僕を愛する、君のために。   作:おみのSS部屋

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Op.7 時が動き出す

それから時は流れ、気づけば3月になっていた。

そして、僕は美晴さんにいつから日本一周を始めるかは既に伝えていた。

今日はその前日。

前日ということもあって、少しだけふわっとしながら僕はバイトをしていた。

バイトが終わり、家に帰ると、ご飯を食べて、事前準備に入った。

いつぶりだろう……この感覚……なんだか懐かしい気持ちになる。

しかも、今回は美晴さんのためにやる遠征だから尚更だ。

そんなことを思いながら、準備を進めていた。

モバイルバッテリーや必要なものの準備を進めていた。

 

「ふぅ……」

 

荷物はある程度詰め終わった。あとは当日を待つのみとなった。

その後は、YouTubeでのプレミア公開があった。

そのプレミア公開は、いつも何人かの人が見てくれている。

その何人かが、大きくなっていくのを肌で感じる。

影響力の強い人になることは嬉しいけど、同時に責任というものも感じている。

その狭間の日々を過ごし続けていた。

プレミア公開が終わってから数分後、スマホから電話のアラームが鳴る。

 

「ん?」

 

誰からだろう。手に取ると……

 

「美晴」

 

って書いてあった。

間違いない。美晴さんだ。

でも、なんでこの時間に?

僕は電話に出た。

 

「もしもし?」

 

「おみくん……?」

 

「う、うん。そうだよ……」

 

(お、おみくん?あれ?美晴さんいつもそんな呼び方してたっけ?)

 

何か引っかかるところがあったので、少し戸惑ってしまった。

 

「美晴さん、どうしたの?」

 

でも、なんで電話してきたんだろう。それが疑問に感じたので聞いてみた。

 

「うふふ、少し寂しくなったから電話してみたの」

 

「もっと電話してあげたらよかったね……」

 

「わたしも忙しかったですし、おみくんにも迷惑かなって思って……」

 

「迷惑だなんて思ったことはないよ……むしろ、電話かけてくれるとすごく嬉しい……」

 

ありのままの思いを伝える。それでも、なぜかおみくんっていうことには気がかりを覚えている。

 

「ありがとうございます……おみくんは……優しいですね……」

 

「……美晴さん?」

 

「はい?」

 

「いつから『おみくん』って呼ぶようになったの?」

 

「だってぇ、わたしたち付き合ってるんですよ?」

 

その言葉を聞いて少しだけはっとした。でも、これはプライベートだけ……の方がいいよね……

 

「プライベートだけだよ?」

 

「もちろんですよー。お仕事の時はちゃんとマネージャーさんって呼びますから」

 

少しだけ不安だけど、美晴さんを信用した。

でも、おみくんって呼ばれるの……なんだが悪くない……

 

「じゃあ、僕も『美晴』って呼んでもいい?」

 

「うふふ、いいですよ?お仕事の時も『美晴』でいいんですよ?」

 

こんがらがりそうだけど、まぁいいか。

少しだけ大雑把な自分の素顔が出た。

 

「いよいよ明日ですね……」

 

美晴さんがそっと呟いた。

明日は日本一周旅の始まり、すなわち、僕と美晴さんだけの秘密の旅が始まる。

 

「美晴さん」

 

「なぁに?」

 

「僕ね、すごい緊張してる」

 

「……!」

 

「誰かのために遠征したことがないんだ。だから、この遠征がうまくいくのか不安で……」

 

そんなことを呟いた。でも、美晴さんから帰ってきた言葉はこれ以上ないくらい暖かい言葉だった。

 

「大丈夫ですよ。マネージャーさんと一緒にいくと、わたしもすごく楽しいですし、きっといい風が吹いてくれますよ」

 

美晴さんはこの旅の成功を祈願していた。

 

「うん……僕も、そう信じてる……」

 

「マネージャーさんは、もうちょっと自分のこと信じてもいいんですよ?」

 

「自分を信じる……か……少しでも変われたらいいな……」

 

「マネージャーさん、明日から楽しみましょうね!」

 

「もちろん。2人で一緒に楽しもう」

 

「目的地まで、わたしを連れていってくださいね?」

 

「約束する。美晴さんを、目的地まで連れていくよ」

 

「マネージャーさん」

 

「ん?」

 

「マネージャーさんを好きになって……本当によかったです……////」

 

少しだけ甘い声が携帯から聞こえた。その時、少しだけ僕の心が奪われそうになった。

 

「うん……僕も、美晴さんを好きになって……本当によかった……ありがとう……」

 

唐突にあんなこと言われるなんて思ってなかった……やっぱり……美晴さんはずるい……

そのずるさが僕は好きでもあるけど……

 

「マネージャーさん、おやすみなさい」

 

「うん、おやすみ。明日遅れないようにね?」

 

「わかってますよー」

 

そう言って電話が切れた。

明日から旅が始まるのに、こうして美晴さんと一緒にお話しできたのは、すごく嬉しかった。

まるで、今日から旅が始まっていたかのように……

 

僕は空を見上げた。

空は星が瞬いていた。

そんな星空の下、ベッドで深い眠りについた。




皆さんこんにちは。おみです。
この度は「僕を愛する、君のために。Op.7」を読んでいただきありがとうございます。
日本一周旅前最後の更新です。この先は5月まで投稿する予定はありません。(日本一周旅などが挟むため)
申し訳ないですが、続編は気長にお待ちください。
さて日本一周旅が近づいてきました。
すごく緊張してます。としか言えません。
でもその緊張を力に変えて、頑張ります。
旅は学ぶことが多いので、今回も何か学べたらいいなと思います。
それでも、今回は1年ぶりの長期遠征なので、純粋に楽しみたいと思います。
このご時世と、大学のことを一切考えることなく楽しみたいと思います。
不安も沢山あります。それでも、皆さんがいるから、大丈夫だと思える……そんな仲間に出会えたことに本当に感謝しています。

それでは、行ってきます。
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