1月のある日、僕の大学での全ての課題が終わった。
と同時に、僕は虚無感に駆られる。
僕の心の中にある、何かの糸が切れた。
何が切れたかはわからない。それでも、何かが切れたという感覚だけは残っていた。
それと同時に、大学に対しての怒りが沸き起こる。
でもそれは、すぐに消えていった。
それでも、なんで努力が結果に反映されないのか、不思議でたまらなかった。
なんで僕なんかよりも真面目なんかじゃない人に単位はあるのに僕だけって思う。それが一番嫌だからに決まってる。
体に溜まり続ける疲労とストレスが、またさらに溜まっていく。
そして、また疲れていく。これを最近はずっと繰り返しているような気がする。
そして、そのストレスから、電車に乗っている時間が鬱陶しくなったり、知らない人に当たる機会が自然と増えていた。
そのくらい心も体も疲れ切っていた。
気付けば、自分の体はコントロールできなくなってしまっていた。
もし仮に、美晴さんがそばにいてくれたら、こんなことにはならなかったのだろうか……そんなふうに思ってしまう。
心のどこかで、美晴さんを求めてしまっている。
その気持ちは、制御できなくなっていた。
美晴さんにたくさん甘やかされたい。そんな時間が……僕に求めていたもの。
しかし、そんな時間はやってこない。
それが、何より辛いことなのかもしれない。
そんな時、またふらつく。
ストレスに弱い体が、このストレスに耐えられるはずがなかった。
親にも「はやく英検取りなさい」
ってずっと言われていた。
でも、そんな時間なんてあるはずもない。というか、勉強する時間すらも、僕にはないし、勉強する元気も起こらない。
そんな時、1通の電話がかかった。
「もしもし」
「マネージャー、久しぶりね。元気?」
「社長、お久しぶりです」
意外なことに、なんと電話の相手は真咲社長だった。
「どうしたんですか?」
「マネージャーにお願いがあるの」
「お願い……」
真咲社長から僕へのお願いって何だろう……?
そもそも社長から僕にお願いすることってあまりないような気もするんだけど……
「マネージャーが大学を卒業したら、またAiRBLUEのマネージャーとして、仕事をして欲しいの。お願いできるかしら?」
僕の恋人である美晴さんが所属する事務所、AiRBLUE。
僕は昔、そこでマネージャーをしていた。
ただ、その時は学業と両立しながら。
しかし、今回は、正式な社員として、マネージャーをしてほしい。そういうことだった。
そんなの……引き受ける以外の選択肢……ないよね……
「わかりました。よろしくお願いします」
「マネージャーならそう返事すると思ったわ。2年後、待っているわね」
「はい」
「あと、今回から新規マネージャーとして入ってくる人たちが何人かいるの。彼女たちの仕事量も増えてきて、マネージャーとりおだけでは仕事を全部捌くのは難しくなってきているからね。そのためというのもあるし、今度2期生も入ってくるの」
2期生……か……どんな子たちなのかな……また舞花みたいな子が入ってきたりして……
どうやら、AiRBLUEは活動休止期間中に事務所と寮の改修工事を行っていたらしく、それが終わるのが、今年の3月とのことだった。
新しくなったAiRBLUE、新しいマネージャー、2期生のみんなは、どんな人たちなんだろう……
そして、1期生となったみんなは元気なんだろうか……
そんな期待に胸が高まる。
「そこであなたに、新しく入ってくるマネージャーに、マネージャーの業務のことを教えてほしいと思ってるけど、大丈夫かしら?」
なるほど。それを僕にやってもらいたいと。
「わかりました。それ、いつですか?」
「2月くらいにお願いしようと思ってる。目標としては、彼らが大まかな仕事ができるくらいまで、教えてほしい」
「け、結構ですね……わかりました。よろしくお願いします。こちらで日程調整しますので、また決まり次第早期に連絡します」
「わかったわ。よろしく」
新しく入ってくるマネージャーに教える……か……
多分僕が最年少だろうから、年上の人に教えるのか何か違和感がある。
でも、やるっきゃない。社長に言われたラインまで。
その後は、どんなことを話すか。どこがポイントか、どこを教えるか、それを考えていた。
この瞬間、僕の心の荷が少し軽くなった。
理由は、すでに就職先が決まったから。つまり、大学のことに専念すれば良いと言うこと。
残り2年、乗り越える。
しかし、待ち構えていたのは、見たくもない、あまりに残酷な世界であったことを、知る由もなかった。
皆さんこんにちは。執筆者のおみです。
この度は「僕を愛する、君のために Op.5」を読んでいただきありがとうございます。
執筆時間がなかなかなく、1ヶ月以上空いてしまいました。本当にごめんなさい。またゆっくりではありますが、ストーリーを進めていきたいと思いますのでお楽しみに。
さて次回は東京に行きます。2月の寒い日、僕は東京で何を感じたのか、そして、待つ未来は……そしてあのストーリーの彼の方と……
是非次話も見てくださると嬉しいです。