俺は朝から珍しくクラスで授業を受けていた。通常授業は受けないが、IS関係の授業には出る事が義務付けてあるからだ。むしろ、コレがなければ何故この学園に来たのか分からない。束にもできない事はないが、天才からするとこういう事は面倒らしい。自分が分かっている事をかみ砕き、相手が分かるまで理解するというやり方は合わないのだそうだ。俺相手でも途中で飽きていたからしょうがない。
「ハント君は分かりますか?」
「えぇ、此処までは理解してますし一応ここに来るまでに勉強した範囲です。復習を兼ねて間違いがない事の確認にもなるので、どうぞこのまま進めてください。」
「分かりました。では・・この先は更識さんに読んで貰いましょう。」
「はい・・。」
教科書代わりの参考書を開きノートに分かりやすく書き連ねていく。読まれている所にも重要な点には参考書にマーカーをしてノートにも書いておく。そこでチャイムが鳴る。
「今日はここまでです。更識さん号令を・・」
「起立・・礼。」
挨拶をして授業は終わった。俺は次が実技だという事で移動を開始する。と、一組の前を通り過ぎる際に急に前に人が道を塞ぐ。
「・・何だ?俺は移動授業で急いでいるんだが。」
ポニテ娘が俺を睨む。女尊男卑派のやつか?
「一夏!!私の事を無視するとはどういう事だ!?」
「・・すまないが誰だ?記憶にないが・・。」
「なっ!?私の事を忘れたのか!?」
「・・・んー・・ううん?ぅぅぅううん?・・マジで分からんが・・。」
そう答えると目の前のポニテ娘は眼を見開く。
「わ、私だぞ!?お前の幼馴染の篠ノ之箒だぞ!?それを忘れたと・・」
「篠ノ之箒・・篠ノ之・・あ、わかった。」
「分かってくれたか・・「人違いだ。」・・なんだと?」
「お前さんが言っているのは織斑一夏だろ?だから、『初めまして』。俺の名はイチカ・ハント。俺に国籍は無いし、君の姉の束に拾われるまでは仕事で色々なとこをあちこちしていたからな。よく似ているし『イチカ』と言う名前から織斑先生にも睨まれたさ。・・んじゃ、俺は移動授業なんで行くからな。」
そう言って固まったままの篠ノ之の横を通り過ぎて降りようとする。が、時間が押して居る事が分かり俺は窓から飛び降りる。
「な!?此処は三階だぞ!?」
俺は仕事がら慣れているのでそのまま着地。もっと高い所から落ちた事もある。塔の上層部から落ちた事を考えるとこれくらい軽いもんだ。そのまま走ってアリーナに行き服を脱ぐ。流石にナイフや銃はホルスターごと置いて、インナーは着ているのでそのまま授業のあるアリーナに。
「あ、速かったのね。・・ふーん。」
藤林先生がジャージ姿で待っていたが俺を見て何か考えたのか上から下までじっくり見る。
「何か?」
「いえ、めずらしいISスーツだと思ってね。」
「あぁ、コレは専用インナーで多少ISスーツとは違うんですよ。」
「へぇ・・でも、見れば凄い筋肉ね。あの噂は確かなのかしら。」
「噂?」
「何やら電柱よりも太い柱を引き抜いて振りまわしたとか・・」
「それは事実ですね。実際振り回して脅しました。」
「・・それは凄いわね。でも、その筋肉ならまぁ納得かしら。」
「藤林先生、すこし、俺を見る目が獣じみてます。」
「ふふ・・わたし、年下の子も好みよ?」
「こちらは相手がいますので結構です。」
「あら残念。まぁ、篠ノ之博士のお気に入りって聞いてるし、手を出したら怖い事になりそうだわ。」
「そうですね、それが賢明でしょう。」
そう言って俺はアップを始める。どう動くかは分からないが一応軽く体を慣らしておく。
体の筋をほぐし、アキレスなどの健も伸ばす。屈伸、腕立てから腹筋。クラスの全員が集まるまでには逆立ちして到立腕立てを終わらせる頃だった。
「ふぅ・・ん?」
気が付くと注目されていた。
「どうした?」
「いやいや、君凄いことしてたんだから、自覚持とう?」
「なんだ藍城、何か文句あるのか?」
「普通あんなこと簡単にできないからね。君はかなり常識がずれているんだと思うんだけどさ。」
「そうか・・それは確かに認める。仕事でまともな生活をしてなかった俺だからな。物ごころついてから学校などまともに通った覚えなどないな。」
「あー・・ごめん。」
「謝る事じゃない。事実だからな。むしろ、よく言ってくれた。何か間違いが有ればそれは言ってくれ。普通じゃないと。直す気はないがな。」
「おいー、直さないんかい!?」
「俺らしく生きる気だからな。文句が有るなら俺に勝ってからにしろってんだ。ふはは。」
「何この暴君!?でもおらおら系でイケテル。でもお手付きなのが悔しい!」
「はいはい、そろそろ並んで。授業始まるわよ。」
「おっといけない。んじゃ、また後で。」
「後でって、同じ授業だろうに・・。」
