コミュ障ぼっち、ガイアを行く   作:犬西向尾

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10話

 やはりリーダーは只者じゃなかったんだなぁ

 また積極的に働くようになりその事を実感するようになった

 

 

 事の始まりはあれからしばらく

【鬼喰い兜】と【籠手】(【鬼神の籠手】という装備だった)が鑑定から帰ってきて

【籠手】はそれなりでしかなかったが【鬼喰い兜】の意外な高性能にほくほく顔していた

 そしてその後渋い顔をするようになる

 性能が良い霊装の鑑定にはそれなりのマッカが掛かり、当然必要経費であるからして払い

 残ったマッカを数えてみた所、愕然としたのだ

 マッカ全然ない

 思えば【大江山】はマッカ収入が酷い異界であった

 オニからは全く落ちない、異界を逆さに振って150マッカ

 そのくせ【鬼喰い兜】の製造に汎用霊装の兜を二つ購入

 これが痛かった

 マッカで見れば大幅マイナスの仕事だった

 いや厳密に言えば、あれは仕事として認められていないのだから

「趣味で浪費しました」の世界である

 とはいえ【鬼喰い兜】は中々の性能であることは間違いなく

 実は<ライコー>が俺に「神便鬼毒酒」化した酒を飲ませて強化したいという気持ちが強かったとか語ってくれて

 俺としてはあれは良い思い出とすら思っている

 

 ただ、良い思い出だろうと悪い思い出だろうと金がないのは間違いない

 じゃあ働くか、と決意し

 手当たり次第、仕事をいくつも受けて、こなしてから計算してふと思った

「これ日当計算すると、「オホーツク海気団解放戦線日本支部」の時の半分よりマシ、くらい?」

 もちろん比較はPT収入での計算ではない、個人の収入だ

 リーダーのPT(全体で一日3600マッカ以上)とは比べる事もおこがましい

 俺のレベルも上がり<ライコー>が強くなりスキルも獲得し

 より強い悪魔がいる異界に出入りできるような実力になってなお

「オホーツク海気団解放戦線日本支部」の時以下

 なんでだ? と考えてみるに、まず今は一つの異界に長くいて仕事をする事があまりない事(そこまで効率が良くなりそうな異界に当たらなかった)

 その結果、武器の輸送に時間がかかり、実働時間が落ちている事にある

 そして新しい異界での仕事は、まず異界の敵や異界自体に慣れる事から始める為

 慣れるまで収入が低くなるからというのも大きい

 では一つの異界に拘って効率を上げるかと言えば、前述したように「これは」と思うものが見つからない

 まずは何か目的をもって腰を据え、それに向かって効率化するべきである、そう思った

 

 

 

 効率が良い異界を見定め、被害が少ない作戦を構築し成功させ、安定した収入を得る

 この難しさとそれが出来るリーダーの強さをようやく知った、と言える

 とはいえ、ではリーダーのように自分が成れるか、目指すかというとどうにも無理な気がする

 合理と効率で突き詰める、というのはある程度までは努力で行けるが

 それ以上はそれこそリーダーの言う所の適性の世界な気がするのだ

 自分はあそこまではいけないという認識を、拗らせた結果としてではなく事実として飲み込む必要がある

 そして飲み込んだ上で自分が出来る事を考えるべきだ

 

 掲示板で調べてみる限り、自分と同じようにある種のマッカ収入の壁にぶつかっている者が乗り越えるのは次の三パターンが多い

 1、レベルを上げてパワーで押し切る

 2、ガチャで強い【戦闘スキル】を引き、効率を上げる

 3、ガチャで有用な【汎用スキル】を引き、収入を増やす

「やはり、ガチャか」

 と独り言を言った瞬間

 コト、と<ライコー>が茶の入った湯飲みを置いた音に気づいて慌てて思考を振り払う

「あ、ありがとう」

 お茶を飲む、ふぅ

「私はガチャに感心いたしません」

 聞かれてた! 

