成生ちゃんの個性は大器晩成型です。そして晩成するためには手順もあるという、クッソ面倒極まりない個性です。
1.8~10年くらいは持ってる個性を一つ鍛えましょう
2.持ってる個性を最適化させましょう
3.持ってる個性に全て1~2をしましょう
↑ここまで前提
4.??????
PS時代のゲームのフラグ管理か何かか?
成生ちゃん「これが私の個性ってマジ?」
オールフォーワン「僕が最初に君見ても意味分かんなかったくらいだし」
ドクター「条件厳し過ぎて複製できねぇ」
「これが私の赤ちゃんですか」
「腹を痛めてもない子供じゃ、愛情なぞ湧かんじゃろ」
ヒーロー殺しと会った後、私は弔達と別れ、単身ドクターの下へと訪れていた。口調を丁寧に、Ms.ダークライのロールプレイ状態で。
黒霧もいないのにどうやって?というと、転送の個性は最適化が十分な段階まで到達したのだ、本州くらいの範囲なら人物指定で移動を可能としていた。
そして今目の前には胎児が培養カプセルの中で眠っていた。予定通り、私の卵子を利用した赤子だ。
「当然ですね。で、彼らはどれくらいで培養終わるんですか?」
「10歳児程度に成長させるとして、この後どれだけ早く成長させても半年。長ければ一年以上では優にかかる。完成した後の寿命も十年あればいい方といったところじゃな」
10歳児がいっぱいいるとなると見た目保母さんだなぁ。
なんて呑気なことを考えるよりも先に思考を回すべきことがあるでしょ。寿命が十年もあれば私の目標は達成できるはずだ。
「父親は誰を?」
「先生、ギガントマキア、オールマイト、エンデヴァーの四人が先行しておる。髪の毛一本あればいいのじゃ、ヒーローの分は適当なチンピラに金渡せばすぐじゃった」
ヴィランとヒーローのトップか。上から順に、って感じかな。
脳無計画の人選は成生だけで決めたわけではなかった。一年で12人として、オールフォーワンとドクターで8人、成生が4人という形で分けていたのだ。
先んじていたのはオールフォーワン達が決めた方だ。成生はまだ決めあぐねていた。何せ自分自身の個性をどうするか、方向性だけが決まっており細かいところは決め切れていないのだ。
「彼ら以外はまだ卵子状態じゃ。優秀な個性を持っている者を選定したいのじゃが……我々に優位な個性も欲しい」
「そうですね……近接戦闘よりも遠隔攻撃の方がいいと思いますよ。オールマイト並のパワーと超再生がベースにあるのなら、必要なのは中遠距離攻撃。もしくは連携用、特殊戦闘用の個性」
脳無の前提がオールマイト並のパワーとスピードなのだ。なれば過剰な接近性能はいらない。巨大化が一人いれば十分だろう。
成生の意見にドクターも頷く。プランニング時には技術的な話をベースにしていたため日程が優先されたが、どういった戦力が欲しいといったことは議論まで出来なかったのだ。
「確かにの。近距離はむしろいらんくらいじゃ」
「となると……連携用にラグドール、中遠距離にホークス、特殊戦闘という意味ならステインなんかも悪く無い。丁度ステインなら取ってきました」
実はステインに近づこうとした瞬間、透明色レーザーで髪先を打ち抜いていた。ステインの動きが遅かったのは多分、これが理解できなかったからだろう。後はステインがさっさとワープゲートをくぐったから見つからず、拾っておいたのだ。
ステインの個性は刃物戦闘なら有用だ。私のレーザー支援があれば即ケリがつくレベルになる。
「手が早いな。……ラグドール?サーチの個性なぞ……標的か」
ラグドールのサーチは私が長距離射程レーザーを放つためだ。今の私はマキアとの戦闘で射程が伸び、一点集中レーザーなら10kmを超える射程がある。サーチがあれば十分過ぎる。
今の段階で常時レーザーだとマキアに通じるのが80cm、そうじゃないなら2~3km程だ。こちらでも長距離射程を使える以上、やはり欲しい。
というかオールフォーワンが接近戦好き過ぎるのだ。オールマイトを意識し過ぎてるとも言う、オールマイト並のパワー前提なら一人いれば十分でしょ。
