エタるのも考えたし削除してもいっかなとは思ったけど投稿は続けるよ。感想は見なくなるだろうけど
今回はヒーローサイド。デビュタント被害は馬鹿でかいしオールマイトが倒れたのも影響とんでもなくでかいけど、何だかんだで本編レベルの治安。
理由は良くも悪くもMs.ダークライのせい。どこにでも現れるが、必ずしもヴィランの味方であるかは不明なため
ぶっちゃけ機嫌悪かったら呼んだヴィランが死ぬ。結果、抑止力ともなるし不安煽ったやつにもなる
一夜明け、世間は騒然としていた。
神野区の壊滅と二次被害、オールマイトの正体、伝説のヴィラン・オールフォーワンが生きていたこと、そして伝説のヴィランすら超える悪夢・Ms.ダークライという新時代の途方もない脅威、その脅威が強烈な光と共に目を覚ましたこと。
どれもが市民が惹かれる超一級クラスの情報だ。それが一気に世間に知れ渡り、不安が煽りに煽らていた。
そんな中、警察は神野区で手に入れた情報を元に、次の行動方針を決めていた。
「直接的被害はヒーローが中心……だが、そこからの市民への被害は千人……下手したら万人規模だろう」
「被害は確かに大きいですが、二次被害という意味ではかなり抑えられています。ヒーローが近いところから助けていった結果、神野区の戦っているところまで到達していなかったこと、戦場の中心近くでは切断攻撃に角度がそこまでついてなかったので倒壊したビルが逆に少なかったことが大きな要因です。おかげで避難が迅速に進められました」
「図らずも、Ms.ダークライが無作為に暴れた結果そうなっていたといったところか……脳無は?」
「捕らえた脳無はこれまでと同様。人間的な反応は無く新たな情報は得られません」
「保管されていた倉庫は消し飛ばされており、製造方法についても追って調査を進めるしかありません」
神野区で得られた数少ない情報、脳無。大半はMs.ダークライの広範囲光速斬撃により真っ二つになったが、バーの屋上にいた個体や、跳んでいた個体は逃れており、エンデヴァー達によって捕まっていたのだ。
神野区でMs.ダークライの被害にあったヒーローは幸い、全員が回復に進んでいた。四肢を切断された者も接合していた、綺麗過ぎる切断だったからこそ逆に回復は早かったのだ。
「大元の一人を捕らえたものの……新たな強大なヴィラン、Ms.ダークライの鮮烈デビューなんて笑えない事態だ」
「実行犯、死柄木を始めとした
Ms.ダークライに関しては警戒レベルが明らかに足りてなかった不意打ちにも近い結果だ。チンピラヴィランを守るヴィラン程度のレベルかと思えば、オールフォーワンすら超えかねないレベルの大悪党だったのだ。
考えもしないところから現れた悪夢であり、情報の足りなさが戦いの結果を決めたのだ。
とはいえ、成生が情報を掴ませなかったのは意図的なものだ。警察もそれを分かっているからこそ、完敗としか言えなかった。
「そこ以外で言えば……いえ、負けてますね」
「当たり前だ。オールフォーワンだって平和の象徴と引き換えだぞ」
そして成生以外でも戦いは負けと言ってよかった。
「オールマイトの弱体化が世間に晒され、もう今までの”絶対に倒れない平和の象徴”はいない」
「国民にとっても……
「たった一人にもたれかかってきたツケだなぁ……」
オールマイトという絶対的安心。それが倒れた以上、ヒーロー社会はこれまでと同じようにはいられない。まして、敵に似たようなのが現れたのだから。
「
「そこに
「恐ろしいな……Ms.ダークライという新しく現れたヴィランの象徴。惹かれた者達は
余りにも面倒極まりない
「我々警察も”
■■■
さらに一日程経ち、オールマイトはグラントリノと塚内警部と死柄木弔と依光成生について話した。結論はオールマイトは雄英で先生を続け、二人が捜査を続けるということになった。
その半日後にオールマイトに外出許可が下りた。トゥルーフォームでオールマイトが向かった先は、緑谷がワンフォーオールを受け継ぐため、特訓をした砂浜。
緑谷を呼び出し、砂浜でオールマイトは空を見上げながら待っていた。思い返すのは死柄木弔……ではなく依光成生について。
オールフォーワンは普通の少女だと言った。確かにUSJの時はヴィランとはどこか違う雰囲気があった。ヴィランとも判断がつかない危うさ……オールマイト自身でさえ見当もつかない危険を秘めていた。
だがあの時、殺すことは無かった。林間合宿でさえも、死人は出なかった。今回分かったことだが、明らかに全員殺せる力を有しておきながらそうしたのだ。
「依光成生……普通の少女……社会の天秤……」
だが神野で相対した彼女にはそれさえも内包したヴィランと化していた。あれは……もしかしたら、天秤が下がったことでヴィランに堕ちたのではないだろうか?
