普通少女のヴィランアカデミア   作:火ノ鷹

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USJは上中下構成です

成生ちゃんは「普通」の高校生だからね。自己紹介もちゃんとするけど大人に武器向けられたら驚いて尻もちついちゃうんだ


成生「イレイザーヘッドかっこいいなぁ」
弔「かっこいいよなイレイザーヘッド」

弔「オールマイトは殺したいけど」
成生「オールマイトは遊びたいけど」


オールマイト「私が来た!」


弔・成生「「あっ(笑)」」



USJ襲撃 上

事前に弔が「崩壊」させ黒霧がUSJのカリキュラム情報を雄英から盗み出したことで弔が決めたUSJ襲撃、そこへ繋ぐワープゲートが目の前に展開されていた。

 

ワープゲートは全部で二か所。チンピラを集めた広場といつも集まってるバーだ。

 

ここを超えればヴィランの一員と認識される。公安やヒーローに目を付けられる。分かってはいても面倒なことだ。

 

「はぁ……」

「溜息吐きたくなるのも分かる。僕と対等になると言い、既に側近レベルに到達した君だ。子供の面倒を見るようなことをさせるのも少し不本意ではある」

 

弔や脳無、チンピラ達がワープゲートをくぐっていく。成生もくぐらないといけないなぁとのんきに考えつつも、言葉の先はオールフォーワンに向いていた。

 

「今回は失敗するでしょうね……生徒の個性が見えてない。あと側近は私とドクター以外にもいますね?紹介してください」

「もちろんだ。ボディーガード担当の側近たる彼と戦えるレベルになれば僕と同等レベルまであと一歩だ。それと今回は試金石でもあるし脳無の紹介という一面もある、失敗を恐れては進めないさ」

 

オールフォーワンから側近の紹介をするという言質をとったので少しだけテンションが上がる。

 

戻ってきた時の飴が無いと面倒な行動なんてしたくないのは誰だって同じなのだ。

 

「ですね。それでは行ってきます」

 

ワープゲートをくぐりUSJへと向かう。後ろから少しだけ流れた声には気づかなかった。

 

「マキアが最強の盾とするならMs.ダークライは最強の矛となる。愉しみだよ」

 

 

■■■

 

 

時はほんの少しだけ巻き戻る。

 

弔がワープゲートをくぐり始めたのとほぼ同時にイレイザーヘッドはその姿を視認していた。

 

「一かたまりになって動くな!13号!生徒を守れ!」

 

イレイザーヘッドが大きく声を張り上げる。

 

同時に、途方もない悪意を持つ者達が黒い霧から姿を現した。

 

「何だありゃ?」

「動くな!あれは──ヴィランだ!!!!

 

イレイザーヘッドがゴーグルをかけ臨戦態勢に入る。真っ先にワープした黒霧が状況を確認し、オールマイトがいないことを察する。

 

「13号にイレイザーヘッドですか……先日頂いたカリキュラムではオールマイトがここにいるはずなのですが」

 

黒霧の言葉にイレイザーヘッドが即座に反応を返した。まるで分かっていたことだったと言わんばかりに。

 

「やはり先日のはクソ共の仕業だったか」

 

弔がガリガリと搔きむしり、ヴィラン特有の理解できない苛立ちをヒーローやヒーローの卵へと向ける。

 

悪意そのものとしか見えない弔の姿に、ビクリとする生徒もいたようだった。

 

「どこだよ……せっかくこんなに大衆引き連れてきたのにさ……。オールマイト……平和の象徴……いないなんて」

 

苛立ちを隠さない弔。オールマイトがいないとは予想だにしていないことだった、ならばと次の手を考える。

 

オールマイトを呼ぶ……ヒーローを呼ぶ方法だ、それなら簡単な方法がある。

 

「子供を殺せば来るのかな?」

 

「急ぎはするだろうね」

 

