普通少女のヴィランアカデミア   作:火ノ鷹

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いい感じの距離基準が無かったからネタに走りました。

ヴィラン側で圧倒的な戦力持っているのに主要キャラ死なないの?って話ですが、基本的にネームドは死にません。痛い目には遭います。

というのも、成生ちゃんの目的は「誰の目にも留まること」なので、影響力がある人は死んでもらっては困るんです。

あとなんだかんだいって成生ちゃんは一年、オールフォーワンの教えを受けてます。そこで「自分がいつでも屠れるヒーローなら精神に刻む程度にしておけ」的な内容を受けており、殺さないのはこれも理由の一つ。

一言で言うと「お前雑魚だから放っておくわw戦うなら来てみろ雑ぁー魚(笑)」という慢心スタイル。

成生ちゃん「殺すよりも行動不能にした方が絶望感あっていいでしょ」
オールフォーワン「ちゃんと教えを聞いてくれて嬉しい」
ドクター「あの少女がこんなにもヴィランらしく……(感涙)」



悪夢と惨劇とデビュタント その2 ~Ms.ダークライのご挨拶~

「あれは……依光成生!!!」

 

塚内警部の声が響く。と、同時に、脳無すらも止まりこの場にいる全員が宙へ浮かぶ美しく惹かれるようなヴィランへ視線を向けた。

 

「先制必縛」

 

ヴィランが現れたのだからと即座に行動したシンリンカムイが背後に飛び、ウルシ鎖牢で縛り付ける──()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

特に難しいことなどしていない。今はハイヒールの前後でほぼ常に展開している透明色知覚発光で認識し、指二本を軽くクイッと振っただけだ。常時レーザーの透明色は見えない刃にしか見えない、それで両断しただけだ……両手両足を。

 

「遅い」

 

シンリンカムイの四肢が両断され、そのまま力を失い落下していく。エッジショットが跳躍し抱えるも、ここから戦線復帰は困難なレベルの傷だった。

 

「止めです」

 

「貴様!」

 

指先をシンリンカムイの心臓へ向けるも、一瞬で散ったシンリンカムイを援護すべくエンデヴァーの炎が向けられた。が、炎は届くことも無く空気中に散っていく。

 

『空気地面化』+『土流』、空気の方向が操れるなら放出された炎の向きを操ることも容易い。

 

まるで空気が流れていくような現象に、エンデヴァーは遠距離戦闘は不利だと即座に判断した。……が、接近すればシンリンカムイの二の舞だとも分かっていた。

 

歴戦のエンデヴァーですら悩む一瞬を、先に突撃する一人の影があった。

 

「沈んでくれ」

 

空気を支配しつつあるヴィランの雰囲気、その空気を切り裂くようにグラントリノが強襲をしかける。隙だらけの背後下方向からの攻撃であったにもかかわらず、くるりとターンするように彼のヴィランは優雅に避けた。

 

さらにグラントリノの勢いを残したままに首を掴み、そのまま膂力だけで勢いを止める。グラントリノの個性が逆に仇となっていた。

 

今の私でもこれくらいの真似なら簡単だ。この老人が全盛期なら分からなかった……が、今でも実力者なのは明白だ。

 

ここにいる、トップヒーローに連なる者ではないのにトップヒーロー並の力を持つ者。となれば()()()としか考えられない。

 

「オールフォーワンの知り合いですか?」

 

「てめ……ぇ!奴と……!」

 

「知り合いですか。それなら私よりも先に戦う相手がいるでしょう」

 

そのまま膂力に任せてオールフォーワンが居る方角へと全力で放り投げる。上手くすればオールマイトに遅れて到着できるだろう。

 

今の私は増強系の全力には届かないまでも、半分くらいまでには届く。たった一度の電花とのお遊びで、そこまで到達できていた。

 

「そこまでだ」

 

グラントリノの追撃タイミングで放たれていたエッジショットの音速を超える不意打ち「千枚通し」。タイミングからしてオールマイトでさえ反応するのは難しい攻撃……それを、笑いながらひょいと最小限の動きで避ける。光速で認識できる私からすれば音速など普通の攻撃と同じだ。速さを自慢とする者は私にとってカモに等しい。

 

今の私は光速知覚と認識速度自由化を人形操作で脅威度判定を行った上で常にオートで使っている。言わば、周囲情報を3D認識した上で、動画で倍速にしたり半分の速度にしたりするような感覚で行動できるのだ。それの最大速度が光速、最低速度が通常速度だ。

負荷は一日使うと数分休憩が必要な程だ。人形操作の個性伸ばしは絶え間なく行われているようなものなので、それほどのコストパフォーマンスを叩き出せていた。

 

「フフッ」

 

エッジショットの個性は「紙肢」、紙のように身体を薄く細く引き伸ばせる個性だ。細くすることで音速すらも超える速さを得ているが……薄く細くするということは斬撃に対する防御能力を捨てているということだ。

 

つまり、光速反射と斬撃性能すらも持つレーザーを放てる()()()()()()()()()

 

「っ!!!」

 

「随分と遅いことで」

 

伸ばされた足を左手で掴み、右手で指先の10cm程までで収束させたレーザーソードで両断する。余りにも一瞬過ぎたが故に、エンデヴァーとエッジショット以外は何をしたのかすら理解できていなかった。

 

「あり得ない……!」

「あり得ん……!」

 

不意打ちの音速攻撃、エンデヴァーやエッジショット自身でさえも避け切れない攻撃を避け、掴み、さらに反撃まで行った。

 

明らかに個性が働いている、そう判断するのは良かったが……既に戦力は目減りしていた。

 

せめてもの抵抗と左腕をあらぬ方向へと薄く伸ばすエッジショット。だがその狙いは油断を誘い、目に見えない程に薄くした身体で死角から打ち抜く……つもりだった。

 

「左腕もですか」

 

またしても死角からの攻撃を避け、掴むまでも無く手刀で伸ばされた腕をヴィランは断つ。これでエッジショットは右足と左腕の手首から先を両断され、動けはするものの戦線離脱クラスのダメージを負ったことになった。

 

だがエッジショットの攻撃は無駄ではなかった。

 

「そこまでだっ!」

 

(情報もいらん!こいつは危険だ!!!)

