里乃、里乃! 券売機でチケットを二枚買って観覧車に乗り込む。なんだか不安になる駆動音を上げて、観覧車はぐんと動き始めた。
「里乃、観覧車だよ、観覧車! ねえ、初めて乗るね、こういうの! なんだかさ、僕って高いところ、怖いかもしれない! だっていまからドキドキしてるんだ」
「ワクワクしてるだけじゃないの。いやよ、上まで行って過呼吸、なんて。わたし助けらんないんだから。緊急のボタンとかきっと、パニックになって押せないんだからね」
観覧車が上り始める。まだ低いとこにいるのに、風だか何だか、けっこう大きく揺れるからちょっとこわい。だけどそれ以上に僕はうれしかった! 里乃と、一緒に観覧車に乗れること。握り込んだ一枚が手汗でじんわりと湿ってハッとする。やっぱり高いところは怖いかもしれなかった。
「……ふふん。ゾッとしてる?」
「してないし!」
さらにぎゅっと握りこむ。一枚はもう手の中で、ぐちゃぐちゃの丸まった何かになった。そんなことより景色を、と窓を見る。窓から見える風景には、がん! と頭を小突かれたような感じがした。
「ちゅ、駐車場じゃんか……めちゃくちゃ広い、駐車場しか見えないじゃんか!」
「ま、まあ。もっと上までいけば、わかんないわよ。だって観覧車よ。なにかを観覧するための車なんだから、もっと、あるよ。なんか、きっと!」
「……車を観覧する車かもしれないじゃんか!」
「し、しらなーい。わたしに怒んないでよぅ」
観覧車が高く上れば上るほど、僕の心はさいてーだった。僕の高所恐怖症は明確なものとなり、窓から見えるのは広い駐車場と、その向こうは県道のだだっ広い車線と、そこを走るしょぼい車の数台のみ。そしてなによりいちばんひどいのはその先の遥か遠く、目を凝らすとやっと見えるアレだった。
「ゆ、遊園地! 遠くに豪華な遊園地が見える!」
「……な、なんなのこの、観覧車!」
遠くに見える豪華な遊園地はきっと夢の国ではないのだろうけれど、いまこの状況下においてあの豪華さは十分に夢の国足り得るソレっぽさだった。なにより僕の心はさいてーで、さいてーの心で望む景観なんてものはいつだって、輝いて見えてしまう。それ以降は閉口して観覧車が下るのを待った。出口を出てみんなのところ――しょーもな花畑、バラ園――に戻ると、そこには僕の画材道具が打ち捨てられているのだった。ネコちゃんにはそういうところがある。悪気がないことだけを知ってる。でも、かみさまはみてるはず。なのだった。
「でも、楽しかったわ。だって舞が可笑しいんだもん」
「いいよ、もう。今度はちゃんとした遊園地に行こう」
近くにあったゴミ箱に紙屑を投げ捨てて、そんな約束をした。
夜になれば僕も里乃が言ったように、あの観覧車の忸怩たる記憶は、やおら楽しいものへと変容しつつあった。結局、僕は里乃と観覧車に乗った。それだけで、夢の遊園地に近づけたような気もしたし、実際約束だってしたのだから。あの観覧車の近くにあったジェットコースターに乗らなかったのはいろいろ理由があるけど、いちばんの理由は僕の高所恐怖症だった。ゆっくり上って下るだけの観覧車が恐ろしいのに、高速でアップダウンを繰り返されたら僕はきっと水揚げされた蟹になる。泡を吹くのだ。無様に。そもそも上って下る、アップダウンの繰り返しはなんだか不幸な感じ。上ったら上りっぱなしでいいし、下ったら下りっぱなしがいい。初めから上りも下りもしないのなら、結局それがいちばんなのではないかとも思う。けど、実際は上ったら下るし、下ったら上る。どっちかの上りは下りとはよく云ったもので、最悪なのはこの夜だった。
