普通少女のヴィランアカデミア   作:火ノ鷹

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モチベ皆無状態

更新は気分次第のレベルに移行中


原作沿いから離れつつあるなー……タグ調整するかー……


成生ちゃんの基本思考はヴィランに堕ちる奴は堕ちて欲しいし、堕ちたくないやつは堕ちなくていいスタイル。要するに自由にやれ


二章 ダンシング&スリーピング
闇を導く光と理を壊す少女 邂逅


さて、泣こうが喚こうが過去は戻らない。覆水盆に返らず、未来へと歩を進めよう。

 

真っ先にやらなければならないことが一つ、……正直行き当たりばったりではあるが仕方ない。本当ならオールフォーワンに相談した方がいい内容ではあった。

 

要するにスカウトだ。Ms.ダークライの信奉者を作らねばならないのだが、放っておいてもできないだろう。

 

闇を導く光だと言っても、闇を探す方法が無い。むやみやたらと転送しても無駄であり、探すにも効率よく行く必要がある。

 

そこで白羽の矢が立ったのは電花だった。

 

「電花、広範囲電波の逆利用はできますか?」

 

「ぎゃくー?」

 

「ええ、送信が出来るなら受信もできるかと思ったのですが」

 

電花の個性は「広範囲電波」だ。送信ができるのはジャミングから放送を乗っ取れたことからも分かってる。

 

だが個性とは磨き、伸ばし、思考錯誤するもの。私であれば光の射程距離を伸ばすだけではなく知覚といった別の方向へも進めたように、電花にできてもなんらおかしくない。

 

そして問いの答えは──Yesだった。

 

「えーと……ん!頑張ればできる!」

 

「それでは……私に助けられたいって思ってる人の脳波探知みたいなことってできますか?」

 

「のうは?」

 

「私に助けられたいって思ってる人が何処にいるか分かる?」

 

電花は6歳程度……分からないことが多くても当然。ちょうど私がヴィランに悩み始めたのと同じ年齢なのは運命の悪戯だろうか?

 

「頑張ればできる……かな?」

 

頭を傾げる電花を可愛さが過ぎたので抱きしめ、そのまま抱っこする。電花も嬉しいのか、頬をMs.ダークライの胸に摺り寄せていた。

 

「一度試してみましょうか。電花、やってみることは大事なことですよ」

 

「分かった!」

 

転送でアジトから外へ出る。真上ではなく都市だ。どうせならと神野区辺りまで転送する。山の中で逆利用の個性を使っても人がいないのだから意味がない。

 

「えい!」

 

それに距離が同じなら一度使った場所で使った方が距離感が掴める。電花の個性把握という意味でも神野区に近い場所が良かった。

 

ただ受信した電花の表情は硬くなっていた。送信した時とは違い、膨大な情報をまとめているのだ。いくら成生の子供とはいえ、思考加速は無く情報処理が追い付いていなかった。

 

「んー……いっぱいいて分かんない……」

 

ふむと考え込むMs.ダークライ。思考加速を発動することも無く、即座に解決を思いつく。

 

「その座標、私に送れる?」

 

送信と受信ができるなら別の人に情報を送ればいいのだ。何も電花が全て行う必要はない。

 

そして知覚光を戦闘時は常用しているMs.ダークライからすれば、頭に来る情報処理など個性の発揮どころでしかない。

 

「簡単!」

 

電花の言葉と共にMs.ダークライの頭に膨大な情報が雪崩れ込む。本来ならそれだけで廃人になってもおかしくない程の量だが、Ms.ダークライには思考加速がある。情報が頭に雪崩れ込む速度さえも操れるのだ。

 

かなりの量だった。思考をいつもより遥かに速くしなければ追いつかなかっただろう。……おそらく最も膨大な場所でこれなら、時間さえ空けば何度も使えるだろう。

 

Ms.ダークライには余裕があった。が、電花は頭をふらつかせていた。

 

「んにゅ……でもこれ、疲れる……ごめんなさい……おやすみなさい……」

 

電花の個性は「広範囲電波」だが、基本的に送信だけなのだ。それをかなり無理のある使い方をして受信したなら、倒れるのも致し方のないことだった。

 

