林間合宿襲撃編開始です。遂に成生ちゃんが疑問にぶつかってしまいました。報連相はきちんとしよう!
成生ちゃん「そういえば誰攫うんだろ?弔に合う子っていうと……常闇とかかな。言動もそれっぽいし(笑)」
オールフォーワン「そんなこといっちゃダメだよ(笑)」
ドクター「ゲームとか好きじゃしのう」
「飼い猫ちゃんは邪魔ね」
マグネの磁石へ、不意打ちでマグネにより磁力を付与されたピクシーボブが引き付けられ激突する。マグネの狙い通りピクシーボブの左側頭部に直撃し、何の警戒もしていなかったからか一撃でピクシーボブは沈んだ。
さらにスピナーが踏みつけ、一日は起き上がれないダメージを与える。
これで私に対抗できる戦力は無くなった。生徒たちの個性を全員分かっているわけではないから、警戒するのはそこくらいだ。
「何で……!万全を期したはずじゃあ……!」
怯える雄英生徒たち、口に出していたのはブドウ頭をした少年だった。
……峰田じゃん。本当に雄英生徒だったんだ、少しだけ疑ってた。あんなのが雄英生徒だなんて思いたくなかったってのもある。
「何で……何で
プロヒーローのマンダレイ、虎が雄英生徒を守るように正面に立つ。二人で数人を守る、ヒーローの鑑だ。
衣擦れの音や聞き取れるか分からないくらいの足音で、見えない相手がいることくらいは分かると思ったんだけどちょっと残念。山岳救助がメインという話だからむしろ頑張ってる方かな?
「ピクシーボブ!」
生徒から声が上がる。緑谷の声だ、生徒が全員がここにいるわけではないのだろうが、彼がここにいてくれれば周りが楽になる。無理やり止めてもいいが……避難するなら好都合だ。
なんでも、攫う予定の生徒は既に分断済みらしい。なら残りの生徒は避難場所に押し込んだ方がいい。
「やばい……!」
何故かマンダレイが慌ててる。何か不測の事態でも起きてるのだろうか?勝手に分断されてくれるなら助かる。私は基本ヘルプ呼ばれない限りは隠密に徹する、下手な行動された方が困るのだ。
「ご機嫌よろしゅう雄英高校!!我ら
テンションが上がっているのかスピナーが両手を広げ、大きく声を上げる。ステインの思想に酔ってるのか、随分と好戦的だ。
そしてそれは、プロヒーローとの戦いではあまり良くない傾向だ。プロヒーローは冷静にこちらの弱点を突く、ボロが出たら負ける可能性が高くなるのだ。
「
尻尾を生やした生徒が疑問を口にするも、答えはまったく別のものだった。
「この子の頭潰しちゃおうかしら、どうかしら?ねぇ、どう思う?」
「させぬわっこのっ……」
マグネが脅し、即座に虎が反応する。自らの意志に従い自由に行動するヴィランはヒーローの疑問に律儀に答える必要などないのだ。
が、そんな一触即発の二人をスピナーとマンダレイが止める。熱くなっただけの戦いなど、どちらも求めていなかった。
「待て待て早まるなマグ姉!」
「虎もだ、落ち着け」
マンダレイは冷静さを取り戻させるための引き止めだったが、スピナーは違う。戦う理由の問題だった。
「生殺与奪は全て、ステインの仰る主張に沿うか否か!!」
「ステイン……!あてられた連中か──……!」
飯田はどうやら察したようだ。ステインを倒した一人だって話だから当たり前なのだが、最後の仁王立ちから影響を受けなかったわけではないらしい。
ヒーローにも影響を与えたというのは中々に、人の目に留まっていると言える。影響力と言う意味ではオールマイト程ではない、だが局地的には見れば影響は超えててもおかしくない。
「そしてアァそう!俺はそうおまえ、君だよ
飯田を指差し、背負っていた大剣のような武器を抜く。ナイフを何十何百と括り付けて一本の剣状にした武器だ、鎖で巻き付けられているのがどことなく突貫工事感がある。
……あれ、蹴っ飛ばすだけで壊れそうなんだけど。カッコイイからとか、もしかしてそんな理由だろうか?ヴィランだし自由にやれとは言うけど、あれ作れって言うなら自分の身体に保護色するTシャツの方が百倍マシだと思う。
「保須市にてステインの終焉を招いた人物。申し遅れた、俺はスピナー──彼の夢を紡ぐ者だ」
壊れそうな大剣だが、迫力だけは満点。生徒を驚かせるくらいには成功していた。プロヒーローは別だが。
「わっ」
「何でもいいがなぁ貴様ら……!」
虎が一歩前に出て凄んだ顔でスピナーとマグネを睨みつける。
私はヒーローとヴィランの相対している横からしゃがんで見ている。傍観者みたいな視点だ、視線による怖さなんてものはまるで分からない。どうせUSJの時に脳無とやり合う時のオールマイト程ではないでしょう。
「その倒れてる女……ピクシーボブは最近婚期を気にし始めててなぁ、女の幸せ掴もうって……いい歳して頑張ってたんだよ」
私達ヴィランからすればどうでもいい情報だ。むしろ顔面ぶん殴ればいいのかな?としか思わない。
「そんな女の顔キズモノにして、男がヘラヘラ語ってんじゃあないよ」
……私が女だからそう思うのかな?男ならヴィランでも変わったりする?
