コミュ障ぼっち、ガイアを行く   作:犬西向尾

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第二部3話

【各代表会議】で決まった事はどうにも俺の予想外の物だった

 俺としては【ガイア連合】は今までの方針の継続、そして各神話勢力への支援

 そのあたりにするのだとなんとなく思っていた

 ところがどうもそういう話ではなかったらしい

 より積極的、より前向きに【メシア教過激派】と対決するようになる

 そうとしか思えない内容の事がいくつか決まった

 考えて見れば「今までの方針」というのは

「【メシア教】に目を付けられないようにしつつ時間を稼いで準備を整える」

 というようなものだった

 もう十分に目を付けられ、しかも【ICBM】まで撃たれているのに継続する訳がない

 

 今後も【各代表会議】は行われ【ガイア連合】の人工島が話し合いの場になる

 支援もするが販売を中心に行う

【多神連合】の神々(悪魔)も日本の防衛に関わる事になる

 

 大まかに言えばこれらが決まった

 そしてこの三つを合わせて考えればこういう事になる

「【ガイア連合】が対メシア教戦線の中心になる」

 ここまで大っぴらに横の繋がりを誇示し、力を見せつければ当然そうなる

 【メシア教過激派】からは【対メシア教戦線】の中心部に見えるだろう

 もう時間稼ぎの為に支援をする立場ではない

【多神連合】や【外様】と同じ舞台に上がったのだ

 とは言ってもそれが=戦力の供出等には繋がりはしない

 むしろ【ガイア連合】は内向き、つまり【俺たち】に対しても【渡航制限】をしたのだ

 危ないから、という理由である

 悪魔がその辺をうろつき回ってる世紀末な世界になった事はもちろんだが

 それ以外にも【俺たち】が狙われるから、というのがある

 狙うのは何も【メシア教過激派】に限らない

【多神連合】すら洗脳含むあらゆる手段を使って取り込みにかかったり

 あるいは生贄等によって自らの勢力のリソースに変換しようと企むかもしれない

 特に【俺たち】はその身体の一部すら高度な霊的な素材になる存在だ

 こんな美味しい存在がうろちょろしていたら鴨が葱を背負って来たようなもの

 そういう事らしい

 絶対にどの勢力にも「【俺たち】の身体が高度な霊的な素材になる」と知られてはならない、と注意喚起が行われた

 殺伐とした時代を感じさせる

【半終末】らしさをこういう所から感じた

 

【各代表会議】であるが、上の三つの枠組みが決まっただけではなかった

 平和な時代ではこの三つを決めるだけでも大事業であったと思うが

 今はそういう時代ではない

 速やかにその話し合いの場が持たれ、【対メシア教戦線】において必要な情報のいくつかが提供され

 あるいは提供し、また掲示板にて書き込まれた

 その結果、判明した事は

 例えばアフリカや欧州で猛威を振るっている【魔人】が【終末の4騎士】であったり

 例えば米国の中央部にいる悪魔の正体が【プルート】であったり

 例えば中国で暴れ回っている【魔人】が【マザーハーロット】でそれを追いかける【大天使】が【メルカバー】であったり

 そういう絶望感漂う情報だった

 また、【各代表会議】に出席した【メシア教穏健派】の【天使】による情報提供によると

 米国東部、中部に存在する【メシア教穏健派】のシェルターの音信不通が相次いだという

 彼らの言う所によれば「物理法則の変化が強くなったと思われる報告があった」とかで

 不通となる前に通信機器や発電設備等の問題の発生を伝えていたらしい

 これによって地域によって【終末】の度合いが違うのではないか? という推察を呼んだ

 米国はいち早く【終末】になってしまった、そういう事になるらしい

 掲示板では「さすが先進国」等、少々不謹慎な冗談が書き込まれていた

 

 いくつかの朗報もあった

【魔人】と【大天使】が暴れる中国で現地の神々(悪魔)の存在が確認された事だ

 結界を張り、部分的に【ICBM】の撃墜に成功した者たちだろう

 ただなにぶん中国は広い為どうも一纏まりになっていない節がある

 その中の特に有力なのが【崑崙山】を名乗っている中国神話と仙人系の勢力だ

 が、どうもこの【崑崙山】は個人としてはともかくとして

 勢力としての方針が「消極的専守防衛」とでも言うべきものであるらしい

 なんだそれ? と思って読むと

「攻撃して来たら自衛するけど積極攻勢はしないよ」「基本的には人間頑張れー」という

 なんとも言えない要約で良いらしい

 人間の力を信じてる、と良い方向に解釈するべきなのだろうか? 