彼女の言った通り、介入など無く私がオールフォーワンに勝っていたなら……ヴィランのトップがいなくなったがヒーローのトップは弱体化しながらも生きている。それを、天秤がヒーロー側に寄ったというなら……よりヴィラン側にいくのが彼女なのだろう。
涙を流していたことも知っている。そしてあの意味も分かっている……ヴィランには事情がある者も多い、見たことがある。
──悲しみの、懺悔の涙だ。
「ヴィランになりたくなかったのにしなければならなかった、のだろうか……?」
そうだとすれば彼女は救うべき人だ。何かしらの事情があり、ヴィランになり……両親を殺した。
泣きたかっただろう、叫びたかっただろう、喚きたかっただろう、誰かにぶつけたかっただろう。それでもしなければならなかったとなれば、精神を病んでいてもなんらおかしくない。
……少なくとも私の声は届かないだろう。きっと彼女が欲しいのは、同情などではないのだから。同年代、A組の生徒か……それとも、同じだけの想いや力、似た境遇か力を持った誰かでなければ対話にすら辿り着けない。
オールマイトの思考を遮るかのようにタッタッという足音が鳴る。緑谷が到着したのだった。
「おっ!やっと来た!」
「オールマイト……!」
走ってきた緑谷にオールマイトも駆け寄る。そして──
「テキサス……SMASH!!!」
──右手で緑谷の頬を思い切り殴った。
「君ってやつは本当に言われた事を守らない!」
「全て無に帰るところだったんだぞ。まったく……誰に似たのやら」
オールマイトの言葉に緑谷は俯く。やったことがやったことだ、叱られるのは当然なのだ。
「緑谷少年、私ね……事実上の引退だよ。もう戦える身体じゃなくなってしまった」
オールマイトがマッスルフォームに変身するも、数秒と立たずにトゥルーフォームへと戻っていた。活動限界が数秒もないとなれば、行動もできないということだ。
「ワンフォーオールの残り火は消え、おまけにマッスルフォームの維持すらできなくなった」
「だというのに君は毎度毎回、何度言っても飛び出していってしまうし!何度言っても身体を壊し続けるし!」
緑谷に突き刺さる言葉、オールマイト程の人に言われてもなお止まらない行動。
「だから今回!」
叱られると、ペナルティを覚悟した緑谷に……かけられる言葉は、予想とは違うものだった。
「君が初めて怪我せず窮地を脱したこと、すごく嬉しい」
「……っ!」
緑谷の目が涙を浮かべる。叱られると思っていたら褒められたから、ではない。
オールマイトが嬉しいと言葉にしたことが琴線に触れたのだ。
「次は、君なんだ」
後継、次に託される者。ここまで明確に言葉に、感情に触れるように言われたのは緑谷からしたら初めてだった。
「これから私は君の教育に専念していく。この調子で……頑張ろうな」
「うぅ……っ!」
オールマイトが緑谷を抱きしめる。本来あったはずの力は無く、緑谷に力がもう無くなったのだとひしひしと伝えるものだった。
「君は、本当に言われたことを守らないよ……その泣き虫。直さないとって言ったろう」
■■■
それから数日後。雄英では家庭訪問が行われ、寮生活へと生活スタイルを変えていくことになっていた。
A組が寮に入る初日、イレイザーヘッド……相澤翔太は寮生活について説明と、会議で決まったことについて話そうとしていた。
「寮について話すわけだが、その前にヒーロー科には話すべきという結論に至った話を一つしよう」
コホンと一つ息を吐いた後、相澤は口を開いた。
「合理的ではないんだが……とある一人のヴィランについてだ」
「何故今なのでしょうか?」
「そいつがお前たちと同じ年齢だからだ」
ヴィランであり、年齢が同じ。ヒーローとしても倒すべき存在として見るべき存在なのだと言いたいのだろう。
だが疑問が一つ浮かぶ。ヴィランならば捕まえればいい、年齢が分かっているなら情報も詳細に分かっており、話す必要も無いはずだ。プロヒーローが動けば解決するだけの話だ。
A組のそんな思考をぶった切るように相澤はその名前を口にした。
「そのヴィランの名前は──依光成生。ヴィラン名を……Ms.ダークライ、知らないやつはいないな?」
A組の全員の表情が強張る。あのヴィランが、同年代など信じられなかったからだ。
Ms.ダークライ。知らない者は今や日本にいないとすら言われる強大なヴィランだ。現れたのは数日前だというのに、その甚大な被害と、あのオールフォーワンが認めたヴィランというネームバリューは恐怖を呼び起こさせるものだった。
