コミュ障ぼっち、ガイアを行く   作:犬西向尾

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第二部7話

 インドから【トラポート】で【山梨第二支部】に戻り

 入念な検査を受け、衛生面や呪術的に問題がない事を確認してもらい

【山梨第一支部】の我が家に帰った

 二泊三日のちょっとした仕事でしかないのにずいぶん疲れた気がする

 移動時間が長かったからだろうな

 とりあえず家の要石にMAGを注ぎ、その日はすぐ寝た

 

 そして今、宿題に頭を悩ませている

 

 

 宿題と言ったが別に学校等に通ってそこから出されたわけではない

 あくまで宿題のように俺が感じているからそう言っているだけだ

 正体は【ガイア連合】に提出する報告書である

 そして今回の仕事で俺が得た所感等をなるべく書き上げるのだ

 こういう素人の主観まみれの報告書の類を積み上げ、精査し、情報を抽出するらしい

 国外に出た【俺たち】が大体求められる仕事だという

【インド神話勢力】の方の仕事を断る際、事情を話したら

「インドに行くのでしたら」と事務の人からこの仕事を紹介された

【ストリゲス】の仕事に守秘義務等はなかったし

 普通に仕事して感想文書くだけなら簡単だわ、と思って軽い気持ちで請けたのだが

 これが中々に難敵だ

 詳しい客観的な情報は<ライコー>に書き上げてもらっているから

 俺が書くべき所は主観的に見えた事の考察等になる

 

 まず視点を変えよう、部外者でしかない自分が外側から見た物だけで語るのは

 いささか書く所が少なくなりすぎる、結論だけになってしまう

 とりあえずだらだらと考えた事を書いて、後で清書しよう

 本霊がハリティーの【ストリゲス】の立場から見る

 彼女はいわば資本金が少ない状態で起業した社長さんだ

 しかし思ったようにいかず、赤字続きでどうにもならない

 そこで親戚に金を借りて業務改善のための人員を借り受けた、この人員が俺になる

 その結果なんとか事業は持ち直した良かった良かった、と言うのが今回の話だ

 業務は神様、得られる収益は信仰によるMAGという点がちょっと普通じゃないが

 まあこういう認識で良いだろう

 人命や誇り等の要素はこの際無視して思考を進める、ノイズになるし方向がおかしくなる

 今回、【ストリゲス】が上手く行ったのはいくつかの幸運が重なった事によるものだ

 1、比較的余裕がある他国(日本)に違う分霊がいた事 (支援者)

 2、その分霊が報酬を立て替えて仕事を依頼出来た事 (融資)

 3、俺が霊感と言う気まぐれからその仕事を請けた事 (運)

 この三つによるものだ

 こんな幸運は当てにしちゃいけないし、当てにされても困る

 当たり前にあると考える事も出来ない。

【ガイア連合】にしてもそれ以外にしても

 困った神(悪魔)がいれば即座に飛んで信仰をプレゼント!なんて無理だ、切りがない

 故になかったらという想定で考える、結論はすぐ出る、あの村の破綻だ

 

 あの村は土地の神になり、守っている【ストリゲス】を信仰する事が出来ていなかった

 これでは信仰によるMAGが供給されない、痩せた霊地から得られるMAGだけになる

 数少ない覚醒者に言葉を託し覚醒修行(石投げ)をさせる事で覚醒者を増やそうとしたが

 それもあまり成功していたようには見えなかった

 また食糧の話もあった、あの村はあの時は飢えてる風には見えなかったが

 労働力の減少や元々の食料の貯蔵量的に遠くない将来厳しい事になっていたらしい

 そこで目に見える「恩恵」を外部委託して信仰を得て

 どうにかしようとしたのが【ストリゲス】だ。

 もしそれがなかったらどうなっていたか、繰り返すが破綻だろう

 もちろんこれはインド神話勢力の地母神も協力しなかった場合での想定である

 あまりありえそうには思えないが同じような事をすれば多分何とかなる、がやらないだろう

 そんな事するくらいなら【ストリゲス】を排除して自分の信者にした方が早いからだ

 この破綻を何とかする方法は他になかったのか?ある

 正確には当の【ストリゲス】がしようとしていた方法がある

 前述した「覚醒修行をさせる」事だ

 これは間違った物ではない、ただ上手く行かなかっただけだ、石を投げるだけではなぁ

 覚醒者なら多くのMAGを生み出す事が出来る

 覚醒者ならその地の神(悪魔)の姿と強さを目にする事で信仰する事を期待出来る

 覚醒者ならその力で得た信頼で人々に信仰を説くことも出来る、かもしれない

 それが出来れば多くの事が解決するのだ

 戦力の増強も食料の生産も現実のものになる

 