 

 マッカ困窮に気づいた翌日、なんとなく残ったマッカの残高見てたら

 一回くらいガチャ回せる額は残ってたので何も考えず回してしまったのだ、もうここまで行くとすっからかんでも大差ないし

 <ライコー>に怒られた、「財布に残った最後のお金で賭博に行く人が何処にいますか!」と言われた

 結構居そうな気がするが黙って聞く、言ったらもっと怒られそうだし

 そして「無計画なガチャは控える」という事になった、言質を取られた

 

 

「しかしだね、ガチャは確かに打開策として……」

「策とはそういうものではありませんよ」

 はい

「なるべく運に任せない方法を模索しましょう」

 はい

 そういう事になった

 シロがあくびしてこちらを見ている……

 

 

 ガチャに頼るのは極力避ける

 という方向で動くのであればこの三つのパターンのうち二つが消え一つが残る

 レベル上げである

 

 

 

「レベル上げ、ですか」

 いつものように事務の人に頼む、餅は餅屋って良い言葉だと思う

「う~ん、本当にマッカはそれほど稼げなくても良いのですね?」

 頷く

 一時期はマッカに困ったが、その後効率は悪くても真面目に働いた事

 ガチャをしなくなった事

 <ライコー>に雀荘に行く事を全面禁止された事(曰く「カモが行くところではないと思われますが」)

 これらの結果、それなりに余裕がある

 余裕があるからガチャに悩んだわけだが

「では、こちらをどうぞ」と資料を渡された

 異界【古戦場】

 某逃げてはいけない古戦場を連想するが無論それとは無関係である

 出てくる悪魔は【妖鬼オニ】と【妖鬼モムノフ】

【妖鬼モムノフ】、女神転生では大体レベル25前後、物理耐性持ちの物理アタッカーの悪魔である

 見た目は、小札甲を身に着け槍を持ち、剣を帯びている兵のような男だ

 しかしこの異界において出てくる【妖鬼モムノフ】はそれほど強くない

 同じく出てくる【妖鬼オニ】と同程度のレベル10程度

 特別な弱点もない代わりに物理耐性以外は耐性もない

「あっそれとですね、【大江山】のような事がありそうなところはちょっと……」

 言い忘れていた、不安定な異界ではまた【大江山】のような事が起こるかもしれない

 さすがにそれは困る、後出しで条件を足すみたいな事をしてしまって申し訳ないが

「そちらも大丈夫です、こちらの異界は【ガイア連合】の管理下でありますし」

「何より異界ボスとの交渉に成功しています」

 よく読んだら資料にも書いてあった

 異界ボスとの交渉、異界攻略による消滅ではなく

 ある種の取引によって共存を選んだという事だ

 ボス側の利益は交渉の結果次第であり一概には言えない

【ガイア連合】側の利益としては

 霊地の安定化、異界の管理の容易化、そして異界の活用が積極的に出来るようになるという所が相場である

 この異界の特徴として【妖鬼オニ】と【妖鬼モムノフ】の数がとにかく多くて狩り放題という点にある

「あっもしかしてこの異界って」

「はい、【ガイア連合】の狩場ですね」

 であれば目的に適う良い所だ

 そういうことになった

 

 

 

 

 最寄りの支部に着き、荷物を降ろし、<ライコー>を連れてPTリーダーの人に挨拶に向かう

 支部が着々と出来上がるにつれて

「武器密輸サービス」も強化され

 今ではもう「ちょっと観光に行くか」というような時間は空かなくなっていた

 それでも<ライコー>の武具が届くまで二日掛かる

 その二日の間に挨拶と軽い打ち合わせくらいはしておきたい

 そしてPTリーダーの人に会いに行ったら、PTメンバー勢揃いで

「僕がPTリーダーの竹田です、よろしく」

 温和な顔をした男性がそう言った

 

「ちょっと今、PTで問題を抱えていてね」

「申し訳ないんだけど早速名前とステータスタイプとスキルを申告してもらえないかな? シキガミのタイプも」

 すぐ口にする

 この辺りは異界探索の仕事をする以上良く有って、テンプレートみたいなものだ

「うん、ありがとう」

「じゃあ問題を共有するためにこちらの紹介も受けてくれ」

 確かに問題があった

 

 

 PTリーダーの竹田さん

 本人は物理スキル持ち、シキガミも物理型で物理耐性持ち、魔法スキル所持はどちらもなし、人型式神

 他のPTメンバー

 名前以外ほぼ以下同文、一人先制発動スキル持ちがいた

 

