僕を愛する、君のために。   作:おみのSS部屋

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Op.3 君のための音

ー翌日ー

 

朝8:00に僕が起きる。

今日も美晴さんの両親は仕事だから家にはいない。

両親にも「美晴のこと頼むね」って言われた。

お兄さんなきいま、僕が頼りになるのか……そんな感じがする。

それでも、僕がやることは変わらない。

美晴さんが幸せになるために……まっすぐやるだけ……

それが僕の使命なのだから……

 

「美晴さん遅いなあ……」

 

時刻は9:30を回ったところだ。

でも、美晴さんはまだ起きてない。

休みだからゆっくりしたいのかな?

でも僕は少しだけ寂しい。

美晴さんと一緒にゆっくりしたいから。

きっと、美晴さんもそれは一緒だと思う。

でも、1人の時間も少しは欲しいってきっと思ってるはず。

だから別に特には気にしていないし、心配もしてない。

美晴さんらしくいてほしい。その思いが今は強い。

10:00前……

 

「おはよう、美晴さん」

 

美晴さんが起きてきた。少しゆっくりできたみたいで僕もほっとした。

 

「朝ごはんはこれ食べてって」

 

美晴さんがしっかりと頷く。

美晴さんも元気になって、少しずつ元通りの生活を送れるようになっていた。ただ、まだ声は出ないままだった……

何でだろう。こんなにも好きな人と一緒にいるだけで、今までのことをぽっかり忘れられる。そんな気がした。

 

美晴さんがゆっくり両手を合わせた。

 

「あ、食べ終わった?洗い物するからゆっくりしてて

いいよ」

 

美晴さんの食べ終わったご飯を洗う。

なんだかこういう生活をしているうちに、家族となって、この生活が当たり前になる日々が少しだけ浮かんだ。

洗い物が終わったら、美晴さんがピアノを弾いてた。

いつぶりだろう……こうして美晴さんの音をリアルで聴けたのは……

やっぱり、美晴さんの音って、何気ない力があって、それが魔法の音のようになってく。そんな音が僕には羨ましかった。

その音は、絶え間なく流れていく。この時間が、僕は好きだ。

優しい音に包まれて、ピアノの音ひとつずつが輝きを増していく。

優しい音は、冬空の青い空に消えていく。その音は、果てしない空へと続いていく。

 

ゆっくりと、美晴さんが演奏を終える。最後まで1音1音が生きている。そのような感じがした。やっぱり、美晴さんに敵わないや……

 

拍手が鳴り響く。それは、干物をやっていた隣の家からだった。美晴さんは声が出ないからその人にペコっと頭を下げた。

美晴さんが席を立って、僕が今度はピアノの前に座る。僕は何しようかな、って美晴さんの方を見た。うん、あの曲にしよう。

 

そうした弾いた曲は、美晴さんがよく演奏しているあの曲だった。この曲は、美晴さんの原点の曲。だから、この曲を演奏するのは、僕と美晴さんだけの特別な曲。

その曲を演奏して、1クール終わった後だろうか。聞き覚えのある声が聞こえた。

 

「without any strings……」

 

聞き覚えのある声。その声は……きっと……その歌詞の続きが……

 

「only if you are the who you are」

 

間違いない。この曲を知っている人の声だ。そして、すごく美しく、伸び伸びとした声が届く。

 

 

この曲が終わった時、真っ先に美晴さんの方を見た。

美晴さんの目からは、涙がこぼれ落ちていた。

 

「美晴さん……」

 

「わたし……声……出たよ……」

 

美晴さんは僕に抱きついてくる。すごく急だったので、びっくりしたけど、優しく受け止めた。

 

「マネージャーさん……心配かけて……ごめんなさい……」

 

「美晴さんの声が聞けて、僕はすごく嬉しいよ……おかえり……」

 

「はい……ただいま……」

 

ゆっくりと美晴さんの背中をさすった。美晴さんは嬉しくて大粒の涙がぽろぽろと零れ落ちていた。

それをゆっくり、しっかりと受け止めてると、なんだか……僕も泣いてた。

 

「マネージャーさん……」

 

「なぁに?」

 

すごく蕩けてる美晴さんの唇と、僕の唇が触れ合う。

ゆっくりと、その気持ちを共有する。

美晴さんの声が出た嬉しさと、僕の少しばかりの心配な気持ちが混ざり合う。

それが「好き」っていう2文字に変わった。

 

「大好き……」

 

「うん、僕も……」

 

美晴さんの声から「好き」っていう言葉を聞いたのはいつぶりだろうか……でも、いつ聞いても嬉しいことに変わりはない……

 

青い空が、僕らの背中を押す。

 

「マネージャーさん……ありがとうございます……」

 

ゆっくりと美晴さんが発した言葉は、僕の心と、青空にしっかりと届いた。




皆さんこんにちは。おみです。
この度は、「僕を愛する、君のために。Op.3」を読んでいただきありがとうございます。
心因性失声症になってしまった美晴さんでしたが、美晴さんがよく弾いてる曲を弾いてるうちに、声が出るようになって、ホッとしたマネージャーを書いてみました。いかがでしたでしょうか。感想など書いてくださると嬉しいです。
CUE!アニメももうすぐ放送ということでどのようなストーリーとなるのかものすごく楽しみです。
それでは次話もお楽しみに!
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