超高校級の天才ゲーマーのhigh school life 作:火野ミライ
「はぁ、はぁ、はぁ……」
普段私が使用してるベットで荒い息を吐きながら横たわるミッテルト。着ているゴスロリ衣装は乱れており、身体に巻かれた包帯には赤いシミが出来ている。
「…っう! …っぐ! はぁ、はぁ___」
先程汲んできた水の入った容器を床頭台に置き、ミッテルトの服をずらすと清潔な布を包帯の上から押し付け新たに取り出した包帯で巻く。きつく縛り上げると最大限の注意を払いながら血が染みていたり、切り裂かれたような穴が開いてる服をゆっくり脱がして買って間もない新品の服を着させる。
その時にさっき持ってきた洗面器の中で泳ぐ真新しいタオルを絞り、それで肌が露出している部分だけでも汗を拭っていく。ゆっくり布団の中へ戻し掛け布団をかける。床に敷いた未使用のゴミ袋の上に乱雑に積み上げたミッテルトの血液が付いた衣服やタオルを手に取り風呂場へ。
血まみれのそれらを全てを冷水を溜めていた浴槽の中へ放り込み、そのまま今着ている服を脱ぎ血が付いているため一緒に浴槽に入れる。下着姿のまま普段から床掃除などに使っているぞうきんと水を入れてたバケツを手にし、玄関から続くミッテルトの血を拭いていく。
通常では負わない怪我を身体のあちこちに付けて、命からがら私の元にやって来たミッテルト。なぜこのような状況になったのか。私がそれを聞くのは日が沈み、人外が活発になる夜が始まる前の黄昏時だった。
◆◆◆◆◆◆
紫色の空が広がる早朝、誰よりも朝早く起きたミッテルトが掃除をしていた。いくら廃教会とはいえ、人が出入りし寝泊まりする為、必要最低限の掃き掃除ぐらいはしておかないといけないのだろう。そこに息を潜め、こそこそと足音立てずに動く影が一つ。
「__ん~~~? アーシアじゃないっすか」
「___ッ!」
その正体はシスター衣装に身を包んだアーシアであった。ミッテルトにその名を呼ばれると肩を震わせ、恐る恐るとミッテルトに視線を向ける。
「お、おはおは、おはようございます。ミミミ、ミッテルト様」
「いや、動揺しすぎっしょ…」
あきらさまに動揺しながらも挨拶を無ぐアーシアの姿に苦笑いを浮かべながらも。そばへ寄って行くミッテルト。その姿に一方に下がった彼女の様子を見て見ぬ振りし、何でもないかのように声をかける。
「こんな朝っぱらからどうしたっすか?」
「え~っと、そのですね…… 散歩とかだと思います?」
「ふ~ん…… まぁ、ウチには関係なっすから。それじゃウチは掃除に戻りますか」
「………止めなくて良いんですか?」
明らかなウソに対し、興味なさげに言葉を零し掃除に戻るとするミッテルトを逆に引き留めたアーシア。不安げに見つめる彼女に向けてミッテルトは一言だけ呟いた。
「ウチは掃除中に誰とも会わなかったし、仮に外へ出たアーシアが戻ってこなくとも関係ないっすから」
「__________すいません!」
立ち去っていくミッテルトの背中に一礼すると逃げるように走り去ったアーシア。その様子を反射するガラス越しで見つめていたミッテルトは人知れず覚悟を決めた。
◆◆◆◆◆◆
「_____っう! う~~ん、ここは………?」
ボーっとする頭を何とか働かせ、辺りを見渡す。小さな勉強机と壁に吊り下げてある女子用の制服、そしてウチが寝かされているベットと部屋の隅に置かれた立て鏡。後は天使と悪魔を左右で分けた奇妙な熊の目覚まし時計とスマホと言う人間の道具を充電する為のコードを几帳面に纏めて置かれてある床頭台ぐらい。よく言えばシンプル、悪く言えば生活感がない部屋っすね。
部屋の主もこの場にいないのでウチの怪我について思い出してみる。アーシアが教会を抜け出してすぐでしたかね? アーシアの魂に付属と言うとアレですけど【
けれど地力の差と数の差に遭えなく敗走。傷だらけの身体に鞭をうって……それで…… え~っと……?
「________永夢にあった?」
そうっス! 意識が朦朧とする中で偶々、派手な買い物カバンを手に持つ永夢の姿を目にして安心して気絶したんでした。
「と言う事はここ、永夢の家?」
改めて身体を見下ろすと普段のゴスロリ衣装とは違い淡いピンク色のジャージ、その下は素肌の上に包帯を巻いている…………
ちょっと永夢!?なに乙女の生まれたままの姿を許可なく見ちゃってるんすか!いやまぁ、治療の為なのは分かるんすよ。だけど流石にいくら永夢とはいえ男の前で素っ裸って…… ウチの尊厳と言うか、ちょっと覚悟する時間が欲しかったと言うか、別に永夢になら_____
いやいやいや!何を考えてるんすかウチは!!落ち着け、とにかく落ち着くっすよウチ。
「___なにやってるのミッテルト…………?」
「いいいい、いつの間にそこに!?」
頭を抱えていたウチに悩みの種である張本人が可哀そうな物を見るような目で見つめてくる。いったい誰のせいで百面相をしてるんと思っているんっすか!
「まぁ、いいや。傷の方はどう?痛む?」
「スゥ~~~~ッ! あぁ、痛みますけど問題ないと思うっす」
全く永夢のマイペースさときたら。でもおかげで落ち着く事は出来ったっすね。
「永夢、ちょっと手伝って欲しい事があるっす」
正直言って堕天使の不祥事に永夢を巻き込みたくなかったっすよ。だから無理言って関わらないようにお願いした手前、協力を仰ぐのは気が引ける。でもアーシアの命がかかっているっすから。
「___いいよ」
だからと言ってウチの意識がないうちに全裸を見た責任は取ってもらうっすよ永夢ゥ! そんな思いを一旦しまい、事情を話す。
◆◆◆◆◆◆
「____と言う訳で永夢の力を借りたいっす」
普段会う時とは違い弱々しい態度で頼みごとをするミッテルト。彼女の話を聞きながら玄関や廊下の掃除で汚れた服から着替える。
「堕天使のリーダー以外はキルしていいの」
「ハイっす。レイナーレさえ捕らえれば事件の全貌は測りますし、最悪したいだけ持ち変えれば後はウチの方でどうにかしますから」
「ん………」
最後にいつものパーカーを羽織り髪を止めると準備完了。後はレイナーレとかいう堕天使のホームテージに行けばいい。
「じゃ、ミッテルトは待ってって」
「いや、これは堕天使の問題っす。だからウチも行くっすよ!」
「…………分かった」
怪我が痛むはずなのに立ち上がったミッテルト。先程まで彼女が寝ていたペットのシーツは赤く染まているが、それに気づかぬほど焦ってる。まぁ元々、堕天使関連のイベントに手を出すなと私に頼み込んでいたのに捕縛クエストを申し込んだのだ、思うところもあるのだろう。あと、先程聞いたシスターを心配してるからか…
下手に拒否して無理して乱入されるより、最初からパーティーにいてもらう方が安全だしミッテルトと共に外へ。玄関の鍵を閉め先の用意していたバイクに跨り、後ろに乗るミッテルトにヘルメットを渡す。
彼女がヘルメットを留めたのをバックミラー越しに確認したら夜道へ。さて、今夜は堕天使と久方ぶりのゲームだ。
次回はいよいよ第一章の佳境!
アーシアを救うために永夢達が動きます。そして彼らとも本格的に関わりを持っていく事でしょう。