囲まれた俺、ダメージはIS自体は問題ない。むしろ装甲は変更することで元に戻るし、SEは俺のスタミナと体力が関係しているらしく、スタミナが無くなった状態で攻撃を受けるとダメージを受けるかシールドを越えるダメージで減る仕組みだ。そもそも、生半可な攻撃じゃ聞かないがな。回復薬で回復した後だし。
「で、コレはどう言うつもりだ?織斑千冬・・。」
「言った通り、その機体を渡してもらおうと言っている。」
「断る。」
「貴様に拒否権はない。これ以上の拒否は攻撃して無理やり奪うが?」
「関係ない。と言うか、この場で貴様ら全員をねじ伏せてもいいぞ?此方と貴様風情に負ける気はない。」
自分の機体から『ゴゴゴゴ・・』と音がしているのが分かる。俺の怒りとクロスが共鳴しているのだ・・。
「来るか?俺はこの学園にくる際に自身に振るかかる火の粉は自分で払う許可が有る。学園長も認めているし、生徒会長もこちら側で許可済みだ。」
「それがどうした?良いから渡せと・・」
「最後通牒終了。相手の戦闘意識有り。武装確認。これより戦闘行為を開始。」
切れた。うん、俺キレちゃったぜ。俺は装甲をディノバルドに変える。
「な!?二次移行!?」
「フォームチェンジ。そして、スタイルチェンジだ。」
一気に近づき双剣『灼炎のロガー』で切り裂き、すぐに横に移動して次を切り裂く。慌てて他のメンバーが撃ってきたが、俺はソレをジャスト回避で避ける。避けると当然フレンドリーファイアだ。そして、そのまま撃ってきた相手を斬り裂きその斬った場所が爆発、ソレを続けて円を描くように居た全員を斬り伏せる。
ブシドースタイルはこういう際に役に立つ。
「・・さて、貴様が最後だが?ISは纏わんのか?織斑千冬・・」
「っく?・・・」
『そこまでです!!なんて事をしてくれたんですか貴女は!?』
「が、学園長・・そうだ!貴様はとんでもない事を・・『私は貴女に言っているんだ!織斑千冬!!』・・わ、私だと!?」
『今しがた学園にIS委員会と篠ノ之束博士から連絡が来ました。今回の件、謎の無人機を倒した上、せっかく被害者ゼロで終わろうとしたのに・・貴女が勝手な事をした事によって教師に被害が出た。勝手な行動をした事によって篠ノ之博士の怒りを買いました!博士からはイチカ・ハント君に攻撃を加えた件で学園に【危険行為による賠償請求】、一億ですよ!?更に、IS委員会からは勝手な行動で決められた機体を私利私欲の為に奪おうとしたとして、学園自体に機体の返還請求三機がきました。これには従わないといけません。そうでないと博士からは、学園のISを総べて止めると脅されましたし、IS委員会からは今後のあり方の検討も辞さないと・・分かりますか!?学園存続の危機にまで発展してるんですよ!?その責任は貴女が勝手な行動をしたからです!只でさえ、汎用機が全機修理になっているというのに・・どうするつもりですか!?払えるんですか一億!三機のIS返還に掛る損害費用!今後の対応もろもろ!貴女に責任が取れるんですか!?答えなさい、織斑千冬!!』
「ふん、束になら私から言えば簡単に・・《御掛けになった番号は着信拒否されています》なに!?束が私の電話番号を!?」
『それほどに怒ってられるんですよ!!まだ分からないんですか!?彼は博士の思い人!ソレを害したとなれば怒るのは同然です!!』
「しかし、私と束は親友で・・」
『現に拒否されている状態です!現実を見なさい!!』
結果、IS委員会の役員が学園に来て、俺が一緒の席に行って話し合いでISは一機の返還。代わりに織斑千冬の担任及び緊急時の指揮権のはく奪。体育の担当教師となった。更に今から一年間の最低賃金公務で、校則違反をした生徒と同じように空いた時間はボランティアによる清掃活動。休日は学園外に出ることを禁じ、監視をつける事。などをIS委員会から指示された。束からは、友人だった縁を切る事。私の名前を出して偉そうにしない事、イチカ・ハントに関わらない事を義務付けた。そして、最低賃金になった給料の何割かをまわす事を条件に、一億の損害賠償は撤回させた。代わりに、イチカ・ハントを結果的に危険にさらした篠ノ之箒との縁を切る事を告げ、彼女にもボランティアの清掃活動をさせる事を指示。学園はソレを快諾した。
