僕を愛する、君のために。   作:おみのSS部屋

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Op.2 ゆっくりと、深い海へ……

わたしにとって、初めてのことだった。

こうして、マネージャーさんの前でこんな姿を見せてしまったのは。

それでも、マネージャーさんは何も言わずに、ただ優しく、受け止めてくれて、心配してくれる。

それが、何より嬉しかった……

 

ーーーーーーーーーーーー

 

(あれ……?)

 

わたしは目を覚まして、たしかにマネージャーさんと言ったはずなのに……マネージャーさんにはあたかも聞こえていないかのように振る舞う。

 

「美晴さん、起きた?」

 

(何かが……おかしい……)

 

「美晴さん……?」

 

(あれ……?声が……出ない……?)

 

わたしの口から、声が発せない状態に陥ってしまった。マネージャーさんも、その異変にすぐに気づく。

 

「声が……出ないの?」

 

(そうかも……)

 

声が届かないなら、私は、ジェスチャーで伝えるしかない。それも、ちゃんとマネージャーさんはわかっていた。

こんなことになっても、ちゃんとマネージャーさんは、わたしのために尽くしてくれる……それが嬉しかった。

 

「何か食べる?」

 

わたしは、しっかりと頷く。マネージャーさんも、そのことをしっかりわかってくれる。

 

「今から作ってくるからちょっと待っててね」

 

マネージャーさんはわたしの頭を撫でてから、部屋を出ていった。

 

部屋の中がわたし1人になる。

時計の針の音だけが流れていく。

こうしてゆっくりできるの……いつぶりかな……

気付けばわたしは、目を閉じていた。

 

「お待たせ。美晴さん……」

 

マネージャーさんが部屋に入ってきた。

でも、その時、わたしは気持ちよさそうに寝ていた。

だからマネージャーさんが部屋に入ってきていたことにも気づいていない。

 

「寝ちゃったか……」

 

マネージャーさんが再び部屋を出て行く。

こうして、マネージャーさんと過ごしているうちに、だんだんと体調が良くなっていっているような気がした。

そんなことを思いながら目を覚ます。

 

「ん、んん……」

 

「美晴さん……起きた?」

 

マネージャーさんはすぐ横にいた。

そのことに、少し驚きながらも、どこか甘えたいところもあった。

 

「少しはゆっくりできた?」

 

わたしはゆっくりと頷く。

 

マネージャーさんは、わたしのことを第一に心配してくれる……

それが嬉しかった。

 

「美晴さん、少しは食べて」

 

わたしはマネージャーさんにぺこっと頭を下げる。マネージャーさんも、それにしっかりと応えてくれる。どうして、マネージャーさんはこんな私でもこうして尽くしてくれるの……?

 

「今は僕のことは気にしないで。しっかり治してくれたら、他に何もいらない」

 

ずっと心配してくれているマネージャーさんへ申し訳ない気持ちでいっぱいになりながら、わたしはおかゆとりんごを食べた。

りんごは蜜入りのもので驚いた。

あまり食べていなかったので、お腹が空いていたのでこれでもかというくらい、食欲があった。

マネージャーさんもわたしが食べている姿を見て、少しホッとしていた様子だった。

 

わたしがご飯を食べ終える。

 

「美味しかった?」

 

うんと、しっかり頷いた。マネージャーさんもすこしホッとしてた様子だったのも嬉しかった。

 

「皿片付けてくるから、少し待ってて」

 

マネージャーさんがお皿を洗うために一度部屋を出て行く。

マネージャーさんがそばにいないだけで私は悲しくなる。

(あれ……どうしてなのかな……?)