ワープゲートをくぐり終えた成生が一瞬で状況を把握する。そして弔へと助言していた。

 

USJに着いた成生が認識したのは、イレイザーヘッドと13号が生徒たちを守ろうとしていることと、何故か本来いなければならないはずのオールマイトがいないことだ。後者に至っては、こちらから見ても誤算だ。

 

広場の上、13号達の居る方へと目を向けると生徒たちの姿があった。予想通り、縮れ毛の少年の姿もある。

 

「バカだがアホじゃねぇ。これは……何らかの目的があって用意周到に画策された奇襲だ」

 

目を向けられている先では状況把握を急ぐA組生徒やイレイザーヘッドの姿があった。避難を急いでいるのが成生の瞳にも映っていた。

 

「13号避難開始──」

 

行動を開始した姿を見、即座に黒霧を近くに呼ぶ。弔に教えたりするのは色々縛りがあって面倒だが、黒霧との情報共有だったりは特に制限もない。

 

現状から考えられる向こうの戦術を見抜き黒霧へと伝える。

 

「抹消の個性だっけ。イレイザーヘッドが指示して避難、13号が護衛、そしてイレイザーヘッドが奇襲返し。じゃないかな?」

「恐らく」

 

黒霧も予想はしていたようで、向こうの行動が開始した瞬間に黒霧は生徒たちの方へ襲う予定だったらしい。考えがかぶったことに少しだけ腹を立ててしまう。

 

「一芸だけじゃヒーローは務まらん」

 

予想通りイレイザーヘッドが広場の方へと降りてきた。奇襲に対するカウンターと言うには雑もいいところだが、威勢だけでも押し返しできなければ待っているのは凄惨な結末だけだ。

 

流石はプロヒーローといったところだろう。

 

「多分まばたきの間が隙だよ黒霧。隙を突きな」

 

黒霧へとアドバイスし成生は弔よりも後ろでただ突っ立っている。守られる対象でもないのだが、着いた順番的にこうなってしまった。

 

イレイザーヘッドに展開されていたチンピラが蹴散らされていく。ゴーグルでまばたきを隠しているのだろうが、常に発動し続けるようなことをしていれば問題なく黒霧が移動できる。

 

「うん、成功」

 

予想通りチンピラの肉壁が蹴散らされていく間に黒霧が生徒たちの方へ移動できたのを視認できた以上、あとはこちらのものだ。

 

「嫌だなプロヒーロー。有象無象じゃ歯が立たない」

 

などと考えてたらイレイザーヘッドがこっちに突っ込んできた。「普通」の高校、春川高校の制服を着ている私の方へ。

 

弔よりも後ろにいるから大ボスだとでも思ったのだろうか?勘違いや早合点はよくないぞヒーロー。

 

「お前は?」

「依光成生と言います。以後よろしくお願いしますね」

 

イレイザーヘッドが構えるも成生は手出しなどしない。今回は弔の戦いなのだ、全て壊すような真似をするわけにはいかない。

 

「攻撃してこない?」

「私別にヴィランでも何でもない一般人です。他人を傷つけたことないですよ」

 

存外これは事実だったりする。

 

確かに巨悪と話して邪悪な計画をいくつも立ててこそいるが、成生本人が人を傷つけたことは一度もない。例外は弔と黒霧くらいのもので、殺したことすらないのだ。

 

思想犯や黒幕(フィクサー)という意味では大活躍しつつあるが。

 

 

だがイレイザーヘッドからして見れば襲撃者=ヴィランの方程式は変わらない。とりあえず捕縛して後で話を聞くだけだ。

 

「ここに侵入しただけでヴィランだ」

「きゃっ!?」

 

捕縛布を向けるも、イレイザーヘッドの目に見えたのは恐怖で怯える「普通」の女子高校生の姿だった。

 

怯えるのも当然だ、プロヒーローが理由こそ弱いものの鍛えた力を向けてきたのだ。一般人なら恐怖で足が竦むのも、ペタンと膝が落ちるのも当然とすら言える。

 