 こんな勢力の存在が朗報扱いになるのか……と思ってしまった

 

 もちろんそれ以外にも朗報はあった、但しほぼ【ガイア連合】発だが

 その中の一つに「海上交通の部分的な復活」がある

【ガイア連合】は【終末】をある程度の予想をしていた、起こる事だけではなく起こった時の影響もまた同じく

 そんな【ガイア連合】の予想の中に「物理法則が死に機械が動かなくなる」も当然あったし

「悪魔が湧いてくる」もあったのだ

 そしてそれは何も陸に限定した話ではなかった

【ガイア連合】は海もまた実質異界と化すことを予想しており

 それの対策も準備していた

 その一環が「造船会社の買収」であったらしい

 常に機関部等が【簡易シキガミ製】の船を作り続け、備えておき

 いざ【終末】となったら【占術レーダー】と【オカルト兵装】を装備させる

「オカルト装備をした改装輸送船」の準備をしていたのだ

「戦時改装船みたいでかっこいい!」と評判だった、かっこいいか? 

 そしてその船も【俺たち】の海運会社が運用するらしい

【半終末】前から改装が進められ、既に何隻か改装が終わっていて即時運用も可能とか

 逆に言えば今この段階で数隻しかいない、発表を控えていたのもそのあたりだろうな

 今後は順次改装、並びに新規建造するらしい

 

 これによって【ガイア連合】と諸勢力は海上交通が復活

 各種物資の輸出入が出来るようになる

 輸出品目は多岐に渡る、その中には今まで一度も支援物資に入れられていなかった【デモニカ】の姿があった

【ガイア連合】の本気具合が窺える

 

 

【各代表会議】は単なる連絡会ではない、それ以外にも決まった事がある

 その中の一つが【悪魔召喚プログラム】についての事があった

【ガイア連合】並びに【メシア教穏健派】が【悪魔召喚プログラム】についての情報を提供

 その瞬間、場が沸騰したらしい

「【メシア教】の力の正体の判明による興奮」「機械的に儀式を行い契約を結ぶ事の嫌悪」

 等々で盛り上がったらしいが

【悪魔召喚プログラム】の利用については冷淡と言っても良い反応となった

 その制作の段階で愉快犯的な【邪神】が関わっている事、米国の【邪神・クトゥルー】召喚に関わった事、

 そもそもが【メシア教】由来である事

 これらの事から危険視され、一時は【ガイア連合】並びに【メシア教穏健派】の所有しているプログラムの完全廃棄まで主張されたらしい

 彼らの危機管理意識が健全である事の証明だと思った

 彼らにとってみればどう考えても爆弾でしかないだろう

 それに廃棄させることが出来ればそれを利用している【メシア教穏健派】の戦力も削れる

【各代表会議】の出席している勢力の殆どは元々【メシア教】と敵対していた

 彼らにとって【メシア教穏健派】が味方という意識はない

 

 これに待ったを掛けたのは【メシア教穏健派】、ではなかったそんな発言力はない

【ガイア連合】である

【ガイア連合】は勢力としてこのような趣旨の事を主張した

「敵の武器に対する研究をしない事は愚かしい事だ

 我々がそれを廃棄しても【メシア教過激派】は使用をやめない

 であるならば我々はそれを研究し、弱点を見つけねばならない」

 これもまた道理である

【ガイア連合】の発言力とその主張の妥当性から一先ずは

「【悪魔召喚プログラム】の大幅な改良や流布はしない」という結論で纏まった

 研究目的の利用は良いがそれ以上はNG、そういう方針という事だ

 