「巨大化したオールマイト……マキアがいるなら巨大化で殲滅も問題ない」
「ホホ!確かにの。じゃが難しいのではないか?知性を持たせると言っても子供レベルじゃ。それ以上の知性は反逆の可能性がある以上不可能じゃ」
うぐっと思わず息が詰まる。私が想定している使い方は
サーチがあろうと伝わる術が無ければ伝わらない。レーザー支援も反射的に悪く動く可能性もある。そういう意味では夢物語に近い。
はぁと溜息を一つ吐く。自らが持ちたい個性としてサーチは有用なのだが、指先発光で似たようなことを出来てしまっているのだ。ステインの個性も、無力化と言う意味では有用だが殺す戦闘なら無用の長物だ。
結局は遠距離攻撃追加した接近戦メインの脳筋仕様が無難そうだ。成生の思考はそこでひとまずの結論を出した。
戦力的な話はここまで。
「確かに戦略的に胎児ベース脳無を動かすのは難しい……やっぱり指示系列は必要か。ドクター、研究所ってここだけですか?」
「いくつかある。ヒーローが襲撃したら困るからの」
「この脳無タイプが確立したら専用を一つ増やしません?」
次の提案はこれだ。胎児ベース脳無の専用の研究所が欲しいというものである。
私が立てた計画だから私の管轄が欲しいっていうこともあるが、きっかけはそこ以外にもある。問題も多いのでそこをどうするかが課題だ。
「何故じゃ?移動が増えるとジョンちゃんの負担が増えることになるからやりたくないのじゃが」
一番大きい問題はこれだろう。ドクターが動く負担が増える。この解決さえできればいいのだが、こればっかりは難しい。
だから別の角度でメリットを示す。交渉には持ってるカードと切り方が重要なのだ。
「そうですが、脳無専用と分けた方がいいでしょう。それにここはドクターの地盤にいるでしょうけど、絶対不可侵領域って訳ではない」
「そもそも不可侵領域は作れんじゃろ」
「
何でもない風にドクターへと告げると、首をグルンと回してこちらを凝視してきた。どうやらドクターも気にはしていたらしい。
バレないという意味で、ここはかなりの高レベルの場所だ。ドクターの素性が分からなければ入口さえ見つけることができないだろう。
逆説的に、「病院が怪しい」と探りをかけられたら見つかる可能性は万が一あり得るのだ。
だからこその絶対安全領域だ。デメリットも多いが、それ以上に「襲われない」というのはメリットが大き過ぎる。
「黒霧のワープゲート、私とジョンちゃんの転送。それだけしか出入口が無ければいい。電力も私が居れば熱源を発生させられる」
出入口は個性のみ。最強の出入口だ。黒霧は脳無みたいなもんだから最悪のケースであっても、機能停止すればいい。そうなれば侵入できるのは私とオールフォーワン、そしてジョンちゃんの飼い主であるドクターだけだ。
「……場所は?」
どうやら乗り気になったらしい、現実的であると判断したのだろう。ヴィランの研究所とは決して見つかってはいけないのだ。
見つかれば、ほぼ「敗北」に近い結果となるのだから。
「マキアに適当に掘らせればいい。地下深くならバレることは無いでしょう?」
地下深くを探査できるヒーローはかなり探さないといない。ローカル極まりない個性な上、ヒーローとして活動できるのか怪しい。
むしろサーチとかの方が危ない。目で見るとか条件あるだろうけど、一度見つかったら地下深くにいてもバレかねない。……まぁそのケースはどこにいても同じだけど。
ただサーチはオールフォーワンが欲しがってたから……うん、ラグドールが拉致られたら私もここに自由に来れるかな。
「少なくともここよりかはバレない……最初は個性因子保管庫に使うくらいでいい。警備って意味であればマキアを近くに置けばいい。ヒーローが来たなら呼んでって伝えればそれくらいなら聞いてくれますよ」
「先生のボディーガードを警備員扱いするか、悪い手ではない。先生の声も無いのならマキアを呼ぶときは黒霧が探すことになるじゃろうし、近くの地下深くに何かあるなぞ考えんじゃろ」
マキアの真下に作る予定なんぞない。あくまで近くだ。真下だと隠してるってバレバレだしね。
