「今度は三組に転入生だって!」
「へぇ・・どこからなの?」
「フランスって聞いたけど・・」
「そいつは知ってるかもしれんな。おそらく・・」
そう言っていると教室にブロンドの髪の生徒が来た。
「イチカ―!!やほー。ひっさしぶり―。」
「やっぱお前か、『シャルロット』。」
「うんうん、ボクさー。君の心の愛人のボクだよぅ?」
「また愛人宣言か!?いい加減、愛人宣言ネタを引っ張るのはやめろ!!」
「そ、そんな・・ボクのほかにも愛人がいるの!?」
「お前の事も認めてねぇよ!!つか、愛人宣言をやめろつってんだろ!」
頭がいてぇ。頭を抱える。
「むしろイチカの周りを他の女性が愛人宣言で外堀埋めようとしていない?」
「そうだよな・・そうなんだよな。なんでそうも俺に来るんだよ。明らかなハニ―トラップじゃなくて知り合いが多すぎんのがマジ心ぐるしいよ・・。」
「つまり、自分がモテル行動してるっていう自業自得じゃないの?」
「・・・。」
頭を抱えて机に不貞寝した。
「愛人一号シャルロット・デュノアです!」
「愛人一号宣言は私が先だ。まぁ、今は娘だが。パパの娘の妹に当たるので、私から言ってもパパという事だ。という事で次女、ラウラ・ボーデヴィッヒだ。因みに養父も許可している。いずれ名前もかわるだろう。」
「愛人じゃないけどハーレム化願望有りの凰鈴音よ。イチカ有望株だし。初恋の相手に似てるし・・。」
「鈴音と同じく少し気になっているので唾をつけておこうかと思っている更識簪です。」
「昔の知り合いで片思い中の生徒会長、更識簪ちゃんの姉の更識楯無よ。」
そう自己紹介をして昼食を取っているが、半円状のボックス席の一番奥に何故俺が追いやられているのか。
「・・俺は食べ終わった。出せ。」
「「「「「嫌。」」」」嫌だ。」
おい・・。つか全員の愛人宣言にはもう突っ込まん。勝手に言ってろ。
「分かった・・。なら・・」
俺はそこから一旦椅子の上に腕をかけそのまま自身を机に当たらないように投げ上げる。そして天井に立ち、そこから人が居ない所めがけて降りる。
「俺の食器は片しておけ。俺は警備の仕事が有るんだ。」
そう言って俺は警備室に行って警備の範囲確認。そして巡回ルートを回る事にした。
◆
○
「くそっ!?何故一夏は私の事を見ない!?私の幼馴染だろう!!」
そう言っているのは篠ノ之箒。
彼女はすでに篠ノ之博士と何のつながりも無くなっているのだが本人はソレを知らない。
「姉さんに言って一夏の過去を調べてもらおうにも、繋がらない。聞いてみると千冬さんも駄目だそうだ。何故なんだ!?」
知らぬは本人ばかりなり。彼女の行動で一体いくらの人間の命が危なくなったか、ソレを自覚していない。結果、誰からも恨まれている。篠ノ之博士の関係者じゃなくなった事を知っている一部生徒は彼女に近づかず、遠ざけているのをこの時は知らなかった。
「さて、・・どうすれば姉さんに繋がるのか・・。やはり一夏に聞いて連絡を取ってもらうしかないな。こうしちゃいられない。行ってこよう。」
そう言って去って行った先に一夏はいない。いや、もう世界中どこにも織斑一夏はいないのだ。だって、その人物は死んでイチカ・ハントとして生きているのだから。
ソレを知らない彼女の絶望はまだ先になる。本当の絶望が。
○
◆
「で、なんスか?暇じゃないんスけど?」
警備途中で多数の女子に囲まれている。因みにさっきの愛人宣言者じゃなく、女尊男卑派だ。その数、八人。イチカを完全に囲むようにしている。
「いちいち目障りなのよ!アンタは!」
「そうよ!偉そうにして!」
「その専用機もよ!」
「私達だって持ってないのに男風情が持っていたって!」
「猫に小判、豚に真珠だわ!だから私達が・・」
「そっくりそのまま返すぜ?豚に真珠。ぴったりだ。ぶひぶひとうるさい雌豚共が。」
その言葉に顔を真っ赤にする八人。まったくもってぶっさいくな顔だ。
「その真っ赤にしてる怒り顔、まんま真っ赤な豚だわ。ピンクトントン?紅の?ははは・・ナイスジョーク・・。」
そう言うと後ろにいた女子が動くのが分かった。真っ正面の女の顔がにやけるのが分かる。が、俺はその方向を見ないで、のばされた先にあるスタンガンを肘を軸にして持っていた女子自身の体に押し当てる。
「ぎゃぁぁあああ!?」
「あーあー・・違法改造なんかしちゃって。こりゃ、一生痕残るぜ?馬鹿な真似してら―な。」
そして、そのままその女子は廊下の端に投げる。
「な!?何故後ろから来ると・・」
「なめんなよ?何の警備だ?生徒を守るためだ。しかし、こういう風に違法改造している凶器じみた物を持ち込む生徒は居る。ソレを取り押さえるのも警備の仕事なんだよ。という事で、どうする?俺はコイツを生徒会長に処罰させるつもりだが?芋づる式にどのくらいかかるのかなー・・。」