 なお掲示板では「俺が! 俺の玩具を! 手放す訳ねぇだろうが!」という技術部の叫びがあった

 真っ当な建前の裏ではこんなもんである

 それに【悪魔召喚プログラム】は将来性的にも無視はできない

 ここは女神転生の世界なんだ

【ガイア連合】では今後も変わらず、研究、改良等が進められる

 

 

 

 さて俺は悩んでいる、世界情勢の事ではない

 もっと身近な事である

 茶会の時【直会】という儀式で食べる事でパワーアップを図った

 微妙に強くなった気がしないが、まあそういう事をした

 それによってちょっとした着想を得たのだ

「食べる事で強くなれるんじゃないか?」というものだ

 考えてみれば古今東西、霊的な食べ物や強敵を食う事で力を付ける逸話は多い

 仙桃を食べた孫悟空や竜の血と心臓を食らったジークフリート

 日本では人魚の肉を食べた八百比丘尼が有名かな、いやあれは長生きしただけか? 

 まあそういう話がある

 であれば霊的な食べ物を食べ続ければMAGの量が多くなったり、霊格が上がるのではないか? 

 そうじゃなくても何らかの強化に繋がるのでは? 

 そう思って、掲示板で調べてみたのだがあまりそれを否定するような話はない

 ならちょっと試してみるか、ちょうど今までそういう物を食べてなかった子がいる

 

 俺はガチャ運はそれほど良くない

 回した回数に対して微妙な当りだったり微妙な外れだったりするのが結構ある

 そういうのを売りに出したり交換に出したりするのが上手い人もいるが

 どうにも俺はそういうのはあんまり上手ではなくて

「なにかに使えるのでは?」「いつかもっと価値が上がるのでは?」

 と思ってつい取っておいてしまう

 その中に汎用スキル【食事】がある、これは普通に価値があるスキルカードなのだが

 使う機会があるかもしれないで取っておいてしまったカードだ

 これを<シオン>に付ける、そうすれば【食事】が出来るようになるはずだ

 

 付けて、実際に食べさせてみたんだが特に変化ないな

「効かないのかな」

 ちょっと考えるがよくわからない

「私たちシキガミや仲魔は供給されるMAGによる影響が出ます、無駄ではないかと」

 とはその様子を見ていた<ライコー>の言葉だ

 なるほど、なら継続して食べさせてみよう、そのうち何か変わるかもしれない

 俺たちも意識して食べるようにしよう

 

 さて問題はこの子だ

 <シロ>である

 この子はただの猫であった時から好き嫌いが激しい子だった

 気に食わないカリカリを出されたら食べないで文句言ってくるくらいに。

 猫は普通にメロンもトウモロコシも食べる子もいるのだ

 だけど<シロ>は食べない

 今までは「食べれば強くなる」なんて思っていなかったからなんとも思っていなかったが

 こうなって来るとどうにか食べて欲しい

 しかし猫に無理やりご飯を食べさせる、というのは結構難易度が高いのだ

 薬のつもりで与えるならともかく食事とは毎日の事である

 毎日嫌がる事をしたくなんてない

 そこで考えた、霊的な作物を食べさせて育てた家畜の肉だったら行けるのではないか? 

 

 

 当初は庭で鶏でも飼うか、と思ったがよく考えてみればここは疑似異界だ

 そこでMAGの込められた作物を食べて育って悪魔化したらちょっと困る

 敵になるなら良い、普通に討って肉にして美味しく頂ける自信がある

 しかし敵にならず、普通に懐いて来たりしたらこれはちょっと討つのが辛い

 知性を得てしまったら更に辛い

 それで討てず、仲魔になったら仲魔の同族である鶏を食べれなくなっちゃうかもしれない

 鶏卵も鶏肉も普通に好きだからそういう事は避けたい

 気分的なものだ

 まあ気にしないで仲魔の鶏の前で鶏肉食べれる可能性もあるけどさ

 そこでだ、【山梨第一支部】や【山梨第二支部】には各種農場がある

 その農場の中には当然養鶏場もある

 この養鶏場に依頼して、俺の所の作物を食べた鶏を育ててもらって

 それを出荷して貰えばいいんじゃないか? そう思いついた

 素人が育てた肉よりもプロが育てた肉の方が美味しくなりそうだしな

 

