普通少女のヴィランアカデミア   作:火ノ鷹

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ストックは無い。だがね、投稿できないとは言ってないぞ。作って片っ端から投稿すればいいのだよ

この調子だと来週にデビュタントしそうだし、そっから執筆は少し休む感じかな

神野区決戦の後は少し休みます。1~4週間くらい?
何せデビュタントまでは決めてたけど次どうするか決めてなかった。ヤクザ編とかどうすっかなーって


8割本編なのでどうぞ


成生ちゃん「よーし、ようやく出番だ」

オールマイト・オールフォーワン「「不穏な気配が……」」

ドクター「ワシの出番はいつ?」


悪夢と惨劇とデビュタント その5 ~オールマイトvsオールフォーワン~

Ms.ダークライが上空で人形の様子を見守っている頃、オールフォーワンとオールマイトは再び激突していた。

 

趨勢は互角よりもオールマイトの方が多少優勢ではあった。オールマイトの活動限界が押し迫りながらも、気力でオールフォーワンへ一撃を喰らわしたのだ。

 

地に伏せられたオールフォーワンの工業地帯のようなマスクは破壊され、人工呼吸器のような機材が付けられたマスクが露わになり、目や髪といった顔の上部分が無いという姿が表に出ていた。

 

 

 

だが優勢なのはあくまで身体上の見かけまで。精神的に押されているのはオールマイトの方だった。

 

 

 

時間が押し迫っていることや、因縁の相手であること、さらにはオールフォーワンがオールマイトに対しては嫌がらせ行為を基本的に行うことで、オールマイトの方が焦っていた。

 

何よりも、ワンフォーオール先代である志村菜奈の名前がオールフォーワンの口から出たことにあった。オールマイトの感情の高ぶりと共に出た言葉に、反応したオールフォーワンの言葉がそれだ。

 

「いやに感情的じゃないか。同じような台詞を前にも聞いたな。ワンフォーオール先代後継者、志村菜奈から」

 

「貴様の穢れた口で……お師匠の名を出すな……!!」

 

「理想ばかりが先行しまるで実力の伴わない女だった……!ワンフォーオール生みの親として恥ずかしくなったよ、実にみっともない死に様だった。……Ms.ダークライの方がいい女と言えるだろう」

 

オールマイトが怒りに拳を振り上げるも、オールフォーワンの空気砲で空へと吹き飛ばされる。ヘリが飛ぶ程の上空へ飛ばされ、グラントリノが助けに入った。

 

「俊典!六年前と同じだ!落ち着け!そうやって挑発に乗って奴を捕り損ねた!腹に穴を開けられた!」

 

二人が着地し、年長者であるグラントリノがオールマイトを諭す。

 

ヴィランの最も嫌らしい攻撃がこれだ。ヒーローが守るべきものへの攻撃、矜持を崩す攻撃、どれもヒーローが身を張って止めなければならないものだ。そうして隙ができればヴィランの狙い通りであり、隙ができなければただの何の変哲もない言葉や攻撃になるだけだ。

 

「お前のダメなトコだ!奴と言葉を交わすな!」

 

「……はい……」

 

「前とは戦法も使う個性もまるで違うぞ。正面からはまず有効打にならん!虚をつくしかねぇ」

 

ぜぇぜぇと息切れするオールマイトをフォローするグラントリノ。既に限界に達しつつあるオールマイトだが、オールマイトでなければオールフォーワンに対抗できないのだ。

 

可能な限りフォローする以外に選択肢は無かった。

 

「まだ動けるな!?限界超えろ!正念場だぞ!」

 

「…………はい!」

 

二人の様子を見つつオールフォーワンはボソリと聞こえない声で呟く。

 

「Ms.ダークライは見ているな。計画通りかまったく……僕が負けるの期待しているのか」

 

まったく仕方ないと言うようにオールフォーワンは両手を広げ、もう一人の生徒への謝罪を口にする。

 

「弔がせっせと崩してきたヒーローへの信頼、Ms.ダークライが決定打に近いものを打ってしまったな。その上から僕か……すまない弔」

 

その上で、オールマイトへと恐れを抱かせようと、焦らせようとオールフォーワンは語り掛けた。

 

 

「でもねオールマイト。君が僕を憎むように、僕も君が憎いんだぜ?

