普通少女のヴィランアカデミア   作:火ノ鷹

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どんどん進化する成生ちゃん。人生初めての強大な試練が訪れる

成生ちゃん「オールフォーワン達の協力無しで一人で進んでたらこれにぶつかるって酷くない?」

作者「仕様です」

オールフォーワン「つまり僕達が!」
ドクター「いなければいけなかったということじゃな!」


胎児脳無計画始動と正しい個性の使い方 下

数日後の土曜日AM7:00、再び私は研究所を訪れていた。目的は当然、「最適化」個性の最適化を行うためだ。

 

今日と明日は遠隔で家の人形操作している思考領域ですらこちらだ。人形は部屋の外に失恋中につき進入禁止と張り紙し、鍵もしておいたから親も侵入しないはずだ。

 

……正直なところかなり怖いものがある。失敗すれば死すらあり得るのだ、目標に届かない死など私からすれば屈辱にも等しい。

 

全身全霊を以て事に当たると、半日ほど葛藤の末に決意をしてきた。絶対に適応してやる。

 

「ここに横たわるように。……これがピクシーボブの髪じゃ

 

ドクターの指示で手術台の上に身体を乗せる。まるで今から手術を行うようだった。

 

とはいえ改造という意味では間違っていない。外部からの改造なのか、内部からの改造なのかの違いでしかない。

 

「ありがとうございます。……これ、本当に必要なんですか?」

 

手術台に乗せられたらすぐさま点滴をぶっ刺された。輸血用コードもあり、今日のために準備してくれていた。

 

ドクター曰く、無かったら失血死する可能性が高いとのこと。血反吐吐くことになるからしておいて損は無いらしい。

 

「死んだらそれまでじゃ。それにワシは一応第一人者じゃからの、どういう経緯を経るのか知っておきたい」

 

「輸血と点滴……あるとないとじゃ心の持ちようが変わるか。助かります」

 

身体を固定させ、手術台から身体を動かせないようにする。

 

……さて、一世一代の大勝負だ。上手くいけば、これから先の歩みは独りになろうと進んでいける。

 

「それじゃ、いただきまーす」

 

敢えて軽い雰囲気を出して右手に受け取っていた髪を口にする。

 

マキアの戦闘を通し技の最適化すらできるようになり、最適化という個性を自覚できる今の私ならば、髪の中に宿る個性すら認識できる。認識できれば既に自分の中にあるのだとし、取り込める。

 

「身体の内部に入った異物を……個性と認識し取り込み最適化させる。そしてそれを自らの所持として認識……がふっ!?

 

勢いよく血が口から噴き出た。思わず右手で口を抑えるも、身体の反応はまだまだ続いている。

 

身体が熱い。経験は無いが、まるで灼熱に焼かれるような感覚だ。眩暈もし始めた、幻覚が見えないのは幸いか。

 

「……やはり無理か?」

 

がっ!!……いや、まだまだ大丈夫…あぐっ!?

 

身体に激痛が走る。マキアの衝撃波を受けたときのような、打撲的な感覚だけではない。脳天に一気に登るような感覚や、頭をシェイクされたような感覚すら流れて来る。

 

「まるでワシの想定しておるマスターピースへ変化させる途中の経過みたいじゃな」

 

「間違ってな……あっ!…ぐっ!?

 

軽口も叩けないくらいに痛みが走る。自らに別の物を取り込むのだ、拒否反応は分かっていた。

 

だからこそ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「ぐぐ……ごめん……なさい。一日くらい……かかるかも」

 

痛みをねじ伏せろ。目標を、原点(オリジン)を思い返せ。例え死んでも目標に到達するのだ、誰の目にも留まってやるのだ。

 

脳が沸騰するような感覚も、爪が千切られるような感覚も、腕が切られるような感覚も、腹の中が抉られるような感覚も、息を続けるなと認識しそうになる幻惑も、全て私の目標の障害物だ。

 

「そうか。ならば丸一日経ったらまた来よう」

 

成生の姿を見てドクターは部屋を出ていく。後に残ったのは口から血を吐き目を見開く成生の姿だけだった。

 