それは答えにならなかった。

 

「お待たせ。遅くなってごめんね」

 

マネージャーさんが部屋に戻って来た時、わたしの鼓動が早くなる。

いつもマネージャーさんといた時にはなかった鼓動の早さだった。

気付けばわたしはマネージャーさんの腕を掴んだ。

 

「ん?」

 

その目は、ものすごく蕩けていた。マネージャーさんに、わたしが求めてるもの。それを当ててほしい気持ちがあった。

わたしが何を求めているのか、それはマネージャーさんも知っている。

そのために今ここにいてくれていると思うから。

 

「美晴さん、甘えたいの?」

 

わたしは恥ずかしそうにしながら、しっかりと頷く。

マネージャーさんが、少しだけ笑って、わたしにこう言った。

 

「わかった。おいで。いっぱい甘やかすから」

 

わたしの体は熱があるはずなのに、さらに熱を帯びる。

でも、それが嬉しかったからか、わたしは泣いていた。

 

「そんなに嬉しかったの……?」

 

そんなの、嬉しいに決まってる。だから、わたしは、しっかりと頷いた。

マネージャーさんがわたしの横に寝転がる。

ずっとドキドキしていたのに、またマネージャーさんは……ずるいことをして……

マネージャーさんがもうずるすぎた。

でもそのずるさに溺れたかった。

マネージャーさんに心を支配されたかった。

それが、今のわたしの癒しになるのだから……

 

わたしは、マネージャーさんの手に頬を当てた。

マネージャーさんの手は、洗い物をした後だったからか、少し冷たかったけど、わたしの体の暖かさと混ざって、ちょうどいい温度になっていた。

もうわたしは、マネージャーさんのそばにくっついて甘えていた。

マネージャーさんも優しくそれを受け入れてくれて、すごく嬉しかった。

わたしの深い傷が癒える、そんな優しく甘い時間だけがゆっくりと流れていく。

それは、わたしのこころにぽっかりと空いた大きな穴を埋めてくれる。

もう……わたしは、マネージャーさんに、溺れていた。

マネージャーさんへの好きな気持ちで、溢れていた。

わたしは、マネージャーさんの頬にゆっくりと唇を当てた。

マネージャーさんの頬は少しだけ柔らかかった。急だったから、すごくびっくりしてたのがまた可愛かった。

 

「美晴さん……大好きだよ……//」

 

少し恥ずかしそうにしながらマネージャーさんがわたしの頭を撫でる。

背中がゾクッとしたが、すごく久しぶりだったからなのかも。

マネージャーさんの優しい手の感触が、わたしの頭に伝わる……もうそれだけでも嬉しかった……

 

ありのまま思いを、マネージャーさんが、ちゃんと応えてくれる。

もっとマネージャーさんと一緒にいたいって思うようになる。

もう、わたしは感情を抑えられなくなっていた。

 

「美晴さん」

 

マネージャーさんが、わたしのベッドの上にくる。

その瞬間、わたしは唇を奪われる。

 

(あ……マネージャーさんに……支配される……)

 

「ん……」

 

(あぁ……わたし……もうダメ……)

 

両手を塞がれたわたしには、どうすることもできなくなっていた。

ただ、マネージャーさんに従うしかなかった。何も抵抗することもなく、ふらっと力が抜けたわたしは、ゆっくりとマネージャーさんに溺れていった……

わたしの目からは、涙が零れ落ちていた。

それは、きっと幸せの涙だった。

西日が窓の外から差し込む。

少し眩しいくらいだけど、このくらいがちょうどいい。

マネージャーさんに、また甘えたくなるくらい優しい時間だった。

わたしはゆっくりと目を閉じた。

この時間が続いてほしい。あるいは、ゆっくり流れて欲しい……誰にも邪魔されたくない……この時間も、この気持ちも……

ずっと……マネージャーさんと幸せな日々を送りたい……マネージャーさんさえいたら……他に何もいらない……

その思いがより強くなる……

 

静かに唇を離して、目を開く。

わたしの目からは……涙が止まらない。

だって、大好きな人に……たくさん甘えてるし、心を癒してくれる。

それに、マネージャーさんも答えてくれていたことがわたしにとって一番の幸せだった。

 

わたしはマネージャーさんの手をぎゅっと握る。

その手は、少しだけ大きくて、暖かかった。

こうしてマネージャーさんと一緒にいる時間って、なんだかあっという間に過ぎ去ってしまうようで……少し悲しいけど、すごく落ち着くし、楽しい……

あ、ちょっぴりクラクラしてきた。

でもそのくらいたくさん甘えることができて、幸せだったのかな……

それは、きっとマネージャーさんも同じ……

 

