【短編集型】英梨々がイチャイチャ過ごしたい冬休み   作:きりぼー

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もはや冴えカノの原型が名前ぐらいしかとどめていない作品


【16日目】アイシーテールで一話

7日。

 

「まいったなー、波島兄ちゃん。一話分作れだてっさー」

「ん~、澤村さんらしいよ。この適当さは」

「で、どれ使う?」

美智留がテーブルに広げたボツ原稿を眺めている。どれも未完成やオチのないものが多い。メモ書きやプロットのみもある。

「問題は内容そのものにはないからね」

伊織がつまらなそうに一枚ずつ目を通している。

「これって、あたしと波島兄ちゃんのサイドストーリーってことなんでしょー?」

「そうだろうね」

「じゃ、これかなー」

美智留が一枚のレポートを渡す。一番まとまりがあり完成に近い。

「妥当だけどね」

 

アイシーテイルの活動の一日を描写したものだった。

レコーディングに向かうのに、伊織が運転してみんなを乗せスタジオに向かう。

徹夜で作曲していた美智留は後部座席で寝ている。

少しでも寝させておこうと気をつかう伊織。

美智留は寝ているのでその間のアイシーテイルのメンバーの会話が肝だ。

それだけの物語。

 

「で、アイシーテイルの他のメンバーはどうするんだい?」

「やっぱ、そこだよねー」

 

そう、登場するほかの三名、ランコとトキとあと誰だっけ・・・

名前と担当楽器と容姿とキャラがわからない。

焼肉回で一回復習した気がするんだけど、どうにも思い出せない。

 

「なら、みんなと会話でもしてきたら?」

「そうするー」

 

ここは伊織の部屋で、隣では出海が受験勉強か、コミケの作品作りか、はたまたブレッシングソフトの仕事をしているはずだ。それがいつなのかは時間軸による。

英梨々によると高2時空なので、出海は受験生ということになる。

 

コタツに2人で向かい合って座りながら、美智留が腕を伸ばしてレポートを見ていた。

アイシーテイルのメンバーがどんなのだか記憶にない・・・

それもそのはず、この同人では一度も登場していないのだから。

 

※※※

 

「というわけで、アイシーテイルのみんなにも出てもらうことになったからー」

「まじ!?」

「突然。」

「いやいや準備できてないし無理でしょ」

「そこをなんとかー。お願い」

「いやいや、頭下げられても、ここがどこだかわからないし」

「それはどこでもいいと思うけどー、場所とか大事?」

「大事。」

「じゃあ、レコーディングスタジオの休憩室の雑談ってことでー」

「いい加減だろ・・・」

「そんなもんだってー、まさかレギュラーメンバーが良い環境で出演していたとでも思ってるー?」

「ミッチーってそんなキャラだったっけ?」

「さぁー?」

「あんたって気楽よね・・・」

「いい加減。」

「ちょっとまって、わたし・・・これからデートで」

「さぁ、作ろうか。ランコ」

「そうだね、ランコ」

「うん。がんばろ。ランコ」

「そこは結託するんだ・・・」

 

「で、わたし達は何をすればいいの?」

「えっと・・・短編を1つ作る予定なんだけどー、これみてくれる?」

「どれどれ・・・」

「車に乗って移動するだけ?」

「地味。」

「うん、でもその時の些細な会話をアイシーテイルのメンバーでしてもらうから」

「ふーん、でもこれってミッチーが波島プロデューサーとのサブストーリーでしょ?」

「そうだけどー?」

「で、なんであんた寝てるのよ!」

「いや、さりげない日常の、さりげない優しさみたいな・・・ほら彼・・・照れ屋だしぃー」

「彼?」

「あっ、波島兄ちゃんのことねー?他意はないからー」

「そ。で、何が問題なんだっけ?」

「ほら、誰が何をしゃべっているかわかりずらいでしょー。小説ってこうやって会話オンリーのところも多いしー」

「ほう?それで」

「なんで、みんなで会話しながらとりあえず、キャラ付けをしてもらおうとー」

「それで、さっきからそうやって語尾を無意味に伸ばしているのね」

「そうそうー」

「いい加減。」

「じゃあ、うちは関西弁にするわー。ほな問題ないやろ?」

「んじゃ、ウチもそうするワ」

「マネてどうすんねん!」

「やっぱ、あかん?」

「そりゃそうやろ」

「じゃあ・・・カタコトとかドウデショウカ?」

「ほな、それでいってみよ」

「あと1人はー?」

「無口キャラ。」

「おぅー、最初からちゃんと意識してマシタネ?」

「カタコトキャラ変ちゃう?」

「ソウデスカ?」

「まぁそれでいいよー」

「で、どないするねん?」

「誰が誰?。」

「そこはもういいよー、とりあえずやってみよ」

「やってみよって、何をデスカ?」

「うーん。とりあえず四人だから・・・司会1人とトリオ漫才かな」

「漫才やるんかい!」

「台本はありマスカ?」

「あるわけないじゃんー」

「適当。」

「じゃあ、いくよー、『アイシーテイルでいい子悪い子普通の子』で」

「なんか、唐突にはじまるんやな・・・」

「じゃあ、いい子の場合―」

「そうやなぁ・・・ファンのために創作活動して睡眠不足」

「いい感じだねー。次、普通の子」

「ファンと握手するときは、笑顔デス」

「ほい、じゃあオチ。悪い子―」

「プロデューサーと寝る。」

「・・・それ、普通じゃないー?」

「普通ちゃうやろ、あんたがそうなだけちゃうん」

「関西弁ちょっとおかしいデスネ?」

「普通のとこ、それにしてみよか」

「なるほど、じゃもう一度。良い子の場合~」

「そやな・・・プライベートでもイメージを崩さないように振る舞う」

「ふーん。次、普通の子」

「プロデューサと寝て、お仕事もらいマース」

「次、悪い子の場合―」

「ファンと寝る」

「ビッチだなぁー」

「なんでオチが下ネタやねん」

「面白くないデース」

「そうだねー。ちゃんと無口キャラが落としてくれないと」

「即席。難解。我。挫折。」

「キャラ変わっとるやんけ」

「気持ちワカリマース。オチはミッチーが責任もってやるべきデース」

「ん?いいけどー」

「ほな、うち司会やるわ!良い子の場合」

「枕営業も厭わナーイ」

「最初から下ネタかよ。次普通の子の場合」

「ギャラでるか、気になる。」

「そうやね・・・で、次、悪い子の場合」

「せっかく出てもらったけど、つまらないからボツにするー」

「もうええわ!」

 

※※※

 

美智留がコタツで眠っている。

「う~ん」と唸って、うなされていた。

手には新曲の楽譜を握りしめたままだ。

 

伊織は立ち上がって、ブランケットを美智留の背中にそっとかける。

それから音をたてないように、スマホで静かに仕事をすすめた。

 

(了)

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