「で、イチカ・ハントってアンタの事ね。ふーん・・見れば見るほど一夏に似てるわね。」
「イチカが、イチカに似てるって・・どう言う事?」
「あぁ、あの馬鹿教師の弟で私の親友だった男の子が居てね、中国からこっちに引っ越してきた時にいじめられてたのを止めてくれたの。そいつの名前が『織斑一夏』。」
「なるほど・・顔は日系だし・・もしかして?」
「でも、感じは全然違うかなー・・。織斑は朴念仁で相手の感情に疎いって言うか・・。」
「イチカはむしろ敏感だよね。私の事にもすぐに気が付いていたみたいだけど・・気を利かせてほっといてくれたし。」
「簪、何かあったの?」
「うん、お姉ちゃんと仲悪くなっちゃってて・・それを解決してくれた原因かな。」
「へぇ、・・あーあ、博士のお気に入りじゃなきゃ狙った優良物件なのになぁ・・。」
「たしかに・・かっこいいし、強いし、やさしいし・・ほんといいなぁ・・。」
この件でいっそう仲が良くなった簪と鈴音。あ、本人からそう呼ぶように言われた。
「本人の前で言う事じゃないな。」
「いっそのこと、ハーレム狙わない?」
「狙うかバカたれ。俺はそんな甲斐性ないわ。それこそ、この先どうなるか分からんのに束以外の女に手を出せるか。束は自分でも生きていけるから良いが・・」
「それは・・たしかにね。これからの先かぁ・・。」
襲われた事は学園には報告してあるが、生徒には知らせていない。無駄に恐怖をあおる必要もないしな。生徒で知っているのは生徒会のみだ。
「それにしても、アタシの親友の一夏はどこ行ったんだろうな・・。」
「え?織斑先生の弟さんなら普通に暮らしてるんじゃぁ・・」
「ううん、アタシが中学上がった時第二回モンドグロッソが有ったでしょ?その時にアレに無理やり連れていかれて、事件に巻き込まれて行方不明。」
「え?そ、そんな・・なんで先生は普通にしてるの!?実の弟が居なくなったのに探しまわったりしないの!?」
「知らないわ。アタシが知ってる事は、アイツは一夏を人として見て無かった。自分の弟という『物』として見てたわ。所有物みたいに。一夏の意志なんて全部無視。言う事聞かなければ無理やり力で聞かせてた。だから!アタシはアイツが大っ嫌い!ドイツに行く前の一夏の目には暗い影が有った。もしかしたら自分から・・だから見つからないんじゃ・・」
「そ、そんなこと思っちゃ駄目だよ鈴!?」
言えるわけ無いよなぁ・・その本人デースなんて。それに俺は確かにあの世界に行くことで一回死んだようなものだ。だから、鈴に自分から明かす事はない。だからこそ、『鈴音』とあえて呼ぶんだ。俺はイチカ・ハントだから。
「仕方ないんじゃないか?そう言う人物もいる。俺みたいに捨てられて、仕事を転々としていろんな所に居る様なのもいるくらいだ。世界にはそんなのごまんと居るさ。」
「・・そうかもしれないけど・・責めてアタシの親友には手を貸してあげたかった!!助けてもらったから、だから今度はアタシが・・!!」
「落ちつけ、そいつが目の前に現れた時、助けを求めたら手を伸ばしてやれば、まだ間に合う。遅くはないぜ?そいつが死んだとは限らないんだ。もし、・・もしそいつが目の前に現れて助けてほしいと云ってからでも遅くはない。それを自覚しておけば前を向けるだろ。」
「・・やけに客観的ね。それも仕事柄?」
「そうだな、・・助けてと手を伸ばされた相手に銃を向けて眉間を撃ち抜いた事もあるからな。そう言うもんさ、非常に成らなければ生きていけない時もある。命のやりとりとはそういうもんさ。」
「助けたい命も、助けたかった命も沢山ある。大事な事は後悔しないように『今』いま《現在》をどう生きるか・・どう過ごすかだな。」
「・・そうね。」