あとこっちが本当は欲しかったことだ。
「それに……私の訓練場所も欲しい」
「そっちが本音か。じゃが気持ちは分かるぞ、先生もワシも専用の研究所を持っておるからの。お主がしたくなるのもよく分かる」
うんうんと頷くドクター。……やっぱり、
ヴィラン的には惹かれるものがあるし、私も欲しいなって思ってしまった……だから作ろうと、実行に移すのです。
「それに胎児脳無計画も立てたともなれば持ちたいじゃろう」
研究所なら何か「研究」する必要がある。胎児脳無計画は丁度いい内容だった。
「ではまずは必要なものを集めねばな。マキアに空間を作るよう言うのと、資材集めはそちらで行うがいい」
資材集めは電気だとか設備だとかの前準備だ。ここから転送して持ってけばいいが、持ち込み先に環境が無ければならない。
ただ問題が一つ。私だけの手作業となると時間がいくらあっても足りない。だからこそ、丁度いい。
「それ」
「ん?」
私に足りない個性は増強系だけじゃない。大規模な行動を起こすタイミングがあれば個性伸ばし扱いで丁度いいと思っていたのだ。
足りない個性、質量攻撃の個性を手に入れて伸ばすのだ。
「資材集めで、土系操作の個性……欲しいなぁって。空は飛べますが、私の個性では大質量攻撃って意味であと一歩足りない」
指先発光からの常時レーザーは破壊力という意味では最強だ。マキアに通じるレーザーが他の耐久系の個性に通じない訳が無い。
……なのだが、攻撃がレーザーだけだと地下に落とされたらかなり戦略が狭まる。指先発光は地上、空中では無類の強さだが、万が一のためにもサブウェポンが欲しかった。
誰が持っているのかの事前調査もしておいた。こちらもあとは実行のみだ。
「ピクシーボブというヒーローが持ってますよ」
「先生の協力は無理じゃぞ?」
コクリと頷く。オールフォーワンがいなければ個性を奪い、与えられることはできない。新研究所建築よりも個性伸ばしを優先するのが賢い選択とも言える。
けれど私に賢者は似合わない。愚者であり、愚かに砕け散る可能性すら選んで進んできたから私なのだ。
「ええ。それで一つ、思いついたんです。胎児脳無計画は細胞一つから子供作るなら」
「……まさかお主」
ドクターの表情が怪訝な顔つきへと変わる。Ms.ダークライの発想に気づいたからこそ、そして発想を行えばどうなるか予想がつくからこそ、悩ましい顔になっていた。
何せそれは、ドクターが研究している最先端でありオールフォーワンに捧げる予定のものだからだ。
「私が喰ったらどうなるのかな、と」
すなわち、個性を取り込み自らの身体に適応させる改造。マスターピースと呼ばれる無限の力を持つ人間。あらゆる個性を自由に操れるようになる一端に、成生は自らの発想だけで到達しつつあった。
「何より、私の本来の個性は余りにもシビア過ぎる特性を持ってます。最適化の個性だけじゃ成長できないっていう……これだけなら無個性と言われた個性。でも私、まだやってないことが一つだけあります」
「死ぬつもりか?」
研究の第一人者であり、マスターピースを最も詳しくしるドクターだからこそ忠告していた。何せ予定では数か月、死ぬような地獄の苦しみを続けてようやく到達するであろうというものだったのだ。
それを個性一つというお試しレベルだが──数日もかけずにやると言っているのだ。ドクターにさえ狂気の沙汰としか思えなかった。
Ms.ダークライは首を横に振る。彼女にそんなつもりは毛頭ない。
「私は誰の目にも留まる者にならないと死ねないよ。私のメインの個性、「最適化する個性」の最適化。これがもし出来るのなら……独り立ちも夢じゃない」
だがMs.ダークライは狂気を超えなければ到達できない領域を欲する。その先に目標に届く力があるのだから。
成生ちゃん、自力で個性ゲット方法見つけるの巻
裏でステインとデク達が戦ってます。弔と離れちゃったので保須は参加しません。
いつ戦うんだよって?
ヒント:今話で面倒なの排除したら……みたいなことを言ってる