臨海学校のためにリミッターをかけることで俺は一時的に学校を抜ける話を進めた。
そして、話を進めてリミッターを掛け次第帰ってくることで合意。
それを各部署に伝えて束に連絡するとすぐに電話に出た。
『イチカ、待ってたよ!!』
いつになく楽しそうな束の声。
そんな声を聴いて笑いながら俺は、夜になった海岸で座って波を見ていた。
「応。俺もだ。お前のとこに戻れるのが久々に待ち遠しい。いつ頃迎えに来れる?」
『今!』
そう声が聞こえたと思ったら、目の前の海が盛り上がる。
そして、ほぼ直角に盛り上がったその物体は波を割いて姿を現した。
円筒形のそれが横になるように海に落ちて波を上げる。
「待っていたさ、この時を!!最新型潜水艦、アニメを参考にした『伊』号型潜水艦のアレンジ型。その名もぉー、『ブラオ・アイゼン』!!」
「何故にドイツ語?」
「クーちゃんの関係から。そもそも初めに参考にしたのはクーちゃんが見てたアニメからだし。」
「あぁ、そう言えばメカ系統のアニメや作品に興味を引いていたな。独自のISを作ってみるのが夢だとか。実は、こっそりそう言う案を作って褒めてもらいたがってたりするんだぞ?」
「そうなの!?もう、クーちゃんてば。かわいいんだから。」
潜水艦の上でくねくねする束を見て俺は笑う。そして、その場から飛んで潜水艦の束の横まで行って着地する。
「わお、ひとっとびだね。」
「まぁ、伊達にハンターしてないからな。身体機能はお前がよく知ってるだろ?」
「そうだね。それじゃ行こうか!船内にご案内!」
そう言って飛んで船内に降りた。梯子を使えよ。
俺は一度中に入りハッチを閉める。
するとハッチが勝手にロックされる。なるほど、こういうところは束らしく機械任せなのか。
そう思いながら下を見るともう一段階のハッチがあった。そこが勝手にロックが開いて開く。いかにも入れと言わんばかりにだが・・束は先に入ったのか?その後でわざわざ閉めたというのか。よくわからんが、何か考えがあるのだろう。
そしてそこを越えて入るとまた勝手に締まる。
内部は思った以上に通路が広い。普通なら配管などでかなり狭いはずなのだが・・。
「さて、船内は・・あっちが指令室かな?」
矢印があったのでそっちに向かって歩く。
幾つかの隔壁用の段差を越えて中を進むと目の前に小さな人影が見えた。
三頭身とかそう言う感じの大きさの・・。
人間じゃないな。そう思ってみるとあっちもこちらに気が付いて顔を上げてきた。
そして、『よう。』と言いたげな感じで手を上げて荷物をもって俺が来た方向に歩いて行った。
「なんだ、あれ・・。」
俺はそれを見送る事しかできなかった。
そんな状態の心境のまま歩くと開けたところについた。
「あ、イチカ。遅いじゃん。」
「あぁ、すまん。行く方向を間違えたようでな。途中で矢印に気が付いて・・」
「マスター束。どうやら私の小型端末に驚いたようです。」
「あちゃぁ、あとで驚かそうと思ったのに・・。まぁ、驚いたならいっか。」
そう言いながら艦長が座る席に座る束。その隣に座るのは青い髪の女の子。
「どうも、『ブラウ・アイゼン』はISなのでその管制システムをしてます。一応船自体が私なのですが、この端末としての固有名称は『あおちゃん』です。」
「あお・・ちゃん・・。すまん、名前は『アオ』なのか?」
「いいえ、『あおちゃん』までが名前です。なのでもしも敬称をつけるなら【『あおちゃん』さん】と言う感じになります。」
「面倒くせぇわ!!」
つい突っ込みを入れた。初対面相手だがしょうがない。
「・・いいツッコミです。一人でもお笑いの天下を狙えるかと。」
「誰がピン芸人か!」
そう言って俺は【あおちゃん】の頭を叩く。正直心の中でも【ちゃん】付けと言うのはいろいろとむず痒い。
「・・マスター束。この方面白いですね。」
「でしょ?束さんの旦那なだけあって自慢できるね。」
「私も呼ぶなら・・どういたしましょうか?大旦那様?ご主人様?それとも・・」
そう言って俺の目をじっと見つめて、いったい何と言うのか少し興味が・・
「『マイ・ダーリン』・・」
「誰がじゃ!」
また頭をスパーンと叩いた。
「ナイスツッコミ。」
「それは、もういいわ!」