 という事でさっそく近場の養鶏場を調べて

 電話をしてとりあえず話を聞いてもらえる事になった、しかもその日のうちに

 サンプルとしてコーンとナスと大根とメロンを持ち込む、そんなに遠くなかった

 霊装になっている作業服を着たおじさんに挨拶し軽く雑談する

 当たり前だが【俺たち】だ、そして【覚醒者】らしい

 どうもこの手の特注品の依頼は結構ある話らしく慣れているらしかった

 特に神々(悪魔)関係で生贄や供物、贈り物として需要があるらしい

 それで色々と注文が入るのだとか、無理なお願いというわけでないらしくてほっとした

 あと俺の懸念だった「鶏の悪魔化」は微妙に否定された

「そこまで才能がある鶏はあまりいないと思いますが」だそうである、微妙に居そうな口ぶりだ

 そして持ち込んだ作物を味見され

「これなら行けます」と言われた、コーンと大根の葉が良い感じらしい

 そして何羽育てるかとか、出荷するのはいつだとか色々決め、見積もりも出してもらい

 特に何か言うような金額ではなかったのでそのまま契約、とりあえず半年分の契約をして前払いで全額払った

 必要な餌用の作物の量や運搬等の話も済ませる、意外と必要な作物の量が少ないのは混ぜて使うかららしい

 この養鶏場の基本的な餌に混ぜて使うのだとか、栄養バランスとかも調整してから餌として出すらしい

 色んな餌を加工できるように機材も各種取り揃えているんだそうな

 出来た鶏肉は週一で宅配してくれることになった

 最初の鶏肉が届くのは二週間後である

 一から霊的な作物を食べさせて育てた鶏は一月後と言われた

 ずいぶん早いな、と思ったら【養鶏】の加護を持っているらしい

 それによって成長速度が上がっているのだとか、日頃から良い加護貰ったと思っていると、

 そして

「どこの誰に貰った【加護】なのか分からないのが難点なんですがね」

 何それ怖い

 なんでも鶏の慰霊祭に出席したら生えて来たらしい

 そんな事ってあるんだな

 

 家に帰って、これで半年は【半終末】でも鶏肉の供給に困る事はないな! 

 と満足していたら、ふと思いついたことがあった

 茹でたコーンを冷まし身を削ぎ落し、<シロ>が普段食べている缶詰と和えてから<シロ>のご飯皿に入れてみる

「<シロ>ー!」

 名前を呼んだら出てきた、面倒くさそうな顔をしている

 そしてご飯皿を見つけ普通に食べた、コーンも残さず

「鶏肉の契約いらなかったな……」

 まあいいや、俺たちの分も発注したし無駄にはならんだろ

 

【各代表会議】でどんな衝撃的な話が来ても良いように

 その次の日である今日はレベル上げを休みにしていた

 休みにしていたのだが、なんか微妙に休みの日を潰した感があるなぁ

 

 

 

 <シロ>と<ユキ>の枕になりながら掲示板を見る

 今日一日で【各代表会議】でもたらされた情報の考察等が進められていた

 楽観的としか言いようがないものもいくつかあり

 こういう考察をしたというより「こう思いたい」というのを感じさせるものもある

 その中に「実質【メシア教過激派】の力は半減したのでは?」というものまであった

【クトゥルー】と【プルート】の存在のせいで、今では米国の【メシア教過激派】は西側を握っているだけになった

 米国の霊的国防機関であった頃と比べれば土地の広さ的に1/3以下、国力的には更にそれ以下になったのでは? 

 というのがその説の主張だ、「【メシア教過激派】自爆説」という事である

 そして【終末】により物理法則が狂った事で今後は【ICBM】を撃てなくなるし

 世界が【半終末】を迎え対メシア戦線に有力な悪魔が味方として加わった、これはもう勝ちでは? 