 その為に必要と思われる物、あるいは望まれる物は何か。

 まず【デモニカ】で次に【退魔銃】と弾薬、これだろう

【デモニカ】は悪魔を視認するために、【退魔銃】は攻撃手段として必要だ

 これさえあれば「悪魔を殺す」体験での覚醒を十分期待できる、戦力にもなる

 上記の事業の例で例えれば「設備投資による効率化」とでも表現するか。

 自分は今回の件をそれほど特別な事例ではない、と解釈した

 根幹である「信仰不足によるMAG不足」「覚醒者不足」が他の所では解決してる、

 なんて思うことが出来ないからだ

 そしてその解決に繋がる【デモニカ】と【退魔銃】、

 この二つは【ガイア連合】が輸出する事が出来ると【各代表会議】の時に既に表明している

 今後はじゃんじゃん注文が入るはずだ、もう来てるかもしれない

 そしてそうなると輸送のための船も更に必要になってくる

 攻撃の為に必要な弾薬は消耗品で、しかも属性弾も考えれば種類も揃えたくなるはずだ

 消費が早ければ常に【ガイア連合】からの輸送船が行ったり来たりを繰り返すことになる

 とりあえずこの二つ

「【デモニカ】と【退魔銃】の更なる売却を他勢力から強く求められる」

「それを実際に行う為に【ガイア連合】製の輸送船が更に必要となる」

 は絶対に起こり得る未来だと断言しておこう、吹かし込みだ

 その為に「【ガイア連合】の更なる生産力向上を至当と認める」という結論にしておく。

【ガイア連合】にとって各勢力は【メシア教過激派】との戦いに必要な物である

 その彼らが戦う為に必要としている装備、望まれれば無視は出来ないだろう。

 

 

 書いた物を眺め、少し物足らない気になる

 これだけじゃ格好がつかないからちょっと近い将来の予想を書いておくか

 

 神(悪魔)にとって、MAGは戦力を動かす燃料であり自分たちの食い扶持であり

 力を付ける為の秘薬であり、更なる信仰を得るための原資である。

 あの村には【ストリゲス】の使い、配下として鬼女【アチェリ】が複数体存在した

 この【アチェリ】は戦力として、また各種労働力として必要とされ、

 大人が少ないあの村での力仕事を、そして畜力の代わりとして活用されていた(らしい)

 しかし神(悪魔)にとって見ればこれらの配下の召喚は

 自らのリソース(MAG)を配下に分け与える事に等しい行為であり、好む所ではない

 しかし、これらの配下の存在は神(悪魔)には必要なものである

 毎回自身が最前線で戦う事は消耗に繋がる上に

 そもそも戦闘において数の要素は大きい物であるからして、あまり削ることは出来ない

 その負担を軽減する工夫として現在研究中の【悪魔召喚プログラム】に注目される可能性

 これを考えてみる

 

 配下の悪魔の存在は覚醒者が少ない現状において特に必要とされているはずだ

 人間は疲れるし、覚醒者にはなるべく万全な状態で戦い、霊格を上げ

 更なるMAG生産に繋げてもらうのが神(悪魔)の利益になる

 だから戦力も込みで「雑用」をする為の配下の悪魔が覚醒者の負荷軽減の為に必要になる

 覚醒者と非覚醒者を隔てる差、

 悪魔を認識する能力も人間離れした力も悪魔であれば持ち合わせている

 これを使わない手はない

 しかしこれを使うとその分MAGの出費が増える、必要な事であるが嬉しい事ではない

 そこで【悪魔召喚プログラム】の存在だ

 どのみち神(悪魔)からすれば生きた人間のMAGの100%の利用は出来ないのだ

 彼らが利用できるのはあくまで「信仰から得られたMAG」や儀式等で吸収したMAG

 あるいは生贄等で得たMAGである

 俺だって二柱の氏神様に多分MAGを捧げていると思うが、

 普通に戦闘出来るし畑や仲魔に供給するMAGだって十分ある、それと同じ事だ

【悪魔召喚プログラム】は使用者のMAGを消費し、儀式を代行、奇跡を行うシステムだ

【悪魔召喚プログラム】の利用により悪魔勢力は人間のMAGの活用できる率

 それが上がると認識するのではないか

 今まで自分たちが負担していた戦力や雑用のための配下の負担を覚醒者に背負わせる

 これによって自分たちの負担が軽減し、自由に使えるMAGの量が結果的に増える

 そういう事に価値を見出すのではないか?

