性能実験のためにアリーナに来た。
「先ずは武器性能を見せるか。」
『それが良いわね。射撃、近接、中距離、高速攻撃、いろんな物があるけど?』
「見たから知ってるよ。おかしな物が多くて笑った。」
『あら?失礼ね。そもそも、あの武装は私を元にした形なのだから、私の否定よ?』
「そりゃあ失礼しました。人としての形じゃないけどな。」
『それは確かに。』
んじゃ展開するか。
「展開、【コード・バルファルク】!」
そう言うとにび色に光る鱗を全体に纏い、アンロックユニットが無い形状で、代わりに肩に棘のようなパーツがついたような形状の騎士甲冑の姿が立っていた。
ただし、胸のあたりはとがって突き出していて、腰にもしっぽが生えている。
手甲や足には爪が付いている。所々に黒やオレンジ色の部分がある。
そして、一番おかしいのは、
「・・おい・・」
『あら、どうかした?』
「目の前でくつろいでいる、小さなキャラみたいなのはお前か?」
『そうよ。コアの意識としての人格部分をナビ様に形成した私の分身。かわいいでしょ?』
虹に輝く髪をした、体に鱗のついた美少女キャラクターが映っている。
「お前さん、そんな見た目なのか?」
『それはまぁ、コア人格になったのだから人に寄った形よ。人格って言うくらいだからね。』
「ふむ、まぁいいか。先ずは武装検査だったが、・・出力がおかしいのだが?」
『リミッター付けるわ。一応競技用リミッターでいいわね?』
「出力を最低にしろ。これ、競技用にしても使い方次第では死人が出る。」
『そう?まぁ、いいけど。・・これでいいわ。』
そう言われたので装甲だけでコア自体は付いていないがSEをアリーナのシールドバリア並みに上げた的の機体に狙いをつける。
「先ずは『槍翼』から。・・てい。」
軽く肩とともに腕を前に出すと肩の棘が重なり伸びて、
【ザグシャッ!!】と音がした。
「待てや!アリーナのバリア超えるじゃないか!?」
『これでも最低出力よ?古龍舐めないでほしいわね。』
「そういう問題じゃない!!コレじゃ人、貫くわっ!?」
『じゃぁ、そういう相手に使えばいいじゃない?次行くわよ?』
「こ、コイツ・・しれっと怖い事を・・。しょうがない『鉄尾刀』。」
近づいて一回転するとしっぽが刀のようになって機体の中の人形の頭を切り落とす。
「やっぱり絶対防御、超えるじゃないか!?」
『だから、古龍舐めちゃだめだって。はい次―。』
「コイツ・・はぁ、分かった。」
もう諦めた。そのまま武器を使っていく。手足の爪で装甲は削り取られて、羽を広げて振りおろすと大剣の威力でかすめた程度でも相手の肩を吹き飛ばし、肩の槍翼を逆転させて射撃したら、着弾地点が爆発して散弾のマシンガンが爆発を起こすという悪夢で焦土と化す。最終的な武器がその場で両手両足を地面について構えると胸のとがった部分が変形し、頭について龍のような顔つきになり、羽が巨大なロケットブースターになったら、そのまま頭を上に向けて地面に噴射。確認したら立っていた位置が小さなクレーターになっている。
一瞬で超上空、高度へ行って、高速で加速をつけたまま地面に突撃。その際に空気との摩擦で機体の周りには紅い円錐ができているが、その状態のままで地面にあった機体につきささる。
まぁ、実験用の機体など吹き飛ばしてアリーナ一つの地面が巨大なクレーターになったが。
「分かってた。絶対まともな戦闘ができるような威力じゃないことぐらい分かっていた。」
『これでも、まだ出力抑えているんだからね?』
「ISじゃなければ俺は死んでいる。よくお前を倒した奴がいたな。」
『剥げとコンビを組んでいた女よ。うまい事ハンマーで頭を狙われて、そっちに気を取られたら女に後ろから斬り刻まれて、まとめて吹き飛ばそうにも立ち回りがうまくて結局時間をかけてじりじりとねぇ。』
うっわ、無茶苦茶覚えのある戦法。おそらくはあの二人だろうなぁ。俺はその後ろから援護とか、前に出てとかしていたが、懐かしいな。
「なるほどな。あぁ、最近命のやり取りしていないからか。その話を聞いたらうずうずしてきた。」
『あなた今、装甲の内側でどんな顔してるか分かってる?』