列の一番後ろについて俺は頭をかく。首を『コキッ』と鳴らして見ると首元から『チャリ』と音が鳴る。そして、俺は自分の腕を見る。腕輪状態のクロスを見る。付けたリミッターを外す事がないよう祈りながら。
授業が終わり、通常内容になったので俺は警備の方に顔を出す。
「あぁ、ハント君か。皆を紹介するから来てくれたまえ。」
そう言って俺を読んだのは中本警備室長。俺の上司には当たるが全体への命令をした時には、俺自体は従う必要はない。そう言う体制だからだ。
「さて、彼は『ケインズ・マクレーン』、英語圏の勧告等で放送したりするときには彼が主だ。こっちは『王 礼蓮(ワン レイリェン)』。中華圏の担当でここでの唯一の女性だ。IS適性はないが生身での腕前は一流だ。そして、全体へのナビゲートが『橋本啓示(はしもとけいじ)』。基本的にこの部屋での情報収集などだ。」
「初めまして、イチカ・ハント。篠ノ之束博士のもとで実験をしておりました。彼女が学園に入り、他の機体との戦闘経験を積むなどの為に此処に来ました。また、警備の際にISが相手となった事を踏まえ警備担当に兼任する事となりました。どうぞよろしく。」
そう言うとケインズが俺に握手を求めて来たので答える。
「こちらこそ・・日系に見えるが・・国籍は?」
「過去に捨てられ、それから転々としていたのでありません。」
「コレはすまない事を聞いたな。私も昔は孤児でな、生きていくのに精いっぱいのころは辛いものだったが、こうして仕事につく事も出来て今は幸せだ。仲間とのきずなもできたからな。君も、そう言う物を感じてほしいと思うよ。」
「あぁ、彼は特殊で独立になるからチームにはつかない。だが、それでも我々警備員の一員だから仲良く頼むよ。」
「はい。」「わかりました。」「・・わかりやしたー・・。」
最後に気の抜けた声を上げた橋本さんはこれでも仕事時にはしっかりするらしい。まぁ、追々やって行こう。
「そうそう、一応言っておくと私は銃器系統はだいたい、ケインズは狙撃、王は近距離格闘兼刀剣類の扱いに長けている。橋本は情報が武器と言った所だ。」
「そして、俺が対IS決戦兵器と。怖いもの無しですね。」
「ははは、自分を一番大きく言うとはな。まぁ、期待している。まぁ、以上で挨拶は終わろう。皆、警備担当の持ち場についてくれ。ハント君は校内の見回りとゲート付近までの道を見てくれ。」
「「「はい。」」」
そう答えそれぞれは去って行く。因みに警備担当の制服はあるが、俺は上着だけである。
学内を周り時に声をかけられる。適当に挨拶をしてそのまま警備を回る。近くに監視している奴が‥って、おい。
「何か視線を感じたらお前かよ。」
「うわ、ばれた!?」
そこに居たのは更識楯無。生徒会長だ。
「えーと、ごめんけど、一応貴方の観察も私の仕事でね?」
「生徒会の仕事終わらせてきたならよし。違うなら今から連行だ。」
「え“っ!?」
この反応、よし強制連行だ。
「さて、生徒会室に行くぞ。大体回った後だ、お前さんの方を優先する事も学校の治安の為だからな。来い、文句は言わさん。」
「・・・はい。」
「なに、監視対象から眼を放さず、俺に出来る事なら手伝ってやろうという事だ。少しは元気「出ました!!行きましょう!!」・・げんきんな奴だ・・。」
ふっと笑って後をついて生徒会室に。見たら山の様な物が出来ていた。一応一殴りして山を崩す事に。決算などの書類は布仏へ、会長承認が必要な物はメモを添えて更識へと渡して行く。明らかにわざとこっちに回されてきた物が混ざっていたので、それは回してきた担当者にお礼文『脅し』をつけて元に返す様にはけておく。生徒に仕事回すな教師が。おそらく女尊男卑派の教師だろうと辺りをつけて、学園入学前に作ったそのリストから名前をピックアップ。ビンゴ。やっぱ、女尊男卑のやつは性格まで傲慢になるのか?
「終わったぞ?」
「えぇ!?この山を!?」
「二割方、教師からの無理やり回されてきた書類だから俺はこれを担当者に返す。自分でやれってな。後はメモ書きが有るから良いだろう。ほか、あるか?」
「いえ・・今日は徹夜かなと思っていたぐらいで・・」
「ならいい。女子なんだ、肌には気を付けろ。せっかくの可愛い顔が肌荒れしちゃかわいそうだ。んじゃな・・。」
俺は書類を持って後にした。
◆
◇
「・・私達・・」
「あうとー・・。」
今生徒会室の中で私達は顔が真っ赤である。
「あーもー・・篠ノ之博士のお手付きじゃなきゃ絶対狙った優良物件がぁ!!」
「あれ、天然でやってるんでしょうね・・。はぁ、そりゃ天災でも天然にはかないませんでしょうね。」
熱くなった顔を冷ます為窓を開ける。
太陽の光りの様な温かな笑顔だった気がした。
◇