龍装の成層圏 X~流星と狩人~X   作:金宮 来人

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21話 狩人は吠えまして・・

新しい姿はごつい毛皮に覆われた巨人のような姿。

「【銀嶺ガムート】此処にあり。」

そう言って手を上げると空が暗雲に覆われ、急に気温が下がり雪がちらつき始める。

「何?・・冬はまだ先だ・・気候さえも帰れるというのか!?」

「【銀嶺】が在るは氷結の大地。白銀にきらめくは太古の姿。」

体に吹雪が吹きつけて、雪を纏い、ソレが氷の鎧となりさらに巨体を大きく見せる。

「【銀嶺】の力は強靭。」

雪を凍らせて巨大な氷の球に変えて片手で投げる。

急に寒くなった状態に虫の姿の【アトラル・カ】は動きが鈍い。

とんできた氷の弾に当たる。

【Kiyaaaa!?】

「馬鹿な!?この硬い体にダメージが通るのか!?」

「所詮は生物。急激な変化に対応などできるはずもない。」

そして、銀嶺の力で持ち上げて、殴り飛ばす。

「その力は飛竜をも投げる強靭な筋力!」

【Giaaa!?】

吹き飛んで転がるアトラル・カ。

空へと飛ぶと、銀嶺の力で氷を纏い、重力に氷の重さで加速。

「・・銀嶺・氷山重脚!」

過酷な雪山を思わせる銀嶺ガムートがその足で踏みつぶす。

【Giaaayaaaa・・!!】

ギリギリと音を立てて氷と脚がアトラル・カを踏み潰す。

【kiii・・kiiyaaaaa!!】

ゆっくりと何かをしていると思ったら瓦礫に糸を伸ばしていたらしい。

それを引っ張りガムートの足の氷を砕く。

ダメージはくらわずその衝撃を使ってその場から下がる。

「銀嶺解除・・。」

銀嶺ガムートを解除してまたバルファルクに戻る。

アトラル・カは瓦礫を振り回しこちらに攻撃をするが、軽くよける。

「この程度・・何するものか・・。」

目を瞑る。

「目に映る物がすべてではない。力も・・その命の輝きも。【全盲故に力を得て生き残ったその者よ、力を貸したまえ・・。『天眼・タマミツネ』!!】

頭にかぶり物が付く。

顔に傷が付いた狐の面が光るように現れてその体に泡とヒレ、長い尻尾が付く。

「それは・・、篠ノ之の腕を切った・・」

【Guruuuuu・・】

唸る【アトラル・カ】は怯えているようにも見えるが・・、

「否・・。天眼はまさに死を超える生への存在。その目には何も映さず、光りを失いながらも生き残る生への執着。強者の中で生きる事の出来るその覚悟、見せてやろう・・。」

しっぽを動かし泡を出してそれを使い滑るように動く。

【Kiyaaa!Yaaaa!】

瓦礫を振り回し投げて、他の瓦礫を引き寄せて振り回す。その姿は恐怖におびえて近寄せたくないように見える・・。

「そうか・・。見えなくてもわかる。泡が、ヒレが、空気がすべてを鮮明に伝えてくれる。さて、全ての把握は完了。・・開け、力の眼・・【天眼・開眼】!」

青い炎のような陽炎を体から上げる。滑るように瓦礫を軽くよけて、飛んでしっぽを振る。

泡が飛んで【アトラル・カ】の周りに囲むように地面についた。

【Kyuuuu!?・・・Kiyaaa?】

それは何も起こらない。ただの泡。

天眼タマミツネの機体の口から青い炎を吸い上げてできた泡が吐かれる。

それはゆっくりと弧を描き、泡の真ん中にいる【アトラル・カ】に向けて飛んでいく。

「・・狐火・・点火。」

接触した青い泡は割れた瞬間に、

『ボォ・・ドカァアアアン』

大爆発を起こす。

「蒼炎の狐火・・。天眼の力だ。効いただろ?狐相手に真っ向勝負?ふふ、なめてもらっては困る。言ったはずだ、生への執着と。狐狸は化かしあいが基本だ・・。」

爆発で焦げた【アトラル・カ】は、その場で腕をだらんと下げて止まった。

「ふむ・・この程度か?」

天眼・タマミツネを解除し

その姿を見るために宙に浮く。

すると、

【KIYAAAAAAAAA!!!】

今までで一番大きな声で鳴き、大量の糸を出しながら地面へと潜った。

「む?・・何を・・」

「ハハハ!もう終わりだな!あいつがここを選んだ理由がわかる。お前はもう終わりだ!」

織斑千冬がそう叫ぶと地面が揺れる。

そして、地面の中からだんだんと巨大な構造物が現れた。

それは武骨、それは異様、それはまさに巨大なモンスター・・。

「【アトラル・ネセト】!!・・この辺りもこいつが壊した。そして、これから世界を壊すその【女王の玉座】。」

「・・そうか、そいつがこれだけ壊せた理由が分かった。」

そうして、心を燃やす。

刀を研ぐように鋭く・・。

「ならば、断ち切ろう・・すべてを!」

 

