普通少女のヴィランアカデミア   作:火ノ鷹

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オリジンキメて迷わず進み続けてる成生の精神性はぶっちゃけデクより頭おかしいレベルです

どれくらいかって?

本編どうぞ




13歳 巨悪との接触

中学生になっても平々凡々の日々が毎日続く。

 

そう思っていたのは中学一年生の10月…半年までだった。

 

人差し指だけで体育館を眩く照らすことすらできるようになった成生は次の段階に移っていた。すなわち、光を集中させることだ。

 

熱量もヒーターどころか近付ければ酷い火傷を負う程になり、これを集中させたらどうなるかなど簡単に予想できた。一言で言えばレーザー、光線だ。

 

何もかもを貫通するレーザー、ヒーローですら簡単には至れないそこを目指そうと個性をさらに伸ばしていく。中学生になりさらに個性は伸び、五本の指から恐ろしい程の熱量が発生するようになりつつあった。

 

そこまで来るともはや個性を伸ばす練習場所に困ってきた。夕方にランニングしたいと親に告げて裏山に指を突っ込み無理やり鍛えるくらいしか出来なくなってきていた。

 

 

 

そんな成生が13歳になった次の日である土曜日、両親がちょうど出かけている時間帯。自室に黒い靄が突如として現れた。空気が冷え込み、咄嗟に個性で発光し熱量にて周囲を暖める。

 

「本当にこの子なのですか?」

「ああ、間違いない」

 

黒い靄から現れたのは二人の男(?)だった。

 

一人は全身が黒い靄で包まれた男で、バーテンダーのような格好をしていた。ヴィランですというような雰囲気を出しており、声を聞かなければ男だと判断すらできなかっただろう。

 

そしてもう一人は雰囲気どころか、重圧すら感じるヴィランだ。顔がマスクで隠れているにも関わらず、そこにいるだけでただ恐ろしい、心臓を止めてしまいたいという感情を抱かせるものだった。

 

「ひっ!?」

 

彼らを認識し終わった後で、成生は悲鳴を上げた。一瞬の躊躇こそあったものの、誰かに助けを求めようと声を上げたのだ。

 

その行動はどうしてか目の前の男に注意されることになった。

 

「そんな顔で悲鳴を上げても説得力が無い。気を付けなさい」

「え、は……はい」

 

まるで先生が生徒を叱るように顔が潰れた男は話す。成生もその言葉に思わず頷いていた。

 

何より、口角を上げ笑っていることを成生は自身で無意識にだが知覚していた。こうなることを望んでいたのかのような感覚に、少しだけ紅潮してしまう。

 

自室の勉強椅子に座り、二人はまるで成生の友達が上がったかのようにベッドに腰掛ける。状況だけで言えば二人がヴィランとはまるで思えないものだった。

 

中学生の身でありながら大物ヴィランの重圧を跳ね除け、純粋な疑問を成生はぶつける。

普通の中学生の少女なら臆するのが当然であり、明らかに違う反応をした成生に二人の男は思わず「ほぉ……」と声を出していた。

 

「あなた達は誰ですか?」

「もしかしたら両親が来るかもしれない。悲鳴を上げてその質問……察する能力は子供だからかな?」

 

質問に答えられなかったことに成生はムスッとしてしまう。いくら目の前の男の重圧を跳ね除けられるとはいえ、中学生の女の子なのだ。それも二次性徴もまだ終えていない少女だ。

 

純粋無垢が故に感情もストレートに出ていた。

 

「……」

 

ムスッとした顔でぷいっと横を向く成生に、二人の男は少しだけ驚いていた。ヴィラン相手にこんな態度ができるのはヒーローですら中々いない。ましてやここにいる男は、ヴィランでも頂点に位置する存在だ。

二人が驚嘆するのも当然のことだった。

 

「……大物ですね」

「全くだ。意地悪が過ぎたかな?僕はオールフォーワンと言うヴィランだ。君の名前を教えてほしい」

 

名前を言われても成生にはピンと来ない。何せヴィランで恐れる人と言えば?と問われても数が多過ぎて誰を怖がればいいのか分からない程なのだ。

 

ただヴィランだと言われて少しも動揺しない成生ではなかった。その証拠に言葉が出るも、震えていた。

 

「よ……依光、成生」

「成生か、いい名だ。端的に言おう、聡い君ならこれだけで分かるはずだ」

 

ゴクリと喉から音が鳴る。ヴィランからの要求なんて一度足りとも経験したことなどない。「普通」はあり得ない事態に、心臓はバクバクと鳴っていた。

 

 

「──僕と共に来ないか?」

 

 

目標が近づいた音が、聞こえた気がした。

 

 

中学生とはいえ成生はまだ子供だ。だが子供だからこそ、何の迷いもなく直感に従って行動することができた。この提案は素晴らしいものだ、という直感に。

 

しかし、なけなしの良心が目の前の男を信用するなと叫び、ほんの一歩だけその歩みから足を引っ張っていた。

 

「……信用は、どうすればいいですか?」

「その言い回しはどうも信用したがっているように聞こえるね」

 

オールフォーワンの口角が上がる。求めていた答えに近しいものが返ってきたのだから当然だった。

 

そして、成生もまた口角を上げていた。

無意識でこそあったが、まるでオールフォーワンに応えるような笑みに、近くで見ていた黒い靄で包まれた男──黒霧は戦慄していた。黒霧からすれば、子供にしか見えない少女が巨悪オールフォーワンと対等に話すなど、信じられないことだった。