「・・笑顔かな?」
『獰猛な・・と頭につくわね。犬歯が見える肉食獣のような顔よ?』
「そりゃ珍しい。基本笑顔ってないからなぁ。」
『そう、なら記録して置いたわ。』
「かかか・・、それはいいな。自身の顔など、そう何度も見ていなかったからな。」
そう言って俺はアリーナに土を運ぶ。
専用の袋を用意してもらい、許可を得てから学園のアリーナように運ぶ土の採取場所に行って、その巨大な袋いっぱいに土を詰める。
普通の機体なら一個が限界であろう物を、五個持ってアリーナまで帰還して、端から土を袋から出してアリーナを戻していく。
一旦敷いたあとで上から何度か抑えて、もう一度土を敷く。
そうしてアリーナを元通りにした。
「・・自分でやっといてなんだが、人間相手だとひどいことになるな。」
『そうね、放送禁止映像でお倉入り決定だね。』
「そりゃまたひどいな。それじゃとりあえず、これで終わりにしておくか。」
『そうね。十分だと思うわ。これを上の連中に見せたときの反応が面白そうね。』
「確かにな。」
そう言って俺は笑う。今度の顔はわかる。絶対苦笑いだ。
そして、記録した情報を取りにアリーナの管制室に行くと、
「あの・・あれを使うのは勘弁してもらえませんか?」
そう言って正座をしている楯無がいた。
「それは俺も思っていたことだ。しかし困ったことがあってだな・・」
そう言いながら後頭部をかく。
「困ったこと?」
「今の装備が入ってから、クロスの名称がダブルクロスになってしまった。それによってかはわからないが、クロスについていたリミッターが外れたんだ。」
「リミッター?今までの強さでさえついていたの!?」
そう言われて驚かれるが、
「リミッターが無ければ競技用にも使えないが?そうだな・・レールガンを使ったら肉片が飛び散る状況かな?」
「ひどすぎる!?そこまで!?」
「しかし・・最悪なことにこの装備はそれを超えることが分かったからな。強力なリミッターをかけるために一度学外に出て束と合流したいんだ。そして、リミッターをかけてから帰ってくるから、そのための外出許可届が欲しい。」
「えっと、どこで会うつもりかは・・」
「海から来てもらって潜水艦かなんかで合流すればいいんじゃないかな?」
「それもそうか‥。一応学園長と話してからにさせてもらうわ。貴方も警備の一因なのでそっちにも話を回しておくわね。確かにこれを見る限り、リミッターは必要だわ。」
「だろうな。」
そう言って俺はアリーナの監視端末からの映像、それから武装の威力を表す大体の数値を計測した物を取り出してそれを楯無に渡す。
「これを持っていってくれ。どの道、あとから持ってくつもりだったからな。」
そう言ってデータを映したメモリを渡す。
「あ、うん。わかった。ちゃんと持っていくね。」
そう言って笑ったので俺はそれじゃと言ってその場を後にする。
そして、廊下で壁に手をつく。
「・・今になって、頭痛がしてきやがった・・。」
『おそらく高速での変形飛行時だね。初めてにしては、かなり本気で飛んだからね。初速が速すぎて、一瞬ブラックアウトしたんだろう。』
「そうかよ・・。本当にお前はじゃじゃ馬みたいだな。」
『ふふ、それでもこれからはパートナーとしてだからね。上手く使いこなしてよ、マスター?』
「言ってろ。」
そう言いながらも俺は廊下を歩く。
「とりあえず、束に連絡して迎えをよこすようにしておく。たしか、臨海学校があるからそれまでにはリミッターでもかけておこう。」
『これ以上鎖に縛られるのはあまり趣味じゃないんだけどなぁ。』
「なら、もっとましな出力補正をしろ。俺は害意がない奴を殺す気はない。」
『有ればやぶさかじゃないんだね?』
「・・当然だ。降りかかる火の粉は払うし、それが牙をむくなら竜だろうが殲滅してやる。それこそが俺の生きてきた道だ。」
『なら、これからも一緒なのは変わらないさ。いざと言うときはためらわずに私を使ってほしいな。』
「あぁ、お前は切り札だ。本物のジョーカーだよ。」
何せ、今回の提出した分では本気を出していないのだから。
本気の出力に俺自身が耐えれるのかは、はなはだ疑問だがな。