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()姿()()()

 

 

「……っ!?本当に一般人か!?」

 

 

イレイザーヘッドの思考が乱れる。ヴィランの集団に一人だけ一般人が混じっているなど碌でもない想像しかできない。

 

だが、チンピラのような雑魚を纏める小悪党とイレイザーヘッドの考える碌でもない想像を行う者はイコールで繋がらなかった。

 

「そこだ」

「ぐっ!?」

 

成生の行動で油断を誘われたイレイザーヘッドの腹へと膝蹴りが叩き込まれる。弔の一撃だからこそまだまだ戦闘続行できるダメージだったが、これが脳無だったら一撃KOものだった。

 

吹き飛ばされダメージを負いながらも即座に態勢を立て直すイレイザーヘッド。弔も追撃に動いていた。

 

「1アクションする度、髪が下がる瞬間がある。まばたき云々言ってたが……合ってたみたいだな」

 

数瞬の攻防が続きイレイザーヘッドが弔へとカウンターで肘を腹へと叩き込む──はずだった。

 

「無理をするなよイレイザーヘッド」

「──っ!!」

 

イレイザーヘッドの肘が崩れる。ギリギリのタイミングで弔が左手を間に挟んでいたのだ。即座に五指で触れたことで弔の個性が発動していた。

 

「生徒に安心を与えるために正面戦闘か?」

 

即座に離れるイレイザーヘッドへと口で攻撃する弔、さらにチンピラが追撃し距離をとる。

 

弔の言葉での攻めも警戒しなければならない個性を見せた後ならば効果的だ。事実さっきまで焦りが見えなかったイレイザーヘッドが、ほんの少しだけ動きが鈍っている。

 

「かっこいいなぁかっこいいなぁ……ところでヒーロー」

 

弔が脳無へとイレイザーヘッドが潰せと一言命令する。と、同時に脳無が動き始めた。

 

「本命は俺じゃない」

 

あの子は私の細胞を使っていない、試作段階の脳無だ。ショック吸収と超再生の個性を持った脳無だが、たった二つの個性しか持っていない個体だ。

 

それでもオールマイトと同等程度を目指した性能をしてるから強さという意味では十分なんだけど。それこそプロヒーローの一人なんて……

 

「数秒で終わるでしょうね」

「対平和の象徴、改人”脳無”」

 

数秒でねじ伏せられたイレイザーヘッドの姿が、そこにあった。

 

「個性を消せる。素敵だけどなんてことはないね。圧倒的な力の前ではつまりただの無個性だもの」

 

オールマイト並の性能持ってれば大概の人から見れば無個性だろう。私が増強系の個性を持ちたいと言った理由はこういうのに遭遇した時のためだし。

 

私の身体能力では光速で攻撃はできても指を向ける必要がある。目の前で音速レベルで行動されれば流石に思考力加速と光速反射のコンボがあっても身体が追い付かない。

 

イレイザーヘッドと同じような結果になるだろう。逆に数秒の距離あれば殺せるから、相性的な問題と言える。

 

「死柄木弔」

「黒霧、13号はやったのか」

 

ワープゲートを渡って黒霧が報告に戻ってきた。隙を突けと言って狙い通り進んだのだ。

 

少し逃げられたとか、そんな私の予想通りには進んでそうだ。

 

「行動不能にしましたが……散らし損ねた生徒がおりまして、一名逃げられました」

「…………は?」

 

ふぅんと一息つく。一名なら黒霧はかなり頑張った方だろう。速度増強系やサポート系は数名いた、多少の連携さえ上手くいけば黒霧一人からの逃走はできなくもない。

 

逆にちゃんと連携とれたなら複数名逃げたどころか黒霧に一撃喰らわせるくらいの可能性はあった。それが無いなら惜敗くらいだろうか。

 