 という話に展開される

 少し考えてみるが、自分は否定的な気持ちになった

【メシア教過激派】は自ら【ICBM】を撃ったのだ、こうなる事を予想していなかったはずがない

【過激派】に限らず【メシア教】全体において【終末】は教義的に意識される事だった

 これは【穏健派】が世界中に作ったアホみたいな数のシェルターが証明している

 そして世界中に現れている謎の【過激派天使】たちの存在

【終末】に備え【終末】を招いた存在がそんな間抜けな事をするとは思えないし何故か【過激派天使】が増えている

 自爆はないだろ、というのが自分の感想だ

 そして掲示板でも否定されていた

「【俺たち】が異界内や【終末】後に機械を動かせるように研究していたように【ICBM】も動かせるようにしてるんじゃね?」

 等言われていた、【ガイア連合】もそれを前提にして【多神連合】の神々(悪魔)を今後の【ICBM】迎撃に活用するつもりだ

 この意見に自分は賛成である、賛成であるが

「つまりまた【ICBM】が世界中に落とされる可能性が十分あるんだな……」

 そういう事になるはずだ、嫌な可能性だ

 

 悲観的な方の意見に目を向ければ

【多神連合】なんぞ結局は人外の価値観で動く烏合の衆に過ぎず

【メシア教穏健派】なんぞは頭メシアンなのだから絶対に裏切る

 世界に味方は【俺たち】のみ! 

 という大変に孤独感溢れる主張をしている【俺たち】がいる

 故に海外への輸出、支援など不要!

 そのリソースは全て【俺たち】に回し一心不乱のレベリングを!と続く

 うーん、これはこれで正しいのかもしれんけど

 それでどうにかなりそうな相手じゃないから困ってるんだよなぁ

 それに数は大事だよ、その辺から湧いて出るようになった【天使】(悪魔)相手に消耗戦なんてやってられないし

【多神連合】も【メシア教穏健派】も必要な戦力だと思う

【メシア教過激派】も【魔人】も世界中にいるからなぁ

 いや悲観的な意見と思ったがこれはむしろ楽観論なのか? 

 最終的には【俺たち】だけでどうにか出来る、というのが前提にないと成立しない考えでもあるしなぁ

 

 またこれに関連して議論も巻き起こっていた

「そもそも【多神連合】や【メシア教穏健派】に物資輸出する意味ってあるの?」という疑問から始まったものだ

 出来る事とやる事は違う、利益にならなきゃやる意味がないではないか

 そういう議論だった

 特殊な装備をしなければ渡れなくなった危険な海を渡り、海外に輸出するだけの利益があるのか? そういう事だ

 それに対し【各代表会議】の議事録を読む限りでは、と前置きした上で考察してた人が

「【多神連合】や【メシア教穏健派】に価値があるならある」という何とも言えない書き込みをした

【多神連合】の神々(悪魔)も【メシア教穏健派】も外部からの補給がないと崩れ落ちそうな節が見られるのだという

【多神連合】には信者がそれほど多くなく霊地も弱い所に顕現した事で【権能】の出力が足りない勢力が多い

 その結果ジリ貧に、「支援くれなきゃ今抱えてる人間死ぬし、そうなると俺たち帰っちゃうよ?」とそれとなく言ってくる有様

 お前ら何のために魔界から来た

【メシア教穏健派】は宗教的情熱に駆られて無節操に人を受け入れた結果、シェルターの許容人口がパンクしている所の方が多い

 その結果ジリ貧を通り越してドカ貧、「彼らは「同志たちが助けに来てくれる」と信じて待っているんだ!」とか言っている有様

 どこにそんな同志がいるんだ

 そして「放っておくと勝手に死にそうだから利用価値があるなら助けないとどうにもならん」と続け

「無制限な支援なんて出来ないし、だからマッカを稼ぐ方法も含めて【ガイア連合】が考えてやらんと……」という結論に

 スレが「そんな無能どもが何の役に立つっていうんだ!」と荒れていた

 確かに頼りない連中だ、こんなので【メシア教過激派】と戦えるのか? 

