「イチカ・ハントくんに模擬戦申請?」
「数件寄せられています。本人が許可すればアリーナを貸し切ってやるのも良いと学園長からも推薦が来てますが・・。」
教師である藤林に山田。現在アリーナの戦闘管理をしているのが主にこの二人だからだ。他にも居るが、基本的に学園行事の際には織斑千冬が管理していたが、先日の件でその権利をはく奪されたので代わりに藤林先生がその一に入る事となった。
「へぇ・・学園長からも推薦されるという事は何かあると見た間違いないだろうね。」
「はい、しかし・・数件というのも代表候補生からの模擬戦闘依頼が三件、機体の武装展開依頼が二件で、・・一般生徒からの依頼を含めると膨大な数に・・」
「代表候補生だけに絞りましょう。第三世代機の有用性と彼のこの学園での警備に対しての力量。ソレを図る物としての模擬戦闘ね。丁度開いてるのが明後日なのだけど・・急すぎるかしら?」
「本人たちに確認を取って、それから決めましょう。こちらで進めていい話じゃありません。警備部の方にも話を通さないといけませんから。こういう事の時に何か事件が起こりうるものですし。」
「そうね、じゃあハント君と更識さんには私から言うわ。武装展開依頼って言うのも更識姉妹からみたいだし・・生徒会長なら強制できるんじゃないのかしら?」
「なんか、聞いたところによると昔助けられた恩が有って、頭が上がらないとか・・」
「へぇ・・現ロシア代表がねぇ・・すごいわね。」
「ハント君は想像を絶する生き方をしてきたのだと思いますね。」
「そうね・・」
「ふむ・・その日は確かに警邏の仕事も無し、問題ないのでちょうど良いですが・・揃いも揃って・・何考えてやがる。」
「では、ハント君の方は許可という事で。警備部からも許可をいただきまして、特別警備体制を入れてもらえるそうです。」
「なら、良いでしょう。よっぽどの事がないと俺が警備に出る事は必要ないですからね。」
俺はクロスを持って相手に対しての戦法、装備を考える。鈴音、ラウラ、シャルロットが相手、武装展開は更識姉妹・・ならそれぞれの国に合わせて行くか?いや、ラウラとシャルロットには面白いので行くか。
「まぁ、委細承知しました。では、こちらもメンテが有るので。」
「えぇ、頑張ってね。」
順番はどうなるのかは代表候補生組で決めたらしい。
「という事で、ボクが一番手だよ!イチカー!新しくなったボクの機体で勝って見せるからね。コレが僕の機体、ラファール・ゼクス・カスタムだよ!」
黄緑色に輝く機体で明滅する部分が有るが、そこは見た目の模倣だな。内容までって事は無いだろう。だから俺は言う。
「ムリダナ。」
俺がそう言うとシャルロットは頬を膨らませ真っ赤になる。
「なんでそんなこと言うのさー。分かんないじゃん!」
「・・お前に・・俺は・・倒せない!!」
そう区切って言うと簪が目を輝かせている!「すねーく!!」と叫んでいるが無視だ。
「じゃあ、どんな機体で来るのさ!しょぼい機体ならボク怒るよ!」
「お前の戦術など分かっている。それに合わせてコイツだ!」
俺は『とある』シリーズを展開しようとしたが、何故か緑色に輝く三匹の虫が飛び出す。
巨大なとげのついたしっぽを持つ、装甲のごつい甲虫と、角のついた甲虫が二匹現れた。
そして巨大なあごをもつ分解される。それぞれのパーツが空中で形を変える。
俺は角のある甲虫につかまり空へと飛びあがる。
手足に装甲が付いて『ガシン!』と音と共に蒸気が漏れる。
飛んだ時の角のある甲虫も分解されてそのとがった甲殻が変形し両肩になる。
顎の持つ虫の装甲がボディに装着される。背中には二匹の角が装備されて、胸には顎の虫のしっぽの先のとげが『U』の字に装備された。そして、それぞれのパーツが組合わさって、頭部が形成されて、それが上から降ってきて頭に装着される。
最後に各部から蒸気があふれて、目が光る。
「ふ、ふおおおおおぉぉぉーー!?」
「簪が壊れた!?」
「簪ちゃん帰ってきて!」
俺はとある勇者物の機体の姿に良く似た装甲、セルタスシリーズで固めた。更に武器もセルタスの素材で作ったチャージアックス『イクサイントインセクト』を構えている。縦まで構えた勇者って感じだ。そう言うのが好きな簪が壊れるのも仕方ない。
「うひょぉぉぉぅうう!!勇者シリーズ!」
「帰ってきてー、簪ちゃーん!?」
「まったく・・やっといて何だが酷い光景だな。」
「そう言っているけど、ブザーは鳴っているんだから・・こっちからいくからね!!」
そう言いながらもアサルトライフルを連射して来た。
