龍装の成層圏 X~流星と狩人~X   作:金宮 来人

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17話 覗かれまして・・

基地内でしっかりと話をしながら歩いていると、ゲートの前でクロエが一人で立っていた。

「あ、クーちゃんにお留守番とお出迎えお願いしてたんだった・・。」

「おいコラ!?」

そう怒った後で俺はクロエの所へ走る。

すると明らかにむくれた顔で目を瞑って居るクロエがいた。

その顔を見て俺は思わず笑ってしまう。

「くく・・、クロエ・・お前・・むくれて拗ねてんのか?」

「なっ!?そ、そのようなことはありません!!拗ねてなど・・。」

「しかし、そんな風に表情も感情も豊かになったのはいい事だ。」

そう言って俺は頭をなでる。

「そう、本当にいい事だよ。表情を出して甘えることは・・悪くないさ。」

「・・うぅ・・わかりました。迎えに来たのに放って置かれて怒ってました・・。」

「うん、そうだな。俺達が悪かったよ。ごめんな?クロエ。」

「えぇ、イチカ様は許します。束様の晩御飯はニンジンのみです。」

「クーちゃん!?束さんは確かにうさ耳つけてるけどニンジンだけはうれしくないよ!?」

そう言われても頬を膨らまして後ろを向いて玄関のゲートを入っていく。

「ふん・・。」

「ごめんてば、くーちゃーん・・。」

それを追いかけていく束。だが、俺は見逃さなかった。

振り返った瞬間に愉快そうに笑っていたクロエの表情を。

「まったく・・。いい子に育ったもんだ。」

『・・私は挨拶できなかったけどね。』

「あぁ、・・そう言えばそうか。まぁ、この後で機会もあるだろ。」

そう言って俺もそのゲートに触れると扉が開いて俺も中に入った。

 

「そう言う訳でこんな風に・・」

「なるほど・・。クロエは考えが面白いな。」

今俺とクロエが話しているのは機体の新しい改造案だ。

俺の機体がダブルクロスに変更されてから、新しく増えた装備の見た目や威力を説明したところ、装備の仕方にもこだわった方がいいというクロエの話から、それを聞いてみてから検討をしてみるという話になった。

それから、俺の機体がどういう変更があるかを教えてそのうちの一つの装備にクロエが面白い案を出した。

「おい、どう思う?俺はありだと思う。」

『いいじゃない。こういう面白そうなのは好きだしね。』

結果、それを採用して新しい装備を改造した。

ちゃんとバルファルクにも許可を得ての改造だ。

まぁ、前にも同じことをしていたのだが・・、今回は一応補助AI的なバルファルクが居るのでその意見は取り入れるべきだと思ったからな。

そして、改造を行いながら新しく増えた他の装備を展開して検証していく。当然バルファルクの装備もリミッターなしで使ってみた。

その強さを見せると束は唖然とした。

「これ・・普通に使って大丈夫なの?」

「いや、完全に決戦兵器化したな。早い、強い、堅い・・。どうしようもない。」

俺は手のひらを上げて首を振る。

「俺に対して世界はなすすべが無くなったと言う事かもな・・。」

そう言うと呆れたような顔で束が、

「それって、一人で生きて言うなんて言うつもりかな?今まで一緒に居たのに。もう離さないよ?逃げたって、先回りしてどこまでも一緒に居るから。一緒に行くから。」

「おぉっと、コレは参った。俺よりも上手が居たもんだ。確かに、頭脳からしたら逃げ切れるわけがないな。頭の作りが違うようなもんだしな。」

なんて言って二人で笑いあった。

 

『私のこと忘れていい雰囲気だしてんじゃないわよ。』

「私も居ます。」

 

そう言う風な恨みがましいような声で『バルファルク』とクロエが声を出した。

「あぁ、すまないな。こういう時にははしゃいでしまうのも久しいものでな。」

そう言って俺はバルファルクを小型化した状態で手のひらの上に出した。

クロエが目をこちらに向けた。

『やぁ、この姿では初めましてになるね。私がイチカの相棒のバルファルク。コレでも貴女ちよりもずっと長生きしていたんだから、敬ってほしいわね。』

「分かりました。よろしくお願いします、『バルファルク様』。」

「因みに古龍の時は性別は不明だったが、ISになった時に感情から女性的になったそうだ。まぁ、ISがもともと女性用と言う事もあり、下層意識もほぼ女性なのだと思う。それに従った結果ではないかと推測したが、実証はできないな。」