横にあった椅子に座る。その時大型モニターがあることにやっと気が付いた。
見るとすでに学園から大きく離れたところにアイコンがある。
「・・おい、すでにこんなところまで来ていたのか?あまりに静かで気が付かなかったぞ。」
「それは重畳だね。それだけ音もなければ揺れもない。ISだからいろいろと束さんの改造が施してあるんだよ。」
そう言いながら足を組みかえる束。つい、そちらに目が行くがすぐさま目をそらす。
「ん?んんぅ?イチカぁ・・今束さんの足に目が奪われちゃったのかなぁ?」
「うるせぇ、あまり調子に乗ってると食うぞ?」
そう言うと顔を赤くして、
「そ、そう言うのはちゃんとベッドの上でね・・。」
そう言いながらもじもじしていた。
いや、なんでこういう時に乙女化するんだお前は。まぁ、そう言うところも可愛いのだがな。
「・・ごちそうさまです。」
半分ジト目でこちらを見ながらあおちゃんはそう言った。
それから某国の海岸にある岩礁地帯の一画を改造して作ったラボに潜水艦ごと着いた。
隔壁のハッチが開いて梯子を上ったとこでタラップがつけられたから、それを使って降りる。そして、広い埠頭のようなところから自動の隔壁を開いて進む。
そこから中に入ると中にはいくつかの戦艦らしきものが建造中だった。
「あれは?」
「戦艦型IS。その向こうは重巡洋艦型、その向こうは軽巡洋艦、それから空母型と航空戦艦型だね。最後の二つはもしも大きな戦いが起きた際に、それを止めるのに使うつもりだよ。ISを使った戦争は各地に起きている。紛争レベルだけどね。もしも世界大戦レベルになれば流石に私も動くよ。そんなことのためにISを作ったんじゃない。あの子たちは娘みたいなものなんだから。」
そう言う束の顔を見て俺は肩を掴んで引き寄せた。
「そんなことにはならない。そう・・俺がさせない。俺がいる限りは・・絶対に。」
そう言って俺は腕を見せる。
ダブルクロスを見せる。
そして、俺の目を見せる。
「お前の娘と言う事は、俺の娘でもある。つまりは、俺が自分の娘をそんな風に戦場に出させると思うのか?」
そう言って俺は束を離す。
「俺達『ハンター』は自分の大事なものを守るためにも戦うんだ。どれだけ絶望的でも自身の大切なものを守るために戦ってきた。城よりもデカいモンスターが町に向かって来た時でさえ、俺達は協力してそれを撃退した。災厄と言われる黒いドラゴンが現れたときはその竜にとどめを刺した。巨大な機械兵器みたいな生物が来た時でさえ、そいつをばらして中身の生物を引きずり出してとどめを刺した。龍の墓場のような場所で生き続けてきたモンスターも俺は殺したんだ。それに比べたら、ただの人間が争う程度、俺とこいつでぶっ飛ばしてうやむやにしてやる。」
そう言って拳を前に突き出す。
『まぁ、私こと【バルファルク】も居ますので、負けることなどありえませんがね。』
そう言っていきなり目の前に小さな女の子のキャラクターが現れた。
ダブルクロスに入っているからか俺の目の前に浮かんで小さな羽をパタパタと動かしている。そんな竜と女の子を合わせたようなキャラクターが目の前で止まった。
『そもそも、私たちの強さの前では誰も追いつけません。速さでも、強さでも、その技でさえも他の追随はありえません。』
胸を張り、エッヘンと言った感じの格好で止まった。
「そうだね、私の旦那との相方だしそれは認めるよ。でも・・男としては見ていないのだね?」
『ISで無く、人間として生まれていれば本気で狙ったかもしれないのが悔やまれます。ですが元の世界では古龍とハンター。そうであるなら、お互いはおそらく敵対していた。』
そうして俺を見る。
『まぁ、結局はイチカの元お仲間さんによって倒されてしまったのですがね・・。しかし!それによってここで会う事が出来た!これはまさに運命です!決まっていたことなんです!天の采配なのですよ!だから、・・貴女と争うつもりはありませんが、ISとしてのパートナーとしてくらいは認めてもらいたい。』
「それならもちろん。」
『では、これからもよろしく。』
そう言って二人?は仲良くなったようだ。
「私はいつまでここで待てばいいのでしょうか、束様・・。」
因みに一人、玄関に入ってきたら飛びかかろうとして待ちぼうけしている少女がいた・・。