「慣れない使用だから疲れて眠ってしまいましたか。でも十分です、サッと解決してきましょう」

 

電花を抱き上げ、アジトにあるベッドへと転送する。一度眠れば8時間は起きない子だ。それまでに見つけたことは粗方解決しておきたい。

 

まずは何故か地下から届いたもの。……電花の個性は電波だから地下は影響外だと思っていたのだけれど、もしかして私の光と同様に、「電波っぽいもの」を受信でもしたのだろうか?テレパシーみたいなものでも受信したなら分からなくもない。

 

電波は座標情報も分かる。それなら自分自身から相対座標で移動すれば目の前に出れる。転送した先は……子供部屋だった。

 

きょろきょろと見回すとベッドが一つ、そしてそこに子供の──女子が一人いた。

 

「……あなたは?」

 

「ひっ!?誰……まさか、ダークライさん?」

 

女子は突然かけられた声に驚く。目の前の現実が思いもしなかったことになっているのだ。プロヒーローでも一瞬呆けるようなことであり、子供ならなおのことだ。

 

頭から角を生やした子だった。腕に包帯を巻いていたり、虐待でも受けて……いや、ここは地下だった。

 

ろくでもないことを考えた輩にでも監禁されているのだろう。それで助けを呼んだといったところか。

 

「私を呼んだのでしょう?お名前は何ですか、お嬢さん」

 

深淵色の瞳を静め、「普通」の少女依光成生の目をする。優しく微笑みかけ、安心していいのだと目の前の少女に雰囲気を伝える。

 

「壊理」

 

その想いが届いたのか、少女──壊理(えり)は自ら口を開いた。

 

■■■

 

服装はMs.ダークライのまま、髪の色が白く変わる。黒いドレスはMs.ダークライの姿であり、白い姿は依光成生と分けていた。

 

今は依光成生だ。一般の子供相手にMs.ダークライの瞳は恐怖しか生まないのだから。

 

「壊理ちゃんか。どこか他人のような気がしないね」

 

おそらく彼女は希少な存在なのだろう。彼女の身体を使った実験をしていたとしてもおかしくない。

 

それはまるで、オールフォーワン達に卵子を提供した成生自身のようだった。違いはただ一つだけ、自らの意志で渡しているかどうかだ。仮に私がオールフォーワンに協力姿勢でなければ、彼女と同じかそれ以上の実験生物になっていただろう。

 

少なくとも、脳無の母とされていたのは間違いない。……今も似たようなものか。

 

微笑む成生に壊理は手を伸ばす。掴んでほしいのかと、成生も手を差し出し手を繋いだ。

 

「怖い」

 

(Ms.ダークライ)を呼んだ理由だろうか?。呼ぶ人を間違ってると言いたいが、ヒーローがこんなところを見つけられる訳もないか。それにこの子が助けを呼んだところで届く場所でもない。

 

ジッと壊理を見つめる。不思議そうな顔をしているが、おそらく間違いない。

 

「……電花と同じくらいの年齢かな。力加減の勉強もあるし、一緒に遊ばせるのも悪く無いかな」

 

女子は男子よりも早熟だが、これくらいの年齢ならそこまで変わらない。電花と同じくらいなら、遊ばせるのは二人にとって良い関係になるはず。

 

「お姉ちゃん?」

 

「ごめんね、本当はこのまま連れ去ってあげたい。でもそれができるのはヒーローだけなの」

 

私が連れ去ってもヴィランがヴィランを連れ去るだけで意味が無い。その先にあるのは私がヒーローに託すなんて真似になる。そんな真似はする気も無い。

 

私が懐かせるなり洗脳するなりしてこの子の意志に介入すればヴィランにできるけど、それはこの子の本当の意志じゃない。決心してヴィランになった者と、そうでない者には「躊躇い」に大きく差がある。思考加速できる私なら別だが、死地で影響するレベルの差だ。

 

何より、Ms.ダークライは闇()導く光なのだ……闇()導く光ではない。闇に堕ちる人が明るい方へ、暗い方へ行く時に励まして案内するだけなのだ。だいたいの場合は暗い方へ行くのだが……この子は明るい方だろう。