 

僕は君の師を殺したが、君も僕の積み上げてきたものを奪っただろ?だから君には可能な限り醜く惨たらしい死を迎えてほしいんだ

 

 

ブワとオールフォーワンの左腕が膨れ上がる。さっきオールマイトが直撃を喰らった空気砲だ、強力で広範囲かつ高速の攻撃である以上、回避するか全力の拳で相殺する以外に選択肢は無い。

 

「でけぇの来るぞ!避けて反撃を──」

 

 

()()()()()()()?」

 

 

グラントリノが回避しながら促すも、オールマイトは動かない……否、動けない。

 

「助け……」

 

背後に瓦礫に挟まれた人が居たからだ。いくら周囲がMs.ダークライの暗黒光で斬られても見えない距離だ、他のヒーローが助けることも十分考えられる。だが目の前で助けてと言われ、その被害を齎すオールフォーワンを止められるヒーローはオールマイトだけだ。

 

ヒーローだからこそ、オールマイトは止めるという選択を選ばざるを得なかった。

 

「おい!」

 

 

 

「君が守ってきたものを奪う」

 

 

 

グラントリノがオールマイトの下へ戻ろうとしても既にオールフォーワンの攻撃が放たれた後だった。活動限界であるオールマイトが更に無理をして力を放てばどうなるかなど、明白だった。

 

「まずは怪我をおして通し続けたその矜持……惨めな姿を世間に晒せ

 

オールフォーワンの攻撃による衝撃で吹き荒れる砂ぼこりが晴れるとそこには──ガイコツのような貧相な姿をしたオールマイトがいた。

 

『えっと何が……え?皆さん……見えますでしょうか?オールマイトが……しぼんでしまってます……』

 

攻撃が飛んでこないヘリからの報道、そこにオールマイトの姿は映されていた。攻撃は相殺し切れていたが、使える力は限界だったのだ。

 

そしてヘリにも映る程であるならば──Ms.ダークライの瞳にも映っていた。深淵色の瞳が映したことでニタリとした笑みが浮かび、更なる悪夢へと事態を動かそうと企みだす。

 

「頬はこけ目は窪み!貧相なトップヒーローだ!!!恥じるなよ、それがトゥルーフォーム(本当の姿)なんだろう!?」

 

オールフォーワンの煽りにオールマイトはその眼光で返事をした。マッスルフォームの時と変わらない鋭い眼光、違うのは姿による圧力の雰囲気だけであり、矜持そのものが全く変わっていないと何も言わずとも伝わるものだった。

 

「身体が朽ち衰えようとも……その姿が晒されようとも……──私の心は依然、平和の象徴!!!一欠片とて奪えるものじゃあない!!!」

 

オールマイトの矜持、それは自らが平和の象徴であること。例え倒れてもオールマイトは平和の象徴(オールマイト)だろう。オールフォーワンも分かっているからこそ、()()をへし折るために動いていた。

 

「素晴らしい。まいった、強情で聞かん坊なことを忘れてた。……じゃあ()()も君の心に支障ないかな……あのね……」

 

もったいつけるように一瞬の間を空ける。しかし事実、放たれた言葉はオールマイトの心臓を穿つようなものだった。

 

 

 

「死柄木弔は志村菜奈の孫だよ」

 

 

 

志村菜奈。オールフォーワンの先代後継者にして、オールマイトの師匠が一人。言わば身内、そんな人物がヴィランに堕ち……さらには自らが拳を振るおうと動いていた事実が、オールマイト自身をこれでもかと責めつける。

 

出てきた言葉も……一言の、ありきたりな否定でしかなかった。

 

「ウソを……」

 

「事実さ。僕のやりそうなことだろ?……ああ、あと弔程じゃないが、こっちも言っておこうか」

 

()()()()()()。その言葉ですら今のオールマイトには死刑宣告のようだった。オールフォーワンが仕組んだ事実が、余りにもオールマイトの矜持を抉りに来ていたのだ……オールマイトがそう思うのも仕方のないことだった。

 

 

 

「依光成生は普通の少女だよ。ヒーローにだってなれた、どこにでもいる普通の少女だ」

 

 

オールフォーワンの言葉に、それはないとオールマイトの停止していた思考が動き出す。弔の正体という衝撃的な事実に比べれば思考が止まる程ではない事実だった。

 

だからこそオールマイトも今度はきちんとした否定を返した。

 

「バカを……言うな……あれほどの力を持った子が……」

 

普通の少女などと言えるものか。そう言おうとしたオールマイトの言葉を遮り、オールフォーワンは口を開いた。

 

「成生はね、純粋な女の子であり……()()()()()だ。ヒーローが強ければヴィランに付き、ヴィランが強ければヒーローに付く。オールマイトという突出した個がいるヒーロー社会、君がいなければヒーローになった女の子だよ。事実、僕が手を差し伸べなくても既に同じ道を選んでいた」