しょーもな海浜公園を抜ければ僕ら含め学童一行は旅館に向かった。きっと学生には旅館なんて新鮮すぎるし、僕ならみんなの数倍はしゃいでいたと思う。HRめいた高説を聞き流せばご飯までの自由時間に、みんなでお風呂に入ったり卓球――あるんだ、実際!――をしたりして、とにかくもう楽しかった。ご飯のとき、いつも小食なアカネが例のごとく「もうおなかいっぱい」を口にすれば、レイカは「こんなときくらい!」と唇を尖らせた。ネコちゃんはそんなやり取りをなんだかわからなさそうに笑っていたし、僕もなんだか幸せだった。そしてご飯が終われば消灯までトランプだのいろいろをして、消灯時間がくれば、たぶんお決まりであろうのお喋りが始まった。その、お喋りがまずかった。
アカネの好きな男子が他校にいるとか、それに対するレイカのやけに斜め上からの助言とか、そういうのはよかった。僕もネコちゃんもはにかんで、それでなんとなく楽しかったし、幸せだった。夜が更けて来たころ、二転三転していた話題は“それぞれのいちばんの秘密を打ち明けよう”というもので、アカネは自分が鎖骨フェチだとカミングアウトするなりバっと布団をかぶってそのまま眠ってしまった。アカネのどうでもいい秘密を詰っているうちに、レイカもうとうとと寝息を立て始める。ふたりだけになった僕とネコちゃんはちょっとだけ気まずいような感じがして、それでも、施設からの奇縁を思えばどこかうれしくて、夜にしあわせのもやがかかっているような、そんな気分だった。
内緒話、というだけで興奮して眼が冴えている様子のネコちゃんは「おしえてよう、おしえてよう」と繰り言にして、僕も悪い気はしなかったけど、聞いてくるばかりのネコちゃんにいじわるがしたくなって「ネコちゃんがさきにいってくれたら、僕も言おうかな」なんて。そんなことを言った。すると、ネコちゃんはううんと悩んだわりに、案外すんなりと口を開いた。ネコちゃんは、どうも女の子が好きらしかった。こういう性に関することを打ち明けるというのは、なかなか大変なことだと思う。アカネみたいなどうでもいい秘密じゃなくて、ほんとうに秘密と云える秘密を話されてしまったら、僕も誠実に応えなきゃいけないと思った。でも、僕がそれをネコちゃんに喋ってしまったのは、それ以外にもいろいろ理由がある。夜にかかったしあわせなもやと、初めての旅館や初めての内緒話でふわふわしていた気持ちと、眠気とか。あとはやっぱり、僕はネコちゃんが大好きだったから。
「僕ね、その。実は、ネコちゃん以外にも親友がいるんだ。親友というか……」
「……里乃っていうんだ、いつも一緒にいてくれる。みんなとはお喋りできないけど、いまだって居るんだよ」
ネコちゃんは「すてき!」と夢をみるみたいな笑顔で言った。でも。僕はとんでもない失敗をしでかしたような気がして、絶対に後悔する確信があって……。そのあと、ネコちゃんがすーすーと寝息を立て始めたあと、案の定、激しい後悔が僕を苛んだ。ネコちゃんがいると里乃とうまくお喋りができないような気がした。ネコちゃんがいない場所でもきっとそれはおんなじで、ネコちゃんがいる限り、きっと、僕と里乃はぎこちなくなってしまう。根拠がないし、半ば異常な感情だとはわかっていたけど。
だけど。その夜に、僕はネコちゃんを殺すことを考え始めた。
――かみさまかみさま、どうかわたしをみつけてください。私をこのよのつかいものにしてください。そしてわたしをゆるしてください。いまのわたしを――
これも夢。そしていつか見た夢でもあり、夢のなかで聞くこの言葉は、いつだって、僕のものじゃなかった。この言葉を聞くとき、僕はいつも微睡んで……。
スズメが鳴いている。カーテンの隙間から朝日が差し込んで、部屋の勉強机から扉までをぶった切って照らしている。ちょうど僕のおなかのあたりも陽射しでぶった切られているから、一瞬、ぞっとする。
「うう、さとの。切れてない? ぼくのおなか……」
パジャマからはだけたおなかをさすって、上半分と下半分がちゃんと繋がっているのを確認して、ほっとした。
「そっか、よかった……」
いつもの朝だ。
