灰被りー元ウマ娘、現競走馬だけど質問ある?   作:パンダコパンダ

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 なんで変わらんけどちょっと薄い気がする。

 レース実況に合わせて書いたからかなぁ。


12:菊花賞 京都 芝3000m

 決戦の舞台は京都レース場。じゃなくて、京都競馬場。

 

 あの日、私はパドックでどんなことを言っていたっけ……。

 ティアラ路線にいた私がやってきたことに観客は戸惑い、クラシック戦線のウマ娘たちは私のことを潰そうとしていたと思う。

 

 トーホウジャッカルはあの選抜レース以来絡んできてたからなぁ。デビューは遅かったけど。あの日も確かパドックの裏で絡まれた記憶がある。

 

 そうだ。笠松舐めんな。とかなんとか言った気がする。

 

「サンドリヨン?」

 

 それまで歩いていたのに、急に立ち止まったから厩務員が不思議そうな目で見てきた。なんでもないと再び歩き、パドックに集まる多くの観客に目を向ける。

 脚を見る人、顔を見る人。隣と話してる人だったり動画かな? カメラを構えている人もいる。

 

 クルクルと回っていれば奥からジョッキー達が出てきたので、そこからはいつも通り。

 

「いっちょやってやろう。サンドリヨン」

 

 もちろん。

 

 

 

 

 

 ◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 

 

 

『絶好の天気となった京都競馬場です。11レース。菊の冠に向かって、芝3000メートル菊花賞のお時間となりました。

 本日集まった18頭の優駿。注目はダービー馬とオークス馬による直接対決。さあ、本馬場入場です』

 

 

菊花賞 出馬表

馬名脚質適正人気

マイネルフロスト◁◀︎◀︎◁14

トーホウジャッカル◁◀︎◀︎◁4

サングラス◀︎◀︎◁◁17

サウンズオブアース◁◀︎◀︎◁5

シャンパーニュ◁◀︎◀︎◁16

ショウナンラグーン◁◁◀︎◀︎7

トーセンスターダム◁◀︎◀︎◁6

ワールドインパクト◁◀︎◁◁13

ハギノハイブリッド◁◁◀︎◁9

10ゴールドアクター◁◀︎◀︎◁8

11サンドリヨン◁◀︎◀︎◁3

12タガノグランパ◁◀︎◀︎◁11

13ミヤビジャスパー◁◁◀︎◁15

14トゥザワールド◁◀︎◀︎◁2

15ワンアンドオンリー◀︎◁◁◁1

16サトノアラジン◁◁◀︎◁10

17ヴォルシェーブ◁◀︎◁◁12

18メイショウスミトモ◁◁◀︎◁18

 

 

『注目の四頭です。

 一番人気ワンアンドオンリー。ダービーに勝ち、前走神戸新聞杯でも1着と万全体制で臨む菊花賞。イスラボニータがいない中、二冠を目指してダービー馬の意地が見たいところ。

 

 続く二番人気はトゥザワールドです。皐月賞2着、ダービーでは5着でしたがセントライト記念では2着と調子は上向き。最後の一冠は逃せないとやる気十分です。

 

 さあ、今回一番の話題でしょう。三番人気オークス馬サンドリヨン。秋華賞へと向かうと思われた地方初のオークス馬は、自身が最強であることを証明するために菊の舞台へと参りました。脚質自在。対応力に富んだ脚は()()たちをねじ伏せることができるのか。

 

 四頭目トーホウジャッカルです。ダービー前日にデビューしたこの馬は着実な好走を見せ堂々の四番人気となりました。切れ味の良い脚が出れば三強に待ったをかけることになるでしょう』

 

 続々と誘導されてゲートに入っていく私たち。

 落ち着いているやつ。落ち着いてないやつ。色々いる。

 

「ほな行こか。サンドリヨン」

 

 ええ。

 

 狙うは最内。いくら私でもまだ3000は長い。ロスを減らし最後の直線に向けて前から5〜6番手で先行するのが調教師からの指示。

 

『各馬揃いました。菊の冠へ。ゲートオープン! 第75回菊花賞スタートです!

 

 大きな遅れなく綺麗なスタートとなりました。サングラス、シャンパーニュが前へと出て、すっと隊列決まります』

 

 スタートで飛び出すと同時にアンカツが内ラチに寄るよう手綱を操る。馬群の隙間を縫うように徐々に徐々に寄っていけば気がつけばもう山の頂上。ゴールドアクターを目標にする感じで手綱が動いていたが、ちょうど目の前にトーホウジャッカルの尾花栗毛が見えたので、その半馬身後ろに控える。

 

 全体的に見れば先行馬集団のやや後ろよりかな? って感じ。6番手くらい?