そして何より──
「──オールマイトを倒したヴィランだ。今のお前たちと同じ年齢なんだ、お前たちが社会に出ればヴィラン側であれほどの存在がいると思わなければならない」
オールマイトが倒された。そして相澤の言い方から察するに、プロヒーローでも簡単には勝てない存在だということだ。何せ今時点の高校一年生がプロになっても暗躍している可能性があると言っているのだから。
「これを聞いて折れるくらいなら、ヒーロー科にはいない方が幸せだ」
厳しい言葉。だがA組の皆も分かっていた、言っていることはただの事実なのだと。
強大なヴィランが現れて折れるくらいの信念なら、無い方がいい。ヒーローとはヴィランと戦う者、戦う前から折れるならヒーローを止めたほうが幸せだと言える。
「詳細は未だ不明、それほどに強大なヴィランだ。今のプロヒーローでも奴と戦えば勝てるか怪しいだろう」
出てくる情報は全て良くない情報ばかり。名前も個性も分かっていながら、詳細が分からないというのがそれを物語っていた。
そもそも、A組には実害を受けた者がいる。恐ろしさは知っているのだ。
「爆豪、青山、障子、轟……お前たちは身をもって知っているはずだ」
4人が俯く。彼女と戦った者は全員が何の抵抗もできずただ負けただけ。それも神野区の戦いを見れば分かる通り……手加減された上で負けたのだ。
「それが分かってなお、ヒーローを目指すなら寮に入れ。そうでないなら──俺が頼み込んで、今からでも家庭訪問の結果を覆す」
先生の言葉にA組の全員がガバッと顔を上げる。そんなつもりなど毛頭ないと言わんばかりだった。
「強大なヴィランがいるなら立ち向かわないでどーすんだ」
「勝てるかじゃない。救ける力が欲しいからここにいるんです」
「俺達は……何も出来なかった。だから、目を背けるような真似はできねぇ」
爆豪が、緑谷が、切島が、思い思いを口に出す。彼らはMs.ダークライの二次被害から逃げたという苦渋を舐めさせられているのだ。
逃げるつもりなど、当然なかった。
「皆も気持ちは同じか?」
A組の全員がコクリと頷く。彼らはどこまでも……ヒーローを目指していた。
それを感じ取ったのか、相澤は先生として頷く。結局のところ、相澤は雄英の教師なのだ。生徒の決意を無駄にすることは無いのだ。
「分かった。寮について話をしよう」
「当面は合宿で取る予定だった”仮免”取得に向けて動いていく」
そこまでで一度言葉を止めた。後ろ髪を搔きながら、面倒なことがあったと言うように溜息を一つ吐き、話を続ける。
叱らなければならない話を。
「んだが……大事な話が挟まる。轟、切島、緑谷、八百万、飯田。この五人はあの晩あの場所へ爆豪・常闇救出に赴いた」
「「「え……」」」
倒れていた四人が困惑の声を上げる。耳郎と葉隠はガスによって、障子と青山は成生の攻撃によって倒れていたのだ。既に退院できているから問題はないものの、爆豪・常闇救出など知らなかった。
「その様子だと皆知ってたみたいだな。色々棚上げした上で言わせてもらう」
相澤は本音をそのまま口に出す。そんなことを教えたつもりは無い、ふざけた真似をしてくれるな、という言葉を。
「オールマイトの引退とMs.ダークライの登場が無けりゃ、爆豪・常闇・耳郎・葉隠・青山・障子以外は全員除籍してる」
「彼の引退と彼女の登場でかなりの間混乱が続く。今雄英から人を追い出す訳にはいかないんだ……それが彼女の狙いかもしれんしな」
Ms.ダークライは闇を導く光と言っていた。なら、ヒーローから蹴り落とされ闇に堕ちかけている人など格好の餌だろう。相澤は教師でありヒーローである以上、そんな真似はできなかった。
「理由はどうあれ、俺達の信頼を裏切った事実に変わりはない。正規の手続きを踏み、正規の活躍をして、信頼を取り戻していただけると有難い」
奴のせいでヒーローとしての篩も難しくなった。これも狙いだとするなら……悪夢としか言いようがない。
相澤のそんな想いは不幸中の幸い、そこまで影響はなかった。ヒーローとして堕ちたものであっても、Ms.ダークライの誘惑に乗るかどうかは別だったからだ。
ヒーローとして堕ちても、ヴィランまでは堕ちない。そこまで堕ちるなら……
当分不定期投稿になるかなー
一月単位の空きもあり得るかも