ご飯~……と、一階から自信なさげな声が響く。僕の部屋は二階にあるから、僕はのたのたと起き上がって一階に降りる。今日は平日だから、養母さんと一緒にご飯を食べる。だけど祝日だから、なんと、みんなと遊びに行けちゃうのだ。おはようっていうと、おはようっていう。それは独り言と似ているかも。そんなことを考えながら、食卓について、いただきますも発音する。
「……ねえ舞ちゃん、おいしい?」
「もー。おいしいってば!」
「そう……? だって、舞ちゃんいつも半分くらい残すんだもん……。そんなの、おかあさん不安になっちゃう……。最近はぁ、ちゃんと食べてくれるしぃ……うれしいけど、やっぱりふあーん……」
「もー。おいしいってばー!」
だ、もんである。養母さんが一人になっちゃったのも、きっとここら辺のやり取りのなかに原因がある気がしてならない。だけど本当に、ご飯はおいしい。水味噌米卵油塩魚胡麻草、ぜんぶすきだ。
「それで、今日のことなんだけど……。まいちゃんほんとにだいじょうぶ……? 友達と一緒っていっても、子供だけでキャンプなんて……。夏場なんて、夜、怖いひとしかいないのにぃ……。おかあさん、やっぱりふあーん……」
「もー! ……大丈夫だよ。ぜったい!」
そう、僕は今日みんなとキャンプに行く。夏だから、人気のない川辺でテントなんか張っちゃったりする予定。花火なんかもやる予定。夜が更けたらお喋りメインの川釣りなんかもする予定。アカネは上機嫌も上機嫌のノリノリでOKしてくれたし、レイカなんかはヨット部らしく川に自信アリのふうでいた。もちろんネコちゃんならいちばんに喜んで、行く前から目をきらきら輝かせて、はしゃいでたりなんかして。乗り気じゃないのは、きっと誘った僕だけだろう。食べ終わればごちそうさまを発音してさっそく準備。キャンプ道具の一式を大きなカバンに詰め込んで、それから、いってきますを発音した。
キャンプ場ってわけじゃない。例の山の麓、雑木林をすこしかき分ければその川辺はある。草木はうっそうとしているが夏の陽射しはしたたかで、生い茂る草葉なぞ知ったことではないと言いたげに照って、川面はぎらぎらと輝いていた。岩場に流れが当たって、ちいさく飛沫がはじけている。僕らはそんな川辺をキャンプ地として、一日、明日の朝までを過ごす予定だ。
レイカは僕が到着するより先に到着していて、待たされた、と言わんばかりに低血圧ふうの態度でおはようと言う。
「おはよーっ! はやいね。そんなにたのしみだったんだ? キャンプ!」
「……別に。あんたたちが無茶なことして、水難事故みたいなことになったらいやだから、はやめに来ただけ」
レイカはいつもこんな調子だけど、なんだかんだ、こういう行事が好きなことを僕は知ってる。なんならキャンプ用のちんまい椅子にいちばん高いお金を払っていたのはレイカだ。その椅子に座っているのをにやにや眺めていると、レイカはふう、と格好つけて口を開く。
「幸い、今日は雨は降らないらしいから。まあ、よっぽどのことがない限りは安心ね」
通り雨がくるよ。里乃が言った。
黒い長髪を手でかき分けながら、ふう、と吐く。僕はレイカのこういった、わかりやすいところが好きだった。実際頭もいいし、頼りになる。こういう頼りになる人間がいると、もしものときには最善を尽くせるから好い。もしものときなんてないのがいちばんだけど、あるときにはあるものだから。そんなもしもにぼけっとしてたら、人間を疑われてしまうのだ。それはきっと誰だって、疑うに違いない。地面はごつごつとした大きめの砂利で、レイカはその上に置いていた大きなカバンを指して、僕に言う。
「もう設営しちゃいましょうよ。のたのたやってきた二人が完成したテントを見る……きっと驚くわね、ふたりとも!」
折半で買ったでっかいテントを持ってくる役を引き受けたのには、こういうわけがあったのか。僕は納得しながら快く頷いて、レイカとテントの設営をした。これがなかなか、むずかしかった!