 

 

 そんな事を考えながら他のスレを眺めていると

【各代表会議】での情報や今【ガイア連合】で分かっている事を纏め

 世界地図の白地図に書き込んだ画像を掲示板に上げた【俺たち】が出てきた

 画像を開き、見て、唸る

 改めて見るとこれはきつい

 

 まず日本に近い所から見れば

 西の中国では赤い服を着た女性の魔人【マザーハーロット】とチャリオットの大天使【メルカバー】

 小さく【崑崙山】の絵と、【メシア教過激派】と【メシア教穏健派】が描かれている

 南のオセアニアにはバイオリンを持った魔人【ディビット】、北には何もなしで

 東は遥か遠くに【メシア教過激派】の中心地米国西部がある(邪悪そうな顔をした天使が描かれていた)

 中々苦しいがこの日本の立地は世界で見ると「物凄く恵まれている」方になってしまう

 恐ろしい敵とある程度以上の距離があり、陸地で接していないからだ

 

 インド、中東方面はラッパを持った魔人【トランペッター】と大口開けた魔王【アバドン】

 何故かカレーを持ってる【多神連合】の【インド神話勢力】が描かれている

 また小さく【メシア教穏健派】の存在が描き込まれているが、

 これは戦力として数えてはいけない状態らしい

 インドは元々人口が多くそれが【アバドン】の眷属であるイナゴの群れ、【蝗害】による食糧危機等で

 特に苦しい事になっているそうだ、蝗と痩せ細った人が描かれていた

 アフリカ、西欧の一部には四色の【終末の4騎士】が描かれ、なんと四体ともこの辺りをうろつき回っている

 その代わり西欧には【多神連合】の【ギリシャ神話勢力】【北欧神話勢力】等が大きく書き込まれ

 更には【メシア教穏健派】もいる、激戦地となるだろう

 そして【終末の4騎士】もまた【飢饉】や【疫病】を撒き散らしている、餓死者等を表現した絵がある

 南米はよくわからないらしい、魔人と思われるものも確認されたが主神級の現地悪魔も確認されている

 しかしこの現地悪魔は【多神連合】には所属していないらしく不明、魔人と激しい争いをしている

 大きく?VS?と描かれていた

 北米は【メシア教過激派】髑髏の【プルート】イカの【クトゥルー】が描かれ

【プルート】の方には毒と火が、【クトゥルー】の方にはグールが描かれる

【メシア教穏健派】の絵も描きこまれているが?が横にある

 今も存在しているか分からない、という事だ

 この【プルート】は自分を召喚したはずの【メシア教過激派】とも【クトゥルー】とも敵対しており

 北米の地は三分割された形になっている、当然のようにカナダが巻き込まれていた

 

 その他、神々(悪魔)が顕現し、人の囲い込みに成功した報告がそこそこされていたが

 この地図には書き込まれていない

 勢力として認識するに足る力がない、と見なしたようだ

 実際にはそれなり以上の数の神々(悪魔)が顕現しているらしいのだが

 実力が未知数としか言いようがないのでこの扱いもしょうがないと思う

 それとは逆に世界中に湧いて出る【過激派天使】も描かれていない、一々描いてたら切りがないからだ

 

【魔人】、基本は聖書において終末を呼ぶ存在として描かれ

 女神転生でも度々強力な敵として登場した特別な存在

 しかし当然その扱いや実力が作品ごとによって違い

「レベルの割に耐性が恵まれているがそれほど強くない」程度の存在だった【魔人】もいた

 では、この世界ではどうかというと

 どうも本当に【終末】を呼ぶに相応しい実力があるようだ、召喚されてから得たMAGによるものか

 あるいはこの世界では最初から特別強い存在だったからなのかは分からない

 どうあれ同じようにゲーム上では強力な存在として描かれていた各神話の主神級の神(悪魔)が

 攻めあぐねている所を見るとやはり【魔人】は特別な強力な存在の様だ

 この【魔人】が一種の第三勢力化し、【穏健派】も【過激派】も【多神連合】も普通の人々も

 まったく気にせず目に付いた端から殴りかかっているのがある種の救いになっている、敵の味方ではないから

【過激派】だけぶん殴ってくれないかなぁ

 