 実質それまでと比べてMAGが増えたようなものになる

「予算の付け替え」みたいなもんかな、ちょっと違うか

 

【ガイア連合】としては彼らの自己の資産(MAG)の効率的な運用は歓迎する所である

 それが【メシア教過激派】との戦いに役に立ってくれれば【ガイア連合】の生存に役立つ

【悪魔召喚プログラム】を要求され、それを輸出する事にならば

【マグバッテリー】付きのスマホの増産等が必要になる

 やはり前述した「生産力の向上は大事」という結論に繋がる。

 

「【デモニカ】と【退魔銃】の更なる売却を他勢力から強く求められる」

「それを実際に行う為に【ガイア連合】製の輸送船が更に必要となる」

「【ガイア連合】の更なる生産力向上を至当と認める」

「【悪魔召喚プログラム】の活用によるMAGの利用率向上を図る可能性の指摘」

 こんな所で良いだろ、後はまとめて<ライコー>にチェックしてもらおう

 しかしあれだな、要約すると「今まで通り頑張ろうぜ」になるんだよな

 生産力云々も今更の事だし、【デモニカ】だって【退魔銃】だって

 最初から役に立つって分かり切っている物だしなぁ……

 

 

 俺が書いた考察というより雑感に近い物に目を通してる<ライコー>が言う

「【悪魔召喚プログラム】の下りは消しても良いのではないでしょうか?

 現状、【悪魔召喚プログラム】は海の物とも山の物ともつかぬ物です」

 メシア教の物だから出所ははっきりしてるぞ、だから信用できないんだけど

「いらない?」

「はい、【ガイア連合】内での使用実績がなく、未だ仕様も分からない物に

 注目される可能性を見出した所で何の意味もないかと。

 見当違いの物になるかもしれませんし、それまでの考察の説得力を損ないかねません」

「じゃあ消しちゃおう」

 それほど拘るところじゃない

 しかしそうなるとますます平凡な考察になってしまった、物資いっぱい作ろうぜ、だけだ

 まあ突飛な結論よりは良いか

 そして俺の書いた物を添削し、文面を整えてくれている<ライコー>が聞いて来た

「あなたは、あの村に【悪魔召喚プログラム】があれば、と思ったのですか?」

「うん?まあそんな感じかなぁ」

 もっと言えば覚醒者と【悪魔召喚プログラム】があれば、だな

 そして覚醒者を生むために【デモニカ】だ

 だからきっと欲しがると考えた

「結局はMAGの量が足らない、が一番の問題で

 MAGを手に入れたら次に必要なのはって考えただけなんだけどな」

 覚醒者を増やしMAGの生産を増やし、一刻も早く地母神になって貰う

 そして地母神に食料を生産してもらって生活を安定させる

 なるべく人間が戦い、霊格を上げ更にMAGの生産を増やす

 そしてその戦いは【悪魔召喚プログラム】があればきっと良い

 戦いは数だ、俺のPTも人数が増えれば増えるほど楽になった

 そしてその悪魔が労働力になるなら神(悪魔)も人も助かるだろう

 更に配下の運用コストを【悪魔召喚プログラム】の使用者に任せることが出来れば

 その分神(悪魔)も本業に集中できる、これは良いやり方ではないか?そう思った

 今後の海外では「食べ物を供給する地母神+戦う人間の集団」

 こんな感じのコミュニティが一つの典型になるのかなぁって思った

 

 

 とりあえず形になった報告書を事務の人に提出に行った

 入力した記録媒体を手渡し中身のチェックを行ってもらい、報酬を受け取る

 そのチェック中、少し暇になり事務の人とお茶を飲みながら軽く話をした

「上はどうも、この手の仕事はなるべく避けたいと思っているらしいですね」

「この手の仕事、ですか?」

 個人的に引き受ける仕事って意味かな?

