僕を愛する、君のために。   作:おみのSS部屋

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Op.6 出会いの地は約束の地

2月のある日……

 

「只今よりAiRBLUEの新入社員向けのガイダンスを始めます。本日の司会は私が務めさせていただきます。よろしくお願いします」

 

拍手がなり、ガイダンスが始まった。

真咲社長にお願いされたのは、このガイダンスをやってほしいとのこと。

僕が現状大学生で、2年間は就活以外、ほとんど顔を出せない状況だったからだ。

もちろん、就活はAiRBLUEですることはすでに決まってるし、正社員になることも決まっている。

それについては、先日、社長と話し合って決めた。

 

「では、まずはこちらから説明したいと思います……」

 

正直何を説明したらいいのか、どの程度説明したらいいかわからなかったが、社員となるみんなの協力も相まって、スムーズに進んでいく。

 

「以上で終わります。最後にAiRBLUEの事務所内を回っていきたいと思います」

 

最後にみんなで事務所の中を回る。

理由は、みんなにも、どこに何があるのかを把握してもらいたかったから。

実は、僕は一足先に昨日回っているけど、改修前と大きく違っているところがあったりしてびっくりした。その1つがレッスン室が2つになったこと。1期生用と2期生用に分けているみたい。あとは、収録の音声チェック部屋などが設置されていた。みんながより声優という仕事に向き合っていけるような環境が整っていた。

正直、びっくりした。それは、社員のみんなの反応を見てもそうだった。あとは、スタッフルームやミーティングルームもキャパが広がっていて、どのスタッフが今事務所にいるかがわかるようになっていた。ま、まさか、ここまで変わっていたとは……ここで早く働きたいな……っていう思いが強くなる。

そのために、大学を頑張ろうって思った。

 

 

帰る時にレターボックスを開けた。

そこに、1つの小さな箱が入っていた。

そこには……

 

「夜峰美晴」

 

と書かれていた。

美晴さんからのプレゼントらしきものが事務所の僕のレターケースに届いていた。

僕はみんなが帰った後、1人になってからその箱を開けた。

箱の中身は……

 

「チョコ?」

 

そう、チョコだった。

 

「あ、そっか。バレンタインだ」

 

すっかり忘れていた。この日がバレンタインであると言うことを。

そっか……美晴さんは……覚えてくれていたんだ……

中身は開けなかった。

そこには、1つの手紙が入っていた。

 

マネージャーさんへ

 

ハッピーバレンタインです。

今年は手渡しできなくてごめんなさい。

それでも、ちゃんと届いてるといいな……

マネージャーさんが好きそうなチョコを選んできました。

食べてみてください。

返事、待ってます。

 

美晴

 

「……」

 

僕は静かにその手紙を閉じる。

 

「覚えてたんだ……僕のこと……」

 

正直忘れてるのかなと思っていた。でも、ちゃんと大事だと思ってくれていたことが何よりも嬉しかった。

 

帰りの新幹線で美晴さんとこんなチャットをしていた。

 

「美晴さんバレンタインチョコありがとう。事務所で受け取ったよ」

 

「うふふ、届いて良かったです」

 

美晴さんも届いたことを報告したら、嬉しそうだった。

 

「家に着いたら食べるね」

 

「感想、聞かせてくださいね」

 

でも、僕の感想なんて、言っても参考になるのかな……

 

「感想は、ホワイトデーにちゃんと返すから。約束する」

 

「あら、それは楽しみに待ってますね」

 

美晴さんもすごく楽しみにしてたので、ちょっと高いものにしようかな。今から何を買おうか悩んでいた。

そして、こんなことを美晴さんに聞いてみた。

 

「美晴さんは、みんなと再度会った時に何がしたい?」

 

こんな質問を送ったところ、美晴さんからこんな返信が帰ってきた。

 

「みんなで楽しい毎日を送りたい」

 

美晴さんらしい答えだなって思っていた。きっと美晴さん以外のみんなも……きっとこう思ってるよね……

 

「マネージャーさんは、AiRBLUEに戻った時に、何がしたいですか?」

 

美晴さんから僕に聞いてきた。少し考えながら、僕はこう答えた。

 

「みんなが声優のお仕事に取り組めるような環境を作って、みんなが今まで以上に活躍することかな」

 

これは、今日事務所を見てきた時に決めたこと。そうなってほしいなって思ってる。

あれ?そういえば……今日は2月だった。

ということは、美晴さんは来月大学院を卒業する。

そう思った僕は、こんなことを聞いてみた。

 

「美晴さんは、大学院を卒業したらどこか行きたいところはある?」

 

美晴さん、何がしたいのかな。

不安と期待が入り混じる。

帰ってきた答えは……

 

「マネージャーさんと、日本一周旅行してみたい」

 

だった。

 

日本一周か……

僕は、あることを調べているうちに、1つの答えに気づいた。

それと同時に、美晴さんの要望を叶えてあげれそうなことがわかった。

 

「わかった。やろう」

 

「うふふ、楽しみにしてますね」

 

この言葉を最後にチャットでの会話が途切れた。

 

日本一周

 

言葉だけ聞いたら、ものすごく難しいことだし、簡単なことではない。

それでも、美晴さんとなら、どんな荒波であっても、乗り越えられる……そんな気がした。

僕と美晴さんだけの……2人しか知らない旅……

新たな思い出の1ページを……ここに確かに刻んでいく。

その思い出が積み重なっていく。

 

 

 

「日本一周……か……」

 

こんなことをボソッと呟いた。

 

誰かのために旅をすること、それをまだやったことがなかった自分にとって、初めてのことだった。

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

数日後、僕はある切符を取るために京都駅に来ていた。

今回、美晴さんには「切符は全部手配しておく」とだけ言っておいた。

だから、自分で2人分を確保しなければならない。

まぁ、後で美晴さんからお金は貰うんだけどね。

それでも、今回は2人分取るのが難しい切符だからこそ、大きい駅でもある京都駅に来ていた。

そして時刻は10:00を回ったところで、僕は駅員さんにこう言った。

 

「来月の今日、東京21:50発の特急の乗車券と特急券を2人分お願いします」




皆さんこんにちは。おみです。
この度は「僕を愛する、君のために。Op.6」を読んでいただきありがとうございます。
今回はバレンタインのお話でしたが、ほとんどバレンタイン要素なくてごめんなさい。
前回の内容を受けて、今回は東京でのお話となりましたがいかがでしたでしょうか?
感想を書いてくださると嬉しいです。
また、最後の一言は日本一周旅にも絡んできますので、ぜひみなさんでも予想してみてほしいなと思います(本編では何に乗るかについては便宜上伏せていますが、ちゃんと駅員さんには乗る特急名を伝えています)
そのあたりもぜひご期待ください。
さて本編についてですが、この後日本一周旅の回となります。
日本一周旅のハーメルンについては、動画制作と同時進行で進めていきますので、投稿頻度はかなり落ちると思います。
日本一周旅が終わって、その後の世界線を書くことになると思います。
どんなシリーズになるのか、ぜひみなさんご期待ください。
それでは皆さん次話もお楽しみに!
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