超高校級の天才ゲーマーのhigh school life 作:火野ミライ
布団の中に埋まっていも聞こえてくるはモノトーンな熊がモチーフのキャラクター目覚まし時計。目覚ましの音色を止めるデイリーミッションをこなして上半身を起こす。そのまま布団越しに膝に手を置き、なにも無い壁を呆然と眺める。
(___よし、休もう)
学校に行く気が起きなくてズル休みを決行する事を決めたのは数分見つめてからだった。床頭台に置かれたスマホの充電ケーブルを抜き、連絡先リストから駒王学園の電話番号を開く。そのまま電話を掛ける事は無く、電話越しに何を喋るか考える。
「ニャー!」
「___ん」
数分考えこんでいたらリビングの方から猫の鳴き声が聞こえてきた。このマンションはペット飼育可なので他所の猫が迷い込んだのかも知れない。そう思いスマホの電源を落とし、肩を解しながら立ち上がる。
「ニャー」
「あ………」
リビングのカーテンを開けるとベランダに姿勢よく座る黒猫の姿。その背中には幻夢コーポレーションのロゴが印刷された巾着袋を装備している。どうやら迷い猫ではなく客猫のようだ。
「ニャー!」
ベランダを開けると知った顔でリビングに入ってくる黒猫。彼女の名は【
「ニャ!」
タオルで黒歌の足に付いた泥を拭き取りその後は床の足跡を拭く。ベランダを閉めて彼女へと視線を向ける。机の上に登っていた彼女は器用に装備品を外し巾着を机の上に置いた。
「____」
巾着を手に取り中身を確認。プチプチに包まれた5本のアイテムが入っていた。その内の一つを手に取り梱包を開封。中に入っていたのは幻夢コーポレーションから出ているカセット。しかし市販のそれとは違い、手持ち部分にグリップが付き、端子が2倍ぐらいの長さになっている。
「ありがと黒歌」
お使いクエストをクリアした黒歌にお礼を言う。彼女はひと鳴きし日光の当たる場所に行くと丸まり瞼を閉じる。知人からのプレゼント片手に学校へ休みの電話。その後は黒歌のそばに水の入った皿と煮干しを盛った皿を置く。そのままとMMOを起動し、今日から始まるイベントへと赴く。
「あ、Cシャドウ」
サーバーに入ると良く一緒に遊ぶプレイヤーと遭遇した。軽くチャットで会話し、チームを組んで改めてイベント素材集めへ。
◆◆◆◆◆◆
駒王町のはずれにある廃教会。その正門へと続く道をリンゴを頬張りながら歩くのはミッテルト。人を寄せ付けない雰囲気を醸し出している廃教会に臆することなくいつもの様に歩む彼女。そんなミッテルトの正体は【堕天使】と呼ばれる人知を超えた存在。
「はむっ」
しかしながらリンゴを食すその姿は普通の人とそう変わりは無かった。手を付けてないリンゴを持つ左手で教会を掛けようとしたその時、人気を感じて教会の側面の方へと進み始める。やがて木陰で休むように手ごろな岩に座り、上の空を向くシスター衣装に身を包む少女の姿を見つけた。
「__アーシア?」
【アーシア・アルジェント】、ここ最近廃教会にやって来たハブれシスター。とある出来事が原因で協会から追い出された彼女であったが、アーシアの能力を欲した廃教会の主でミッテルトが駒王町に来る直接の原因となった堕天使によって移動してきた。
ミッテルト自身はアーシアと直接会話した事は無く、顔写真とプロフィールを資料越しで確認した程度。そのため目の前の少女がホントにアーシア・アルジェントなのか確信が持てずにいた。
「は、はい!」
だがその心配は無用だった。無意識にアーシアの名を呟いていたミッテルトの声に反応したのだから。勢いよく立ち上がり、背筋を伸ばすアーシアの姿に苦笑いを浮かべるミッテルト。
「そんな畏まらなくっていいっすよぉ~」
そんな彼女をなだめながら、自分から話しかけたみたいな構図に計らずしもなってしまったために彼女のそばに近寄る。
「ここには慣れたっすか?」
「はい …………あの、どちら様ですか?」
「ウチはミッテルト。一応、アーシアの上司っすね」
「知らずとは失礼な態度をとってしまいごめんなさい!」
「だから畏まらなくっていいっすから」
腰から90度曲げ綺麗なお辞儀をするアーシアに楽な体制を取るように言うが、緊張からか元来の性格からなのか、借りてきた猫の様に緊張している彼女の姿に頬を掻きたくなるミッテルト。結局、互いに落ち着くまでしばらく時間が掛かったが岩に腰を据えて会話を始める。
「口付けてない方のリンゴ食べるっすか?」
「…………では、いただきます」
小さな一口でリンゴを食べるアーシアの姿に笑み浮かべながら食べかけのリンゴへ豪快にかぶりつくミッテルト。リンゴの咀嚼音を響かせながら、何気ない日常会を繰り広げていく二人。
「__さっきまでここで涼んで居たようですけど、何を考えてたか聞いても良いっすか?」
緩やかな時間が流れアーシアの表情から緊張の色が抜け始めた頃、ふと疑問に思った事を尋ねたミッテルト。その質問に悩む様子を見せながらもポツリと言葉を溢していく。
「__実はここに来るまでにイッセーさんと言う方に道案内をしてもらって……」
語られるはあらゆる生物を癒す不思議な力を持つ少女が祭り上げられ、しかしその力が全てを故に蔑まされ追い出された少女の心の痛みを和らげるように普通に接してくれた少年との出会い。迷子になったアーシアを教会まで案内し、彼女が持つ力も当たり前のように受け入れたイッセーと呼ぶ彼へのお礼がしたと言う微笑ましい話だった。
仇やかな笑みを浮かべ、少し顔を赤らめるアーシアの様子を見ながらミッテルは心の中で呟く。
(イッセーって、
嫌な汗が頬をなでる中、胃のあたりを優しくさするミッテルト。そんな彼女の様子に気が付かずアーシアは礼を言い、この場から去って行った。
「___助けて永夢」
小さく呟かれた言葉は風が揺らす木々の音にかき消された。
これは完全なる余談なのだがこの日の晩、人の死体が転がり辺りに血痕が広がるリビングにてアーシアと一誠は再会する。それにより運命の歯車が本格的に動き出す事を知るの者はいない。
ただ一人を除いて___
需要があるみたいなので展開が思いつく限りはやっていきたいと思います。……今回みたいに繋ぎ回みたいのが投稿されるはご愛嬌と言う事で何卒。