普通少女のヴィランアカデミア   作:火ノ鷹

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執筆時間無くて更新遅れてる

年末までは更新無いかも


暗躍

 

 

── 無限増殖 哀れな怒れる行進(サッドマンズ・アングリーパレ―ド) ──

 

 

── 大雨覆 ── 

 

 

 

 No.2同士が激突する。個性の相性、場所、道具。それらを駆使し訪れる結末は、一瞬だった。

 

 無限に増殖するトゥワイスと圧倒的なまでの速度で対人制圧攻撃を続けるホークス。広域制圧を対人制圧で抑えきれるかは攻撃速度と威力で決まる。しかし決まれば一瞬で決着が着く、そういう戦いだった。

 

 

 

「生成速度は目を見張るものがありますが、耐久力が落ちていますね」

 

「はぁ……はぁ……っ!」(速過ぎて……見えない)

 

 

 決着は、ホークスの勝利。増やされたトゥワイスがさらに増やそうとしてもそれより先にホークスの攻撃により一撃で即死する。

 

 1が2に2が4に、4が8に倍々に増えるはずが途中から一気に1まで減少する。10人を超える増殖すら許さないホークスの攻撃速度、鎮圧が目的でなければ相対した瞬間殺されていたのがトゥワイス自身でも理解できていた。

 本当にホークスは戦いたくなかったのだろうとトゥワイスには分かってしまう。あえて戦い、力の差を見せつけて鎮圧させたかったのだろうと。

 

 そしてホークスにもトゥワイスのことは分かっていた。()()()()()()()諦めないヴィランであると。だからこそ、最後の一手が必要だと。

 

 

 

 「これで仕舞い」

 

 

 

 トゥワイスに長剣と化した羽を刺し、ほぼ同時に背後に回り後頭部を強打、気絶させる。ヴィラン連合の止めなければならない脅威は、傍目に見れば呆気なく鎮圧されていた。

 

 相性、状況、個性の磨き方。一つでも掛け違えていたらこれほどまでに呆気なく見える戦いにはならなかった。『もしも』は現実には無いが、欠片でもあれば違った戦いになっただろう。

 

 この場における最大の脅威を排除した。ホークスの最大の任務は終わった。

 

 

 

 

 だからこそ──油断した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 蒼い炎が、ホークスを襲う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「っ!?」

「おいおい避けてくれるなよNo.2ヒーロー」

 

 トゥワイスの応援に駆け付けた荼毘がそこにいた。ホークスは炎を羽数枚犠牲にした程度のギリギリで反応し、トゥワイスを抱いて避けていた。

 

 荼毘はホークスを常に疑っていた。大事なタイミングで裏切るのはおおよそ予想できており……()()()()()()

 

 故にこのタイミングで裏切ると予想していた。が、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()のだった。

 

「荼毘……っ!」

「ホークス、やっぱスパイだったか。これでも急いで来たっていうのに……チッ、本当に『速過ぎる男』だな」

 

 トゥワイスを抱きながらも速度がほぼ落ちないホークスに荼毘は舌打ちを一つする。不意打ちだったのだ、片翼くらいは燃やせると踏んでいた。

 

「トゥワイスは落ちた。俺の役割は終わってる」

「だから何だ?今回の役割の確認か?ホント……面倒なことにしやがったな」

 

 荼毘は珍しく苛立ちを隠していなかった。それも当然、荼毘が成し遂げたい目標に到達する寸前にも近いのだ。目標ギリギリで止められればどれだけ感情を隠そうとしても滲みだすのは必然。

 

 

 ヴィラン連合全体と荼毘の目的は近しいが同じではなかった。だが、『ヒーロー社会の崩壊』という目的は同じであり、そこに至るまでの手段が目的なのかどうかだけが違いだった。

 

 

 ただ、トゥワイスという手札(カード)を失っても荼毘にはまだ切り札が残っている。

 

 

「トゥワイスがいれば俺の計画は完遂できた可能性が高かった。おしゃかにしてくれたな……。

 