 

「良かったよ、君が回復スキル持ちで」

「また同じタイプだったら諦めてPT解散の申請出そうって話ししてたんだ」

「ファイブカードとか勘弁してほしいよな!」「フォーカードでも大概だぞ」「こんな役いらねぇよ」

 と、よっぽどほっとしたのか場が賑わう

 えぇ……

 

 

 今回の件は一つ一つはそこそこよくある話らしい

 PTリーダーは自分が前衛を務める事前提で、

 この異界向け臨時PT(五人PT)として魔法スキル持ちが気持ち多めのPT構成になるように人員を要請した

 自分みたいな固定PTを組んでいない人間はこういうPTにお呼ばれして働く事になる

 魔法スキル持ち気持ち多め、というのもこの異界では良い選択だと思う

 そして

「当初のメンバーがドタキャン連打して、代わりに入って貰った人たちが偏ってたんだよね」

 と語る竹田さん

 自分、もう一人前衛、魔法アタッカー、魔法アタッカー、ヒーラー

 というPTで想定していたと話す

 それがまず、入ると連絡が届いていた魔法アタッカーの役割の人が

「他に良い仕事が見つかった」とキャンセル

 もう一人は身内の不幸でキャンセル、暫くの休業

 魔法アタッカーの人たちの代わりをそれぞれ要請したら

 キャンセルの時間差の都合で「前衛二人魔法一人回復一人」のPTの補充要員として受け止められ

「魔法要員じゃないけどそっちで働きたいって人送ったよ!」と物理型の二人がそれぞれ来訪

 順当に最初から前衛枠で募集していた人もやってきて、物理型だった

 結果、シキガミ含めて完璧に物理型な4人揃う事と相成った

 

「僕が所属している支部の事務員にね、「追加で魔法スキル持ち回してくれ」って言ったらさ」

「「現地人異能者であれば」って言われちゃったんだよね」

「いや、レベル10の悪魔が出てくる異界に現地人なんか連れてきてどうすんのさってさ」

 と目が笑っていない顔で笑う竹田さん

 現地人異能者(非転生者)、俺は組んだ事がないから実はよく知らない、事務の人にコミュ障だと全力で主張した結果である

 ただ掲示板では色々言われている

「やる気は【俺ら】よりある」とか「ない才能を気持ちで補っている」とか「健気だから応援したい」という好意的なものから

「当り外れが激しい」とか「というより外れ方の種類が豊富」とか

「せっかくの巫女イタコさん、巫女服やめちゃった……」とか

 まあ色々言われている

 ただ共通しているのはほぼ確実に【俺ら(転生者)】より才能が劣る事

 シキガミを有さない事

 そして【俺ら】の同胞意識の対象外である事

 個人として好きな人もいるだろう、【俺ら】にとって大事な人もいるだろう

 しかし【俺ら】ではない、そういう事だ

 

「という事でこれ以上の追加人員はないよ、この5人で頑張ろう」

「よろしくお願いします」

 

 

 とんでもない所に来ちゃったかも……

 

 

 

 とんでもない所に来た、その思いは間違っていたしある意味間違っていなかった

 まず彼ら4人、普通に強い

 大男のようなオニ、武器を持っているモムノフ相手に即座に突っ込み蹴散らし経験値に変える

 このPTには策も何もない、敵を見つけたら竹田さんを先頭にして突撃するのだ

 竹田さんなんて覚えたスキルが【ひっかき】だったらしく

 常に相手の前に出て素手でひっかいてる

 なにこれ凄い

 そしてPT内で俺からの回復魔法を受ける率1位になっている

 全体的にも今までになく俺の出番がある

 そりゃ回復役来なかったらPT解散するわ……

 

 そして一段落

 数が多いのが特徴というだけあって、探す手間が殆どいらない、いくらでも戦闘出来てしまう

 休憩するために異界の外に出た方が良い、そう判断されたほどだ

 この異界内で休憩なんて出来ない

 休憩中、良い機会だから竹田さん含めPTメンバーの人に聞きたかった事を聞いてみる

「そういえばなんで純粋に物理タイプなのに、シキガミも同じタイプにしたんですか?」

 同じ様な性能で揃えると嵌れば強くなるかもしれないが、対応力を失う

 普通に考えてそういうものだと思うが

「あーそれね、よく聞かれるんだけどさ」

「僕にとっての【終末】感の違いなんだよね」

 とスポーツドリンクを飲みながら話す

【終末】感? 