テントが完成してから、僕らはしばらく椅子に座って――僕のはレイカのと違って、いちばん安くてちゃっちいの――コーヒーなんかを沸かして、ゆっくりしていた。アカネとネコちゃんはかなりの遅刻なのだけど、僕らは織り込み済みで光る川面を眺めながら苦いだけのそれを啜っていた。アカネの方向感覚にはかなりの問題があった。未だに音楽室にたどり着けないこともあるし、しょーもな海浜公園では僕とは関係なしに“居なかった”。右と左の違いもわからないことがあるらしいが、だからといって利き手と逆で箸を使っていたら、不思議に思わないものなのだろうか。まあ、それを補うべくアカネを連行する役としてネコちゃんが抜擢されたわけだけど、そもそもネコちゃんだってふらふらしているから、到着するのはちょうどお昼時だろうと、僕らはそんなことを話しながら苦笑した。実際、アカネとネコちゃんがやってきたのはお昼時・ジャストだった。
僕は風景をみるのが好きらしい。薄々自覚はあったけど、実際指摘されるとなんだか面映ゆい感じがする。風が吹いて草木がざわざわすると、川面はきらきらと輝く。そうでなくても、岩場に当たってはじける飛沫はでていなくても虹の出てる感じがする。川の底でぼんやりとある影が石か魚かはたまた水草か、じっと考え込んだりもするし、そうして疲れたら空を見上げて、あお、と思ったりもする。そんなんだから、僕はレイカは当然として、アカネにも、あのぼんやりのネコちゃんにさえ「またぼんやり!」と笑われたりしてしまう。気恥ずかしいけど、楽しい時間だ。お昼時。僕らはこれから、バーベキューなんかをしちゃったりしてる。僕は米炊きを任されていて、さあ炊こう、という時すでに、アカネとネコちゃんは肉を焼き始めるから、なんだかなあ、という感じがして、僕は笑う。みんなで食べるバーベキューは、ご飯なんかなくたって大満足のおいしさだった。
ご飯を食べ終わるとアカネが重大なことに気付いた。
「忘れてたね。飲み物買ってくるのを、さ!」
レイカはため息を吐く。ネコちゃんは笑う。照れ隠しのアカネの口調はたしかに変で、僕もなんだか笑ってしまった。
「川の水を煮沸すれば問題ないわ」
通り雨が来るよ! 里乃が言った。
「そんな。温めなくても飲めちゃうよ。だって川きらきらしてるもん。きれいだし、だいじょうぶ……ぜったい
!」
ネコちゃんが根拠のない自信を込めて言った。飲み物の買い出しを任命されていたアカネは生来っぽい楽観に徹して「だいじょぶだいじょぶ~」なんて、ネコちゃんに同調している。問題ない、大丈夫、だいじょうぶ……その都度、里乃は叫んだ。
通り雨が来るよ!