 

 今後【ガイア連合】は上手く【多神連合】と【メシア教穏健派】を仲裁、協調させ

 出来れば緩い協力関係を、最低でも敵対しない程度の関係を築かせる方向で動くという。

【多神連合】を構成している各神話勢力の悪魔としての個の力

【メシア教穏健派】の持つ【人の数】と【終末を考慮した各種インフラ】、【組織としての統率力】

 これらを【ガイア連合】は有用と見た

 前者は分かりやすい、求めるのは戦力だ

【多神連合】の神々(悪魔)はMAGさえ確保できれば十分以上に強い力を発揮するはずだ

 力を発揮した時の神と呼ばれる悪魔の力を、【ICBM】の迎撃の時に俺は見た

 だが後者は【天使】の事が一切書かれていない、求めるのは単純な戦力ではないのか? 

 そう思って首を捻っていれば詳しい解説が書かれていた

【ガイア連合】は今後、既存の社会がほぼ滅びると想定

 積極的に人間を保護し養い、悪魔に対抗する【勢力】が必要となる

 それを担えるのは【メシア教穏健派】しかいない、という判断だという

【ガイア連合】ではそれは出来ない

 勢力が広範囲に広がっていない事、単純なマンパワーが足りない事

 そもそもそのような意欲が薄い事、これらの事から出来ない

 そしてこれは【ガイア連合】が慈善や人類愛に目覚めたというわけではなく

「【多神連合】に【保護】される事が人間の生きる唯一の術」という事になってしまったら

 人間というリソースを【多神連合】が手に入れすぎるという考えによるものらしい

【多神連合】の神々(悪魔)に力が集中し過ぎるのはパワーバランス的によろしくない

【メシア教過激派】との戦いが終わったら永久不滅の世界平和が訪れるというわけでもないのだ

 その時に対処不可能な力関係になっていたら困る

【多神連合】に対しリソース(人間)の奪い合いが出来る存在が同じ陣営にいると都合が良い

 その役割を【メシア教穏健派】に見出した

【メシア教穏健派】はその歴史、教義、思想からして

 間違いなく【多神連合】と心の底から協力関係になる事はない、これもまた都合が良かった

【多神連合】が強くなり過ぎないように【メシア教穏健派】には頑張ってもらう

 またそれは【メシア教穏健派】にも言える事だ

【ガイア連合】は【多神連合】と【メシア教穏健派】を上手くコントロールして

【メシア教過激派】との戦いに臨む

【ガイア連合】にとって脅威になり過ぎない程度に彼らを助け強みを活かす

 

 しかし穏健派と言えどあの【メシア教】が「人間を保護する勢力」扱いってのは変な気分になるな

【穏健派天使】は人間の【見守り】【保護】を重視しているらしいが、それもどこまで本当かどうか

 いよいよ戦況が怪しくなれば【過激派】に合流したりするんじゃないだろうか

 そういう事にならなくても、【メシア教穏健派】が人類の多数を導く未来っていうのはちょっとなぁ

 理想の未来は【多神連合】と【メシア教穏健派】と【メシア教過激派】と【魔人】の共倒れだな、さすがに欲張り過ぎだが

 それにしても既存の社会、【情報統制】されつつもまだ存在している国家群

 それらがほぼ滅びる前提の話を改めて突きつけられると気が重くなった

 そしてこの想定は当たると思う

 元々この事態を表側の体制でどうにかなるなんて誰も思ってはいなかった

 世界は崩壊する国々を舞台に【多神連合】と【メシア教穏健派】と【メシア教過激派】の陣取り合戦が

 そして全てを吹き飛ばす【魔人】の暴虐が繰り広げられる

 

 

 敵は強い、味方は頼りない

 その頼りない味方も今はともかく将来的には味方かどうか分からない

 複数の意味で信用に欠ける勢力たちと協力して乗り切らなきゃならない

 この【半終末】は俺が思っていたよりも複雑で難しい時代の様だ

 

 

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