「今は良いけどさ、終末が来た時にアイテムの生産とかどこまで出来るか怪しいじゃない?」

「【ガイア連合】が生き残っても絶対に消費量は増えるしさ、そうなると頼って良いのかわからないじゃない?」

「じゃあ身一つで戦力維持できて、回復しやすい体力さえあればいくらでも戦える物理の方が良いと思ったんだよね」

「物理型で力が強い方がサバイバル時の労働力にもなると思ったしね」

 はぁ

 そういう考えもあるのか

 そしてPTメンバーの方に顔を向けると

「なんとなく」

「俺の嫁に魔法は似合わん」

「俺が物理型でシキガミが魔法型だと後方がシキガミだろ? なんで俺が前に出て後方守るんだよ、お前も来いの精神」

 三者三様の答えが返ってきた

 色々な人がいるなぁ

 

「さて、これはPTリーダーとしての方針なんだけど」

「僕たちはここの異界に経験値稼ぎの為に来ている、これは共通していると思う」

「前評判通り、戦利品も素材も全然落ちないしね」

 そう、この異界は所謂ドロップが殆ど落ちない、一応マッカは落ちるが強さに対して少ない

「異界ボスが絞ってるとか量産のための劣化品だからとか言われてるけど」

「ともかくこうも極端だと割り切りやすい」

「僕たちの方針は「見敵必殺」だ」

「全力でひたすら狩って、疲れきる前にその日は上がろう」

「それを繰り返すのが良いと思う」

「収入源になるようなものもないしPTを抜けるなら好きに抜けても構わない、僕もそうする」

「その時はPTを解散させる」

 そういって俺の方を見て

「ただ、PT唯一の回復魔法持ちの君だけは抜ける時は事前に言ってほしい」

「PTに対する影響が大きいからね、せめて抜ける三日くらい前に言ってほしい」と続けた

「これでいいかな?」

 反対の声は特になかった

 

 

 

 それからしばらくこの異界でレベル上げを続けている

 このPTは自分が思っていたよりも強い

 初日以降その思いを新たにした

 特別なスキルを持っている訳ではない、

 そういう点ではマハブフ持ちのシキガミがいたリーダーのPTの方が恵まれている

 単純に物理耐性持ちの悪魔を殴り殺し、切り殺すパワー

 躊躇せず槍を持つモムノフの懐に飛び込む勇気

 そしてそんな戦闘の連続でも疲弊しない精神が強い、そう思った

 

 こんなことがあった

 異界にて敵を探している途中、20匹ほどのモムノフの群れを見かける

 竹田さん、指示を出す

「突撃するよ」

 そのまま、5人と5式は正面から突撃、勝利した、二体のシキガミはかなりの被害を出ている

 回復役としてその集団の中心で守られ回復をしている立場だった俺はそれを真正面から見た

 一応その後シキガミに回復も掛けたが片方はちゃんと修理に出さないといけないだろう

 

 そして思った「正直、ここまで好戦的だと付き合いきれない」と

 感性の違いかもしれない

 

 

 その日の夜

 宿泊先の支部の割り振られた部屋に来客が来た

 PTメンバーの人だ、自分と同じ物理型にシキガミをした理由を「なんとなく」と答えた人だ

「悪いな、こんな時間に来ちゃって」

「いえ、いいです」

 しかし何の用だろ、こう言っちゃなんだが自分はこのPT内で特別仲が良い人はいない

 この人もそうだ、俺に何か用事があるとも思えないんだが

「俺、このPT抜けるわ、レベルも上がったしシキガミ治さなきゃだしな」

 はぁ

 それを俺に言われても

「あんたも抜けた方が良い」

 !! 