「全員、かかれ!」
「応!」「うん!」「いくよ・・」「行くしかない・・か。」「「あわわ・・」」
三人は勢いよく飛びかかる。そのあと一人、一人はタイミングを見ている。二人はさっきので戦意喪失か。そう確認しながらそれぞれの手には獲物が有るのを確認。ソレの危険度順に対処開始。
「ナイフは一番、刃引きもしてないなら尚更お前は危険人物と判断。」
かかれと言った女子がナイフを持っていたので即座に鳩尾に一撃入れる。
「ごはっ・・」
「一、」
次に警棒二人。スタンロッドじゃないのでそのままの勢いを生かして、俺の位置をずらしお互いの武器で殴り合いをさせるように腕を動かす。一人は頭、一人は左ももを打つ。
「がっ!?」
「いだぁ!?」
「二、三」
そして、四人目はバット。・・金属バットとかどこから・・野球部か?振りが一番遅かったのでそのバットを持って、そのまま持っている本人をバットで投げる。
「ふわあぁぁぁっぁぁあああああ!?あがっ!?」
背中から壁にぶつかる。そして、最初のナイフの女子の腕を踏みつけナイフを放させ、廊下の端に蹴っておく。鳩尾あたりを押さえ、呻いてぴくぴくしている。
「・・さてと。」
俺は携帯を出して生徒会長にかける。
『どうしたの?いま、授業中なんだけど・・。』
「緊急の電話が鳴った事で分かるだろう。警備上問題が有った。武装生徒による犯行。被害者は俺。八人によって囲まれ、スタンガンやナイフ等で襲われた。即座に対応無力化した。特別教室棟、三階視聴覚室前。犯人は八人だが、攻撃まで行ったのは五人。後の三人は一人は投降、二人は戦意喪失だ。」
『・・はぁ、了解。教師に話しつけて抜けるわ。まったく面倒な事を・・。』
ため息をついた瞬間、予想外の声が聞こえて来た。
『・・・ちゃんと処罰与えなよ?軽くしたりしたら、分かってるね・・?』
『!?な、何今の?誰の声!?』
「束、俺の電話をハッキングするな。」
『だって、イチカ最近学園で愛人宣言されてばっかで・・こっちは会いたいの我慢してんのに腹立つじゃん?』
「次の休みは帰るから・・つか、前の娘宣言の時にも話したろ!?」
『まぁね。でも、寂しいもんはそうでしょ?』
「・・仕方ない。まぁ、またな。」
『うん。じゃあね。』
『・・奇人と言われてるのがうその様な普通の対応ね。』
「普段ははじける時が多いが、まぁ、落ちついてるとあんなもんだ。」
『ふーん。・・まぁ、今からそっち行くから。』
「はよ来いや。」
最近の俺の扱いが酷いからかつい口調が荒くなる。いや、もう心も荒んできているのか?まぁ、いいか。それよりも、この馬鹿どもがどう言う目的と手段で来たかはわかったが、何者で、背後に何が居るかを確かめる必要があるな。という事で、
「・・こら、這いつくばっている奴以外、答えろ。さもないと、ガバメントで撃ち抜くぞ?」
「「「「「「ひぃ!?」」」」」」
「まず一、誰の指示だ?コイツの指示だとしても、大事になり過ぎる。事をもみ消す事が出来る奴がバックに居るはずだ。吐け。」
「そ、そこで這いつくばってる奴の母親よ。IS委員会の会員で発言力が高いとかどうとか・・。私は今回借金が有る父親の件でゆすられて此処に連れて来られているわ。攻撃しようとした件は謝る。でも、この二人と私は手を出して居ない。情状酌量の余地を・・」
「ねぇよ。此処まで来ただけで同罪だ。許せ?手を出して無い?初めに此処にいる事が許せないと云った時に何も目で訴えず、明らかに混ざっていただろうが。状況が悪くなって尻尾巻いて逃げる気か?許すわけねぇだろうが。俺はそう言うのが大っ嫌いだ。」
昔からそうだった。後ろで行って来るだけで、いざ自分が手を出そうとするとする度胸もなく、結果、私はやってません。・・だ。全てにおいてそうやって無関係を装って、事故避難する奴が一番嫌いだ。嫌いなら、嫌ならそう言えばいい。話せれる事なら、直せる事なら話して相談すればいい。そうもしないで決めつけて排除しにかかって・・結果こうやって自分は関係ないだと?
「虫唾が走るんだよ。そんな事を言う奴はなぁ!」
頬をかすめて壁を殴りつける。俺のこぶし大のへこみが出来て壁が少し崩れる。
しばらくして生徒会長が教員を連れて来て生徒を連れて行った。
半数は自主退学、半分は強制退学兼少年院入りだそうだ。流石に違法改造したスタンガン等は不味かったし、ナイフは明らかな傷害未遂、見方によっては殺人未遂ともとれる。
ついでにIS委員の方は篠ノ之束の名前のもとに除名、その後、殺人教唆が適応され捕まる事となった。