「僕はね……美晴さんといれて……幸せだよ……」

 

マネージャーさんのまっすぐな思いがわたしの心に届く。

ありのままのマネージャーさんの思いは、わたしにとって一番嬉しい。

わたしは、赤い空に照らされて、また寝てしまっていた。

 

ー2時間後ー

 

「……さん……」

 

「美晴……さん……」

 

私の耳元で響く、優しい声。

その声で、私は目を覚ます。

 

「よく寝れた?」

 

目はしっかりと開いてたから、よく寝れたのかな……しっかりと頷く。

 

「ならよかった」

 

マネージャーさんが笑顔になる。

あまりマネージャーさんは笑顔を見せないから、幸せなのかな……嬉しいのかな……

少しだけ気持ちが和らぐ。

わたしも、マネージャーさんにつられて笑顔になる。

 

「甘やかそうか?」

 

なぜだろう。わたしは心のどこかでマネージャーさんにもう甘えていたのかもしれない……どこか甘えてしまっている。

それでも、マネージャーさんは何も言わずに受け止めてくれた。

 

「美晴さん、おいで」

 

わたしはマネージャーさんの膝枕の上に乗る。

それと同時に、マネージャーさんがわたしの体に毛布を被せてくれて、頭をポンポンと撫でてくれる。

この温度とこの感触……どこか懐かしい気持ちになる。

 

「これで暖かくなった?」

 

わたしは嬉しくて、でもちょっぴり恥ずかしかった。だから、ちょっとだけ頷いた。それにマネージャーさんが反応してくれた。

 

「じゃあ……今夜は2人だけで暖かくしよっか?」

 

「……///////」

 

わたしの顔が赤くなる。もう……そうやって、マネージャーさんは誘惑して……

 

「そうやって、照れてるのもかわいいよ……」

 

マネージャーさんはわたしの頭を撫でる……恥ずかしすぎて言葉にならない。でも、こうしているだけで幸せになってる。もう、嫌なことなんて忘れるくらい。わたしは、マネージャーさんの袖を掴む。

 

「なに?」

 

わたしは、マネージャーさんの袖をぎゅっと掴んだ。顔はすごく赤かったから、マネージャーさんの袖で隠した。わたしの心の中に、わずかな不安があった。それでも、マネージャーさんの心は決まっていたかのように答えてくれた。

 

「美晴さん……もっといっぱい甘えておいで」

 

あ……伝わったんだ……わたしの思い……

少しだけ、嬉しくなって涙がこぼれ落ちた。

ゆっくりだけど、こうして幸せな時間が動き始めて、わたしは嬉しかった。

マネージャーさんの膝枕を受けて、わたしはまた深い眠りについてしまった。

マネージャーさんがポンポンと頭を撫でてくれる。わたしの心の底が、自然とマネージャーさんの優しさで満たされていく。

わたし、マネージャーさんにもう溺れきってしまったのかな……

今日はずっとマネージャーさんにいっぱい甘えて幸せだった。

マネージャーさんの膝枕が暖かい。

その暖かさを受けて、わたしはコテッと寝てしまった。

 

「美晴さん?」

 

「スー……スー……」

 

私は寝息を立てて寝てしまった。

 

「美晴さん……おやすみ……」

 

止まっていた時間が、ゆっくりと動き出した。




皆さんこんにちは。おみです。
この度は「僕を愛する、君のために。Op.2」を読んでいただきありがとうございます。
多分僕が書いた小説の中で1番の甘々回のような気がしますが、みなさんいかがでしたでしょうか?
こういうの、一度は書いてみたかったので、今回書けて良かったです。
さて物語の方に出てきた美晴さんの突然声が出なくなったのは、心因性失声症になってしまったからです。
ちなみに、熱を出したのも、心因性発熱です。(ここらへんは完全に設定になりますが)
心因性発熱は一度なったことがありますが、ストレスが熱になることあるんだなって感じでした。そのせいで試験受けれなかったり親に迷惑かけましたが……
という話は置いておいて、次回は明日投稿予定です。
それでは次話もお楽しみに!
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