 灯火がいてくれて本当に助かったぜ。感謝をいくらしても足りないくらいだ」

 

 

 

 灯火。ただの堕とし子に過ぎない彼女だが、荼毘の家族に関しては違う扱いが可能になる。

 

 

 

 荼毘という()()、かつて妄執に憑りつかれていたエンデヴァー、依光成生という個性においては最上の雌……それらの要素から出される結論という名の灯火という存在。しかして誰もがエンデヴァーがそんなことをするヒーローではないと知っている。

 

 

 

 ヒーローとしてのエンデヴァーを知っていれば、だ。真実を知っている者程疑ってしまう。何せ────灯火の遺伝子という証拠がある。

 

 

「荼毘……お前は、お前の正体は」

「艶羽辺りに聞いてるんだろ?俺の正体はよ」

 

 

 艶羽との関係を知られている。ホークスに可能性として予想していたが当たってほしくないと考えていた事実が突き付けられる。

 

 艶羽が裏切ったとは思っていない。けれど艶羽の行動は余りにも自由過ぎた。ホークス自身、本当に頼っていいのか疑う程に。

 

 だからこそ、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()と考えていた。ただそれがあり得るとすればナイトメア内部のみ。荼毘に伝わるまでは予想したくなかったことだった。

 

 何故なら────ナイトメア内部で統制がとれていると信じていたからだ。堕とし子が依光成生を信奉しているのは分かっている。ナイトメアという組織を作ったなら、組織同士の扱いも分かっているはずだ。言うなればナイトメア内部が裏切っているにも近い。

 

(当たってほしくないことが当たったか)

 

 ナイトメア内部で統制がとれていない、そう考えていたホークスは知らないことがあった。艶羽も当たり前の方針が故に話すことすら無かったことだ。

 

 

 

 ナイトメアは依光成生の指示により、誰もが自由に動く。堕とし子同士ですらぶつかり合いになることすらある程に。

 

 

 

 自由度の余りの広さ。ただ……ナイトメアの動きが依光成生の指示であれば納得できるものではあった。

 

 何せ依光成生は世間から見れば制御できない、どこにでも現れる、自由なヴィランなのだから。

 

「知らないと思ってんのか?艶羽とお前の血縁関係」

「チッ」

 

 荼毘の情報網を甘く見ていた。ホークスの予想が甘かったことに間違いはない……答えは既にあったのだから。ホークスが完全に見落としていたのだった。

 

「俺の……いや、()()()()()()()()()()()()んだ。

 

 

疑わない訳が無いよなぁ?────鷹見啓悟!

 

「そうか……灯火。じゃあ信じたくなかったが……お前は」

 

 ホークスが見落としに気づき……しかしもう遅い。

 

 それ以上の爆弾が目の前にあるのだから。

 

轟燈矢。お前がマークしないといけなかったのは俺だろ!?」

「──っ!」

 

 ホークスが予想していた、想定外に限りなく近い場所にあった最悪の予想が的中する。

 死を偽装されたエンデヴァーの長子。かつて死んだと思われていた時に死体がほぼ見つからなかったからと、生きている希望はありながら……現実は絶望だった。

 

 

 

「俺を狙うと思ってたからな……遅れちまった。

 

 トゥワイスの方が危険?そりゃあ個性だけ見ればそうだろうよ。ヒーローがMs.ダークライに負けたこともある……No.1へのスキャンダルも本来ならそこまでのダメージじゃないだろう」

 

 

 

「けどそれでいい。大事な事実が抜けてるだけだ……『Ms.ダークライは例外中の例外』」

 

 

 

「戦おうなんて考え自体が間違ってる相手だ!だから世間もまだ何とかなると足掻いてる。ギリギリの瀬戸際、一歩後ずされば崖に落ちるか落ちかける。

 

 ガタガタになるのは避けられない!だから最後の一押しだ」

 

 

 

 

 

 

 

「そして俺の望みは一つ。エンデヴァーが絶望していく様を見届ける、それだけだ……それだけなんだよ」

 

 