「はぁ……。はぁ──黒霧、お前がワープゲートじゃなかったら粉々にしたよ……」

 

首をがりがりと掻きむしる弔。苛立ちが隠せてないのが丸わかりだ。それ自体は悪く無いのだが、悠長なことをやってる時にやることではないという意味ではヴィランとしてバッドだ。

 

「さすがに何十人ものプロ相手じゃ敵わない。ゲームオーバーだ」

 

思っていたことが伝わったのか、ピタリと掻きむしる手が止まる。思考がまとまったのか、両手をふらりと下ろす。

 

「今回は、ゲームオーバーだ……。……帰ろっか」

「ん、いいんじゃない?」

 

引き際は大事だ。特に弔の場合は傷を治す個性持ちがいない。多少の無茶しても構いやしないけど、死なれるのだけは困る。

 

無茶やるとして……せいぜい生徒を殺すくらいかな?

 

「けどもその前に、平和の象徴としての矜持を少しでも──へし折って帰ろう

 

後ろに潜んでいた三人の生徒、その中でも蛙っぽい子へと弔は一瞬で間を詰め、手を顔面へと翳す。五指を触れたのは確実だった──が、崩れていない。

 

「……本当かっこいいぜ、イレイザーヘッド」

 

脳無に潰されながらも目だけは弔へと向けていたようだ。流石プロヒーロー、守る側からすれば即死攻撃が一番恐ろしいことくらいは分かっているみたいだ。

 

感心している弔へ、潜んでいた縮れ毛の少年が思いっきり殴りつけてきた。雄英受験の時に見た、あの少年だ。

 

一瞬あの威力があの場で発生したら危険だと指を向けるも、ギリギリ脳無が間に合うと個性は発動しなかった。

 

「手ぇ放せぇ!!!」

「脳無」

 

弔も分かっていたのか即座に脳無を呼び盾としていた。オールマイトの後継者と言えど、馬鹿げた威力がすぐさま使える訳が無い。最適化に特化した私ですら2~3か月は必要なのだ。

 

とはいえNo.1ヒーローの個性だ。多少しか使えずともそれなりの破壊力は持っていた。ドゴォという音と共に脳無へと叩き込まれる。

 

「え……」

 

当然、傷など有りはしないが。

 

ショック吸収の個性があるのだ。例え全盛期のオールマイトの破壊力でも、打ち抜くには数発必要な個性なのだ。子供なら尚更効くはずが無い。

 

「いい動きをするなぁ……。スマッシュ、縮れ毛の少年……お前か」

 

私が注意したことは覚えていたらしい。危険な少年なのだということを、殺しておくべきだということを。

 

「まぁいいや、君死ん」

 

ドゴォッ!!!

 

弔が脳無に指示を出すよりも早く、USJの出入口が勢いよく吹き飛ばされた。これほどの勢いを持って突入し、尚且つこれほどの速さで到着できるヒーローは一人しかいない。

 

 

「もう大丈夫」

 

 

そう──No.1ヒーロー、平和の象徴、オールマイト唯一人だ。

 

 

「私が来た」

 

 

守られるべき者に安心を、敵対するものに絶望を与える台詞と共に、ヒーローは現れた。

 

「あ──……コンティニューだ」

 

私も弔も、ようやく現れたかという目をしてヒーローを見据えていた。

 




イレイザーヘッドの抹消は成生にほぼ効きません。

というのも異形型なので無効化します。明確に効くのエアウォークくらいですかね?転送は転送前から見られてたら効きますが、転送中なら効きません。
指先発光は……あれ結果的には自らの肉体を伸ばしてる異形にも近いので威力減衰くらいです

ちなみに今の成生の個性
メイン:最適化
サブ:指先発光、思考速度自由化(元思考加速)、人形操作、空中地面化(元エアウォーク)、転送、瞬発力(?)

爆豪「生徒に充てられたのがこんな三下なら大概大丈夫だろ」


成生「大概大丈夫(笑)」

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