「俺の持っているスキルの一つがS疾風の秘法だ、ゲームほど便利じゃないが」

 自己紹介の時にも聞いた

【S疾風の秘法】、戦闘開始時に味方全員の【速】に+の補正を掛けるスキルである

 便利なの持ってるなーとちょっと羨ましかった

 実際使われてみると身体の動きが速くなった

「それが何か?」

「竹田さんが俺がいた時と同じ調子でやれば」

「一番危ないのはあんただろ」

「回復魔法をすぐ受けれるように一緒に突っ込むのも良いと思うけどさ」

「あんたみたいな脆いの抱えて」

「倍の人数に突っ込む時にやるやり方じゃない」

「あの人、強いけどそのあたり鈍いよな」

 そして俺の方を見て

「俺が抜けた後、死んだってなるとほら、気になるだろ」

 そういう事か、でも

「その、実はさっきPTを抜けるって言って来てですね……」

 抜ける前に言いに来てくれた人に「実は俺もう抜けるって言いました」っていうのちょっと罪悪感が

「まあ正式に抜けるのは三日後でまだあるんですけど」

「そうかそうか! なら良かった」

 と笑い

「じゃあ、残りの期間気をつけてな」

「こんな経験値しか稼げない異界で痛い目見るなんてつまらないぜ? 俺なんて大赤字だ」

 そういうことになった

 

 

 

 翌日は【S疾風の秘法】の人が抜けたこと以外は

 まあ普通だった

 そのさらに翌日つまりこのPTでの最終日

 そのまま普通にレベル上げが始まり数回の戦闘を繰り返し

 最後に鬼5匹の群れに突っ込んで勝利、帰り道モムノフの群れに襲われた

 

 モムノフの群れに襲われた、これはまあいい、帰り道に襲われるのは良くあるのだこの異界は敵が多い

 良くないのはモムノフとの出会い頭に先手を取られ、竹田さんのシキガミが襲われ

 数匹のモムノフがスキル【渾身脳天割り】を発動、直撃、竹田さんのシキガミが死んだからだ

 竹田さんは激高、即座にモムノフたちに飛び掛かり

 袋叩きにされて死にかけてる

 流れるような展開に後ろの方にいた俺は目を疑った

 

 とりあえず一人が前のモムノフを食い止め

 もう一人が竹田さんを救助、俺が回復させる

 させるが、回復したら血の気が戻ったのかしきりに突っ込みたがり説得を断念

 ワラワラ寄って来るモムノフたちが見えないのかと思われる

 PTメンバー全員で無理やり取り押さえ撤退した

 冷静じゃないPTリーダーの判断に付き合わされるのは勘弁してほしい、そういう事だ

 でもまあ俺だって<ライコー>が殺されればああなるかもしれんしなぁ

 いや多分なる

 

 翌日、帰った、PTは解散されていた

 

 

 

 

「あのPT、なんだったんだろなぁ」

 <ライコー>の膝に頭を預け思いを馳せる

「PTの戦力は十分あったし、一人一人も強かった」

「相手の耐性を考慮してもまあ十分なPTだったと思う」

 なのにあっさり崩れた

【S疾風の秘法】の人はシキガミに手痛い損害を受けて離脱、竹田さんに至ってはシキガミ死亡だ

 壊滅と言って良い被害だ、結局解散したのだから全滅かもしれない

 そう言ったら、<ライコー>は俺の頭を撫でる手を止め

 まぁ! と予想外な事を言われた、と言いたげな声を出した

「あなたがあのリーダーから学んだレクチャーにあったはずですよ」

「弱い奴と戦え、何があるか分からない」

「PTの戦力はしっかり把握しろ、自分がPTを率いる立場なら特に」

「あのPTリーダーは弱くない相手に対し常に強気に戦いました」

「そしてPTメンバーに対する気遣いもそれほどありませんでした」

「温和に見えても苛烈な方だったのです」

「その結果、運悪く、過程も見れば必然のように、シキガミを失いました」

 

「私としてはその失う物があなたの命ではなかった事に安堵しております」

 

 そうか、難しいな……

「もしあなたが人を率いる事があれば、彼よりももっと周りを見る必要があるでしょう」

「俺にはそういうの無理だよ」

「そうかもしれませんね」

「ではそういう事を気にしなくても良いほど強くなりますか?」

「意地悪言うなよ」

 ふふふと笑う<ライコー>

 

 しばらくゆっくりするさ

 無理にレベル上げしても無理するだけだ

 ほどほどに働いてお金稼ぐよ

 そう言うと<ライコー>は嬉しそうに笑った

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