 

 

 

 

 

 畳み掛ける怨嗟の声。復讐の炎と呼ぶことすら温い、荼毘の燃え盛る心熱。目力だけで人を殺すことができると確信すら抱かせる威圧。

 

 

 

「っ!」

 

 

 

 No2ヒーロー、ホークスであっても怖気づいてしまう程のものだった。

 

 

「それに手はまだある。灯火の名は依光灯火……父方の性になおせば、轟灯火。

 

 知ってるんだろ?仲良しこよしの父娘だもんなぁ!」

 

 

 仲良しこよしの父娘。エンデヴァーと灯火のことではない……そして荼毘がホークスの事情を知っているとなれば該当する父娘は一つだけ。

 

 

 ホークスと、艶羽だ。

 

 

「どうやって艶羽のことを」

 

「艶羽はお前の悪いとこ継いじまったみたいだなぁ?灯火が寂しがってたぞ『艶羽姉が構ってくれないー!』ってな。

 

 仲が良い堕とし子だ、しかも面倒見のいい姉達ってのはよく知ってる。何せ母親がアレだからな」

 

 ホークスはチッと舌打ちを一つした。

 ヒーローは信頼関係の構築として善意を前提とする。だからこそのしくじり。

 

 堕とし子同士の中の良さは聞いていた、だからこそ信用できていた。これは信用できたから起きた落とし穴だ。

 

 地獄への道は善意で舗装されているとは聞く話だが、こうも示されているとはと……ホークスは笑いすら出てきそうになっていた。

 

「何を笑って……あとは簡単だった。灯火に聞けばお前に似た行動が山のように出てきた。そして個性も堕とし子は父親側に近いものになっている……『天翼』。

 

 確証はないが疑えることは山ほどある。お前の子供なら、そこから流れる情報からさらに悪い予想を立てればすぐに辿り着く。

 

 何せこっちは情報提供は終わってたからなぁ……灯火がエンデヴァーの子供だって九州で言っただろ?」

 

「動揺を誘う為ではなく、ただの事実。確かに知っていたさ、艶羽から聞いて確証も得てる。けどお前が轟燈矢だなんて」

 

「灯火は知ってたぞ?俺のことお兄ちゃんって呼んでただろう?

 

 艶羽は知らなかったみたいだな。情報源に無いなら仕方ないよなぁ……」

 

 HAHAHAと笑う荼毘。笑いながらも焦りが顔に出ているホークスとは対照的だった。

 

 

 艶羽は、というか堕とし子は親のことは知ろうとしてもむやみやたらに口に出すことはない。特に誰が父だなんてことは半ばタブーに近いものがあった。

 

 何故ならかつて長女である電花の父親が不明だった時期があり、さらに次女である奪姫の父親が外道極まりない存在だったから。話題にあげれば明確に不満になる時期があったのだ。

 

 長女である電花を堕とし子は皆慕っている。だから口に出さない。だから堕とし子は他の堕とし子の父親を察することこそあれど知ろうとはしない。

 

 結果としてホークスに情報戦で遅れた箇所があった。

 しかしだからといって何もできないヒーローではない。No.2ヒーローホークスはそんな男ではない。

 

 

「まだ、対策はできる」

 

 

 ヒーローが強襲した形なのに変わりはない。時間はまだある。

 

 ホークスの願望にも似た言葉を、荼毘が斬り裂く。

 

 

「無駄だよ。もうこっちの行動は終わってんだ。

 

 先に行動した者勝ち。Ms.ダークライもそうしただろ?血縁で言えば血のつながってない母親か……嫌な気分じゃねぇな」

 

 エンデヴァーという復讐の対象が肉親にいる。全てを投げうってでも成し遂げる目的のはずが、灯火の存在がほんの少しだけ荼毘の足を止めさせる。

 

 命を代償にエンデヴァーを絶望に落としたいのは変わっていない。が、命を代償にしなくてもエンデヴァーを絶望に落とせるならそれでいい。荼毘はそんな考えに変わっていた。

 

 