「いえ、そちらではなくて「海外に出張するような仕事」という意味です。

 転生者のサポートが十分に出来ないという所が引っ掛かるようです。

 特に戦闘が起こる事前提の仕事は避けたい、と」

 はぁ

「とは言っても、必要だから依頼されている仕事ですし、

 断り続けるのも難しいのでは?」

 今回俺が受けた仕事は個人的な伝手で来た仕事だから断っても良いものだ。

 しかし【インド神話勢力】の方は勢力として【ガイア連合】に頼んだ仕事という形になる

 こういうのを断り続けるのは難しいと思う

【ガイア連合】はもはや実質【対メシア教戦線】の盟主だ

 そうであればこそ求められるものがある

 雑に言えば「俺が困っている時は頼らせて貰うぜ!」という話だ

 権限や権威でなく、力で盟主となった【ガイア連合】はそれを求められるはずだ

 それを断り続ければ「頼り甲斐がない」と見做される事になるだろう

 そうなれば【ガイア連合】に必要な何かをする時に発言力が足らなくなる可能性がある

 つまり【対メシア教戦線】の盟主という立場での旨味が減る、これは良い事ではない

 だから繰り返すが【ガイア連合】としては断り続けるのは難しいと思う

「そうですね、ですから上も悩んでいるらしいですよ。

 どこかに雑に使える都合が良い戦力がないかと」

 そんなのがいたら苦労しないよなぁ

 

「それはちょっとないと思うなー」

 とはインドからの土産話をしていた時の聖女ちゃんの言葉である

 ちなみにこの場に酒はない、「お酒で痛い思いをして帰ってきたかもしれないから」

 という聖女ちゃんからの謎の配慮だ、謎だ

「ないですか」

 今後は「食べ物を供給する地母神+戦う人間の集団」が増え更に

【悪魔召喚プログラム】が望まれる、という自分の予想についてだ、否定されてしまった

「源氏くんは「人間」に重きを置きすぎてるよ。

 悪魔が自分の土地の防衛をそこまで任せるほど人間に信頼を置くと思えないし……」

 そう言って少し考えてから

「それだけの強さを人間が得る事を悪魔が望むか分からない」と続けた。

 悪魔にとって最高の環境とはどういう環境か?

 その一つの例としてこういうものを挙げることが出来る

 人々が強い信仰を持ち、自分が好き勝手しても許されて、それでもなおMAGの供給が潤沢

 こんな環境だろう

 それを実現するためにはどうすればいいか

 その悪魔が神として君臨し、力で持って人々を束ね裁き、逆らえない力関係を維持する

 こういう風に出来るのが望ましい、つまり神として人を支配する事だ

 そしてそんな環境を作るためには「強い覚醒者」の存在はあまり嬉しい事ではない

 自分に対処できる程度に弱く、そこそこ戦力になりMAGを多く産む程度に力がある人間

 この程度で納めるのが良いのだという

「特に【悪魔召喚プログラム】の類は断固拒否されると思う。

 だってそれ、せっかく囲い込んだ人間の自立に繋がるじゃない

 私だったらそれだけは許さないわ、それなら戦闘向けの悪魔を養うわよ」

 とは聖女ちゃんの見解である。

 戦力になる悪魔を手駒に出来る、生活に必要な権能を持つ悪魔を揃えられる

 これは自立、つまり悪魔勢力からの独立の種に成り得るという

 悪魔勢力が人間に許せるのは自分たちが制御できる範囲の強さ、という事だ

「うーん、じゃあ【悪魔召喚プログラム】が実用化されても、

 使うのは【ガイア連合】だけになりますかね」

 何となく将来的には皆が皆【悪魔召喚プログラム】で武装するようになると思っていたが

 そうはならないかも知れない。

 現状、【ガイア連合】と【メシア教穏健派】以外に人間主体の勢力は存在しない。

 そして【メシア教穏健派】は【天使召喚プログラム】を使い続けるらしい

 これには【俺たち】ですら「あいつら正気かよ」と言う反応だった

【メシア教過激派】が作り、邪神によって強制的に邪神召喚を行われたプログラム

 そんな物、どんな罠があるかわかったもんじゃないという訳だ。俺もそう思う

「そうじゃなくなる可能性も十分あると思うけどねー

 階級社会作って「強い覚醒者」を悪魔側にするとか

 人間側が悪魔に物申せるくらい強くなるとか

 単純にそんな事言っていられなくなるくらい追いつめられるとか」

 なるほど

「まあなんにせよ、これからGPがますます上がって強い悪魔が現れるようになるし

 悪魔の数は増えるし、どうなるかなんて完璧な予想はできないわよ

 ただ人間に都合が良い未来はちょっと考えにくいかなって」

 まあそうだな

 