 

これもまた事実。成生はオールフォーワンの手を借りずともいずれヴィランになっていた。

 

成生のオリジンは「誰の目にも留まること」だ。これを達成するのに一番手っ取り早いのは、一番目立つヒーローかヴィランを手懐けるか、彼らより実力や残虐性といったところで分かりやすく上であることを示すことだ。現代で言えば──オールマイトを倒せるヴィランが一番誰の目にも留まると言えるのだ。

 

もしこれが逆に、オールフォーワンが君臨していればオールフォーワンを討伐するために成生は動いたことだろう。社会的にヒーローが強ければヴィランに、ヴィランが強ければヒーローになる存在といっても過言では無かった。

 

すなわち、社会の天秤がヒーローに寄っていればヴィランへ、ヴィランに寄ればヒーローへと変わり天秤を保つ重しのような存在こそが成生だった。

 

オールマイトはそこまで理解はできなかった。オールフォーワンが戯言を言った程度の認識であり、どう転んでも成生少女がヴィランに堕ちていたとしか聞こえなかった。

 

「……だからとて、許される訳が……」

 

だから、本質に気づけなかった。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()ということに。

 

「ああ、だからオールマイト、No.1ヒーロー。これだけは感謝を伝えないといけない──君の行いが、君の矜持が、成生を……どこにでもいる普通の少女をヴィランに堕としたんだ。君が僕に成生という誰よりも輝く宝石をくれたんだ、ありがとう」

 

オールマイトに嫌がらせばかり行うオールフォーワンが、オールマイトへ頭を下げて感謝を述べたということが、どれだけ異常なことなのか……オールマイトと吹き飛ばされていたグラントリノくらいしか理解できないだろう。

 

だが説明したことでオールマイトは何故お礼を言ったのか、理解できてしまっていた。

 

「あ……ああ……」

 

オールマイトの誇り、矜持、平和の象徴。だが平和(オールマイト)を享受し普通に過ごす人物がヴィランに堕ちた。それも自発的に堕ちた。オールマイトがいるからヴィランになった。

 

オールマイトが居なければ、ヒーローになり得た普通の少女。弔という衝撃の後でも、オールマイトの心には十分に響く事実だった。

 

「オールマイト、()()()()()()()?」

 

オールフォーワンが口角をくいと両手の親指で上げるジェスチャーという挑発を一つした。オールマイトが常に笑い、不安を吹き飛ばす存在だからこその挑発だ。

 

「きさ、ま…………!」

 

挑発に応え怒りに燃えるオールマイトだが、その心中はまるで穏やかとは程遠い。

 

師匠の孫という身内の宝が故に堕ちた者、自らが築き上げてきた平和を享受するが故に堕ちた者。どちらもオールマイトの矜持から生まれ落ちた存在だ。

 

「やはり……楽しいな。一欠片でも奪えただろうか」

 

──矜持から剥がれた一欠片と言われて同然の者たちだ。いつの間にかオールマイトは声にならない雄叫びを上げていた。

 

「~~~~~~~ぉおおおおおお……!!!」

 

あと少しでも衝撃を加えればへし折れる柱。オールフォーワンが見ても、上空にいるMs.ダークライから見ても……被害を受けている一般人から見てもそう見えていた。

 

だから、だったのかもしれない。

 

 

 

「負けないで……お願い……オールマイト……救けて」

 

 

 

──救け(オールマイト)を呼ぶ声が届いたのは。

 

後ろに、すぐ傍に守るべきものが居る。ヒーローはそのシチュエーションでヴィランと戦う時、無類の強さを発揮する。心が折れかけようとも即座に修復し、鼓舞される。

 

オールマイトの右腕に力が灯る。貧相な身体に稲妻のようなオーラが走る。ワンフォーオールの残り火が、最期の輝きを放つ。

 

 

「お嬢さん、もちろんさ。ああ……!多いよヒーローは……守るものが多いんだよオールフォーワン!!」

 

 

右腕だけがマッスルフォームへと変わる。瞳に灯った輝きが、未だオールマイトは死んでいないと叫んでいた。

 

 

「だから、負けないんだよ」

 

 

ヒーローは再び立ち上がる。背後に守るべき者がいるのだから、倒さなければならないヴィランがそこにいるのだから。

 

■■■

 

 

「だから、負けるんですよ」

 

そんなオールマイトの様子をフフフと上空でMs.ダークライが嘲笑う。

 