 未来に妹が生きてるなら、横にいてやるべきなのが兄なのだから。

 

 

 未来を考える。現在ですらほぼ投げ捨てていた荼毘をそこまでたどり着かせたのはMs.ダークライ……成生だ。血が繋がってこそいないが妹には繋がっている事実、上機嫌になるのも当然だった。

 

 ただそれもエンデヴァーを絶望に落としてからの話。今は()()その計画を実行している最中だった。

 

「何を」

「放送はもうされてる。そろそろ流れる頃合いだ、視聴者は多い方がいいが……その前に!」

 

 荼毘が蒼炎を放つ。既に羽は一部燃やされ速度は半減されているホークスだ、炎の放出速度も速くなくていい──などという油断はしない。

 

 ヒーローを舐めるな。追い詰められたヒーローこそが最も怖い。依光成生から教えられたことだ。

 

 速度を優先した最速の蒼炎。荼毘が放つ炎がホークスへ向けられる。

 

「ぐっ!?」

「……流石は『速過ぎる男』。炎の放出より速く動いたか。だがもう速度は死んだだろ?」

 

 チリッと羽が更に燃やされる。速度は既に半減どころではない。

 

 このままでは対抗手段が奪われる。判断したホークスの速度は半減未満になっていたにもかかわらず、加速する。

 

「何!?」

 

 瞬間的な速度をだすのと加速的な速度を出すのは羽の使い方が違う。瞬間的な速度だけで十分以上に速く、加速的な速度も併用するからホークスは速い。

 

 この加速の仕方は違う。瞬間的な速度を出しながら同時に加速のためにも使用する。

 

 一気にエンジンを最大速まで稼働させるが如き暴走的加速。限界を超えてホークスは飛ぶ。

 

 

 

 ────トゥワイスを抱えて、逃げるために。

 

 

 

 荼毘が分かっていても捕捉しきれない速度。荼毘ができるのはホークスが飛んでいく方角を観測することくらいだった。

 

 

「……逃げられたか。まぁ……俺的には踊ってもいいような気分だが……なんか嫌な感じもしてるんでな。残念だ」

 

 

 荼毘は追わなかった。追っても追いつけないこともある。だがそれよりも今この近くに留まっていることの方が危険であると五感が言っていた。

 

 何か危険なことが起きている。それも尋常ではない程の何かであり、自分が対処出来ることではない。そんな感覚だった。

 

 ゴゴゴと地鳴りのような音が鳴る。しかしこれは聞いたことのある音。荼毘の知る、最も危険なボディーガードが目覚めた音だ。

 

「これは」

 

 荼毘の五感の正しさを示すように、マキアが地下から登ってきていた。背中にいるのは超常解放戦線の面子……というよりMr.スケプティック一人を除いてヴィラン連合の仲間だった。

 

「マキア……!?それにお前ら」

 

 マキアにつままれ背中に乗せさせられる荼毘。情報を持つ荼毘にMr.スケプティックやMr.コンプレス、トガから質問がとんでくる。

 

「お前の依頼通り動画は流しておいたぞ!」

「助かったぜ。これでヒーローの疑心暗鬼が加速できる」

「おい!トゥワイスは!?」

「無力化されて攫われちまった。俺がいながら……すまねぇ」

「相手は誰です?」

「ホークスだ。侵入されてたのが仇になったな」

 

 トゥワイスを奪われた事実。落ち込むことではあるが、あくまで『奪われた』だけ。

 ヒーローの都合上生きているのは分かっている。ならば奪い返すだけだ。この場にいる元ヴィラン連合の全員が同じ気持ちだった。

 

「殺されてはいねぇなら……けど……そうか。今は無理だけど、取り返そう」

「仁くん……そうです。今すぐは鳥さん速過ぎるから無理です。でも、絶対取り返します」

「今はマキアが動き出したから無理だな。言いたいことは分かるが」

 

 Mr.コンプレス、トガ、スピナーが決意を口にする。荼毘は早速と情報を共有に口を開く。

 