そう言って俺は首を回す。

さて、食事をとって寝るとするか。改造には一苦労したし疲れたからな。

何故かクロエがこだわりを見せたことから、かなり力を使った気がする。

それから爆睡した。これと言った事もなく。

そして、朝からかなり面倒が起きた。

俺が朝からシャワーを浴びていたら、クロエと束が覗いてた。

「何をしている?」

「いえ、ISスーツ姿は見ましたが、人体はどうなっているのか見ていました。話ではしっぽが生えたり、牙が生えると聞いていたので・・。その体は普通なのか見たく・・。」

「私は普通に裸が見たくてだよ。良い体してるしね。今までのISスーツ姿なら腹筋がたまんないけど、頭を洗っている時の上腕二頭筋から、肩甲骨の盛り上がりの方がいいかも。」

「分かった、クロエも覗きはやめろ。話はしてやる。束は後から〆る。」

俺は目を一度瞑り、龍の眼にして大きく開いて睨んだら、二人が本気で青ざめてひきつった顔になった。さすがに一流のハンターでも怯む竜の気配は怖いだろう。

顔色が青く、恐怖で震えているようだ。

「・・はぁ・・。早く締めて向こうへ行け。」

目を瞑ってため息をつき、そう言ったらすぐさまドアを閉めてバタバタと音を立てて去って行った。

「・・バルファルク・・。」

『何かしら?』

「録画とかしていないだろうな?」

『大丈夫。』

「そうか・・。」

『五人に動画一つにつき一万で売れたわ。』

「この阿呆が!!」

キレた俺は悪くない。

 

頭を拭きながら上半身は裸でズボンだけはいてリビングに行くと朝食が用意してあった。

「これは?」

「出来合いを器に盛っただけ。本当は用意した方がいいんだろうけど、そもそも得意じゃないからね。私もクーちゃんもさ。」

「すいません。」

「まぁいいんじゃないか?」

そう言ってサラダとパンを食う。

咀嚼していると携帯に連絡が入った。とりあえずバルファルク経由で多重に海外の回線を経由しておく。それから着信の相手を見る。

「む?警備室から?・・はい、こちら【ハンター】。」

【ハンターへ連絡だ。アメリカから学園に正面から侵入者だ。犯人はアメリカ代表イーリス・コーリングと他数名。イチカ・ハントを出せという要求だ。】

「・・了解。ハンターは、狩猟に入る。」

そう言って俺は自身の顔が【嗤って】いるのがわかった。

携帯を切り、上着を着て束を見る。

「では帰ることになった。外まで連れて行ってくれ。」

「分かった。潜水艦はすぐに出れるようにしたからすぐに行こう。」

そう言って束が立って走って出ていった。俺はクロエの頭をなでる。

「今度はお前がこっちにこい。お前の妹を紹介するからな。」

「はい、ラウラの事ですね?楽しみにしておきます。」

そう会話をして俺はドックに急ぎ、束が手を振っている潜水艦に乗り込む。

すぐさまエンジン音と共に動き出した。

「これは狭いけど高速艇で、ここから離れて浮上するから。そこからはバルファルクで帰った方が速いと思う。」

「俺もそう思っていた。ここがばれないように離れてからだな。さっきの通信は多重に回線を経由しておいたからバレる事は無い。」

「さすがだね。・・そろそろ浮上ポイントだよ。」

「わかった。ハッチを上がるな。・・また会おう。会える時を楽しみにしているぞ束。」

「うん、私もだよイっ君。」

そう言って俺は防水ハッチを上がり隔壁内に入りISを起動しバルファルクを展開。

『IS展開を確認。注水開始。』

隔壁内部に注水され満たされた後で外への上部ハッチが開いた。

俺はそこから外に出て変形。水中をある程度移動し、束と距離を開けた後高速で移動した。

そして、レーダーを確認。周りに船舶がない状況で急上昇しそのまま浮上し、上昇

を続けて成層圏まで到達し、そこからIS学園上空まで移動。

「降下開始。外部被膜の温度上昇を確認・・問題無し。」

音速を越えて移動した後でさらに急降下をした。それでも俺の体に異常はない。

そのまま、第三アリーナ内に向けて下降。

そこにイーリス・コーリングを確認したからだ。

そして、目視で見える範囲で翼を広げて急制動をかけて見た目にも威圧する。

「IS学園所属、イチカ・ハントだ。貴公らの目的を聞こうではないか。」

そう言った俺を見て初めは目を丸くしていたイーリス・コーリングは凶暴に笑った。

 

「てめぇと喧嘩したいからここに来た。強いんだろ?ヤろうぜ?激しくよぅ!」

 

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