「がっ!あぁぁあ!!!」

 

絶対に、絶対に私は思い描くヴィラン、Ms.ダークライになるのだ。誰の目にも留まる、闇を導く光となるのだ。

 

これが試練だというなら……超えるだけだ。目の前の死など私が超える試練には生温い。そんなものを超えた先に、本当の私になれるところがある。

 

 

 

激痛や幻惑と言った傷・症状は、真夜中まで続いた。

 

 

 

 

 

■■■

 

 

 

丸一日が経過した。手術台の上には、息を整えて眠っている成生の姿があった。

 

手術台の周囲には乾いた血が散乱し、まるで死体をぐちゃぐちゃにかき回した後のような光景がそこにあった。

 

「気分はどうじゃ?」

 

ドクターの声に成生はパチリと目を開く。むくりと身体を起き上がり、手をグーパーと開いて身体の感覚を確かめていた。

 

「悪く無い……いや、自然体っていうのかな?。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()、本当はこうして新しい個性を自らに取り込まないといけない」

 

成生は生まれて初めて、メインとなる個性を能動的に使うことに成功したのだ。本来ならプロヒーローになろうと成功しない個性の発動に、感動や達成感が胸に押し寄せる。

 

長い道のりだった。まだドクターの手助けがあるとはいえ、副次効果ではなく自らの個性を使えたのだ。指先発光や思考加速も自らの個性だが、また違う感覚がそこにはあった。

 

だからといってそれらの個性はなくてはならないものだった。だからこその達成感だ。

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「個性伸ばしか」

 

ドクターの言葉にコクリと頷く。「普通」の個性だから個性伸ばしがどこまでも伸ばせた。発展性もそれなりにあったから最適化と組み合わせられ、最適化の個性が伸びる要因になった。

 

私の人生の足跡とすら言えるものだ。本来ならこれでようやく個性を普通に扱う人と同じ扱いだなんて笑えてくる。

 

ただ……理解もできる。この個性はオールフォーワンやオールマイトにも引けを取らない程のものなのだから。

 

「個性を得られる前提があるなら最適化の個性は余りにも強過ぎる。()()()()()()()()()()()()()()()

 

他の人から勝手に個性を複製し、自らのものとして扱える。そして最終的には自らの理想を体現する個性だ。強過ぎるからこその制限が、今回の件だ。

 

今回のように本来の最適化の使い方でなければ、新しく個性を手に入れるのはできないのだ。オールフォーワンからの付与の方が裏ルートなのだ。

 

そして今回の死線で、個性の動きが分かった部分もある。ただでは倒れてあげないのが私だ。

 

 

「何にも考えずにこの使い方をしたら間違いなく死ぬ。個性を伸ばして自らのキャパシティを確保できてないと耐え切れない」

 

 

私自身で扱える個性には限界がある。ただ限界といっても、長期的に見れば限界とすら言えないものだ。

 

まず持っている個性は最適化を使わなければならない。使わなければ、自らが所持している個性であるという認識がズレるのだ。結果、個性使いたての子供みたいな動きになる。

そして最適化した個性を習熟しなければならない。習熟しなければ自らの理想に近づかないからだ。

 

比喩するなら宝石の原石を買い、カット・研磨し、飾る、ような感覚だろうか?そして私自身は宝石商であり宝石店だ。原石を買う(個性を貰う)時に今回のようなことが起きる。

 

「子供の頃ならどうあがいても無理だった。個性を伸ばしても余裕ができ始めたのはレーザー使えるようになった頃かな」

 

言うなれば一つ目の宝石を研磨カットして、輝くようになった頃だ。飾る段階になり、研磨やカット方法を理解したのだ。輝いたから飾った、そのことで飾れる場所がその横にあることが分かったとでも言うべきか。

 

「そしてオールフォーワンから貰ったのも習熟しないとダメなの、これが理由だね。習熟しないとキャパシティに余裕が空かない。半年に二つって英断だった」

 

半端な磨きかけの原石を貰っても自らの仕様に変えなければ飾る段階まで進められない。輝かせ、飾ろうという段階までいかなければ個性として使いづらいのだ。

 

そして研磨やカットを両手で一つずつ出来るようになっても一度に出来るのは二つまでだ。手は二つしかないのだから。

 

「現状の限界は半年で三つ。でも二つが無理のない範囲。三つ入れれば昨日の私みたいになる」

 

両手が塞がれてるのに原石投げつけられたら身体は倒れるし、機材から両手が離れ地面に着く。原石を倉庫に置いて投げつけられた後や機材を直して再び元の作業に戻る、というのが昨日行ったことだった。

 

瞬発力が二つ合成が上手くいったのは……よく分からない。圧縮でもしたのだろうか?