Ms.ダークライはヴィランだ……が、ヒーローにもなれた可能性を持つヴィランだ。ヒーローの理念や、どう在るべきかといったことを知っており、そこから自らが持つ可能性を入れてヒーローが守るべき者を考えたことがあったのだ。

 

その結論は、守るべきものが多過ぎるという簡単なことだった。

 

「守るべきものは少なく、絶対に守れると言えるだけにするべきでしょう。……守るものが多いのは構いませんが、多過ぎるのは敗因にしかならない」

 

今のヒーロー社会にてヒーローとはヴィランと戦う者にして市民の盾だ。

 

では市民とは?ただただヒーローを応援しヴィランに襲われるだけの存在か?そんな主体性のないゴミクズのためにヒーローは己を犠牲にしなければならないのか?

 

それに対する私の答えは……目に映る範囲だけ守れ、だ。自らの生活圏を守ればそれでいいだろう。ヒーローが飽和する程多いならそれで解決できるはずだ。

 

パトロールなんて馬鹿らしい、別の町に行ってヴィラン討伐なんて無駄の極み。それでヴィランを活発にさせる方が市民からすれば迷惑だ。

 

ヒーロー社会でありヒーローが強いからこそオリジンに従い、ヴィランになった私は……そう思う。

 

「おいで、電花」

 

転送を使い、電花を呼び寄せる。本来他人には動いてはいけないといった制約がある転送なのだが、血が繋がっているおかげか、電花にだけは使えていた。どこにいても私の下へ呼び寄せることができる。

 

転送は試したのと合わせても四回目程度。久しぶりの感覚なのか、ポケッとした顔が可愛らしい。

 

電花は転送されたことに気づくと、成生の方へと顔を向け跳躍して飛びついた。

 

「おかーあさーん!!!」

 

「いい子にしてた?」

 

「うん!いっぱい動物と遊んでた!」

 

電花の力で遊ぶとなると実質殺戮にも近いものが起きていたはずだ。天真爛漫な笑顔に苦笑いを返すことしかできない。

 

転送で地上へ移動し、オールマイト達の方へゆっくりと歩きながら残る一人の到着を待つ。激突まであと一分も無いが、間に合うはずだ。

 

「いい子ね。あっちからももう数秒もかからない……来たわね」

 

「私……目標……到着……」

 

人形の依光成生も到着した。ところどころに返り血があるのは見間違いでも何でもないだろう。春川市から人も何もかもを無視して直進してくればそうなるのは必然なのだから。

 

Ms.ダークライ、人形の依光成生、依光電花。一人一人だけでも強大なヴィランだというのに、ここに三人が集まった……集まってしまった。Ms.ダークライを中心とした、ヒーローや市民を悪夢へと堕とす集団ができてしまった。

 

ヒーローは、社会は気づかない。ヴィラン連合などより遥かに恐ろしいヴィラン集団ができたことに。しかし気づけたところで何ができたのか……何もできなかった可能性も、十分にある。

 

「よろしい。それでは巨悪と平和の象徴、どちらも私達が平らげてしまいましょう」

 

中心であるMs.ダークライが宣言する。電花の楽しそうな顔に応えるように。

 

「Ms.ダークライの一味、ファミリー。今はそれで構いません……その表現では言い尽くせない存在であることを、魅せてあげましょう」

 

 

Ms.ダークライは、好戦的に笑みを浮かべた。惨劇と悪夢、そしてその忌み子が動き出す。

 

 

平和も悪も、視点は変われど夢は見る。今宵の彼らの夢は悪夢、彼女はそれを現実にもするために──平和(オールマイト)(オールフォーワン)の間に現れた。

 

 




成生ちゃんの正しい見方がオールフォーワンから出ました。

オリジンの関係上、社会的にヴィランが強ければヒーローへ、ヒーローが強ければヴィランになります。だって誰の目にも留まる方法の一番早い方法がそれだもの


つまりオールマイトが悪い(暴論)


成生がヒーローに成れたかもっていうのは、成生がいる社会がヒーローが強い社会じゃなければ成ります。ヒロアカ時空でアメリカとか犯罪率高いって話だし、そこなら多分ヒーローになってた。個性禁止縛り多分無いし、ヴィランなら殺してOKっぽいし……新秩序パクれるから鎮圧もできるようになるし



成生がどうあってもヒーローになれないってのは()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()、ってのが実は正しかったりする。緑谷達の同級生にはなれないし、同級生になるとヴィラン連合inする。


忘れてた。次の更新は29日
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