そんなのやだな、と思った。この楽しい時間が通り雨のひとつ来て、どんと流されてしまったら、僕はかなしくて死んでしまうかもしれない。でもそれ以上にいやなことがあって……。そう、僕はまたぼんやりしていた。ちゃっちい椅子に座って。レイカとほかふたりが水問題について甲論乙駁しているのが、すべてきゃっきゃと変換される程度にはぼんやりとしていたのだ。草木のあいだから狭い青空が覗いている。ちいさい雲は肥えていて、雨なんて一粒降りそうになかった。かみさま。ぼんやりとしているとき、僕はきっとかみさまのことを考えている。草木の匂いが混ざった風が、僕の頬を滑っていく。「ほら、こうやって……」ネコちゃんが川から直に水を汲んでいる。「あはは。溢し放題。湯水が如し」アカネがなんか云う。「バカ……バカ!」レイカが怒る……。ハッとした。まるで、天啓みたいに。
そうだ。
僕が眺めていたのは風景なのだ。
こんな単純なことに気付かないなんて、僕はなんて……。
「さとの。僕ってやっぱり、あんまし頭よくないよ」
「なにさいまさら。でもかわいいよ。舞ってば」
えへへ。と、僕は笑う。風景を眺めながら。
僕らは夜にカレーを作って、煮沸したお湯でコーヒーを飲んでお喋りをして、それからみんなで持ち寄った花火をやった。レイカはふつうの、いろいろな種類が入った980円くらいのバラエティセットを買ってきて、ネコちゃんは置くタイプの派手なやつ、アカネは飲み物を買い忘れたくせにロケット花火をごまんと持ってきていた。一通り遊んで、最後に残った線香花火をやることになる。
「じゃあさじゃあさ、せーのでつけようね。そんで、誰がいちばん長く持つか、勝負するんよ」
そういったのはたぶんアカネ。
「いやよ。こういうのって風情が大事なのよ、風情が」
こういったのはたぶんレイカ。
「えー。おもしろそうだけどなぁ!」
これはきっとネコちゃん。
「僕は賛成かも。でも勝負じゃなくても、みんなでやればどうせ楽しいよ。ぜったい!」
これが僕。
それぞれがそれぞれを風から守るみたいにして、くるりと四人輪になった。ぱち、ぱち、と火のついた瞬間、アカネだけ火種を落っことして、もう一本に着火しようと慌てていた。アカネのもう一本めが燃え始めたころには、僕らの花火はバチバチとはじけていて、それは実に夏らしく、レイカもネコちゃんも綺麗だ、なんていってうっとりとしている。実際、僕にもたまらなくきれいに思えた。
「ねえ、僕さ。僕……いま思ったんだけどね」
「いまこうして、みんなで花火やって、きれいだなって思うのはさ。そんなきれいなものが、本当にあると思いたいからっていうか……本当にあると信じたいものがきれいなんじゃないかなって。だからさ……その、なんていうか。この線香花火がこんなにきれいに見えるのはきっと……」
「……エヘヘ、ユージョーってやつのおかげなんじゃないか、ってさ!」
火種がぽつりと落ちる。これがアカネの云う勝負なら、僕の完敗。そして僕は風景を眺めながら、曖昧に笑うのだった。
それからすぐに通り雨がやってきて、夜釣りの時間はなしになって、みんなテントで身を寄せ合って眠った。もちろん夜が更ければ内緒話が始まるけど、どんな秘密を打ち明けようと、僕はもう大丈夫だった。ひとり、ふたりと眠っていく。ネコちゃんも寝た。ネコちゃんの寝顔は昔とぜんぜん変わらない。かみさま、かみさま、って……本当の天使みたいに思えた。
ねえ里乃? 僕、ネコちゃんを殺さないで済んで、本当によかったよ。こら。その物騒なのやめなさい、って、ずっと言ってきたのに。だから、もうやめたんだって。二度と考えない? 考えるわけない。友達だもん。ネコちゃんだもん。それならいいけど。でも、そもそもなんでそんな物騒なこと考えついたのさ。それは、その……愛ってやつかも、えへへ。そんな物騒な愛はいりませーん。だから、もうやめたってば。
朝になれば外はすっかり晴れていて、水溜まりひとつ残らなかった。