 問題なく進んでいくが芝からの反発が結構強い。正直タイムは伸びそうだけど、足にくるね。

 

「だいたい60秒くらいか?」

 

 ホームストレッチを走る最中、アンカツの呟きに応じる様に首を大きく振る。

 別にペースは早くない。しっかりと順調にレースが進んでいる感覚。拍手を左側に受け、そのまま1回目のゴール板を通過。特に動きもないまま1〜2コーナーを抜けていく。

 

「動かんか」

 

 周りは全くと言って良いほど動かない。1回目の坂の後からは前も後ろも隊列が固まってしまってる状態。向正面で仕掛けてくる様な白いやつもいない。

 

 二度目の坂を登って行けば残り800で下り坂。シャンパーニュが飛び出したのを確認して、私は少し余裕を持たせていたトーホウジャッカルとの距離をさらに縮め、内にピタリと張り付く。

 

 狙ってますよー? 行きますよー? と言った感じ。

 ちょっとずつ外に膨らんでトーホウジャッカルに圧をかけてスタミナを奪いながら、直線に入る。

 

『直線入ってマイネルフロスト。外にはトーホウジャッカル。白い帽子二頭の競り合いになる。ゴールドアクターは少し離れているか? 内ラチ沿いにサウンズオブアース』

 

 バシンっ! と気持ち良いくらい良い音を鳴らした鞭が入り、私は一気に加速する。

 

 ロスは減らした。脚はある。内側だが芝も良い。背中には百戦錬磨のアンカツ。

 

「行け! サンドリヨン」

 

 負ける要素なんてない。あとは全部私次第。

 

 体が沈む。そのまま飛び出す。

 ググッと押される様な加速のまま、少し前にいるトーホウジャッカルに追いついた。

 

『来たぞ来たぞオークス馬サンドリヨン! 内をついてトーホウジャッカルに並ぶ! トーホウジャッカルとサンドリヨンが抜けた! サウンズオブアースとは身体半分ですが僅かに抜けるかサンドリヨン! 内と外全く並んでゴールイン!!』

 

 最後の最後。僅かに鼻が出た様な気がするが、並んでのゴールだった。

 掲示板には3番手のサウンズオブアース以下が確定している。

 

『樫の女王の意地か、最強の上がり馬か』

 

 ゴールシーンがリプレイされ、少しながら私の方が前に見える映像がターフビジョンに映る。

 

「っし!」

 

『サンドリヨン! サンドリヨンです! 牝馬初! そしてオークスに続き地方馬初の菊花賞戴冠! 芦毛の怪物が、牡馬をネジ伏せました!!』

 

 アンカツが背中でガッツポーズをすれば、私はどっと疲労感が広がった。

 未経験の3000メートル。それをかなりのハイペースで追いかけたんだ。疲れていないわけがない。

 

「くそーっ! 負けた! 負けた!」

 

 負けたことを叫んでるトーホウジャッカルを横目に、そそくさとターフを後にする。ポンポンと首筋を叩かれ、拍手が私を包む。

 

 私が勝てるとか思ってなかった奴ら。笠松舐めんな。

 

 

 

 

 

 ◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 

 

 

『勝利ジョッキーインタビューです。サンドリヨン号にて勝利しました安堂騎手。再びのクラシック戴冠。秋華賞ではなく菊花賞での戴冠となりましたが。今の率直な感想をお願いします』

 

「勝てて安心してます。秋華賞から逃げたとか言われてたので」

 

『はい。道中の感触とかは如何でしたか?』

 

「足元がね。割と良かったから前目につけてね。しっかり我慢してくれたんで。行けるなって」

 

『レコードでの決着となりましたが』

 

「正直ね、大逃げがいたとかでもなくのレコードなんで、本当に? って感じですが」

 

『牝馬での菊花賞戴冠。偉業ですね』

 

「そうですね。ウオッカのダービーもこんな感覚だったんでしょうね。まさか自分がこんな感じになるとは思ってなかったですけど」

 

『トーホウジャッカルを差し切った見事な末脚、次走でも見られるでしょうか』

 

「やる気があれば走ってくれるんでね。どうなるかはわかりませんが」

 

『ありがとうございます。オークスに続き地方馬初。そして牝馬初の菊花賞馬となりましたサンドリヨン号安堂ジョッキーのインタビューでした』

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