「この機体の特性、特殊機能は連続で攻撃を与えているとダメージがだんだん多く蓄積するという特性の特殊弾を撃てるところだよ!どう!?痛いでしょ!?」
「・・・。痒くもないな。」
そう言うとシャルは驚愕の表情になる。
「な・・なんで!?攻撃が全然効いてない!?」
「こちらのセルタスシリーズの特性名は『英雄の楯』。効果は一定以下のダメージは全て無効化される。そして、豆鉄砲をいくら当てようとダメージは蓄積しない。蓄積しないダメージはいくら喰らった所で効かない。0に何をかけてもゼロだ!」
「そこまでこっちの攻撃を読んで・・」
「さて、行くぞ!フン!」
シャルロットを一回切り裂き、縦、横に切って切りあげした所で後ろに下がる。そして蒸気を噴き出す剣を楯に挿してリロード。薬きょうが吐きだされ剣から楯に力が装填される。
そして、剣と楯を合体させ、斧フォームに変える。
「チャージアックスのアックス要素はここにある!いくぜ!一発で吹き飛ばされるんじゃねぇぞ!!」
飛びかかりながら横に振りまわす。シャルも慌てて避けるがそれを見越して足に当てる。そこが光り小規模の爆発を起こす。
「きゃぁ!?何が!?・・は!?」
「よそ見厳禁って・・なぁ!!」
振り下ろしをくらわすと体の真ん中に当たり地面に叩きつけられてそこがまた小規模な爆発を起こし、SEが0となる。もろに食らいすぎたダメージで一気にSEがきれたようだ。
ブザーが鳴って俺の勝利となった。
「いやぁ、参ったね。」
「まだまだ、小手先に頼るようでは甘いな。それならもっと武器を変え、品を換えをした方が良い。」
「おぉ、そっちの方が得意だよ。じゃあ、そっちでまた今度相手してね。」
「分かった。」
そう言い終わるとピットに戻って行く。そして代わりに黒い機体が降りてくる。
「爆剣の英雄と手合わせできる事になるとは光栄だ。本気でいかせてもらう。」
選手、変わりましてラウラ・ボーデヴィッヒ。
「・・そう言う気概、嫌いじゃないぜ。良いだろう・・こちらもいっちょ気合の装備で行ってやる。気ぃ抜いて怪我すんじゃねぇぞ!!」
俺は金色に体中に刃物が付いた鎧甲冑姿になる。
「な!?また新しい装備か!?」
「『レギオス』シリーズ。今の俺に触れると怪我じゃ済まないぜ?」
そして、双剣『ザクンアルギエバ』を持つ。コレはギザギザの鱗の先に鋭い爪のついた双剣だ。切れ味抜群で・・どれほどかというと・・
「試合開始だ!先手必勝!」
そう言いながらラウラが放つレールガンの弾。自身に向かって来たその弾丸にその爪をそわせる。
『スパン』と音がして弾は二つに割れた。
「・・レールガンの・・亜音速弾が・・斬れた!?」
「今の俺に断てぬ物など・・あまりない。」
そう言いながら『ブシドースタイル』で構える。構えながら近付くとまたレールガンを撃って来る。それに対し俺はジャスト回避で一気に加速。瞬時に懐まで入り込む。
「な!?瞬時加速だと!?」
「喰らえ・・はあぁぁぁ!!」
剣をクロスさせて『鬼人化』をして一気に切り刻む。
「ぐあぁぁぁああ!?くっそ!?こちらの手刀が弾かれて・・ここまで一方的とは!?」
「これでもまだ、手は抜いてんだぜ?くはははは・・。」
「くそ・・逃げきれない!!」
バックステップして逃げようとしても一気に距離を詰めてまた切る。そして、SEを0にする。ブザーが鳴り俺の勝利が確定した。
「・・無理、勝てる気がしない・・。」
「はっはっは・・束曰く、『父親ならかっこいいとこ見せたげて。』だと言われたからな。手加減したがまだ俺に追いつく事は出来んという事を見せつけさせてもらった。だが、諦めるな。俺がここまで強くなれるという事は、人間諦めなければ上を目指せる目標が出来ているという事だ!その背中を目指して這い上がる気骨を見せてみろ!」
「・・わかった。私も軍人だ。国の為、人を守る為強くならねばならない!正しい強さを、私の強さを探すぞ!」
「それで良い。稽古は付けてやるから、一緒に頑張って行こう。・・警備を手伝ってもらえると助かるが・・。」
「それは、まったくもってかまわない。後から警備担当に一緒に話に行こう。寧ろ一緒にいる時間が増えるじゃないか。こっちとしては願ったりかなったりだ。」
「そうかそうか、こちらも手が増えて楽できるなら歓迎するし、軍人なら規則等も守れるだろう。安心できる。」
そう言い合い、ラウラはピットに戻って行く。俺はその場で一旦装備を解除して拡張領域から水筒を取り出して飲む。中身は回復薬と元気ドリンコを混ぜてあるスポーツ飲料だ。味はともかく効率よく回復は出来る。
・・味はともかくだ・・。