 

「ただいま」

 畑を広げるたびに少しずつ遠くなる家屋までの道を歩く。

 そうすると珍しく少女の姿に変化している<ユキ>がこちらを見つけ駆け寄ってきた

「転ぶなよ」

 とてとて、と擬音がつけられそうな走り方を見るとついそんな心配をしてしまう

 抱き着き、身体を擦り付けてくる<ユキ>の頬や頭をひとしきり撫でてから再び歩く

 そして庭にある畑とそこで働く一反木綿式神の姿が目に入り、思ったことがあった

 

 多分、人類はこれから先緩やかに積み重ねた技術や文化を失っていく

 前提となる物理法則が変わり、それまで当たり前に手に入った機材等が手に入らなくなり

 より低コストな神(悪魔)の加護や権能に頼るようになるからだ

 俺の畑が良い例だ、俺には農業に関する知識もノウハウもまるでないけど

 加護とMAGと式神のおかげで収穫を得ている、これと同じだ

 人類はこれまでの歴史で積み上げた物の多くを失い、

 その失った物を神(悪魔)で補う形になると思う

 人類の黄昏、神々の夜明け、か?

 夜明けと言うには神(悪魔)にとってもあまり明るくは見えないが……

 俺が行った所が微妙だっただけで力強い神(悪魔)は我が世の春を謳歌してるのかな?

 そんな事を<ユキ>に手を引かれながらぼんやりと思った

 

 

「はい、これが報酬のスキルカード」

 自室で適当にごろごろしていると【クシナダヒメ】様からの呼び出しがかかった

 そして祠に置かれてるスキルカードを頂く

【テンタラフー】と書かれていた

 敵全体に混乱を確率で付与させる神経もしくは状態異常属性の攻撃魔法だ

 作品によって攻撃魔法だったり状態異常魔法だったり違いがある

 中々良いスキルだありがたい、今回の仕事は儲けたと言っても良いだろう

 これは<シオン>に付けるか

「ありがとうございます」

 しかし【鬼子母神】、地母神【ハリティー】が【テンタラフー】なんて覚えたかな?

 と思って少し疑問に思っていると

【クシナダヒメ】様が「エッヘン」とした声で

「良い感じのがなかったから【ヤクシニー】としての側面から貰ったの」

 と言っていた、これは労うべきだろう

 

 その後軽く話をして、移動時間が長くて面倒だったとかお調子者を見かけたとか

 やっぱり家が一番だなぁと思ったとか、そんな話をしてさて部屋に戻ろうかと言う所で

【クシナダヒメ】様から声を掛けられた

「あとね、今回の件で【鬼子母神】が「機会があればいらっしゃい」って仰ってたわ」

 機会?特に用はありませんけど?

「<ライコー>ちゃん、いつかは子供が出来るようになるかもしれないでしょ?

 そうなったら安産の加護をいただけると思うの」

 ああ、正直自分は末代になると思ってたしあまりそういう事は気にしてなかった

「そういうの、気にしてたんですね」

「当たり前よ!私もあの女も、あなたの子も孫も見守るつもりなんだから!」

 氏神ですもの!と【クシナダヒメ】様は続けた。

 

 <ライコー>の膝の温もりを頬に感じながら少し考える

【クシナダヒメ】様の言う安産の加護云々はきっとあの方なりの気遣いだろう

 シキガミ故に子供が出来ない<ライコー>の事を気にしていたんだと思う

 だから、いつかできるようになった時に、と

「なあ<ライコー>、これはひょっとしてなんだけど……」

 俺の死後は同じ氏神として共に子々孫々見守るつもりの【源頼光】様

 同じように俺の子も孫も見守るつもりの【クシナダヒメ】様

 どちらも俺の代だけでは終わらない関係を求めている。

「神様ってちょっと重い?」

「そういう方も居られるようですね」

 そうなのか……

 

 

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