「切り裂け、我が前に立ちはだかるもの全てを!『燼滅刃(じんめつじん)ディノバルド』!!」

 

禍々しく赤黒く立ち上る炎と、黒煙のような装甲・・、剣を模した重厚な尾を備えて、地面を踏みしめる。

「『ガァアアアアアア!!』」

口からは黒炎を上げて吠える。

 

巨大な竜のような形をした【アトラル・ネセト】。

糸が各部を動かしまるで機械仕掛けの巨大な竜だ。

 

方や、巨大な剣を携えた竜『ディノバルド』の姿。

瞳孔が縦に伸びて、怒りの炎を上げたような背中の棘は荒々しさを見せ、その尻尾は地面を何度もこすり、近くにあった岩で研ぐように『ギャリンギャリン』と耳障りな音を上げる。

普通のディノバルドは青いが、それを禍々しく赤く染め上げたような姿は魔剣を思わせる。

 

お互いに動き出して攻撃をする。巨大な構造物を使い、激竜槍と言われる対巨竜用の武器を組み込んだような砦を思わせるアトラル・カの姿、【アトラル・ネセト】。

大地を踏みしめるのは、ぎこちないブリキのように異音をあげながら小さな鉄くずをこぼして・・しかし、重さがあるのか衝撃が離れていても襲ってくる。

 

お互いが竜のような姿をして、正面からにらみ合う。

「【グルルルゥ・・。】」

【Gooooooo】

 

そして動いたのはディノバルドから。

走って近づく。その動きを見て【アトラル・ネセト】は足踏みをすると衝撃が飛んでくる。

それを横に飛んでよけ、吠える。

「【ゴアァアアアアアアアア!!】」

口からブレスのように炎を上げるがそれを吐き出さず、しっぽの大剣を咥えて熱で色が変わる。熱した巨大な刃物をそのまま体のしなりを使って力を加えて回転しながら抜刀するように剣をふるった。

巨大な【アトラル・ネセト】の足を切る。

【gooooo!?】

声が上がりながらバランスを崩し倒れる。

背中に現れた金の糸の繭を見て、飛び上がり剣を振るように尻尾を叩きつける。

金の繭はほぐれるようにして糸が切れた。すると崩壊して【アトラル・カ】が現れる。

【「kiiiiyaaaaaaa!!」】

怒ったように【アトラル・カ】と篠ノ之箒の声が被って叫ぶ。

「・・篠ノ之箒よ、人をやめて化け物となり果てたか・・。ならば、モンスターを狩るのは俺の役目。」

【グルアアァァァアアアアア!】

「俺が【モンスター・ハンター】であるからこそ!」

 

糸を放つ【アトラル・カ】。

その先は激竜槍と同じような巨大な武器。

それを背中に背負うようにして蟷螂のような体の腹に乗せる。

虫なら腹だが・・どうなんだろうか?しっぽ?・・まぁどうでもいいか・・。

そして剣を咥えて振るが、さらにその勢いを使い反対方向に再度振る。

連続の大剣を【アトラル・カ】は槍にぶつけ糸で操って弾き、引き戻す。

ならば、俺は口から炎を出し剣に乗せて振り回して炎を走らせる。

【kiii!?】

炎が当たり、ダメージを受けてイラついた様子の【アトラル・カ】は再度槍を放つ。

俺は正面から剣を叩きつけて弾き、そのまま空中で一回転しながら剣を叩きつける。

【giyaaaaaa!?】

悲鳴を上げる。大きくダメージを受けたようだ。

槍をこちらに投げる。

体をひねりそれを避ける。

見ると、【アトラル・カ】の姿が無くなっている。

「む・・?いったいどこに・・」

そう言うと真下の地面が動きそこから首のようなものが現れ、弾き飛ばされた。

「ぐぅうう?」

地面に転がり、起き上がろうとすると自分の上に影が見えた。

転がるようにして避けるが、巨大な足に尻尾の剣を踏み潰され壊され、俺自身は衝撃で吹き飛んで転がる。

「グァアアア!?」

痛覚があるから、尾の剣がちぎられた感覚のダメージがこちらに伝わる。

そして、一番の武器が無くなった以上ディノバルドの姿をする必要はなく、解除してダブルクロスの基本に戻す。

巨大な要塞が更に大きな金の糸の繭をつけこちらを睨むように見ていた。

 

「・・くくく・・。これこそ、ハンターの醍醐味よ・・。」

 

命のやり取りを感じて燃える心を感じる。

「さぁ、大一番!派手に行こうではないか!」

『応!』

ダブルクロスの中から声がして姿が鋭くなる。

 

「さぁ、決めるぞ・・飛び立つ準備は良いか、バルファルク!!」

『もちろんだマスター!!』

 

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