普通少女のヴィランアカデミア   作:火ノ鷹

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爆豪イジメ、はーじまーるよー♪

捕まえたならぶっ殺してやりたい……ところだけど弔がダメって言ったからやりません。成生ちゃんはちゃんと言うこと聞く「普通」の女の子なので

だから代わりに気が済むまでイジメるね……内容は今回は軽く紹介だけ。実際にやったことは……さてさて何をしたんだこいつ


成生ちゃんは爆豪が体育祭で優勝したこともヒーロー志望なことも分かった上でイジメの内容を決めてます。確信犯め!


ちなみに、時間経過してしまうのでリカバリーガールやセラピストによる回復は不可能です。理由もある


成生ちゃん「今回はこれくらいで勘弁してやる!」
オールフォーワン「ヒーロー志望にやることかい?僕でもやるけど」
ドクター「これワシでも治せんぞ」



囚われの爆豪とトラウマ

成生が転送でバーに帰還したところ、爆豪と常闇が両手を塞がれ椅子に縛り付けられていた。

 

常闇にはライトを当てて個性を封じるまでしており、拘束を多少なりとも外さねば逃げることなど不可能な状態だった。

 

弔は満足そうな顔をしており、荼毘達実行犯も自らの能力を弔に示せたことから上機嫌なのが目に見えた。

 

水を差すような真似になってしまうが、こちらの事情が終わった後ならずっと渡すので少しだけ借りるとしよう

 

「弔、爆豪借りていい?大丈夫、少しだけだから」

 

「……俺のコマだ」

 

「大丈夫、少しだけ話すだけだから」

 

「……10分だけだ」

 

「ありがと」

 

椅子ごとバーの裏へと持っていく。爆豪が「男女」だとか口にしたけど……この後全部利子つけて返してあげることにしよう。

 

 

■■■

 

 

「やぁ爆豪、久しぶりだね」

 

「てめぇはモブッ!?

 

椅子を下ろして灯りを付けたら、ようやく誰が担いできたのか認識したらしい。が、余りにも酷い呼び方だったので左頬に弱ーくペチンとビンタしてあげた。

 

「普通」の少女の力程度で。超瞬発力や人形操作なんて使わない、舐め腐っているようなビンタだった。

 

「私さぁ……他人をモブだのカスだの呼ぶ人間が死ぬほど嫌いなんだ。思わず殺したくなるくらいにね」

 

「それがどうしっ!!

 

怒った爆豪を今度は右頬にバシンッと音が鳴るくらいに強いビンタを放つ。爆豪はまるで何が起きたのか理解できてないような表情をしていた。

 

 

「モブだの言ってさ、他人の人生くだらねぇものだって言ってるようなものじゃん。他人の人生の主人公奪ってるみたいじゃない。ヴィランだよねそれ……ねぇ、ヒーロー?」

 

 

クスリと微笑みながら「普通」の少女は傷跡を抉るように言葉に出す。

 

爆豪は、思い当たるものが一人いた。……緑谷という、ナードだのと言って馬鹿にしていた人が。

 

今でこそ想いは違うが、無個性だからって馬鹿にしてきた、いじめ続けた過去がまさに言葉通りのものだった。緑谷にヒーローになんてなりたいなら死ねばいいとさえ言っていたのだ。

 

他人の人生を奪う、お前の人生くだらねぇと言っている、言われた通りの……ヴィランと呼ばれても文句は言えないものだ。

 

「っ!」

 

だが今は違う、そう口に出したいのに……何故か爆豪は口に出来なかった。

 

それは成生が「普通」の少女だったから。ヴィランに「お前ヴィランみたいなことやってるしヴィランだな」なんて言われても「お前が言うな」と言うだけだ。

 

だが成生は爆豪から見ても「普通」の少女だった。同級生に「あなた性格も性根もヴィラン側でしょ?、本当にヒーローになりたいの?諦めたら?」なんて言われたようなものなのだ。

それで爆豪は奮起するタイプだが……言い換えると何も思わないようなことは無いのだ。

 

 

爆豪はオールマイトが勝つところに憧れた。だがその言葉は、自らがヴィランのような勝ち方をするかもしれないという可能性を少しだけでも、考えさせてしまったのだった。

 

そのイメージが余りにも鮮明で綺麗で、容易に思い描けてしまった事実が、爆豪には恐ろしくて仕方が無かった。

 

「弔のコマだから殺しはしないよ。ただ一つ……刻み込んであげるだけ」

 

「はっ!てめぇの力で何をするってんだ」

 

馬鹿にするように笑う爆豪に、ニコリと笑みを浮かべる成生。指を爆豪の両目に、突き刺すように向ける。

 

目をつぶされる、爆豪は即座にそう判断した。実際には──ある意味それよりも非道い真似をするのだが。

 

「こんなこと、かな」

 

「なっ!?」

 

指先が一瞬爆豪の頭を揺らすように揺らめく光を放った。青山に放ったものと特性自体は同じだ。違うのは……威力や催眠内容を調整できたことだった。

 

「うん、一瞬で目を閉じたのは流石。これ、ちょっと強くしたら一瞬だけで十分なレベルだったんだ」

 

「っ!?」

 

青山が拒否反応を起こしたことで人体にどの程度のレベルで十分なのかを成生は理解した。だからこそ、自身が行いたいレベルの威力に調整できていたのだ。

 

 

爆豪の心を、へし折るための催眠の威力に。

 

 

「ねぇ、見えてる?私が倒れたオールマイトの上に立ってる姿

 

「見えるかっよ!!!」

 

爆豪は頭を振り払い成生へと睨みつける。だがその行動自体が、成生の言葉を肯定するものだった。余りにも分かりやすい仕草に、ブッと噴き出し成生は笑う。

 

