事なまでに突き刺さった。

 

「だ、大丈――――っ!」

 

 

 と、すぐにパープルハートが駆け寄ると、その少女の顔を見た瞬間言葉を失った。

 

 

「いてて…………」

 

 

 歳は十代後半くらいだろうか、後ろで雑に括った赤いボンボンのヘアゴムに、黄色く短いショートヘア。赤いフレアスカートに袖なしのワイシャツ。

 

 

「ピー……子?」

 

 

 その少女は、何処かネプテューヌの親友、ピーシェに似ているような気がしたのだ。

 

 

「いてて……、ご、ごめんなさい! ちと着地地点ミスっちゃっ――」

 

 

 謝罪をしようと立ち上がり、スカートを軽く整えた少女も、パープルハートの顔を見た瞬間、言葉を失った。

 

 

「あ、貴女……、ピー子、なの?」

「ぁ……ぁあ」

 

 

 少女は目を見開いた後、パープルハートの両手をがしっと包み込む様にして掴んだ。

 

 

「その美しい瞳、生まれたてのようにきめ細やかな肌、洗練された胸部や太腿から色気を漂わせる肉体美。間違いない――――」

 

 

 少女は一呼吸置いて、目を輝かせながらパープルハートに向かって言い放った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「貴女が――――、アタシの運命の相手!」

「え?」

 

 

 突然の奇行発言に、パープルハートがあっけにとられているのもつかの間、少女はいきなり跪き、小さな箱を差し出して開けて見せた。

 

 そこにあるのは、綺麗な指輪だった。

 

 

「結婚してください!」

 

 




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