そんな疑問の答えはスピナーから飛んできた。
「ヒーローが人並みの幸せを夢見るか!」
そう口に出し武器を持って駆け出すスピナー。格で言えばヴィランでも下寄りの彼だから正直これが回答かどうかは怪しいが、男でもそうらしい。ヴィランであるより男だって言う人なら話は変わるかもしれない。
駆け出すスピナーにマグネも武器を構える。虎とマンダレイも迎撃に腰を低く構えていた。
「虎!「指示」は出した!他の生徒の安否はラグドールに任せよう!私らは二人でここを押さえる!!」
ラグドール、私が警戒していたプロヒーローだけど……手遅れじゃないかな?
右手で透明色による知覚発光を上空にかなりの発光量で飛ばしてみたけど、腕とチェーンソーを何本も持ってる脳無の傍では動くような気配が無くなってる。脳無が手になんとかキャッツの頭装備を持ってるから戦いも終わっているはずだ。
ついでに他の面子の状況も確認。荼毘とトゥワイスは複製荼毘を合宿所へ、トガちゃんとマスキュラーは索敵中、Mr.コンプレスは潜伏して機を伺ってる。ムーンフィッシュとマスタードは行動を始めてる。生徒も軽傷者が出始める頃合いだろう。
まぁ、ラグドールが堕ちたとはいえ透明化を解くのはNGだ。今無駄に出て、不意打ちチャンスを逃したくはない。
「皆行って!良い?決して戦闘はしない事!委員長引率!」
「承知致しました!行こう!」
飯田や尾白、峰田達が走り出す。生徒に傷を与えるなら今じゃないから見逃してあげる。……あれ、爆豪どこだ?あいつは殺してやろうと思ってきたんだけど。さっきの知覚の時も森に隠れて見えなかった。
「…………飯田くん、先行ってて」
「緑谷くん!?何を言ってる!?」
「緑谷!?」
緑谷追えば分かるだろうか?なんだかんだこの二人仲は良さそうだし。
ただ実力自体は認めあってそうな気はするから、助けに行くとかはしないんじゃないかなぁ……よし、留まることにしよう。
「マンダレイ!!僕、
マンダレイが汗を一つつく。そこで全く関係ないことにふと気づく。
爆豪がいるのは多分ムーンフィッシュ辺りだ、と。
恐らく合宿所にはいない。一日目、二日目と五人くらいがなんか一緒に行動してて、そいつらが居たからだ。多分そいつら以外はここと森の中にいるはずだ。
そしてここにいないなら森の中だ。さらにラグドールが沈んでいる近くに居ないならムーンフィッシュかマスタードのところだろう。で、マスタードと爆豪は実は相性が悪い。
マスタードのガスは有毒だが可燃性は無いのだ。なら爆発させればガスは吹き飛ばせる。けれど大爆発になるから間違いなく音が聞こえる。そしてそんな音は聞こえてない。
なら結論はムーンフィッシュ辺りになる。
(そういえば攫う目的の生徒って誰だっけ)
緑谷が別方向に駆け出していき、スピナー達がマンダレイ達と衝突する。そんな中Ms.ダークライは今更そんなことを考えていた。口に出さないのは隠密を解かないためだ。
何せ合宿前日に合流したのだ。目的だけ知らされており、詳細な情報を教えられていなかった。他の面子には知らされてるリストみたいなものさえ渡されてないのだ。
実は弔が荼毘に「どうせ成生なら何も言わなくても対応してくれる」と言ったからなのだが……今のMs.ダークライには知る由もない。
Ms.ダークライはふぅと一息吐きながら、持っている情報から推測する。雄英体育祭の動画と、そこで見た個性だ。そこからヴィラン的に相性がいい特性持ちが該当するはずだ。
(一番ヴィランに近いのは爆豪だけど……弔って私と爆豪の相性の悪さ知らないんだっけ?じゃあ常闇くんあたりかな?)