 

「お姉ちゃんは、ヒーローじゃない?」

 

「壊理ちゃんに私はどう見える?」

 

「怖くない、人」

 

怖いか怖くないかでしか判断できない……監禁されているならそれもあり得るか。

 

まぁ、それだけで十分だ。ちゃんと味方になってあげられているみたいだし。

 

「連れ去ってあげることはできないけど、もし壊理ちゃんを傷つける人がいれば悪夢を見せてあげる」

 

何を言っているか分からなそうな顔をしている。電花と同じくらいの年齢だ、分からなかったのだろう。

 

壊理ちゃんの場合はこの場で解決できない問題だ。少し通う必要がありそうだった。

 

「今度、真正面からあなたの下に来る。怖いものが何か分からないと、私でも手が出ないからね。壊理ちゃんは見えないけど傷つけるような人は怖いでしょ?」

 

「うん」

 

即答した、ということはそういう人が近くに居るということだ。監禁しているやつと見ていいだろう。

 

ただそいつを殺して何とかなる話ではなさそうだと直感が囁いてる……脅すか。

 

目線の高さを合わせ、ニッコリと壊理ちゃんへと微笑みかける。大丈夫だよと伝えるように。

 

「私は成生、依光成生。言葉に出してみて」

 

「成生……お姉ちゃん」

 

「うん。助けれるかは分からないけど、壊理の下に来る。約束、だよ?」

 

「やくそく?」

 

約束の概念も分からないか。それならもっとかみ砕いて伝えてあげよう。

 

「ふふっ……絶対にもう一度来るから、私を思って待っててね?」

 

「分か、った。成生お姉ちゃん」

 

「誰だ!!!」

 

ペストマスクを着けた青年が扉をバンッと開いて入ってきた。同時に壊理ちゃんがビクッと身体を強張らせる。

 

なるほど、こいつが傷つけている当人か。随分と特徴的なマスクを着けているものだ、どこぞのヤクザが着けているってオールフォーワンに聞いたことがある。

 

「おや、見つかってしまいましたか。問答無用と来なかったのはいい判断ですね」

 

壊理を背後に、白いドレスのまま……深淵色の瞳をしてMs.ダークライは入ってきたヤクザをお出迎えする。ヤクザはヴィランとしてはそれなりの大物であり、Ms.ダークライの瞳を見ただけで目の前の人物が誰なのか分かっていた。

 

ヤクザ──ヴィラン名オーバーホール、本名は治崎。破壊と再生という強個性を持つヴィランだった。

 

「お前は……!Ms.ダークライ!」

 

「この子を傷つけているのは貴方ですか?」

 

指摘するように人差し指を向ける。これだけで向こうは既に死が目の前に突きつけられたのだが、知る由もない。

 

「傷つける?そんなことする訳ないだろう、壊理は俺の大事な娘だからな──っ!?」

 

言葉の途中でレーザーソードを起動する。オーバーホールの首元に収束させた光は、いつでもお前を殺せると言っていることに等しい。光速だったため、余りにも速過ぎる死にオーバーホールも冷や汗をかいていた。

 

そんな状況ながらも数秒、Ms.ダークライの瞳とオーバーホールの瞳は睨み合いを続けた。そして根負けしたのは……Ms.ダークライだった。

 

レーザーソードを消し、手を出すつもりは無いと態度で示す。壊理と約束したことを反故にするつもりもなかった。純粋に脅しただけだ。

 

「……ふぅーん、まぁいいでしょう。数日後に真正面から私が現れます、この子といろいろお話したいですし。まぁ、()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

言葉を濁して伝えるMs.ダークライ。オーバーホールも言葉の意図を察していた。壊理に手を出せば死が訪れてもおかしくないということを。

 

だが、せめてもと抵抗の言葉を口にした。

 

「……それなら、お世話役にでもなるか?」

 

Ms.ダークライが近くにいる、名のあるヴィランにはそれだけで十分なメリットとなる。

 