 

「否定はしません」

「ならば信用すればいいじゃないか」

「共に来いなんて…ヴィランが何も要求してこないなんておかしいじゃないですか」

 

いくら求める目標が全てとはいえ成生にも良心はある。目標に向かうには足を引っ張っているだけのものだが、ヴィランの要求に全て応えるような真似をするつもりは……今は無かった。

 

その良心をくすぐるかのようにオールフォーワンはニヤリと笑い、言葉を返した。

 

()()()()()

 

ストレートな言葉に成生の鼓動が早くなる。13歳という短い生でありながら、これほどまで直接的な言葉をぶつけられたことは無かった。

 

喜んでと、即答したい欲をぐっと抑え、疑問を口に出す。まだ「普通」である私にこんなうまい話がある訳が無いのだから。

 

「何故?私以外に優秀なヴィラン候補なんて山ほどいるはず」

「それはちょっと明かしたくなくてね。君でなければならないとだけ言っておこう」

 

私でなければならない。

 

「普通」ではない、「特別」な存在だと認められること。成生からすればこれ以上なく嬉しい対価だった。

いつの間にか成生は笑っていた。オールフォーワンも応えるようにニコリと笑っており、明らかに契約が成立しているようにしか見えない光景だった。

 

だが足を引っ張る良心の、せめてもの抵抗が口を開かせる。

 

「……時間を、貰えますか?」

「もちろんだ。無理して来てもらっても僕が困る」

 

言葉尻にニヤリと笑うオールフォーワンに本能が刺激されたのか、成生もまた似たようにニヤリと笑う。

 

──そこが、良心の抵抗限界だった。ただのヴィランでさえ普通の人が相対したら精神の抵抗など即座に無くなる……巨悪オールフォーワンなら一瞬で抵抗が無くなっても全くおかしくない。成生が周囲には「普通」であることを固辞していることが、逆に抵抗を強化していたのだった。

 

しかし今、目標のために足を引っ張る精神は無くなった。そこに居るのはどんな手をつかっても「誰の目にも留まる」ために純粋に歩み続ける女の子だ。

 

成生の口がオールフォーワンへと向けられる。時間をくれと言ったにもかかわらず、次の言葉を紡いでいた。

 

「ただその前に一つだけ、答えてほしい質問があります」

「ふむ?」

 

話は終わったと立ち上がったオールフォーワンへと成生は声をかける。成生が目標としている先へと届くなら、届く可能性があるのか、それだけを聞くために。

 

「共に行けば、 だれの目にも止まることはできますか? 

 

 

【挿絵表示】

 

 

一瞬の沈黙。成生の眼光がギラつき、オールフォーワンが即座に回答できない程の雰囲気を醸し出していた。

 

初めて見せた隠していた牙だ。……が、中学生の少女の圧力だ、オールフォーワンからすればそよ風にも等しい。

 

答えるオールフォーワンは、さっきまでとは違い愉しそうな顔をしていたように成生には見えた。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

「面白い!」

 

 

さっきまでと同じ笑っている表情。唯一違うのは声色が明らかに高くなっていることだった。

 

まるで、求めていた宝物を見つけたような声色に、笑う成生も少しだけ気圧される。

 

「実に面白い質問だ!答えはそうだね……君次第だ」

 

私次第。オールフォーワンの言葉に確信すら得た成生はスッと立ち上がり、オールフォーワンの目の前に立った。

 

「分かりました。私から言えることは、親のいない時に隠れて来る分には構いません。あと個性を伸ばせる場所を提供してくれると嬉しいです」

 

オールフォーワンの無い目へと視線を合わせ、握手するように成生は手を伸ばした。

 

身体も精神もオールフォーワンの提案に乗っている。乗っていないのは言葉だけだった。オールフォーワンも言葉に疑問を思ったのか首を傾げていた。

 

「承諾した、という訳ではないと?その上で要求かい?」

「私はまだ中学生です。それに個性もまだまだ伸ばせる。そうですね……。()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

それは最早承諾したと言っていい言葉。オールフォーワンもフフフと小さく笑い声を隠していなかった。

 

オールフォーワンも手を伸ばし、二人の手は繋がれた。

 

「ふふふ、これほどの人材とは……予想以上だ」

「普通である両親には迷惑かけたくないですから」

 

ヴィランであれば絶対に出てこない言葉。成生が普通の少女であるからこその言葉だが、ここにいる三人には全く別の意味となる。

 

 

即ち、いずれヴィランになるのだという宣言だ。

 

 

「黒霧、ここをマークしておけ」

「はっ」

 

黒い靄が部屋に展開され、少しずつオールフォーワンと黒霧の姿が消えていく。成生は笑って手を振っていた。

 

「また来るよ。成生の話をもっと聞きたいからね」

 

 




というわけで成生の精神性は「初見でヴィラン雰囲気出してるオールフォーワンと対等に話せる」レベルです。ただのバケモンじゃねーか!

オールフォーワンは自らを普通と思ってはいませんが、選ばれた者だとかそんなことは考えてない設定です。

個性があれだから周りに奪ったり与えたりしただけ。こんな個性だから僕は優秀だ、とかいう自負は持ってないです。オールマイトにボコられた後だしね

結果、成生から見たら「嫌いではない、ヴィラン的に利用し合うパートナー」くらいに思われてます


ちなみにオールマイトのことは成生は利用する気満々です。好き嫌いとか関係なしに。



作中のイラスト
【挿絵表示】
ですがこれはAIで作成したイラストになります
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