 聞きたいことは、二つ。

 

「つか何でマキアが」

「多分死柄木起きたから連れてこいって命令だろ。マキアならそういうの鼻がきくからな」

 

 スピナーがほぼ即答で返す。死柄木を信頼しているスピナーは、死柄木に対して似たように信頼しているギガントマキアの行動もなんとなく分かる。

 究極の受け身人間。そんな人間が行動するなら起きた事象は必然的に一つ。死柄木が起きて行動を開始した、それ以外に無い。

 

 なるほどと荼毘は口にし、もう一つの疑問を声に出そうとし……Mr.コンプレスから同じものが出される。途轍もない危険が迫ってきている気がする、という感覚だ。

 

「それよりなんかすごい嫌な感じがおじさんするんだけど」

「奇遇だな、俺もだ」

「皆もです?私も」

「俺もだ。ヒーローって感じじゃないよな、何が起きてんだ」

 

 Mr.コンプレス、荼毘、トガ、スピナー全員が同じ感覚を抱いている。であれば偶然などではなく、共通の大きな危険が迫っているのは間違いない。

 しかし誰にも予想などつかない。この場にいる全員が相応の修羅場をくぐってきているのだ、その全員が危険であると叫ぶなら……全盛期オールマイトクラスのヒーローがいる程のことだろう。

 

 数秒考え込み、あっとトガが思いつく。

 

「あっ、成生ちゃん」

「……あいつに何か起きたっていうのか?マキア含めた俺ら全員足しても勝ち目ないだろ」

 

 スピナーの戦力分析にうんうんと全員が頷く。

 

 トガも頷きながら、なんとなくと枕詞に付けながら言葉にした。

 

「今は会わない方がいい、そんな気がするのです。マキアさん、分かります?」

「……Ms.ダークライ?これは……?

 ……大丈夫だ。あいつらがだいたい揃っているなら問題ない」

 

 バシバシと背中を叩くトガにマキアが答える。どうやらマキアも同じ認識だった上、更に何かを嗅ぎとっていた。

 

 ただそれが行動に関わるかと問われると、否と言い切れるのがマキアの良くも悪くもなところだ。

 

「主に呼ばれた。それが先だ」

「まぁマキアならそうするか」

 

 俺達の行動は変わらない、スピナーがそう結論付ける。乗り物と化しているマキアが放さない以上、背に乗せられている者達の動きは既に決まっている。寄り道等できはしないのだ。

 

 

 

 歩く災害が、動き出す。認識災害が来る前に、物理的な災害が加速を始める。

 

 まるで本震が来る前の前震。マキアが前震という異常極まりない災害だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 しかし、認識災害には既に何が起きているかを知り、立ち向かう者達がいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「『禁忌:……もし、そうなった時のため■■■』」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 起きる前から認識災害(禁忌)を知っている者が、この世界にはいるのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おかーさん……分かってても、辛いよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 天の翼を持つ者。艶やかな羽と名付けられた少女が、立ち向かうように地上に立っていた。

 

 

 

 

 そしてその隣には、今現在においては艶羽が最も頼りにする少女がいた。

 

 

 

 

「このバカ妹。こうなると分かって電花姉を行かせたわね?帰ったらお仕置きだから」

 

 

 

 

 二人の後ろには兄弟姉妹のほぼ全員が揃っていた。

 

 生きる力を奪う姫、天の翼を持つ艶やかな羽、あらゆる炎を放てる灯、全てを崩す華、ただただ大きな力そのもの、月すら固め散らす者、一つの力を完全に消す力、闇の世界を統べる子、無限に増える人。

 勇気と(なり)しモノこそいない。だが今だけはその方が都合が良かった。

 

 

 

 目的が、完全に一つだったから。

 

 

 

 

 

「「私達で!止めるんだ!」」

「「「「おお!!!」」」」

 

 

 

 

 

 

 認識災害(禁忌)に挑む、普通の少女が生みだし者達。その衝突は、余波だけであらゆる戦場に影響を及ぼす程だった。

 

 

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