闇の中では強力な力を使える個性だ。うってつけと言えるだろう。
「てめぇらのような利己的なヒーローもどきは粛清対象だ!」
Ms.ダークライが思考に耽っている他所で、威勢よくスピナーが大剣でマンダレイへと切りかかる。が、何故か一瞬動きが止まった。まるで虚を突かれたような表情をしていた。
「え?」
「なに照れてんの、ウブね」
「でぇ!?」
動きが止まったスピナーにマンダレイは猫のような四足になり、横っ腹を爪で切り付けて距離をとる。
……テレパスか、マンダレイの個性だ。前に女性ヒーローで有用な個性は無いか調べたことがあるから分かる。何か気を引くようなことを言って動きを止めたのだろう。
どうせだし、髪の毛とか拾っておくか。もしかしたら個性貰うことになるかもしれないし。髪の毛一本貰って保存しておけばいいって楽でいい。どっかのタイミングで手に入れよう。
「なんて…っ不潔な手を!尻軽めが!」
スピナーが再び切りかかろうとし、マンダレイも迎撃態勢をとる。が、マンダレイを引っ張る力があった。
「わぁ!?」
「おいで飼い猫ちゃん」
マグネの個性だ。個性で磁力を付与し、持ってる1m近い磁石に引き付ける。不意打ちでピクシーボブを沈黙させた攻撃だった。
が、プロに同じ手はそう簡単には通用しない。すぐさま間に割り込む虎がいた。
「そう同じ手!させぬわ!」
「きゃっ」
割り込むと同時に磁石を殴りつけ、地面へと落とす。さらに虎は意外な情報を口に出す。思わずMs.ダークライも聞き入るような情報を。
「引石健磁、
完全にマグネの素性が割れていた。民間人に結構な被害を与えてるなーと呑気に微笑みながらMs.ダークライは再び上空へ透明色の知覚発光を飛ばす。戦局は一瞬で切り替わることも多い、ここだけに注力して他が死んでたら意味が無いのだ。
……マスキュラーと緑谷が会敵してる、緑谷運悪いな。ムーンフィッシュが誰かの腕を切ったかな?そのせいで逆にムーンフィッシュが動けなくなってる。轟と爆豪はここか、予想通りだ。
あとは変わらず。トガちゃんはまだ索敵中かな?
「やだ私有名人…んっ!」
知られていた、という一瞬の油断。そこを突き虎が拳を振るうも、マグネは左手で受け止めていた。
「何をしに来た犯罪者」
呼気を強くした虎にマグネは淡々と対処する。その目にはまだまだ余裕という文字が書かれていた。
対照的に余裕が無さそうなのは、マンダレイだった。テレパスでいろんな状況が分かる故に、情報処理が追い付かないのだ。
(思考加速が無ければ私もそうなってたからよく分かる)
「虎!おかしいよ……!まだラグドールの応答がない。いつもならすぐ連絡寄越すのに……!」
ニヤァと笑うマグネ。姿こそ見えないものの、Ms.ダークライもまた同じ表情を浮かべていた。
今回は成生ちゃんの出番、ほぼ無し回。弔の無茶ぶりに現場対応で苦心する成生ちゃん
成生ちゃん「現場対応ヨシ!……何で本当に対応できるんだろ私。あとどうして何も教えてくれないんですか(半ギレ)?」
ついでに説明。
成生ちゃんとMs.ダークライの違いは、成生ちゃんの目が深淵に落ちてるだとか、悍ましい笑いを浮かべてるかとかです。「普通」の少女は成生ちゃんです。一番大きい違い要素が一つありますが、それはデビュタント待ち。
次回から動き出します。というかヴィラン側にレスキューキャラがいるって時点で詰んでる感すげぇ
成生ちゃん「ちょっとくらい教えてくれたっていいじゃん」
弔「だってだいたい察してくれるじゃん。先生並に強いし」
成生ちゃん「いやできるけどさぁ……」
弔「できるんだ(驚愕)」
二人は仲良し!