何せMs.ヴィランと称される人物なのだ。そんな人物から目をかけられているというだけで一地方のヴィランくらいはまとめられる。オールフォーワンが居なくなったが、象徴という意味での代わりは存在しており彼女なのだ。

引き止めるのも当然だった。

 

対してMs.ダークライはふむと思案を一瞬だけし、条件付きで了承した。

 

「お世話ですか、もう一人子供がいるのでその子も加えていいならいいですよ。あと時々外に出してもらえれば十分です」

 

「構わない。あんたの動向を知れるってだけでお釣りがくる」

 

壊理という希少な存在であっても、Ms.ダークライという象徴の下に付けるなら差し出すのもやぶさかではない。当然差し出すつもりは毛頭なかったが、オーバーホールは一時的に壊理が使えなくなっても問題は無かった。

 

何せ彼が考えている計画の骨子は……ようやく計画発動が可能な段階に踏み込んだところ、必要な武器の完成品ができたのだ。だが量産という段階で言えば、まだまだ試行が必要だった。

 

まだ余裕はある、そんな思考を読んだのかMs.ダークライは邪悪な笑みを浮かべ、一言零した。

 

「一つ忠告です」

 

「何だ」

 

「彼女は私が補足しました。無事かどうかも、分かりますよ?」

 

ブラフだ。オーバーホールはそう予想していたが、Ms.ダークライがどうやってここに来たのかが全く分からない。

 

瞬間移動のような個性を持っているのだろうが、逆に言えば一度補足された以上……オーバーホールは逃げられない。座標移動だと考えてもこの場所を探知した個性とセットで持っているとしか考えられないのだ。

 

考えたくないが、相対位置ならどう足掻いても逃げられない。Ms.ダークライが殺そうと思えば殺せる状態と言える。首に縄を付けられたようなものだ。

 

「……あんたの動向を知れるのが引き換えなら、ギリギリ範囲内だ」

 

オーバーホールは自身に首輪を付けられることに、壊理が一時的に使えないことを対価にしてもMs.ダークライの行動を知れるならと承諾した。

 

そこまで分かられ、尚も承諾したことにMs.ダークライは少しだけ驚く。ヴィランなのだから、首輪を付けられることは一番嫌うことのはずなのだ。いくらネームバリューがあるとはいえ、即座に了承できるようなことではない。

 

懐に刃を隠せるヴィランでなければできないことだ。

 

「また来ますね。壊理ちゃん次第なら……考えておきましょう」

 

壊理ちゃんに希少性があるというなら……仕方ない、壊理ちゃんが酷い目に合うのも条件次第だ。現状で五体満足なのだから、死ぬほど痛い目かもしれないが死にはしないのだ。

 

それなら、痛覚さえどうにかすればいい。私なら誤認させることなど簡単だ。

 

「悪夢を見ないことをお勧めします。それではごきげんよう」

 

Ms.ダークライが姿を消す。十分にも満たない時間だというのに、オーバーホールは膝をつき全身から汗を流していた。息づかいを荒くし、どれだけのプレッシャーと戦っていたのかなど、見ればすぐに分かる程だった。

 

数秒後、ドアの方から一人が応援に現れる。オーバーホールが信頼する仲間、音本だった。

 

「若!」

 

「大丈夫だ……あれは、化け物だな」

 

格の違い、オーバーホールはそれを理解できてしまった。壊理さえいれば何とかなると信じているが……その心情が折れかねない程の恐怖を、深淵色の瞳から感じ取れてしまったのだった。

 

 

 

 

 

その後、関東一帯に悪夢が現れた。

 

 

悪夢はヴィランに堕ちたいものには堕ちるように背中を押し、この日だけでヴィランの被害件数が二倍以上に膨れ上がっていた。

 

 

悪夢はその後、半日のペースで各地方へ現れた。関東、関西、中部、東北、北海道、九州、中国、四国……あらゆる場所に現れたMs.ダークライは、まさしく言葉通り「どこにでも現れる」ヴィランとされ、再び新聞の紙面やネットニュースの一面を占めるのだった。

 




次回はいつになるか分からぬ……。二週間は確実に空くくらいしか分からぬ

行動力が死んでる
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