「アハハ!分かりやす~い!認めてるようなものだよそれ」

 

成生が嘲笑い、爆豪が舌打ちを一つする。少しだけ気分を良くした成生はついつい口が軽くなってしまっていた。

 

「でも教えてあげる、いずれそれは現実になるよ。あと……その光景、よく見ることになるから受け入れると気が楽になるよ」

 

「はっ!馬鹿が!オールマイトが負ける訳ねぇだろ!受け入れるなんざするか馬ぁー鹿!!!」

 

「……知らないの?オールマイトが弱っているってこと」

 

「は!?」

 

爆豪からすれば寝耳に水。一般市民どころかヒーローでさえ知っているのは極々一握りの情報を何でもないように口にする。

 

流石に爆豪も興味を引かれていた。

 

「知らないんだね、可哀そうに。憧れた象徴がもう堕ちる寸前だって言うのに、なーんにも教えられてないなんて」

 

「あり得ねぇな!」

 

何故だか自信満々に言い切る爆豪に、哀れむような視線を成生は向けた。何も理解できていない子を見る目……だけではない。

 

爆豪が一番秘密に近い場所にいるにも関わらず、文字通り何にも教えられていないし知らないことを分かっていたからだ。

 

「そりゃ隠されてるから当然。でも本当に残念……オールマイトが後継者に選んだ緑谷の友達なんでしょ、あなた」

 

「……待て、今なんつった」

 

「ん?オールマイトの後継者である緑谷ってところかな?」

 

爆豪と緑谷が雄英の入学試験の時から一緒だと成生は知っている。一緒に受けるくらいには繋がりがあるということだ。

 

だがUSJでカスだのと言っていた。つまり爆豪は緑谷をモブだのと言っている被害者……よりも酷い影響があった関係の可能性が高い。虐めの被害者と加害者あたりと成生は予想した。

 

「そうだよ、私は予想しかできないけど……あなたが虐めてきたであろう緑谷が、あなたの憧れであるオールマイトに一番認められてるんだよ

 

「嘘だな!」

 

「まぁそう思うのも無理はないかな。何せオールマイトはパッと見、弱体化してるように見えないし」

 

爆豪がオールマイトに憧れているのはなんとなくだけど察した。そんな憧れが自身の最も認めてほしくないやつを真っ先に認めたなんて、絶対に認められないことだろう。

 

自らを優秀と認識していればしているほど、猶更認められない。なれば優秀という自負、プライドという鎖は自身の心に食い込んでいくだけだ。食い込んだ鎖が痛いと叫ぶことも、プライドが許さない。

 

「普通」の私からすれば、そんなのただの馬鹿だ。自らが優秀だなんていうプライドはゴミ未満でしょ。犬の餌にも、燃やせるゴミにもなりゃしない。

 

……もう7分くらいは経ったかな。じゃあ最後は言葉責めして終わることにしよう。

 

「じゃあ一つだけ、これは確実に言える。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「それを決めんのは俺だ!」

 

呆れるような表情を浮かべる成生に、何言ってるんだこいつと嘲る顔をした爆豪。成生が告げた言葉を正しく認識できていないからの顔だった。

 

「じゃあ一つ例を挙げよう。鉄骨に挟まれ動けない人、助けたのがあなただとする。何か声をかけるかな?」

 

「挟まってんじゃねーよモブが!」

 

「だろうね。()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「っ!」

 

ド直球にお前みたいなやつに助けられたくないと口にする成生。流石にこの言葉には爆豪も堪えるものがあったようだった。

 

「今の私の感性は一般人とそこまで変わらない。そんな私から言うのは、「あなたみたいなヒーローなんて怖くて頼りたくない、近寄りたくない……助けられたくない。助けられるなら死んだ方がマシ」」

 

命を助けてとヒーローを求めるものが、ヒーローが現れたから命を諦める。そんなヒーローは絶対にヒーローではない。

一般人がそう思うということは、ヒーローになりたいという爆豪には余りにも致命的過ぎた。

 

ギリッと歯ぎしりを一つし、爆豪は叫ぶ。

 

「だからどうしたってんだ!」

 

「あなたが動けば自殺する善良な市民がいるとしたら、それは本当にヒーローなの?」

 

不幸にも、爆豪は頭が良かった。ヒーローになった自分をイメージする程度、簡単なことだった。

 

故にイメージできてしまった。助けた人が()()()()()()()()()()()()()()()()を、ヴィランを倒して市民に顔を向けた時に、()()()()()()()()()()()()()を。ヒーロー達や市民から、求められない、非難の声をずっとかけられる光景を。

 

「少なくともオールマイトとは比べるべくもないってことくらい分かるでしょ?」

 

「……」

 

私が来た!──そう言ってオールマイトは市民に安心を与える。爆豪がイメージできてしまった光景とは、まるで()()だった。

 

「安心感の一つも得られないなんて自警団未満。ねぇ分からない?あなたヒーローに向いてないよ」

 

 

クスリと笑う成生。「普通」の少女であるにもかかわらず、爆豪にはそれが恐ろしく見えてしまった。

 

 

爆豪自身は認めていないが、それはかつて見た顔と……トラウマとして夢にも見るそれと、全く同じ顔だった。

 

 




爆豪にトラウマが明確に刻まれました。精神に傷跡残ったのでセラピストによる回復が不可欠です。

ただ成生ちゃんのやったやり方のせいでセラピストによる回復は不可能です。リカバリーガールが今いればギリ治せた。


成生ちゃん「8割満足」

作者「君が10割満足すると爆豪死んで本編に影響出るのでNG」
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