 

「つまり……個性因子の取り込みさえなんとかなれば、お主はもう自ら個性を手に入れられると」

 

ドクターの問いには頷けない。例えで私の個性を宝石商だとしたが、両手が空いてたとしてもできないモノがある。

慣れてないか、機材がないかだ。

 

「……ううん、違う。私が取り込む場合は適性がある……と思う」

 

個性を手に入れた直感やこれまでに望んだものから逆説的に予想を立てる。

 

欲しいと思った個性はサーチ、土操作、人形操作。人形操作が元は誰の個性なのかも確認した。

 

()()()()()

 

「多分女性の方がいいし、何なら目立つような人。……考えが近い人じゃないとダメじゃないかな」

 

「女性ヒーロー・ヴィランだけということか」

 

おそらく私自身の理想、Ms.ダークライ、闇を導く光、巨悪オールフォーワンと対等であるヴィラン。それを体現するために最適化された結果だろう。

 

「Ms.」と付くのだから女性の中で、ダークとライトはまんまヴィランとヒーローだろう。その中でのオールフォーワンと対等レベルの存在になる。

 

言うなればヴィランの女王というようなものだ。そこのために個性の方向も最適化されたのだろう。

 

「だね。でも十分かな、あとは安全な場所……研究所さえできれば全部解決」

 

「弱点がそこだけじゃものな」

 

自らの個性の正しい使い方も分かった。今回は死線をくぐらなければ使えなかったが、キャパがある状態で使えればこれほどの死線をくぐる必要も無い。

 

何故だかこれについては確信がある。全て習熟完了して、新しく一つならおそらく血反吐も吐かないはずだ。

 

「うん。ただ個性最適化も今キャパ限界状態だし、個性伸ばしを進めないとマズいかな。弔が動き出しそうなら一言頂戴」

 

「今は仲間が集まってるところじゃろう。早くても7月入ってからじゃな。あと1月といったところじゃな」

 

時間が経つのは早いものだ。もうすぐしたら夏休みだ。多分雄英でも何かしらイベントはあるだろうし、そこで弔も何かしでかしそうな気がする。

 

「ありがとうございます」

 

血まみれの制服を脱ぎ捨て、ドクターが用意してくれた春川高校の夏服へと着替える。ここから先は新研究所建築がメインだ。

 




成生ちゃんの個性の縛り条件が情報解禁されました。

1.8~10年くらいは持ってる個性を一つ鍛えましょう
2.持ってる個性を最適化し、1と同等レベルの習熟をさせましょう。最適化個性副次効果のおかげで習熟速度は1相当の個性一つにつき5~10倍近くに上昇します。二つなら10~20倍と上昇していきます。
3.持ってる個性全てに2をしましょう

↑ここまで前提

↓ここから最適化個性の使い方

4.誰か女性の個性因子を貰い、身体に取り込みます
5.1~3が成立していれば問題なく4の個性を手に入れられます。成立しておらず個性キャパが有れば死にかけます(本編)。成立しておらず個性キャパが無ければ死にます
6.2に戻る

オールフォーワンが目を付けず成生一人で進んだ場合、弔の時に鍛えた思考加速が2失敗扱いで成立せず、最適化個性を使おうとしたら個性キャパが無いので取り込んだら死にます。指先発光だけの成長だけでも詰む可能性高め

一度に二つ個性入れてもOKなのは指先発光と思考加速で最適化個性が成長したからです。でも二つが限界


成生ちゃん「マジで命の恩人じゃん」
オールフォーワン「せやで」
ドクター「せやで」
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