 

一瞬であったが時間稼ぎはできていた。跳躍したエンデヴァーは溜め込んだ炎が一気に解き放ち、ヴィランを焼き尽くす熱線を放つ──エンデヴァーの最大火力、赫灼熱拳プロミネンスバーンが放てる時間はそれだけで十分だった。

 

どんなヴィランでさえ焼き尽くし炭と化す熱線が、宙に浮くヴィランに直撃する。

 

「まだだっ!!!」

 

最大火力がさらに燃え上がり、継続して燃やし尽くす。手ごたえがある以上、エンデヴァーの炎が止まることはない。止まるのは手ごたえが無くなった時だ。

 

つまりは……直撃したヴィランが死に、消えた時だ。

 

「はぁっ……はぁっ……」

 

数秒程続いた煉獄が如き灼熱が止む。突如現れた悪夢は地獄すら超える業火に焼かれ死んだ──はずだった。

 

 

「この程度?」

 

 

「──馬鹿な」

 

 

直撃した手ごたえは有り、継続して放ったことで間違いなく無くなった。プロミネンスバーンの直撃も見間違いはなかった。にもかかわらず空に浮かぶヴィランは未だ傷一つ無く生きており、クスクスと現れた時と変わらない笑みを浮かべている。

 

これこそが現在使える最大の組み合わせ。『指先発光』『思考加速』『人形操作』の最適化、『光速認識』『光速思考』『身体操作最適化』で相手の攻撃が当たったと誤認するタイミングを測り、『転送』の最適化『瞬間転送』で上空の見えない位置へ退避させる。さらに自らには『指先発光』による透明化を付与させ、『エアウォーク』の最適化『空気地面化』と『土流』で退避する瞬間の自らの空気を保持させ囮とする。

 

あとは相手がそれなりに限界に近付けば『空気地面化』を解除し、死んだと誤認させたら元の場所に転送する。それだけの技だ。名前をつけるのなら……「消えない悪夢」といったところだろうか?

 

肉弾戦や暗殺系の個性には効果は全くない技だ。しかしこの技の真価はド派手な個性かつ、中遠距離攻撃を喰らった時にある。

 

 

攻撃が継続したり吹き飛ぶような攻撃によって私自身が見えなくなることをトリガーに、私が死んだと誤認させることができるのだ。

 

 

事実、ド派手かつ中距離個性を持つヒーローの最たる者、エンデヴァーに対して効果は恐ろしく覿面だった。

 

「俺の火力が……通じない?」

 

歴戦でありながらも、余りのショックに呆ける姿を見せる程だった。

 

四肢両断のショックから目を覚ましていたシンリンカムイも、エッジショットも、周囲にいる警察すら顔に怯えを少しだけ浮かべる。まるで──悪夢を見ているかのようだった。

 

悪夢は覚めてもまた見るもの。深淵色の瞳が、ニタリと笑うその笑みが、変わらず目の前に現れる。突如として現れ、死んだと思っても現れる……ゾワリと背筋が寒くなる感覚をヒーロー達は認識する。

 

問答無用の攻撃を全て捌き、逆にほぼ戦闘不能に追い込んだ彼女は、白一色の姿から禍々しい黒色へ姿を変えていく。まるでこれこそが本来の姿だと見せつけるように。

 

そしてヴィランは口を開き、名乗った。

 

「ようやく静かになりましたか。初めましてヒーロー諸君、依光成生──いえ、私はMs.ダークライと申します

 

以後お見知りおきを。Ms.ダークライはそう言葉を続ける。

 

既にマトモに戦えるヒーローはエンデヴァーだけだ。エッジショットも無理を推せば戦えるが、相性が悪過ぎるが故に正面に立つことはできない。

 

「Ms.ダークライ……!ヴィラン名か!」

 

クスクスと笑い、空気地面化を解いて地面へと降り立つ。警察の銃が一斉に放たれた……タイミングで、エンデヴァーが歴戦の勘か、塚内警部や周囲の人を掴み、伏せた。

 

「伏せろぉ!!!」

 

銃を踊るように避け、右手を剣のように手刀に変える。

 

そして右手の五本指から放つ暗闇光を収束させ威力を調整。コンクリートジャングル程度なら、タイムラグすら無く焼き切れるレーザーソードだ。

 

 

その射程距離は実に──13km。

 

 

 

 

「挨拶に受け取ってください」

 

 

 

 

 

神野の町を、市民を、脳無を、警察の大半を──Ms.ダークライの暗闇光が斬り裂いた。

 

 

 




ネームドは死にません、()()()()()ね?

市民「えっ」
中位脳無「えっ」
警察「えっ」


射程距離はネタに走りました。いやだってさ……東京神奈川の直線距離13kmって言われても分からんし。東京駅からディズニーランド切れるって言われても分からんだろ

その間のビル群全部スパッと逝きました。やっぱ街中で戦っていい射程距離じゃねーよこいつ


成生ちゃん「ところでさぁ……ここから40km圏内に春川高校あるんだよねぇ(愉悦顔)」

オールフォーワン「それよりも僕ごとスパッと逝こうとしてたよね?(ガチ顔)」

オールマイト「マジでビビったんだけど?(ガチ顔)」



ストック切れたので次は来週の水曜か、金土日あたりになるかも
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